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ハラスメント相談窓口の設置は義務?社内・外部窓口の違いや対応方法を解説

ハラスメント相談窓口の設置は義務?社内・外部窓口の違いや対応方法を解説

ハラスメント相談窓口は、法律で事業主に整備が求められている体制の一つです。ただし、形だけ設けても従業員に利用されなければ、問題の早期発見にはつながりません。結論からいえば、社内と外部の窓口を組み合わせて相談しやすさを確保し、相談後の対応手順とメンタルヘルスのケアまで決めておくことが重要です。本記事では、窓口の設置義務から外部委託の考え方、運用の工夫までを人事担当者の視点で順に解説します。

この記事は2026年9月時点の情報に基づいて編集しています。
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目次

    ハラスメント相談窓口の設置は企業の義務

    職場のハラスメント対策は、企業の努力目標ではなく法律上の義務です。まずは、どの法律が何を求めているのか、窓口がどこまでの相談を受け付けるべきなのかを整理しましょう。

    法律が求める「相談体制の整備」とは

    パワハラ防止法とも呼ばれる労働施策総合推進法により、パワーハラスメントの防止措置が事業主に義務付けられました。大企業は2020年6月から、中小企業は2022年4月から対象です。セクシュアルハラスメントは男女雇用機会均等法で、妊娠・出産や育児休業などに関するハラスメントは同法や育児・介護休業法で、同様の措置が求められています。

    厚生労働省の指針では、方針の明確化と周知、相談に応じて適切に対応するための体制整備、事後の迅速かつ適切な対応などが示されています。相談窓口をあらかじめ定めて従業員に周知することは、体制整備の中心的な要素です。違反があれば行政指導の対象となり、勧告に従わない場合は企業名が公表されることもあるため、設置の有無だけでなく運用の実態が問われます。

    窓口で受け付けるべき相談の範囲

    指針は、ハラスメントが実際に起きている場合だけでなく、発生のおそれがある場合にも広く相談に応じるよう求めています。該当するか判断に迷う相談も対象です。相談者が「これはハラスメントなのか」と迷う段階で声を上げられるほど、問題が深刻化する前に手を打てます。受付の段階で「ハラスメントかどうか」を選別しない姿勢が大切です。

    対象はパワハラやセクハラに限りません。妊娠・出産、育児・介護に関するハラスメントなどもあわせて一元的に受け付ける体制が望ましいとされています。また、2025年の法改正では、顧客などからの著しい迷惑行為であるカスタマーハラスメントへの対策を事業主に義務付ける内容が盛り込まれました。案内文で相談できる内容を具体的に示すと、利用のハードルが下がります。

    社内窓口と外部委託窓口の違いと選び方

    相談窓口は、社内の担当者が受ける形と、社外の専門機関に委託する形に大別できます。それぞれに長所と注意点があるため、自社の規模や相談の傾向を踏まえて設計することが大切です。

    社内窓口のメリットと注意点

    人事部門や総務部門の担当者が相談を受ける形が社内窓口です。社内の組織や人間関係を理解しているため、状況の把握や関係部署との調整を素早く進められます。追加の費用を抑えやすく、相談から事実確認、配置転換などの措置までを社内で一貫して進められる点も利点です。社内の実情に即した改善策を立てやすいことも強みといえます。

    一方で、相談者から見ると「上司や同僚に知られるのではないか」「評価に響くのではないか」という不安が残りがちです。行為者が役員や窓口担当者と近い立場にある場合は、公平な対応が難しくなることもあります。担当者を男女複数名置く、人事以外の部門からも選ぶといった工夫が求められます。担当者に守秘義務を課し、その旨を従業員に明示しておくことも欠かせません。

    社労士・弁護士・EAPなど外部窓口を使う利点

    外部窓口は、社会保険労務士事務所や法律事務所、EAP事業者などに相談の受付を委託する形です。EAPとは従業員支援プログラムのことで、仕事や私生活の悩みを専門家が支援するサービスを指します。社外の第三者が話を聞くため、社内の目を気にせずに相談できる安心感があります。窓口担当者を社内で確保しにくい企業にも向いています。

    専門家が一次対応を担うことで、法的な論点の整理や、心理面に配慮した聞き取りが期待できます。夜間や休日にも受け付けるサービスもあり、社内担当者の負担軽減にもつながります。ただし、事実確認や行為者への措置は最終的に会社が行う必要があるため、委託先から報告を受ける範囲や手順を契約時に決めておきましょう。費用体系も事前に確認します。

