WAAPとは?WAFとの違いを整理
WAAPとは、WAF・DDoS対策・ボット管理・API保護などを統合し、WebアプリケーションとAPIを包括的に守る仕組みです。WAFが主にWebアプリケーションへの攻撃を防ぐのに対し、WAAPはAPIや悪質なボット、DDoS攻撃まで広く対応します。つまり、WAFはWAAPを構成する機能の一つです。
WAAPの意味と読み方
WAAPは「Web Application and API Protection」の略で、一般に「ワープ」と読みます。日本語では「WebアプリケーションおよびAPI保護」と表され、WebサイトやWebサービスだけでなく、外部システムとデータをやり取りするAPIも保護対象に含みます。
WAAPは特定の製品名ではなく、複数のセキュリティ機能を組み合わせた概念です。一般的には、WAF、DDoS対策、ボット管理、API保護などを一つのサービスに統合し、多様なサイバー攻撃を横断的に検知・遮断します。
WAAPとWAFの違い
WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションの脆弱性を狙う攻撃を検知・遮断する仕組みです。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなど、WebサイトやWebサービスへの攻撃対策を主な目的とします。
一方、WAAPはWAFの機能に加え、APIへの不正アクセス、DDoS攻撃、自動化された悪質なボットなどにも対応します。WAFよりも保護対象と機能の範囲が広く、WebアプリケーションとAPIをまとめて守れる点が大きな違いです。
WAAPが登場した背景
WAAPが登場した背景には、APIを利用したシステム連携の拡大があります。近年のWebサービスは、スマートフォンアプリやクラウドサービス、外部システムとAPIを通じて連携するケースが増えており、攻撃対象もWeb画面からAPIへ広がっています。
また、DDoS攻撃や悪質なボットによる不正ログイン、情報収集など、攻撃手法も多様化しています。従来のWAFだけではすべての脅威に対応しにくくなったことから、複数の防御機能を統合したWAAPが求められるようになりました。
WAAPを構成する主な保護機能
WAAPは、主にWAF・DDoS対策・ボットマネジメント・API保護の4つの機能で構成されます。それぞれ異なる脅威に対応し、組み合わせることでWebアプリケーションとAPIを包括的に守ります。
Webアプリケーションへの攻撃を防ぐWAF
WAFは、Webアプリケーションに送られる通信内容を解析し、脆弱性を狙った不正なリクエストを検知・遮断する機能です。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどへの対策に用いられます。
正規の通信を通しながら攻撃だけを見分けることで、WebサイトやWebサービスの安全性を高めます。WAAPでは、このWAFが基本的な防御機能として位置づけられています。
サービス停止を防ぐDDoS対策
DDoS対策は、大量の通信を送りつけてWebサイトやサーバーを停止させる攻撃を防ぐ機能です。不審な通信を検知・遮断し、正規の利用者がサービスを継続して利用できる状態を保ちます。
ネットワーク層への攻撃だけでなく、Webアプリケーションに負荷をかける攻撃にも対応します。WAFと組み合わせることで、攻撃内容と通信量の両面から防御できます。
悪質な自動アクセスを制御するボットマネジメント
ボットマネジメントは、検索エンジンなどの有用なボットと、不正ログインや情報収集を狙う悪質なボットを判別し、危険な自動アクセスを制御する機能です。
ボットの行動や通信パターンを分析し、総当たり攻撃、アカウントの乗っ取り、不正購入などを防ぎます。WAFだけでは見分けにくい、正規の操作に見せかけた自動攻撃への対策として重要です。
不正な呼び出しを防ぐAPI保護
API保護は、APIへのリクエストを監視し、不正な呼び出しや過剰なアクセス、想定外のデータ取得を検知・遮断する機能です。APIの公開範囲や利用状況を把握し、認証やアクセス制御の不備によるリスクを抑えます。
外部サービスやスマートフォンアプリとの連携が増えるなか、APIは攻撃対象になりやすくなっています。WebアプリケーションだけでなくAPIも一体的に守れることが、WAAPの大きな特徴です。
なぜ今WAAPが求められるのか
WAFがあるにもかかわらず、WAAPへの注目が高まっているのには理由があります。ここでは、攻撃の変化と運用面の課題という視点から、WAAPが求められる背景を掘り下げます。自社の状況と照らし合わせてください。
