ID管理とは
社内システムやクラウドサービスを利用する際には、ユーザーアカウントを登録し、IDとパスワードで認証を行うのが一般的でしょう。
しかし、アカウント数が多くなれば管理は煩雑化します。ID管理とは、システムやサービス利用者のIDやパスワードなどアカウント情報を適切に管理することです。
ID管理を適切に行った場合のメリットは以下のとおりです。
- ・管理者やユーザーの利便性・生産性が向上する
- ・セキュリティリスクの低減やコンプライアンス強化にもつながる
ID管理の問題点
専用のツールやサービスを導入せずにID管理をした場合、いくつかの問題点が生じがちです。起こりうる課題について解説します。
ID数が多いと管理が困難
近年、社内システム以外にクラウドサービスを利用する企業は増えており、同時に複数のIDを管理しなければなりません。メールなどのシステムもクラウド化しており、利用にはID・パスワードの入力が必要です。
また、新年度など人事異動や入社のタイミングにおける、ID管理の担当者の負担は膨大です。ID管理の作業量は、IDの量に比例して増えるため、手作業で管理していると時間がかかります。入力ミスなどが増えてシステムにログインできなくなる恐れもゼロではありません。
IDの棚卸が煩雑
IDを適切に管理するためには、IDの棚卸が必要です。IDの棚卸とは退職者のIDやテストIDなど、本来利用できないアカウント情報を精査することです。
例えば、退職者のIDが有効な状態であれば、外部からシステムにログインできてしまいます。場合によっては大規模な情報漏えいにつながるでしょう。そのため、年に数回の棚卸を実施する必要があります。
しかし、IDの棚卸は負荷が大きな業務であり、問題もあります。手作業での実施となるとミスが生じやすく業務に影響するでしょう。また、全部署に確認するだけでも膨大な時間がかかります。
セキュリティに不安が残る
ID管理は、専用のツールを使わずに実施する場合、エクセルを利用するケースが目立ちます。しかし、エクセルはセキュリティ上のリスクが発生するため注意しなければなりません。
例えば、IDを管理しているエクセルファイルがサイバー攻撃などに遭うと、すべてのログイン情報・ファイル情報が流出します。もし情報が漏れてしまえば、全IDとパスワードを変更しなければなりません。
そのため、パスワードを管理しているエクセルファイルの暗号化が必要です。しかし、今度はエクセルファイルのパスワードを管理する手間が発生するでしょう。また、ファイルにアクセス・閲覧制限を設けていなければ、内部不正が発生することもあります。
ID管理システム(統合ID管理システム)とは
前述した課題の解決に役立つ専用ツールが、「ID管理システム」です。ID管理を効率化するシステムであり、ユーザー情報の一元管理が可能です。
例えばユーザー情報に変更があった場合、一括で変更した結果は連携システムにも同期されます。今まで膨大に発生していた作業を削減できるでしょう。
機能
ID管理システムの主な機能を2つ紹介します。
IDの一元管理
ID管理システムには中央管理サーバが存在し、すべての情報を一元管理しています。エクセルによるID管理、かつ複数人で対応している場合、最新ファイルの共有・把握の手間などがありました。しかし、ID管理システムを利用すれば、担当者は常に最新データを扱えます。
セキュリティの強化
ID管理システムのなかには、既存の人事システムなどと連携できる製品もあります。退職者のアカウントを自動で削除できるため、退職者による不正利用を防げるでしょう。同時に異動者のID変更などにも対応します。
ほかにもユーザーごとにシステムへのアクセス制限や閲覧制限をかけることで、内部不正を予防できるでしょう。
ID管理システムでは、操作したログが残るため操作履歴を把握できます。社内の不正を把握できるだけでなく、監査時にも証拠として提示することが可能です。
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クラウドシステム(IDaaS)が主流
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課題を踏まえ、ID管理システムの導入を検討しましょう
ID管理とは、従業員が利用するIDやパスワードなどのアカウント情報を管理することです。しかし、利用するシステムが多くなると管理が煩雑になり、業務時間が膨張してしまいます。また、情報漏えいの不安も残ります。
効率的なID管理を目指すのであれば、ID管理システムの導入がおすすめです。情報を一元管理し既存システムと連携することでスムーズに業務を行えます。ID管理の課題を踏まえて、システムの導入を検討しましょう。