ストレスチェックの機能でエラーが起こる原因の全体像
ストレスチェックツールの機能でエラーが起きたときは、原因を一つに決めつけず、製品、設定、入力データの順に切り分けると対処しやすくなります。エラーの種類は、次の表のとおりです。導入後の点検にも使えます。
| エラーの種類 | 主に確認したい点 |
|---|---|
| 判定結果の相違 | 調査票の種類、判定基準の設定、回答データ |
| 自動判定の処理の失敗 | エラーの表示、通知、再実行の可否 |
| 集団分析の反映の遅れ | 集計の対象、組織情報の更新、処理の時間 |
| 面談の申込や管理の不具合 | 日程の登録、通知、閲覧の権限 |
判定や集計で起こりうるエラーの種類
ストレスチェックツールでは、回答の受け付けから、高ストレス者の判定、結果の通知、集団分析、面談の管理まで、複数の処理が連続して行われます。どの段階で問題が起きるかによって、確認する内容は変わります。
判定結果が想定と違う、処理が途中で止まる、画面に結果が表示されないといった現象は、段階ごとに切り分けて記録しましょう。いつから起きたかも、あわせて残します。切り分けておくと、提供会社への問い合わせも円滑に進みます。
製品と設定と入力データの複数要因
エラーの原因は、製品側の不具合に限りません。自社で行った設定の誤りや、取り込んだ名簿や回答データの不備、端末や通信環境の影響など、複数の要因が重なる場合があります。連携先のシステムが影響する場合もあります。
そのため、エラーが起きたときは、設定の変更履歴と入力したデータを先に確認しましょう。自社で解決できない場合は、状況を整理して提供会社に相談します。状況を整理して伝えると、確認が進めやすくなります。
エラー発生時に記録しておく情報
エラーに気づいたら、発生した日時、操作の内容、表示されたメッセージ、影響を受けた範囲を記録しておきます。同じ現象が繰り返されるかも、確認しておきましょう。画面の写しを保存しておくと、提供会社に状況を伝えやすくなります。
ただし、画面に個人の結果が含まれる場合があるため、保存や共有の範囲には注意が必要です。ストレスチェックの結果は、本人の同意なく事業者に提供できません。記録の取扱いは、実施者や情報システム部門に確認しましょう。
高ストレス者の判定結果が正しく出ないときの確認点
高ストレス者の判定結果が想定と異なる場合は、調査票の項目数、回答データ、判定基準の設定の3つを確認します。順に点検すると、原因を絞り込みやすくなります。実施者への確認が必要な場合もあるため、早めに相談できる体制を整えましょう。
57項目と80項目の調査票の違いを確かめる
厚生労働省は、標準的な調査票として、57項目の職業性ストレス簡易調査票を示しています。このほか、80項目の調査票も公表されており、評価の方法は異なります。どちらを使うかは、実施者の意見を聞いて決めるのが基本です。
使っている調査票の項目数と、ツールの設定が合っているかを確認しましょう。項目を追加している場合は、判定の対象に含まれるかも重要です。実施者の意見を聞いたうえで、調査票を選定します。
回答の欠損や入力データを点検する
未回答の項目がある場合や、回答の途中で保存された場合に、判定が行われない、または結果が想定と異なる場合があります。未回答の扱いは、製品ごとに異なります。回答を一時保存できる機能がある場合は、保存の扱いも確認が必要です。
名簿の取り込み時の文字化けや、対象者の区分の誤りも点検しましょう。回答データを出力して、一部を手計算で確かめる方法もあります。確認にあたっては、個人情報の扱いに注意が必要です。
判定基準の設定を実施者と見直す
高ストレス者の選定の基準は、国のマニュアルが例を示しており、事業場ごとに実施者の意見をふまえて決めます。基準を変更した場合は、ツールの設定が最新の内容か確認しましょう。変更前の結果と見比べると、影響の範囲もわかります。
設定の変更履歴を確認できるかも重要です。基準を見直す場合は、実施者に相談し、衛生委員会などで共有する流れを整えておきます。判定の根拠を説明できる状態にしておくと、問い合わせにも対応できます。
集団分析の反映が遅れるときのエラー対処
