ストレスチェックで把握できる項目
ストレスチェックでは、以下3つの領域に関する項目を設け、ストレスの度合いを点数化して評価します。
- ・仕事のストレス要因は何か
- ・心身のストレス反応はどんなものか
- ・周囲のサポートはあるか
それぞれの領域でどのような項目を設定し、ストレスチェックを行っているのか、以下で詳しく解説します。
仕事のストレス要因は何か
1つめは、「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」です。この項目では、仕事中のストレスがどのようなことを起因に発生しているのか調査します。従業員の業務量や周りの人間関係など、職場環境に関するストレス要因を判断できるのが特徴です。
心身のストレス反応はどんなものか
2つめは、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」です。この項目では、ストレスを感じた時にどのような心身の反応がでるのかを調査します。従業員それぞれのストレス度合いを客観的に判断できるため、ストレスチェックにおいてもっとも重要な項目といわれています。
周囲のサポートはあるか
3つめは、「職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目」です。この項目では、業務を行うにあたって上司や同僚、家族などからどのくらいのサポートを受けられているのかを調査します。仕事やプライベートの充実度を判断できるのが特徴です。
参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省
ストレスチェックの活用方法
次に、ストレスチェックの結果をどのように活用すれば効果的にメンタル不調を予防できるのか、詳しく解説します。
個人へのケア
ストレスチェックの結果を受検者に通知することで、本人も気づいていないストレス要因がわかるようになり、従業員のメンタルセルフケアも行いやすくなります。またストレスチェックの結果をもとに、事業者が医師やカウンセラーなどの支援を強化したり、相談窓口を設置したりすることも可能です。
実施側は従業員の悩み相談を受けつけるだけでなく、メンタルセルフケアのアドバイスを行うのもよいでしょう。効果的なセルフケアの方法としては、以下の3つが知られています。
- ・レスト(Rest):仕事とプライベートを分けて、休息や休養、睡眠をしっかりと取る
- ・レクリエーション(Recreation):時間を忘れるほど楽しめる趣味や娯楽をもつ
- ・リラックス(Relax):精神を落ち着かせるリラクゼーションを取り入れる
ストレスチェック後は、受検者が自発的に悩みを解決できるような環境をつくりましょう。
集団へのケア
ストレスチェックの結果は集団分析にも活用することが可能です。年齢や部署、職種などの集団ごとに以下を把握できます。
- ・どのような仕事が精神的な負担になっているのか
- ・どの部署にメンタルサポートが必要なのか
ストレス度合いが大きい集団に対しては、メンタル不調を未然に防止するための施策を検討しましょう。具体的には、業務の量や内容を変更したり、定期的にミーティングを開催したりするなどの対策が有効です。ストレスチェック後に従業員が働きやすい職場環境づくりを行うことで、メンタル不調の防止だけでなく、業務効率化や離職率低下など実務上のベネフィットも得られます。
ストレスチェック制度を効果的に運用するには
ストレスチェック制度を効果的に運用するには、ストレスチェックの結果を従業員のメンタルケアや職場環境の改善に活用する必要があります。効果を追い求めすぎると従業員の負担が大きくなるため、PDCAサイクルを回して、自社にあった施策や方法を見つけましょう。
ストレスチェックのPDCAは、以下のように行います。
- Plan(計画):どのようにストレスチェックや集団分析、職場環境の改善などを行うか計画する
- Do(実行):ストレスチェックの実施、集団分析、事業者・幹部への報告、個別職場への報告などを行う
- Check(評価):受検者の感想や職場環境の改善度合いなどを分析して、メンタルケア施策の効果を評価する
- Act(改善):今年度の検査方法や集団分析方法などの問題点を洗い出し、 次年度以降のストレスチェックに活かす
ストレスチェックの活用法を知り、職場環境を整備しよう
ストレスチェックは個人に対するケアと、集団に対するケアに活用できます。まずは受検者本人に結果を通知し、本人にも自覚できていないストレス要因を知ってもらいましょう。年齢や部署、職種などの集団ごとにどのようなストレス要因があるのか把握し、従業員にとって働きやすい環境をつくることも大切です。PDCAサイクルを回して、職場環境を整備しましょう。