ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■活用の場面別
- 既存システムの刷新に使いたい:楽々Framework3、ArielAirOne、Visual LANSA
- 新しい業務アプリを短期間で作りたい:キントーン、Platio
- 内製化を進める開発基盤にしたい:楽々Framework3、BlueMeme
- ■将来の移行への備え別
- データを汎用的な形式で書き出せる:SmartDB、楽々Webデータベース
- 設計情報を文書として出力できる:SmartDB
ローコード開発ツールの源流は1980年代にある
ローコード開発ツールの考え方は、2010年代に突然生まれたものではありません。プログラムを書く量を減らして開発を速くする試みは、1980年代から続いてきました。現在のローコード開発ツールにつながる2つの源流を振り返ります。
第4世代言語(4GL)の登場
1980年代には、第4世代言語(4GL)と呼ばれる開発言語が注目を集めました。4GLは、処理の手順を細かく書く従来の言語と異なり、「何をしたいか」を短い記述で指定できるように工夫された言語です。データの検索や帳票の作成などを少ない記述で実現できました。
4GLの普及を早くから提唱した一人が、ITコンサルタントのジェームズ・マーティン氏です。同氏は4GLを主題にした書籍も著しています。業務を知る人がより直接的に開発に関われるようにするという考え方は、現在のローコードにも通じています。
CASEツールによるコードの自動生成
1980年代から1990年代にかけては、CASEツールと呼ばれる開発支援ツールも広まりました。CASEツールは、設計の情報を図や表で入力すると、そこからプログラムの一部を自動で生成する仕組みを持つものがありました。
ただし、生成されたコードを手作業で直すと設計情報との対応が崩れる、ツールを提供する会社に依存する、といった課題もあったとされます。設計からコードを作るという発想と、その課題は、現在のローコード開発ツールを選ぶ際の参考材料です。
RADを経て「ローコード」という呼び名が登場
1990年代には開発の進め方そのものを速くする手法が体系化され、2010年代にはクラウドを前提とした開発基盤に「ローコード」という名前が付けられました。現在の呼び名が定着するまでの流れを見ていきます。
1990年代のRAD(高速アプリケーション開発)
RAD(Rapid Application Development)は、試作品を作って利用者に確かめてもらい、改善を繰り返しながら短期間でシステムを完成させる開発手法です。1991年には、ジェームズ・マーティン氏がこの手法を体系的にまとめた書籍を出版しています。
画面を見せながら利用者と一緒に作り込むという進め方は、現在のローコード開発の現場でも取り入れられています。道具だけでなく、開発の進め方も含めて速さを追求した点が、RADの特徴です。一方で、短期間で作る分、全体の設計や品質の確認が手薄にならないよう注意が必要な点は、今のローコード開発にも共通しています。
2014年に定義された「ローコード」
「ローコード」という呼び名が広まるきっかけの一つが、米調査会社のForrester Researchが2014年6月に発表したレポートです。この中で、手作業でのコーディングを最小限に抑え、素早く導入してアプリケーションを提供できる基盤を、ローコード開発プラットフォームとして整理しました。
この頃には、開発環境と実行環境をクラウドで提供する製品が登場しており、サーバーの準備なしに開発を始められるようになっていました。4GLやRADの考え方が、クラウドの普及によって新しい形で受け継がれたといえます。
国内でローコード開発が注目された背景
国内でローコード開発ツールへの関心が高まった背景には、老朽化したシステムへの危機感と、システム開発を自社で担おうとする動きがあります。2010年代後半から現在までの主な流れを、公的機関や調査会社の発表をもとに整理します。
DXレポートと「2025年の崖」
経済産業省は2018年9月に「DXレポート」を公表しました。複雑化やブラックボックス化した既存システムを刷新できない場合、2025年以降に最大で年12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘しました。この問題は「2025年の崖」と呼ばれています。
既存システムの刷新を短期間で進める手段の一つとして、ローコード開発ツールが注目されました。ITRが2022年2月に発表した市場予測でも、「2025年の崖」への危機感を背景に企業のDX推進が急務となっていることが、注目の理由に挙げられています。
開発の内製化と市民開発の広がり
システム開発を外部に任せきりにせず、自社で企画から開発まで担う内製化の動きも、ローコード開発ツールの普及を後押ししています。少ないコードで作れるため、限られた人員でも開発を進めやすいことが理由です。
