HTMLメールの危険性
なぜ、HTMLメールは通常のメールと比べてリスクが高いと言われるのでしょうか。
ウイルス感染のリスクがある
HTMLは文字の装飾や画像の挿入など、通常のメールよりもできることが多いのが魅力です。視覚的な美しさを重視したい場合は有効なツールと言えるでしょう。
しかし、いろいろなことができる以上、悪事も行いやすくなります。HTMLに悪意のあるスクリプトを埋め込み、メールを開いたデバイスをウイルスに感染させることもできます。URLをクリックしたり添付ファイルを開いたりしたときはもちろん、HTMLメールを開封しただけでも感染するおそれがあるため要注意です。
そして、1つのデバイスがウイルスに感染すると、つながっている別のデバイスにまで被害が及ぶ可能性もあります。企業においては、1社員のデバイスが感染すると、会社中のデバイスが被害に遭うリスクがあるということです。このため、内容を問わずHTMLメールは全面的にブロックしている企業も少なくありません。
スパムやなりすましの標的になる可能性がある
HTMLメールには、Webビーコンという小さな画像を埋め込むことができます。これはメールが開封されたかどうかを確認するためのものです。受信者がメールを開くとWebビーコンが表示されますが、それが送信者にも分かるため、メールが開封されたことも間接的に判明する仕組みです。
そして、Webビーコンはスパムの標的を見つけるのに悪用されることがあります。メールが開封されたということは、そのメールアドレスが有効という証明になるためです。
仮にスパムの標的にされなくても、受信者がメールを開いた日時やデバイスのIPアドレスまでが送信者に知られてしまいます。プライバシーの観点からかなりリスクが高いと言えるでしょう。
一方、なりすましメールもその多くがHTML形式で送られています。安易にURLや添付ファイルに触れると、フィッシングなどの詐欺に遭うおそれがあります。

HTMLメールの危険から守る方法
以上のことから、HTMLメールはできるだけ触らないほうが良いと言えます。では、具体的な対策としてどのようなことを実施すれば良いのでしょうか。
メールセキュリティの導入
メールセキュリティとは、メールの送受信に伴うセキュリティ上のリスクを軽減するためのITツールです。これを利用することで、HTMLメールによる被害を抑える環境を整えられます。主に以下の機能を備えています。
- 【アンチウイルス】
- ウイルスによる被害を防ぐ機能です。HTMLメールによるウイルス感染への有効な対策となります。
- 【スパム対策】
- 事前に設定した条件に基づき、スパムメールと判断したメールを自動で排除する機能です。
- 【メール無害化】
- メールに潜むリスクを排除する機能です。たとえば、メールに記載されているURLを削除したり、HTMLメールに含まれる画像を表示されないようにしたりできます。
- 【情報漏洩防止】
- 社内の情報が外部に漏れるのを防ぐ機能です。代表的なのが誤送信防止機能で、送信されたメールを一定時間保留することで、送信を取り消せます。
社員に対する啓蒙の実施
メールセキュリティを導入しても油断をしてはいけません。どれほどシステム面の防備を固めても、ユーザーに正しい知識が備わっていなければ、攻撃者に隙を突かれるおそれがあるからです。
そこで必要になるのが、社員に対する啓蒙活動です。HTMLメールを含むセキュリティ上の脅威について知識と理解を広め、社員1人ひとりが適切な行動をとれるようにしなければなりません。
たとえば、デバイスOSやセキュリティソフトのアップデートは頻繁に行うよう周知しておきましょう。また、万が一不審な送り主からメールが送られてきたら、安易に触れないことも大切です。セミナーや研修、eラーニングなどを活用し、こうした知識を定期的に社内で共有しておきましょう。
HTMLメールの危険性を理解し、適切に対策を行おう!
HTMLメールは通常のメールと比べて、ウイルス感染やスパム・なりすましメールの標的になるリスクが高いです。自社が被害に遭わないよう、適切な対策を講じる必要があります。具体的には以下の備えをしましょう。
- ■メールセキュリティの導入
- ■社員に対する啓蒙の実施
以上を踏まえ、HTMLメールの脅威を防ぎましょう。