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    社内と外部を併用する複線型の設計

    実務では、社内窓口と外部窓口の両方を用意し、相談者が自由に選べるようにする企業もあります。上司との関係に悩む人は外部へ、早く職場の状況を変えたい人は社内へといったように、目的に応じて入口を使い分けられるため、相談の取りこぼしを減らせます。複数の入口があること自体が、会社が相談を歓迎しているというメッセージにもなります。

    併用する場合は、どちらに相談しても同じ基準で対応されるよう、受付から報告までの流れを統一しておくことが大切です。公益通報者保護法にもとづく内部通報窓口と役割が重なる場合は、ハラスメントの相談をどちらで扱うのかを明示すると混乱を防げます。従業員数や拠点の数に応じて、窓口の数や委託範囲を定期的に見直し、運用状況を確認しましょう。

    相談を受けてから解決までの対応フロー

    窓口の信頼性は、相談を受けた後の対応で決まります。担当者によって対応がぶれないよう、初回相談から事実確認、措置、再発防止までの流れをあらかじめ手順書にまとめておきましょう。

    初回相談で担当者が確認すべきこと

    初回相談では、まず相談者の話を否定せず最後まで聞くことを優先します。そのうえで、いつ、どこで、誰から、どのような言動を受けたのか、目撃者や記録の有無、心身の不調が出ていないかを確認します。聞き取った内容は、相談者の言葉をできるだけそのまま記録に残しましょう。担当者の推測や評価は、事実と区別して書き分けます。

    あわせて、相談者が会社に何を望んでいるのかを確認することも欠かせません。行為者への注意を求める人もいれば、まずは話を聞いてほしいという人もおり、望む対応は人によって異なります。どこまで情報を共有してよいか本人の同意を得ておくと、プライバシーを守りながら次の段階へ進められます。緊急性が高い場合は、速やかに上長や産業医と連携し、相談者の安全を確保します。

    事実確認から行為者への措置、再発防止まで

    相談者の同意を得たら、行為者とされる人や目撃者から中立的な立場で聞き取りを行います。双方の主張が食い違う場合は、メールやチャットの履歴などの客観的な資料も確認します。社内での解決が難しいときは、社外の専門家への相談も検討しましょう。当事者間の話し合いで解決しない場合は、都道府県労働局による紛争解決援助制度を利用する方法もあります。

    ハラスメントの事実が確認できた場合は、就業規則に基づく懲戒処分や配置転換などの措置を速やかに行い、必要に応じて行為者に謝罪を求めます。相談者に対しても、職場環境の改善やメンタル不調への配慮を講じます。事実が確認できなかった場合も含め、方針の再周知や研修の実施などの再発防止策を講じ、対応の経緯を記録として保管しておくことが重要です。

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    従業員に使われる窓口にする運用の工夫

    窓口を設けても、存在を知られていなかったり、相談すると不利になると思われていたりすると利用は進みません。周知の方法と、安心して相談できる環境づくりの両面から運用を工夫しましょう。

    周知の方法と相談しやすい受付手段

    窓口の連絡先は、社内ポータルや就業規則、休憩室の掲示、入社時研修など複数の経路で繰り返し伝えます。電話だけでなく、メールやWebフォーム、チャットなどの受付手段を用意すると、対面や通話に抵抗がある人も相談を始めやすくなるでしょう。匿名での相談を受け付けるかどうかも明記しておきます。窓口の案内は一度きりにせず、年に数回は見直して伝え直すと効果的です。

    あわせて、社外の公的な相談先を案内しておくことも有効です。都道府県労働局の総合労働相談コーナーや雇用環境・均等部(室)では、職場のハラスメントに関する相談を受け付けています。社内で解決しにくい場合の選択肢を示すことは、会社が問題を隠さない姿勢を伝えることにもつながります。案内には受付時間も添えておきましょう。

    担当者の育成とプライバシー保護の徹底

    窓口担当者には、傾聴の姿勢や聞き取りの手順、相談記録の管理方法などを学ぶ研修を定期的に行います。担当者の一言で相談者が傷つく二次被害を防ぐため、相談者を責める発言や安易な励ましを避けるといった注意点を共有しておきましょう。判断に迷う事案は、専門家に助言を求められる体制も整えておくと安心です。担当者自身の心理的な負担にも目を配りましょう。

    指針では、相談者や行為者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨を周知することが求められています。また、相談したことや事実確認に協力したことを理由とする解雇などの不利益な取扱いは、法律で禁じられています。こうしたルールを就業規則などに明記し、繰り返し伝えることが信頼される窓口の土台です。