ITRが2026年2月に発表した市場調査では、多くの国内ユーザー企業が内製化に取り組み、非IT部門による市民開発も積極的に進められているとの見方が示されました。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でノーコード・ローコード開発ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品の比較検討を進めましょう。
ノーコード・ローコード開発市場の推移
国内の市場規模は、調査会社のITRがローコードとノーコードをあわせた市場として毎年発表しています。発表された数字をたどると、市場が拡大を続けてきたことがわかります。ただし、版ごとに調査の条件が異なる点に注意が必要です。
2020年度から2024年度までの市場規模
ITRが2022年2月に発表した調査では、2020年度の市場規模は515億8,000万円で、前年度比24.3%増とされました。2025年2月の発表では2023年度が812億2,000万円で前年度比14.5%増、2026年2月の発表では2024年度が994億円で前年度比15.1%増とされています。
2026年2月の発表では、2025年度も14.9%増が予測され、2024~2029年度の年平均成長率は12.9%と見込まれています。発表のたびに2ケタの成長が続いており、市場は1,000億円に迫る規模まで拡大しています。
数字を読む際の注意点
ITRの調査は、版ごとに対象となるベンダーや集計の範囲が異なる場合があります。例えば、2026年2月の発表は国内22ベンダーへの調査にもとづいています。そのため、異なる版の数字を単純に引き算して成長額を求めると、実際の伸びとずれる可能性があります。
市場の動きを見る際は、同じ発表の中で示された前年度比や予測を参考にしましょう。また、市場規模はベンダーの売上金額で集計されており、利用企業の数や導入率を示すものではない点も押さえておきたいところです。
歴史から読むローコード開発ツール選びの教訓
4GLやCASEツールから現在までの歴史を振り返ると、ツールの便利さとあわせて、依存や移行の課題が繰り返し現れてきたことがわかります。これからローコード開発ツールを選ぶ際に生かしたい2つの教訓を整理します。
提供会社への依存度を見極める
CASEツールの時代には、ツールを提供する会社への依存が課題の一つとされました。現在のローコード開発ツールでも、作ったアプリが製品の専用基盤の上でしか動かない場合、製品を変える際には作り直しが必要です。
導入前に、データを汎用的な形式で書き出せるか、画面や処理の設計情報を文書として出力できるか、ソースコードを出力できるかを確かめましょう。業務ルールを製品の設定の中だけに残さず、別に文書としてまとめておくことも、将来の移行に備える方法です。過去のツールと同じ課題を繰り返さないためにも、契約前に提供会社へ確認しておくと安心です。
AI時代の位置づけを見極める
近年は生成AIを使って、コードや画面の案を作る開発ツールも登場しています。ITRの2026年2月の発表では、AI系の開発ツールやサービスが次々と登場していることに触れています。そのうえで、これらとの差別化や融合を図らなければ、既存のローコード/ノーコード・ベンダーにとって厳しい競争環境となる可能性が高いとの見方を示しました。
過去の開発支援ツールの中にも、技術の変化に伴って使われなくなったものがあります。製品の機能だけでなく、提供会社が今後どのように製品を発展させる方針かも、選定時に確認しておくとよいでしょう。
歴史を踏まえて選ぶ製品の一覧
4GLやRADの流れをくむローコード開発ツールを中心に、関連するノーコード製品も含めて特徴を一覧にまとめました。開発方式や用途の違いを比較してみましょう。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| 楽々Framework3 | 基幹システム開発とレガシー刷新を支える、発売から25年以上続く開発基盤 |
| ArielAirOne | Notesからの移行に使われ、設計とデータの両方を移せる業務開発基盤 |
| キントーン | サンプルアプリを土台に、新しい業務アプリを短期間で作るクラウドサービス |
| Platio | 現場のモバイルアプリを、初期費用0円から作り始められるクラウド型 |
| SmartDB | 文書・ワークフローを扱い、設計情報の出力やCSV入出力に対応 |
| 楽々Webデータベース | Excelでデータを出し入れでき、クラウドとオンプレミスから環境を選べる |
| Visual LANSA | 30年の歴史を持つローコード開発基盤で、モダナイゼーションにも対応 |
| BlueMeme | ローコード開発プラットフォームでDX推進やシステム内製化を支援 |
歴史の教訓を活かせるローコード製品
長期運用や短期間での開発、将来の移行への備えといった観点から、ローコード開発ツールと関連するノーコード製品を紹介します。
