ストレスチェックの導入で失敗する原因の全体像
ストレスチェックの導入で失敗する場面は、ツールの不具合だけとは限りません。制度の目的や社内の体制、現行の運用が整理されていない場合にも、期待した結果にならないことがあります。まず原因を大きく3つに分けて確認しましょう。
| 原因の種類 | 確認したい点 |
|---|---|
| 制度の理解 | 対象となる事業場の条件と、実施の目的 |
| 導入の目的 | 集計の効率化や受検率の向上など、優先したい成果 |
| 現行の運用 | 配布から結果通知、記録保存までの作業の流れ |
制度の義務と目的を整理する
ストレスチェック制度は、労働安全衛生法にもとづき、常時使用する労働者が50人以上の事業場に年1回の実施を義務づけています。50人未満の事業場は現状では努力義務ですが、法改正で義務が広がる予定です。時期は厚生労働省の公開情報で確認しましょう。
制度の目的は、労働者自身のストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことです。目的を共有しないままツールを選ぶと、実施しただけで終わる場合があります。結果をどう職場の改善に結びつけるかまで、導入前に話し合っておきましょう。
導入の目的と成果の見方を決める
導入の目的が曖昧だと、ツールを選ぶ基準も定まりません。例えば、集計の手間を減らしたいのか、受検率を高めたいのか、集団分析を職場改善に活かしたいのかで、必要な機能は異なります。優先順位を社内で決めておくと、比較がしやすくなります。
目的ごとに、導入後に確認する指標も決めておきましょう。受検率や面接指導の案内状況、集計にかかる時間は、導入前後で比べやすい項目です。成果を数字で見られると、運用の見直しにも役立ちます。
現行の運用手順を洗い出す
紙やExcelで実施してきた場合は、配布から回収、集計、結果通知、記録保存までの流れを書き出します。誰がどの情報を扱っているかも、あわせて整理しましょう。口頭で引き継いできた作業は、特に見落としやすい部分です。
手順の洗い出しが不足していると、ツールで置き換えられない作業が導入後に見つかる場合があります。製品側で対応できる範囲と、社内で続ける作業を分けて把握することが大切です。分けた内容は、提供会社への質問にも使えます。
ストレスチェックの導入に失敗して属人化が残る理由
ツールを導入しても、特定の担当者に作業や情報が集中したままだと、ストレスチェック業務の属人化は解消しません。ここでは、属人化が残る理由と、担当者が代わっても運用が止まらない実施体制の整え方を、制度上の役割もふまえて整理します。
担当者に作業が集中する理由
ツールを導入しても、設定や案内、問い合わせ対応が1人に集まると、属人化は残ります。担当者の経験に頼る作業が、ツールの外に残っている場合もあります。ツールが担う範囲を、最初に明確にしておくことが大切です。
例えば、受検者への督促や名簿の更新、結果の確認を個人のやり方で進めていると、休暇や異動で業務が止まる場合があります。作業を洗い出し、ツールで自動化できる範囲を確認しましょう。自動化できない作業は、担当を複数人に分けます。
実施者と実施事務従事者の役割分担
ストレスチェックでは、医師や保健師などが実施者となり、ストレスの程度の評価などを担います。実施者を補助する実施事務従事者は、日程調整や受検状況の確認といった事務を担当します。役割が曖昧なままでは、作業が特定の人に偏りがちです。
人事権をもつ立場の人は、個人の結果を扱う実施事務従事者になれません。ツール上の権限設定が、この役割分担にあうかを導入前に確認しましょう。権限を細かく分けられるかは、製品によって異なります。
手順書と引き継ぎ体制の整備
属人化を防ぐには、作業を手順書にまとめ、複数人で状況を確認できる体制が欠かせません。画面操作だけでなく、督促や問い合わせの対応ルールも文書にしておきましょう。新しい担当者が迷わず作業できる状態を目指します。
担当者の交代に備え、操作履歴や設定内容を確認できるかも選定時の確認項目です。管理者を複数人に設定できるか、権限ごとに閲覧範囲を分けられるかも見ておきましょう。確認結果は、社内の共有資料に残します。
紙の質問票からの移行で失敗しない進め方
紙の質問票と手集計からツールへ移る際は、準備不足が失敗の原因になる場合があります。移行前の整理と試験実施、受検者への周知という3つの段階に分けて進めると、抜けを減らしやすくなります。次の3つを順に確認しましょう。
- ■移行前の整理
- 回答データの形式と集計ルールをそろえる
- ■試験実施
- 一部の部署で並行運用し、不備を見つける
- ■受検者への周知
- 回答方法と問い合わせ先を事前に案内する