APIを狙う攻撃の増加
スマートフォンアプリやクラウドサービスの普及により、APIを介したデータのやり取りが急速に増えました。その結果、攻撃者はAPIを直接狙い、認証の不備や設計上の弱点を突く手口を用いるようになっています。API起点の被害は見えにくく、発覚が遅れやすい傾向もあります。
従来のWAFはWebアプリケーションを主眼に設計されているため、API特有の攻撃を捉えきれない場合があります。WebとAPIの両方を守れるWAAPは、こうした新しい攻撃に対応し、防御の空白を埋める役割が期待されています。
クラウド化とDXによる攻撃対象の拡大
業務のクラウド移行やDXの進展にともない、社外に公開するWebサービスやシステム連携の数は増え続けています。公開する接点が多くなるほど、攻撃を受ける入り口も広がり、守るべき範囲は複雑になります。
個々のサービスに別々の対策を施すと、設定の抜け漏れや管理の煩雑さが生まれやすくなります。WAAPは複数の防御を一つの仕組みにまとめられるため、広がった攻撃対象を横断的に管理できます。守る対象の変化に合わせ、防御を集約する発想が求められます。
個別対策の限界と運用負荷
WAF、DDoS対策、ボット対策、API保護をそれぞれ別の製品でそろえると、導入や運用の手間が重くなります。製品ごとに管理画面やログの形式が異なり、担当者の負担が増えるうえ、対応の抜けも起こりがちです。
WAAPはこれらの機能を統合して提供するため、運用の窓口を一本化しやすい利点があります。専任のセキュリティ担当者を置きにくい組織ほど、機能がまとまった構成の恩恵は大きいでしょう。限られた人員でも継続的に守る体制をつくるうえで、統合型の仕組みは有力です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でWAFの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
WAAP導入で失敗しないための選び方
WAAPを選ぶ際は、必要な保護機能を備えているか、無理なく運用できるか、総費用が予算に合うかの3点を確認しましょう。WAAPと呼ばれる製品でも、対応範囲やサポート内容、料金体系は異なります。自社のシステム構成と運用体制を整理したうえで比較することが重要です。
必要な保護機能を備えているか
まず、WAF・DDoS対策・ボットマネジメント・API保護のうち、自社に必要な機能が含まれているかを確認しましょう。WAAPという名称でも、すべての機能を同じ水準で備えているとは限りません。
特にAPIを多用するサービスでは、APIの検出や可視化、不正アクセスの遮断、利用制限などにどこまで対応できるかが重要です。ログイン機能やECサイトを運営している場合は、不正ログインや買い占めを防ぐボット対策も確認しましょう。
自社の運用体制に合っているか
次に、導入後の設定や監視を誰が担当するのかを明確にします。WAAPは、検知ルールの調整や誤検知への対応、攻撃状況の確認など、継続的な運用が必要です。
社内に専門知識をもつ担当者がいる場合は、設定の自由度や管理画面の使いやすさを確認しましょう。専任担当者を置けない場合は、24時間365日の監視、設定変更の代行、攻撃発生時の対応、日本語サポートなどが提供されている製品が適しています。
料金体系と導入条件を比較する
WAAPの料金は、通信量、保護するドメインやアプリケーションの数、利用する機能、サポート内容などによって変わります。月額料金だけでなく、初期設定費用や追加機能、通信量の超過料金も含めて確認しましょう。
また、導入方法も製品によって異なります。DNSの切り替えだけで利用できる場合もあれば、既存システムの設定変更や証明書の準備が必要な場合もあります。複数製品から見積もりを取り、導入作業や運用支援を含めた総費用で比較することが大切です。
本格的にWAAPを導入するなら
ここまで解説した機能や選び方を踏まえ、業務での導入を検討する際に候補となる製品を紹介します。WAFを中心にDDoS対策やボット管理、API保護までを備えたサービスは、WAAPの考え方に沿った防御を実現しやすい選択肢です。
攻撃遮断くん(株式会社サイバーセキュリティクラウド)
- あらゆる規模のWebシステムへ導入できる最適なWAFを提供。
- DDoS対策プランや定額制プランなど多数のサービスプランを提供。
- 自社開発だからできる手厚いサポート体制。