楽々Framework3
- EOL(サポート終了)を気にせず長く使える開発基盤
- 部品活用で高品質・標準化されたシステム開発
- 開発から運用保守まで支え、継続改善と内製化を実現
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Framework3」は、発売から25年以上、保守を終了せずに提供が続く国産のローコード開発基盤です。部品を組み立てて基幹システムを開発する方式で、定期的なバージョンアップは無償で提供されます。AS/400やNotes、Access、VB6といったレガシーシステムの刷新にも使われ、古い仕組みを次の世代へ引き継ぐ場面で検討しやすい製品です。
ArielAirOne
- 大手企業のペーパーレスをノーコード/ローコードで実現
- Notes移行ツールで管理者と現場の移行負荷を大幅に削減
- スクリプトを設定することで、複雑なアプリケーション作成も可能
株式会社ワークスアプリケーションズが提供する「ArielAirOne」は、Notes資産の移行を得意とするローコードの業務開発プラットフォームです。Notesのレイアウトやビューといった設計と、データの両方を移行ツールで移せます。かつて作った業務アプリの資産を活かして刷新したい場合の選択肢です。移行後は、ポータルやワークフローを備えた基盤の上で、新しい業務アプリを開発し続けられます。オンプレミスとクラウドの双方に対応しているため、移行先の環境も自社の方針にあわせて選べます。
キントーン
- AIとノーコードで業務アプリをシュシュッとつくれる
- 部署・業種別ですぐに使えるサンプルアプリ
- プラグイン・連携サービスを組み合わせて業務がより効率的に
サイボウズ株式会社が提供する「キントーン」は、クラウド型のノーコード・ローコード開発サービスです。100以上のサンプルアプリを土台に、日報や案件管理、備品在庫管理などを短期間で立ち上げられます。AIにアプリの用途を伝えるとフィールド構成を提案してもらえる機能もあり、新しい業務アプリを素早く形にしたい場合の入り口です。
Platio
- ノーコードで誰でも簡単に業務アプリ作成
- 初期費用ゼロ!月々2万円台からの始めやすい価格感
- 現場に合った業務アプリをスピード導入
アステリア株式会社が提供する「Platio」は、スマートフォン時代の現場業務に向けた、ノーコードのモバイルアプリ作成サービスです。100種類以上のテンプレートから選べ、初期費用は0円、月額2万円台から使い始められます。紙で行ってきた報告業務を短期間でアプリに移したい場合に、小さく試しやすい製品です。
SmartDB
- ノーコードで業務部門でも開発できます
- 豊富な標準機能で幅広い業務をデジタル化できます
- 大企業ならではの複雑なワークフロー/権限制御に対応できます
株式会社ドリーム・アーツが提供する「SmartDB」は、ワークフローと文書管理を軸にした大企業向けのクラウド型ノーコード開発プラットフォームです。設計情報の出力やCSVの入出力に対応しているため、作った仕組みの中身を文書として残したり、データを汎用的な形式で取り出したりできます。将来の移行に備えて情報を手元に残しておきたい場合に検討できます。
楽々Webデータベース
- 活エクセル|Excelを活用したままExcel業務の課題解決
- かんたん構築|ノーコードでだれもがIT人材に
- つなげて活用|貯めたデータも人もつなげて新たな価値を
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Webデータベース」は、Excelの運用をそのまま活かしてWebアプリ化する、ノーコードの業務アプリ作成ツールです。アプリからExcelファイルでデータを出し入れでき、帳票もExcelやPDFで出力できます。クラウド版とオンプレミス版があり、データを汎用的な形式で取り出せる点を重視する場合の選択肢です。
Visual LANSA (株式会社ランサ・ジャパン)
- 30年の歴史、導入実績8000社以上。
- ローコード開発、連携、モダナイゼーションを統合。
- 単一言語とIDEで全てを生成
BlueMeme (株式会社BlueMeme)
- OutSystems Partner Advisory SummitでDelivery Partner 受賞
- 自社開発「BlueMemeデジタルエージェントサービス」提供開始
- 量子AIゲノム解析技術を国際学会で発表
まとめ
ローコード開発ツールの歴史は、1980年代の4GLやCASEツール、1990年代のRADを経て、2014年に「ローコード」として定義されました。国内ではDXレポートや内製化の動きを背景に広まっています。ITRの調査では、ノーコード・ローコード開発市場は2024年度に994億円まで拡大しています。歴史が示す依存や移行の課題も踏まえ、資料請求で複数の製品の開発方式や将来の方針を比べてください。