移行前に回答データと集計ルールをそろえる
紙の運用では、回収後に担当者が手作業で集計し、独自の確認を加えている場合があります。ツールに移ると、その確認が自動処理に置き換わるため、従来のルールを文書で書き出しておきます。ルールが曖昧だと、集計結果が前回と食い違う原因になります。
対象者の名簿や部署の区分も、移行前に最新の状態へ整えましょう。名簿に誤りがあると、案内の漏れや集計の誤りにつながる場合があります。休職者や派遣社員など、扱いが分かれる人の区分も確認が必要です。
並行運用や試験実施で不備を見つける
最初から全社で切り替えると、不備が見つかった際の影響が大きくなります。一部の部署で試験実施を行うか、前回の集計結果と見比べて、判定や集計が想定どおりか確認しましょう。差が出た場合は、設定と入力データの両方を点検します。
試験実施では、画面の見やすさや回答にかかる時間も確かめられます。提供会社が試験の方法を用意しているかは、事前に相談して確認してください。試験の結果は、本番前の修正に反映させましょう。
受検者への周知と操作案内を行う
紙からオンラインへ変わると、回答方法がわからず受検を見送る人が出る場合があります。回答の手順や受検期間、問い合わせ先を、社内の連絡手段で複数回案内しましょう。案内文には、結果が本人の同意なく会社へ渡らないことも明記します。
パソコンやスマートフォンなど、使う端末の違いにも配慮が必要です。端末を使いにくい人向けの受検方法を残すかどうかも、あらかじめ決めておきます。受検方法の選択肢が広いほど、回答の漏れを減らしやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でストレスチェックの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
受検率の低迷や対応漏れが続く場合の見直し点
ツールを導入しても受検率が上がらない、高ストレス者への対応漏れが減らないといった場合は、仕組みと運用の両面で見直す必要があります。受検率の要因、面接指導の管理、結果の取扱いの順に、確認したい点を整理します。
受検率が伸びない要因の切り分け
受検率が伸びない要因には、案内が届いていない、受検期間が短い、スマートフォンから回答しにくいなど、複数あります。ツールの機能だけでなく、周知方法や受検期間の設定も影響します。どこで離脱しているかを、まず確認しましょう。
未受検者への自動リマインドや受検状況の確認機能は、製品によって異なります。対象者の名簿が最新かどうかも、導入後に確認したい項目です。部署ごとの受検状況を見られると、声かけの対象も絞りやすくなります。
高ストレス者への面接指導の申出管理
高ストレスと評価された労働者が医師の面接指導を受けるには、本人からの申出が必要です。申出があった場合、事業者は医師による面接指導を実施する義務があり、概ね1か月以内に行うことが目安とされています。
対応漏れを防ぐには、申出の受付状況と面接指導の実施状況を一覧で確認できる仕組みが役立ちます。案内が本人に届いたかを記録できるかも、選定時に確認しましょう。申出をしやすい窓口の周知も、あわせて進めます。
結果の取扱いと本人同意の確認
ストレスチェックの結果は、実施者から本人へ直接通知されます。本人の同意がなければ、事業者に結果を提供できません。この仕組みは、結果が不利益な取扱いにつながらないよう設けられています。
同意の取得状況をツール上で管理できるか、同意のない結果を人事担当者が閲覧できない権限設計かを確認しましょう。個人情報の取り扱いは、社内規程とあわせて整えると安心です。結果の記録の保存方法も、導入前に決めておきます。
繁忙期の処理速度低下に備える確認ポイント
繁忙期にツールの処理が遅くなるかどうかは、利用者側と製品側の両方の条件に左右されます。遅くなる要因の切り分け、実施時期の設計、提供会社への確認事項の順に、事前に備えられる点を整理します。ツールの導入前から確認しておくと安心です。
処理が遅くなる要因の切り分け
処理の遅さは、同時にアクセスする人数や回答データの量、通信環境、端末の状態など、複数の要因で起こる場合があります。製品側のサーバーの構成だけが原因とは限りません。社内のネットワークが影響する場合もあります。
遅くなる場面を、回答時、結果表示時、集計時のように切り分けて記録しましょう。時刻や操作内容もあわせて残すと、原因の特定や、提供会社への問い合わせに役立ちます。個人が特定される情報は、記録に含めないようにします。
受検期間と実施時期の設計
受検期間を短く設定すると、締め切り前に回答が集中して、画面の表示が遅くなる場合があります。余裕のある期間を確保し、アクセスを分散できるように設計しましょう。締め切り直前の駆け込みを減らす声かけも有効です。
