メンタルヘルスとはどのような概念か
進め方を見る前に、何を指す言葉なのかを押さえておきましょう。
メンタルヘルスが指すもの
メンタルヘルスとは、心の健康を意味する言葉です。職場の文脈では、従業員が過度な負担を抱えずに働ける状態を保つこと、また不調が生じた際に適切に対応することを含めて使われます。
特定の状態にある人だけを対象とするものではありません。誰にとっても、業務量や人間関係、生活の状況によって負担が変わり得るという前提に立ちます。そのため、全員を対象とした取り組みと、個別の状況に応じた対応の両方が求められます。
職場で取り上げられる背景
働き方が多様になり、在宅勤務のように同僚と顔を合わせる機会が減った環境では、周囲が変化に気づきにくくなります。担当者が一人で業務を抱える状況も、負担が見えにくい要因になります。
また、企業には従業員が安全に働ける環境を整える責任があります。この責任は健康の面にも及びます。取り組みが求められる背景には、こうした法的な位置づけと、組織を維持するうえでの実務的な必要性の両方があります。
企業が取り組む理由
何のために取り組むのかを、三つに分けて確認します。
従業員の健康を守る
最も基本となるのが、働く人の健康を守るという目的です。過度な負担が続けば、心身の状態に影響が及ぶ可能性があります。業務量や勤務時間、役割の分担を見直すことは、その予防にあたります。
相談できる窓口を設けることも取り組みの一つです。社内の窓口だけでなく、外部の相談先を用意する方法もあります。誰に相談すればよいかが分からない状態を避け、経路を明示しておくことが求められます。相談した内容がどこまで共有されるのかも、あわせて伝えておきましょう。共有の範囲が分からなければ、相談をためらう要因になります。
休職や離職による影響を抑える
不調によって休職や退職に至れば、本人にとっての影響が大きいことに加えて、業務の引き継ぎや人員の補充も必要になります。早い段階で気づき、負担を調整できれば、こうした事態を避けられる可能性があります。
ただし、取り組めば必ず防げるというものではありません。要因は業務だけでなく、生活の状況や個人の事情も関わります。企業が対応できる範囲を踏まえ、専門的な判断が必要な場面では産業医や専門機関につなぐ経路を整えておきましょう。
職場環境の課題を早く把握する
特定の部署で同じような状況が続く場合、個人の問題ではなく職場の環境が関係している可能性があります。業務量の偏り、人員の不足、役割の不明確さといった要因が考えられます。
組織の状態を把握する取り組みは、こうした課題を見つける手がかりになります。ただし、集計の結果から特定の個人が推測されないよう、扱いには配慮が必要です。少人数の部署では、集計の単位をまとめるといった対応が求められます。
取り組みの段階
取り組みは、不調が生じる前と後に分けて考えると整理しやすくなります。
不調が生じる前の取り組み
業務量や勤務時間の状況を把握し、偏りがあれば調整する取り組みが基本になります。管理職が部下の状況を確認する機会を設けることも、この段階に含まれます。
あわせて、従業員自身が自分の状態に気づけるようにする取り組みも行われます。研修や情報提供を通じて、負担を感じた際の相談先を知ってもらう形です。管理職向けに、相談を受けた際の対応を扱う機会を設ける企業もあります。
不調が生じた後の対応と復帰の支援
不調が生じた際は、産業医や専門機関につなぐことが前提になります。企業側で診断や治療の判断を行うことはできません。何をどこへつなぐのかを、あらかじめ手順として定めておきましょう。
休職から復帰する際の支援も重要な段階です。復帰の判断、業務量の調整、段階的な勤務の進め方について、本人と主治医、産業医、職場の関係者が連携して決める必要があります。手順や規程を整えておくことで、その都度の判断に迷わずに済みます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまなサービスで比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でメンタルヘルス・ストレスチェックサービスの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりとサービスを比較検討し進めましょう。
ストレスチェック制度との関係
企業の取り組みに関わる制度について、二つの観点から確認します。
制度の位置づけ
労働安全衛生法にもとづき、一定の要件に当てはまる事業場では、従業員のストレスの状況を把握する検査を定期的に実施することが定められています。目的は、本人が自分の状態に気づくこと、そして職場環境の改善につなげることにあります。
対象となる事業場の条件や実施の頻度、報告の要否は法令で定められています。制度の内容は改正されることがあるため、自社が対象となるか、何を行う必要があるかは、所管の窓口や社会保険労務士に確認しながら進めましょう。
結果の取り扱いに関する配慮
検査の結果は、本人の同意なく事業者へ提供しない扱いが基本とされています。実施を担う立場と、人事上の判断を行う立場を分けることも求められます。
結果を理由に不利益な取り扱いを行うことも認められていません。集団の分析結果を職場改善に使う場合も、個人が特定されない形での扱いが前提です。具体的な運用は、産業保健の専門職や所管の窓口に確認したうえで整えることをおすすめします。
支援するサービスの選び方
取り組みを支えるサービスを検討する際の確認事項を整理します。
対象人数と実施範囲の整理
