メンタルヘルス問題の現状
厚生労働省の令和2年「労働安全衛生調査」の概況によれば、労働者がメンタルヘルス不調を理由に、連続1か月以上休業した事業所の割合は7.8%でした。退職した労働者がいた事業所の割合は3.7%です。
メンタルヘルス不調により、連続1か月以上の休業・退職となった労働者の割合は0.4%、退職した労働者の割合は0.1%でした。そして、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は61.4%(同59.2%)で、前回調査よりも2.2ポイント増加しました。その取り組み内容は、次の通りです。
- ・ストレスチェック:62.7%(同62.9%)
- ・職場環境などの評価及び改善:55.5%(同32.4%)
また、労働安全衛生法の第六十九条により、労働者の心の健康を守るため、事業者は継続的かつ計画的に努力することが求められています。
参考:令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況|厚生労働省
メンタルヘルスにおける会社相談窓口の設置フロー
会社内にメンタルヘルスの相談窓口を設置する際のフローを解説します。
衛生委員会などでの人員体制や方針を検討する
相談窓口はデリケートな相談を受けることも考えられます。そのため、相談対応を誰が行うかは重要なポイントです。秘匿厳守など、相談者が安心できる環境を作りましょう。衛生管理者、産業医、保健師、メンタルヘルスのスタッフや人事労務管理スタッフなどが候補となります。
また職場内の衛生委員会で協議して、相談対応を行う人材と方針を決めます。また相談窓口の担当者には、専門知識や傾聴スキルが不可欠です。さらにこれらが不足する場合は、習得するための研修が必須となるでしょう。
具体的な相談方法を決定する
従業員が躊躇しない、相談しやすい相談方法が望まれます。さまざまな相談方法があり、対面、電話、メール、Webフォームなど、直接的な方法と間接的な手段があります。匿名でも受け付けられる方法があると相談しやすいでしょう。事業所の状況に合わせ、従業員が相談しやすい方法を複数用意することが望ましいです。
相談マニュアルを作成する
相談窓口が、相談者に迅速かつ的確に対応するためには、マニュアルの作成が有効です。相談を受けた後の「具体的な流れ」や「関わる人」を記述します。相談内容、窓口と方法により相談者への対応が変わることが考えられます。
また相談者へ誰がどのように対応するのか、職場の管理監督者や産業保健スタッフとの連携はどうするかなど、誰がいつ読んでも理解しやすいように記載しましょう。完成形が見えてきた段階で予行練習を行い、適宜修正を加えれば、徐々にクオリティが高まっていきます。
会社相談窓口の開設・周知
会社相談窓口の開設が決まったら、従業員や家族に周知します。内容は衛生委員会などで検討し、リーフレットや社員向けwebサイトで公開します。周知する主な内容は次の通りです。
- ・相談窓口への主な相談内容
- ・相談対応を行う担当者の紹介
- ・相談を行う方法
- ・相談者への相談窓口の対応内容
- ・相談受付後の流れや解決へのプロセス
- ・個人情報の扱い
- ・不利益がないこと
メンタルヘルスにおける会社相談の注意点
社内にメンタルヘルスの相談窓口を設置する際、注意すべき点を解説します。
相談しやすい環境を作る
会社相談窓口が開設されても、従業員は窓口になかなか相談できないケースが多くあります。従業員は、「何か悪い印象を与えてしまうのではないか」と考えることがあります。介護や借金などのケースでは、自分のプライベートなことで「悩みを相談したいけど、できない」と考えてしまいがちです。
従業員に、「どんなことでも話していい、なんでも聞いてくれる」というような印象を持ってもらうことが大事です。会社の相談窓口は気軽に利用できるという、相談しやすい環境作りを目指しましょう。
事実関係の確認を徹底し情報漏えいに注意する
会社相談窓口の担当者は、相談者がありのまま話せるように、プライバシーが守られることをしっかりと伝え、相談者の不安を取り除くことが重要です。担当者は、相談内容がハラスメントなどの場合、事実確認をする必要がありますが、決して情報が漏れないようにしなければなりません。
相談窓口設置の流れを押さえ、適切なメンタルヘルス管理を!
メンタルヘルスの会社相談窓口の設置フローは以下の通りです。
- ・衛生委員会などでの人員体制や方針を検討する
- ・具体的な相談方法を決定する
- ・相談マニュアルを作成する
- ・会社相談窓口の開設を周知する
また、会社相談窓口を設置する際に注意すべき点は次の通りです。
- ・相談しやすい環境を作る
- ・事実関係の確認を徹底し情報漏えいに注意する
会社相談窓口を設置して、メンタルヘルス対策に活かしてください。