決算期や繁忙期の直前を避けて、実施時期を決める方法もあります。部署ごとに受検開始日をずらせるかも、ツールの設定として確認しておきます。業務が落ち着く時期なら、回答にも落ち着いて取り組めます。
提供会社へ確認したい性能の条件
同時に利用できる人数の目安や、アクセスが集中した場合の対応方針を、提供会社に確認しましょう。公開されていない指標もあるため、運用実績の説明や、負荷が高まる時期の対応体制を尋ねる形が現実的です。
検証環境や試験実施が使えるかも確認項目です。ただし、規約や契約条件によって認められる範囲が異なるため、提供会社の担当者に相談して進めましょう。障害が起きた際の連絡方法と対応時間も、あわせて確認します。
運用の負担を整理したいときに確認したい製品
紙からの移行や属人化の解消を検討する際に、受検方法や運用支援の内容を確認しやすい製品を紹介します。
ファースト・ストレスチェック
- 厚労省準拠の57項目版と80項目版をWebと紙で受検可能
- 20言語での回答に対応
- 集団分析や高ストレス者への面談など、アフターケアも対応
株式会社マイシェルパが提供する「ファースト・ストレスチェック」は、労働安全衛生法への対応を想定したストレスチェックツールです。Web受検に加えて紙での受検にも対応し、未受検者にはシステムから督促メールを送れるため、受検状況の確認や声かけの手間を抑えられます。実施規程の雛形や実施者の手配、労働基準監督署への報告サポートなど、運用面を支える支援も用意されています。集団分析や高ストレス者への面談にも対応します。
ソシキスイッチ ストレスチェック
- 東大発IT企業としての技術力を応用し、低コスト・短期納品を実現
- 当社より安い見積もりがありましたらそこから更にお値引きします
- 社内完結型のため最短2週間で納品!実施完了まで約1ヶ月!
株式会社情報基盤開発が提供する「ソシキスイッチ ストレスチェック」は、独自の自動処理技術を活用したストレスチェックサービスです。東大発のIT企業としての技術力を応用し、低コストと短期間での納品、社内完結型の運用を特徴としています。担当者の事務的な負担を軽減しながら、スピーディーに調査を進められるため、実施にかかる事務作業を見直したい場合の確認先の一つです。受検方法や結果の出力形式は、個別に確認しましょう。
ストレスチェッカー (株式会社HRデータラボ)
- 東洋大学との共同研究でストレスレベルを可視化
- 日本産業衛生学会への協賛実績あり
- 「ヒューマンキャピタル2018」に出展
WEMEXストレスチェック (ウィーメックス株式会社)
- Web/紙対応、メアド不要で10言語以上受検可能。
- 集団分析レポートやCSV出力等で職場環境の可視化と改善を促進。
- セルフケア動画等で、従業員の“あと一歩”のケアを支援。
ストレスチェックに関するよくある質問
ストレスチェックの導入の失敗についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:導入後に成果が出ない場合、まず何を見直しますか?
- A:導入時に決めた目的と指標を見直し、受検率や集計時間などの数値と比べましょう。あわせて、運用の手順や担当者の役割分担に抜けがないかを確認します。原因は一つとは限らないため、段階ごとに切り分けて考えることが大切です。
- ■Q2:試験実施は、どの範囲で行えばよいですか?
- A:一部の部署など、小さな範囲で行う方法が有効な選択肢です。画面の操作、判定結果、通知の流れを確認し、問題があれば本番前に修正しましょう。試験の方法は提供会社に相談できる場合があります。
- ■Q3:導入を進める際、社内の誰に相談するとよいですか?
- A:人事や総務の担当者に加え、実施者となる産業医や保健師、情報システム部門に相談しましょう。衛生委員会などの場で実施方法を共有しておくと、合意が得やすくなります。結果の取扱いに関わるため、早い段階で相談しておくと安心です。
- ■Q4:導入後に製品が合わないと気づいた場合、乗り換えられますか?
- A:乗り換え自体は可能な場合もありますが、契約期間や解約の条件、データの移行方法を確認する必要があります。受検期間の途中での切り替えは混乱しやすいため、実施の時期を避けて検討しましょう。
まとめ
ストレスチェックの導入で失敗する原因は、目的の不明確さ、属人化、移行準備の不足、受検後の対応の仕組みなど、複数にわたります。制度上の実施体制や本人同意の扱いを押さえたうえで、目的にあう機能と運用を確認することが、失敗を避けるポイントです。製品によって対応範囲が異なるため、気になるストレスチェックツールは資料請求して比較検討しましょう。