株式会社サイバーセキュリティクラウドが提供する「攻撃遮断くん」は、WebサイトやWebサーバーをサイバー攻撃から守る国産のクラウド型WAFです。SQLインジェクションなど、Webアプリケーションの脆弱性を狙う攻撃をリアルタイムに検知・遮断します。小規模なWebサイトから大量のトラフィックが発生するサービスまで幅広く対応し、DDoS対策が可能なプランも提供されています。管理画面では、攻撃時間や攻撃元IP、攻撃の種類をリアルタイムに確認でき、期間ごとの傾向もグラフで把握可能です。24時間365日の技術サポートに加え、セキュリティエンジニアのコメント付きレポートも提供されるため、WAFの保守・運用負担を抑えたい企業に適しています。
Cloudbric WAF+
- 特許取得のロジック&AIエンジンを搭載、高い攻撃検知力
- WAF/DDoS攻撃遮断/API保護/ボット対策/Malicious IP遮断
- 24時間365日監視体制と専門家にお任せのマネージドサービス付帯
ペンタセキュリティ株式会社が提供する「Cloudbric WAF+」は、独自開発の論理演算検知エンジンとAIエンジンを搭載したクラウド型WAFサービスです。Web攻撃を遮断するWAF機能に加え、L3・L4およびL7に対応したDDoS攻撃対策、悪性ボットの制御、API保護、脅威IPの遮断までを一つのサービスで提供します。複数の防御機能を統合したWAAPとして利用でき、Let’s EncryptのSSL証明書の自動発行・更新にも対応しています。24時間365日の監視やセキュリティポリシーの作成支援など、専門家によるマネージドサービスが付帯しているため、社内にセキュリティの専任担当者がいない企業でも運用しやすい点が特徴です。
ImpervaWAF (株式会社Imperva Japan)
- Gartner® Magic Quadrant™で8年連続リーダー
- 誤検知ほぼゼロで、正確な脅威を検知。
- SaaS、アプライアンスなど柔軟な導入が可能
Cloudflareアプリケーションサービス (クラウドフレア・ジャパン株式会社)
- Webアプリ、API、エッジの推論を保護・高速化
- Webアプリ、API、エッジでの推論を保護し、高速化
- サーバレス開発とエッジ推論でフルスタックアプリをデプロイ
WAAPに関するよくある質問
最後に、WAAPの導入を検討する際に寄せられやすい疑問をまとめました。WAFとの使い分けや自社に必要かどうかの判断など、迷いやすい点を中心に解説します。
WAFだけでは不十分なのか
WAFはWebアプリケーションを守る有効な仕組みですが、対応範囲はWebの通信が中心です。APIへの攻撃や大規模なDDoS、悪質なボットへの備えが弱いと、守りに空白が生まれる可能性があります。抱えるリスク次第では、WAF単体で十分な場合もあります。
APIを多く公開している、あるいはボットによる不正アクセスに悩んでいるといった課題があるなら、複数の防御を束ねるWAAPが適しています。自社が直面する脅威を洗い出し、WAFで足りるのか統合的な防御が要るのかを見極めることが出発点です。
中小企業でもWAAPは必要か
企業の規模が小さくても、Webサービスを公開している以上は攻撃の対象になり得ます。むしろ専任のセキュリティ担当を置きにくい中小企業ほど、機能が統合され運用の手間が少ないWAAPの利点を感じやすい面があります。
ただし、必要な保護範囲や予算は事業内容によって異なります。過剰な機能に費用をかけず、自社のサービスに合った規模のプランを選ぶことが大切です。小規模でも始めやすいクラウド型が多くあるため、まずは資料請求で選択肢を把握しましょう。
導入までの期間や費用感を知りたい
クラウド型のWAAPであれば、契約後にDNSの設定変更などを行うことで、比較的短い期間で運用を始められる場合が多くあります。自社のサーバーへ機器を導入する形態に比べ、準備の負担を抑えやすいのが利点です。
費用は保護する対象の数や通信量、必要な機能によって幅があり、一概には示せません。正確な費用感をつかむには、複数の製品から見積もりを取り、機能とサポートを含めて比較するのが近道です。初期費用と月々の運用費を分けて確認すると計画を立てやすくなります。
まとめ
WAAPとは、WAFを土台にDDoS対策・ボット管理・API保護を組み合わせ、WebアプリケーションとAPIを一体で守る仕組みです。APIを狙う攻撃の増加やクラウド化による攻撃対象の拡大により、WAF単体では防ぎきれない場面が増えたことが背景にあります。製品を選ぶ際は、保護範囲が自社の課題に合うか、運用体制やサポートが十分か、導入形態と費用が見合うかを軸に検討しましょう。まずは複数の資料を取り寄せ、自社に合った防御を見極めることが第一歩です。