集団分析の結果が画面に反映されない、更新が遅れるといった場合は、集計の条件や組織情報の更新状況が関係している場合があります。確認する順序を整理しましょう。結果が出ないことが、必ずしもエラーとは限りません。
集団分析の反映が遅れる主な要因
集団分析は、回答が集まったあとに、部署などの単位で集計して表示されます。回答の締め切りの前後は、処理に時間がかかる場合があります。反映のタイミングは製品ごとに異なるため、回答が集中する時期は特に確認が必要です。
反映が遅れていると感じたら、処理の完了を示す表示や、更新の予定時刻を確認しましょう。組織情報の更新が済んでいないと、集計の単位がずれる場合があります。時間をおいて再確認することも有効です。
集計の対象と最小人数の設定
集団分析では、集計単位が10人未満になると個人が特定されるおそれがあります。そのため、全員の同意がなければ、結果を事業者に提供できないとされています。
ツール側でも、集計単位の人数に応じた表示の制限がかかる場合があります。結果が表示されないのは、エラーではなく設定による動作の場合もあります。人数が少ない部署の扱いも含め、制限の内容を事前に提供会社へ確認しましょう。
部署マスタの更新と反映時期の確認
異動や組織変更があった場合に、部署の情報が更新されていないと、集団分析の結果にずれが生じます。名簿の更新の時期と、集計の基準日を確認しましょう。基準日がずれると、異動前の部署で集計される場合があります。
更新を手作業で行う場合は、担当者の交代でも手順が引き継がれる形にしておきます。更新の漏れを防ぐため、実施前に部署情報の確認日を決めておくと安心です。更新の結果は、実施者にも共有しておきましょう。
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高ストレス者の自動判定でエラーが出たときの対処
自動判定の処理でエラーが出ると、対象者への通知や面接指導の案内が遅れる場合があります。エラーを検知する仕組みと、復旧の手順を、導入前から確認しておくことが重要です。ここでは、検知、再実行、検証の3つの段階に分けて整理します。
エラーの表示と通知を確認する
処理が失敗した場合に、管理者へ通知される仕組みがあるかを確認しましょう。画面にエラーが表示されるだけで通知がない場合は、気づくまでに時間がかかる場合があります。通知先が1人だけだと、不在時に見落とす場合があります。
エラーの内容と、対象となったデータの範囲を確認できるかも重要です。履歴が残るかどうかで、原因の特定のしやすさが変わります。通知の方法や宛先は導入時に相談し、担当者が複数人で状況を確認できる設定にしておきましょう。
手動での判定や再実行の手段を用意する
自動判定が失敗した場合に、管理者が再実行できるか、未処理の対象者を一覧で確認できるかを確かめましょう。再実行の際に、結果が重複しないかも確認項目です。エラーの原因となった対象者の特定も、あわせて行いましょう。
復旧に時間がかかる場合に備え、実施者の確認のもとで手動で判定する手順も決めておきます。通知や案内が遅れないよう、代替の連絡方法を用意しておくと安心です。手動での対応は、担当者の負担が増えるため、あくまで一時的な手段と位置づけます。
復旧後の結果を検証して記録する
復旧したあとは、処理された件数と、判定結果が想定どおりかを検証しましょう。一部の対象者の結果を、元の回答と見比べる方法があります。判定の対象外となった人がいないかも、あわせて確認しましょう。
対応の経緯は、日時と内容を記録しておきます。同じエラーが再び起きたときに、対処が早くなります。提供会社からの原因の説明や再発防止の対応も、文書で受け取り、社内の対応手順を更新しておくと安心です。
産業医面談の申込や管理で不具合が起きたとき
面接指導は、高ストレス者が申し出ることで始まる手続きです。申込や日程の管理で不具合が起きると、対応が遅れる場合があります。申込、日程、閲覧権限の順に、導入前に提供会社へ確認したい点を、順を追って整理します。
申込から面談までの流れの確認
高ストレスと評価された労働者が面接指導を希望する場合は、本人が事業者に申し出ます。事業者は、申出があった場合に、医師による面接指導を実施する義務があります。面接指導は、申出から遅滞なく行う必要があります。