    メンタルヘルス対策と連携してハラスメントを防ぐ

    ハラスメントは、被害を受けた人の心身の健康に大きな影響を与えます。相談窓口を単独で運用するのではなく、産業保健体制やストレスチェックと連携させることで、ケアと予防の両方を強化できます。

    相談者の心のケアと産業保健スタッフとの連携

    ハラスメントの被害を受けた人は、不眠や気分の落ち込みなどの不調を抱えている場合があります。窓口で心身の不調がうかがえたときは、本人の同意を得たうえで産業医や保健師、カウンセラーにつなぐ流れを決めておきましょう。休職や業務の調整が必要な場合も、医療職の意見を踏まえることで適切に判断できます。復職時の配慮も同様です。

    産業保健スタッフがいない中小企業では、EAPサービスや地域産業保健センターの活用が選択肢となります。地域産業保健センターは、労働者50人未満の小規模事業場を対象に、健康相談などを原則無料で提供している公的な窓口です。メンタルヘルスに関する会社の相談窓口とハラスメント相談窓口を一本化すると、従業員にとっても分かりやすくなります。

    関連記事 中小企業のメンタルヘルス対策はどうする?課題や対策例を紹介

    ストレスチェックの集団分析で職場の兆候をつかむ

    ストレスチェックは、労働者50人以上の事業場で年1回の実施が義務付けられている検査です。部署ごとに結果を集計する集団分析では、上司や同僚からの支援に関する指標から、職場の人間関係の悪化がうかがえる場合があります。相談件数には表れない潜在的な問題に気づく手がかりとなります。窓口への相談件数の推移と並べて見ると、職場の状態を多面的に把握できます。

    数値が悪化している部署があれば、ハラスメント研修の優先的な実施や、管理職へのヒアリングなどの予防策を検討します。なお、2025年の労働安全衛生法の改正により、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務付けられることになりました。施行までに、窓口の運用とあわせて実施体制を整えておくとよいでしょう。

    関連記事 組織分析に必要なフレームワーク「7S」をわかりやすく解説!

    外部相談窓口の設置に使えるサービス

    ここでは、社外で従業員の相談を受け付ける窓口を持ち、メンタルヘルスのケアとも連携しやすいサービスを取り上げます。社内窓口と併用する外部窓口を検討する際の参考にしてください。

    Smart相談室

    株式会社Smart相談室
    《Smart相談室》のPOINT
    1. どんな悩みも歓迎!相談されやすい外部相談窓口(EAP)
    2. 0次予防から3次予防までSmart相談室だけで完結
    3. 初めての人でも安心、利用しやすいサービス設計

    株式会社Smart相談室が提供する「Smart相談室」は、法人向けの社外相談窓口サービスです。産業カウンセラーや公認心理師などの専門家に、仕事や私生活、キャリア、健康の悩みを相談できます。ハラスメント窓口の機能も備えており、被害を受けた従業員が会社を通さずに匿名で相談できる仕組みです。相談方法はオンラインミーティングや電話、テキストから選べ、医師への相談や法令に対応したストレスチェックも利用できます。

    マモリナ (株式会社Alphakt)

    《マモリナ》のPOINT
    1. 10言語以上に対応した多言語通報窓口(別途料金)
    2. 公認心理師・臨床心理士資格保有者がメンタル相談に対応
    3. 相談実績50年、プロ相談員300人体制

    ティーペックの健康・医療サポート (ティーペック株式会社)

    製品・サービスのPOINT
    1. 専門家が24時間365日対応。
    2. 全国4拠点コンタクトセンター、BCP対策済
    3. 英語・中国語対応、Web/チャットボット相談を追加可能

    Wity (ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社)

    《Wity》のPOINT
    1. 年1回と月次のWチェックで組織課題を継続的に把握。
    2. 心理学に基づくeラーニングと行動変容を促す管理職支援システム
    3. 匿名チャット・LINEで専門家に気軽に相談、相談率を大幅向上

    まとめ

    ハラスメント相談窓口は、法律で求められる体制整備の中心となる仕組みです。社内窓口は迅速な対応に、外部窓口は相談しやすさに強みがあります。自社の規模や相談の傾向にあわせて、併用も検討しましょう。相談後の対応フローを決め、周知とプライバシー保護を徹底することで、利用される窓口に育ちます。さらに、産業保健スタッフやストレスチェックと連携させれば、被害者のケアと再発防止を同時に進められます。

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