最初に、対象となる従業員数と、何を実施したいのかを整理します。検査の実施だけなのか、結果の分析や面談の調整、相談窓口の提供まで含めるのかによって、選ぶべきサービスが変わります。
拠点が分かれている場合や、雇用形態が複数にわたる場合は、その範囲も確認しておきましょう。人数に応じた料金体系を採るサービスが多く、対象範囲は費用の試算に直結します。
必要な機能と専門職の関与
検査の配信と回収、結果の通知、集団の分析、面談の記録といった機能のうち、必要なものを整理します。従業員が回答しやすい形式かどうかも、実施率に関わる要素です。
あわせて、産業医や保健師といった専門職がどこまで関与するかを確認しましょう。実施を担う立場を外部に委ねる構成もあります。面談や相談への対応を含むサービスであれば、対応する専門職の体制も確かめておきたい部分です。
費用とサポート範囲の確認
料金は、対象人数に応じた実施ごとの費用、月額制、面談や相談を含むかによるプラン分けなど、サービスによって考え方が異なります。実施の時期が集中するため、その時期の対応体制も確認しておきましょう。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。実施の案内や未回答者への働きかけを支援してもらえるか、結果の読み解きや改善の進め方を相談できるかはサービスごとに差があります。機微な情報を扱うため、データの取り扱い方針も確認が必要です。
職場のメンタルヘルスを支援するサービス
ストレスチェックや相談窓口の設置にあわせて検討できるサービスを紹介します。
ソシキスイッチ ストレスチェック
- 東大発IT企業としての技術力を応用し、低コスト・短期納品を実現
- 当社より安い見積もりがありましたらそこから更にお値引きします
- 社内完結型のため最短2週間で納品!実施完了まで約1ヶ月!
株式会社情報基盤開発が提供する「ソシキスイッチ ストレスチェック」は、法律で義務づけられたストレスチェックの実施を支援するシステムです。集団分析の結果をもとに職場環境の改善につなげる機能を備えており、実施から分析までを一連の流れで進めやすくなります。
Smart相談室
- どんな悩みも歓迎!相談されやすい外部相談窓口(EAP)
- 0次予防から3次予防までSmart相談室だけで完結
- 初めての人でも安心、利用しやすいサービス設計
株式会社Smart相談室が提供する「Smart相談室」は、従業員がオンラインでカウンセラーに相談できるサービスです。社外の専門家に相談できる窓口を設けることで、社内では相談しにくい悩みを抱える従業員の支援につなげられます。
マネーフォワード クラウドサーベイ powered by ミキワメAI
- 定期的なサーベイで社員一人一人の心の健康状態を正しく把握
- 性格に合わせたアラートで、より適切にケアが必要な人を早期発見
- どのようにケアをすればよいか、社員の性格に合わせてアドバイス
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウドサーベイ powered by ミキワメAI」は、従業員の状態を可視化するサーベイサービスです。定期的なアンケートを通じて不調の兆候を早期に把握する機能を備えており、ストレスチェックとあわせた継続的な状態把握に活用できます。
アドバンテッジEAP (株式会社アドバンテッジリスクマネジメント)
- 職場メンタルヘルス特化のEAP
- 医療チームによる専門的支援
- 予防と早期発見を重視する。
ストレスチェッカー (株式会社HRデータラボ)
- 東洋大学との共同研究でストレスレベルを可視化
- 日本産業衛生学会への協賛実績あり
- 「ヒューマンキャピタル2018」に出展
職場のメンタルヘルスに関するよくある質問
取り組みを検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: 何から着手すればよいですか?
- 相談できる経路を明示することと、業務量や勤務時間の状況を把握することが出発点になります。制度上求められる実施事項がある場合は、その確認も必要です。自社が対象となるかは所管の窓口や社会保険労務士に確認しましょう。
- Q2: 従業員数が少ない場合も取り組む必要がありますか?
- 制度上の実施義務の有無は事業場の規模によって定められていますが、従業員の健康を守る責任は規模にかかわらず生じます。相談先の明示や業務量の把握など、費用のかからない取り組みから始めることもできます。
- Q3: 検査の結果を人事の判断に使ってよいですか?
- 結果を理由に不利益な取り扱いを行うことは認められていません。本人の同意なく事業者へ提供しない扱いも定められています。運用の詳細は、産業保健の専門職や所管の窓口に確認したうえで整えましょう。
- Q4: 不調が疑われる従業員にはどう対応すべきですか?
- 企業側で診断や治療の判断を行うことはできません。産業医や専門機関につなぐ経路をあらかじめ定めておき、本人の状況を聞いたうえで案内する形が基本になります。対応の手順を文書として整えておきましょう。
まとめ
職場におけるメンタルヘルスは、不調が生じた人への対応だけでなく、全員が健康を保ちながら働ける状態をつくる取り組み全体を指します。従業員を守る責任、休職や離職による影響の抑制、職場環境の課題把握という三つの側面があります。不調が生じる前と後で取り組みを分けて整理し、専門職につなぐ経路を定めておきましょう。制度に関わる判断は所管の窓口や専門家に確認しながら進めることをおすすめします。