ツールで申込を受け付ける場合は、申出の受付状況と、面談の実施状況を一覧で確認できるかを見ておきましょう。申出から概ね1か月以内に実施することが目安とされています。申込の受付が滞らないよう、窓口の周知も大切です。
日程調整と通知の不具合への備え
日程の登録が反映されない、通知が届かないといった不具合が起きた場合に備え、確認の方法を決めておきます。申込の受付時に、本人へ受付の控えが届くかも確認しましょう。あわせて、日程の変更が双方に反映されるかも見ておきます。
通知メールが迷惑メールに振り分けられる場合もあります。複数の連絡手段を用意し、面談の日程は人事担当者と産業医の双方で確認できるようにしておくと安心です。不具合が疑われる場合は、受付の控えと照らし合わせて確かめます。
面談情報の閲覧権限と記録の管理
面談の申込の情報は、健康に関する情報を含むため、閲覧できる人を限定する必要があります。権限の設定に不具合があると、本来見られない人が情報を閲覧する場合があります。情報の取扱いには、慎重な管理が求められます。
権限の設定は定期的に見直し、変更の履歴を残しましょう。面接指導の結果の記録は、法令にもとづき保存が求められます。保存の方法と期間を、ツールの機能や社内規程とあわせて確認し、不明な点は産業医や実施者に相談しましょう。
判定や集団分析の機能を確認したい製品
高ストレス者へのフォローや集団分析など、機能の対応範囲を事前に確認したい場合の参考として紹介します。
ファースト・ストレスチェック
- 厚労省準拠の57項目版と80項目版をWebと紙で受検可能
- 20言語での回答に対応
- 集団分析や高ストレス者への面談など、アフターケアも対応
株式会社マイシェルパが提供する「ファースト・ストレスチェック」は、労働安全衛生法への対応を想定したストレスチェックツールです。評価レポートの作成や集団分析、高ストレス者へのアラート通知とフォローアップ、医師面談といった機能に対応しています。集団分析は回答者10人以上の集団について結果を提供し、5年分のデータをシステム内で保管します。判定や集計の仕様、エラー時の対応は、あらかじめ個別に確認しておきましょう。
WEMEXストレスチェック (ウィーメックス株式会社)
- Web/紙対応、メアド不要で10言語以上受検可能。
- 集団分析レポートやCSV出力等で職場環境の可視化と改善を促進。
- セルフケア動画等で、従業員の“あと一歩”のケアを支援。
ストレスチェッカー (株式会社HRデータラボ)
- 東洋大学との共同研究でストレスレベルを可視化
- 日本産業衛生学会への協賛実績あり
- 「ヒューマンキャピタル2018」に出展
ストレスチェックに関するよくある質問
ストレスチェックの機能のエラーについてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:エラーの影響で受検期間内に終わりそうにない場合は、どうしますか?
- A:実施者や衛生委員会などと相談し、受検期間の調整や、代替の回答方法を検討しましょう。調整する場合は、受検者への案内を速やかに行います。提供会社の復旧の見通しも、確認しておくと判断しやすくなります。
- ■Q2:判定結果の誤りに気づいたとき、通知済みの結果はどうなりますか?
- A:まず実施者に状況を伝え、訂正の必要があるかを確認しましょう。対象者への伝え方は、個人情報の取扱いに配慮して決めます。訂正の手順は、提供会社にも相談してください。
- ■Q3:製品の更新で機能が変わった場合、何を確認すればよいですか?
- A:更新の内容と時期が事前に通知されるかを、提供会社に確認しましょう。更新後は、判定や集計が想定どおりかを、実施前に試してみると安心です。
- ■Q4:エラー対応の記録は、保存しておくべきですか?
- A:対応の経緯を記録しておくと、再発時の対処や提供会社との確認に役立ちます。記録には個人が特定される情報を含めないようにし、保管の方法は社内の規程にそって決めましょう。
まとめ
ストレスチェックの機能エラーは、製品、設定、入力データなど複数の要因で起こる場合があります。判定結果の相違、集団分析の反映の遅れ、自動判定の失敗、面談の管理の不具合を切り分け、通知や履歴、再実行の仕組みを導入前に確認しておくことが大切です。気になるストレスチェックツールは資料請求して、機能と復旧の体制を比較検討しましょう。

