ID管理の目的と重要性
ID管理は何のために行うのでしょうか。まずは、ID管理の目的と重要性を3つの観点から見ていきましょう。
セキュリティ対策のため
企業にはさまざまなシステムがあり、そのシステムを利用する従業員の数だけユーザーIDやパスワードが存在します。
これらはユーザーの配置転換や離職など、組織変更に合わせて管理しなければいけません。管理が不適切だと、以前の権限でファイルにアクセスできてしまい、情報漏えいなどのセキュリティリスクが高まります。
そこでID管理を実施すれば、配置転換に伴う権限変更や離職者データの削除などを、適切に行えます。これにより、重要ファイルへのアクセスを権限ごとに制限可能です。
企業は、社内のさまざまなセキュリティリスクに、必要な対策を講じなければいけません。
業務の生産性向上のため
ID管理が適切に行われていないと、ユーザーはシステムへアクセスする度にパスワードの入力を求められます。これを日に何度も行う必要がある場合、業務の生産性低下につながりかねません。またパスワードを忘れた場合、再発行の手間がかかります。
適切なID管理が行われればこのような事態を回避でき、業務の生産性向上をはかれます。システムごとに存在するアカウントを一元化できれば、さらに時間を削減することが可能となるでしょう。
コンプライアンス強化のため
不適切なID管理ではコンプライアンスに違反するおそれがあります。
従業員に対する不適切なアクセス権付与などの法令違反によるペナルティです。また、内部統制監査で是正勧告されれば、それらへの対応に膨大なコストが発生するかもしれません。
近年コンプライアンスは厳しくなっており、企業もその対応に迫られています。アメリカのSOX法を基に内部統制のルールを規定し、2008年4月1日に施行された「日本版SOX法」もその1つです。
適切なID管理により、これらのリスクを低減できます。不正アクセスに迅速に対応できる環境であれば、情報漏えいなどのトラブルを未然に防ぐことが可能です。また、内部統制の整備にもつながります。
コンプライアンス違反は、企業のイメージダウンにもつながり、経営に大きな影響を与える可能性があります。つまりID管理を怠ると、経営上のさまざまなリスクを抱えることになるのです。
ID管理の方法
IDやパスワードを適切に管理するにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、2つの管理方法を紹介します。
紙に書いて保存する
IDをインターネット上で保存する場合、情報漏えいの危険性があります。
たとえばブラウザのパスワード保存機能はウイルスに感染すると情報が盗まれるリスクが高まります。紙にIDを書いて保存する方法なら、情報がインターネット上に存在しないため、その心配はありません。
しかし紙での保存は紛失や盗難の可能性があり、複数のIDを管理する場合は非効率です。入力の度に紙を見ながら行う必要があり、システムとIDの紐づけが困難になることもあります。
そのようなリスクを回避し管理の効率化を図るため、ID管理ツールの導入を検討しましょう。
ID管理ツールを使う
ID管理ツールは、複数のID・パスワードを一元管理します。一元化により、従業員はIDを各自で管理する必要がなくなります。導入すると、申請や承認業務を効率化でき、従業員はパスワード管理の手間から解放されるでしょう。
また、アカウントを1本化する、「シングルサインオン」という仕組みを搭載したツールもあります。これにより、パスワード入力の効率化が実現する上、不正ログインに対するセキュリティを強化できます。
ID管理の重要性や目的を理解し、ツールの利用で効率的に!
ID管理を行う目的は以下のとおりです。
- ■セキュリティの向上
- ■生産性の向上
- ■コンプライアンス
これらの対策に努めることは企業活動上、非常に重要です。紙でもID管理はできますが、紛失の可能性があり複数の管理には向きません。そこでID管理ツールの利用をおすすめします。IDを一元管理でき、セキュリティ強化につながります。
以上をふまえ、ID管理ツールの導入を検討しましょう。