多言語サイトの運用でつまずきやすい課題
多言語サイトは、公開した後の更新や品質管理に手間がかかります。ツールを検討する前に、自社がどの課題を抱えているかを整理しておくと、必要な機能を絞り込みやすくなります。ここでは、運用で生じやすい3つの課題を取り上げます。
翻訳の抜け漏れと専門用語の誤訳
日本語ページを更新したのに翻訳ページが古いまま、という抜け漏れは、更新の連絡が翻訳担当者に共有されない場合などに起こります。ページの一部だけが日本語のまま残るケースもあります。
専門用語の誤訳は、翻訳者や翻訳エンジンが自社の用語を知らない場合に生じる可能性があります。例えば社内で使う略語や製品名が、別の意味の単語として訳される例です。複数の翻訳者が関わると、同じ用語の訳し方がばらつくこともあります。
原因は1つとは限らないため、更新の流れと用語の管理を分けて点検しましょう。
手作業で作った多言語ページの管理負担
言語ごとにページを手作業で複製し、翻訳文を貼り付けて公開する方法は、ページ数が少ないうちは運用できます。しかし、ページ数や言語が増えるにつれて、更新のたびに同じ作業を言語の数だけ繰り返す必要があります。
日本語ページと翻訳ページの対応関係が管理されていないと、どのページが最新か分からなくなるおそれがあります。デザインを変更する際も、言語ごとに修正が必要です。管理に限界を感じたら、更新作業にかかっている時間を一度計測してみましょう。
担当者への属人化
多言語サイトの運用が特定の担当者に頼っていると、その人の異動や休暇で更新が止まる可能性があります。翻訳の依頼先や訳語の決め方が担当者の頭の中にしかない状態は、属人化の典型例です。
属人化を解消するには、作業手順と判断基準を文書にし、複数人で状況を把握できるようにすることが重要です。ツールの導入はその手段の1つですが、ルールを決めないまま導入すると、操作できる人が限られるだけで終わるおそれもあります。体制づくりとあわせて検討しましょう。
Webサイト翻訳ツールで課題を解決する方法
Webサイト翻訳ツールは、翻訳の作成から公開、更新までを1つの仕組みで管理できるサービスです。前の章で挙げた課題に対して、どの機能が役立つかを3つの方法に分けて解説します。導入前に自社の課題と機能を対応づけておくと、比較の軸がぶれにくくなります。
用語集と翻訳メモリで訳語をそろえる
専門用語の誤訳や訳ゆれには、用語集と翻訳メモリが役立ちます。用語集は、特定の単語をどう訳すかを登録しておく機能です。翻訳メモリは、過去に確定した訳文を蓄積し、同じ文章が出てきたときに再利用する仕組みです。
これらを使うと、担当者や翻訳エンジンが変わっても同じ訳語を保ちやすくなります。選定時は、用語集の登録件数の上限やCSVでの一括登録に対応しているかを確認しましょう。登録した用語が翻訳結果に反映されるかを試用期間中に確かめておくと安心です。
更新検知と自動翻訳で反映工数を減らす
翻訳の抜け漏れや更新作業の負担には、日本語ページの更新を検知して翻訳する機能が有効です。新しいページや変更された文章を自動で翻訳対象にできれば、言語ごとに手作業で複製する手間を減らせます。
ただし、機械翻訳の結果をそのまま公開してよいかはページの内容によって異なります。重要なページは公開前に確認する設定にするなど、自動化する範囲を決めておきましょう。更新が翻訳ページに反映されるまでの時間も、製品ごとに確認しておきたい項目です。
管理画面で作業状況を見える化する
属人化の解消には、翻訳の状況を管理画面で共有できる仕組みが役立ちます。未翻訳や確認待ちのページを一覧で表示できれば、担当者以外でも作業の進み具合を把握できます。
あわせて、担当者ごとにアカウントを発行できるか、誰がいつ訳文を変更したかを記録できるかを確認しましょう。作業の履歴が残れば、引き継ぎの際にも経緯を説明しやすくなります。アカウント数によって料金が変わる製品もあるため、利用人数を想定して見積もりを取ると安心です。
翻訳品質が不安な場合のWebサイト翻訳ツールの選び方
機械翻訳の品質に不安がある場合は、機械翻訳だけに頼らず、人の確認を組み込める製品を選ぶことが大切です。品質を保つための選び方を2つの観点から紹介します。どの程度の品質を求めるかはページの用途によって異なるため、あわせて整理しておきましょう。
機械翻訳と人手翻訳の組み合わせ
翻訳品質を高める方法として、機械翻訳の結果を人が修正するポストエディットがあります。管理画面で訳文を直接修正できる製品であれば、社内の担当者が修正を行えます。
社内で修正する人がいない場合は、ツールの提供会社や提携する翻訳会社にプロの翻訳を依頼できるかを確認しましょう。依頼できる言語や費用、納期は製品によって異なります。重要なページだけ人手翻訳にし、その他は機械翻訳にするなど、ページごとに使い分けられるかも比較のポイントです。
公開前レビューの仕組み
翻訳品質を保つには、訳文を公開前に確認する工程を設けることが重要です。翻訳した内容を下書き状態で保存し、確認者が承認してから公開できる機能があるかを確かめましょう。
確認者は、対象言語を読める社員や現地の拠点、取引先の担当者などが考えられます。社外の人に確認を依頼する場合は、閲覧だけできるアカウントを発行できるかも確認しておくと便利です。確認の基準を簡単なチェックリストにしておくと、確認者によるばらつきを抑えられます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でWebサイト翻訳ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
紙の多言語パンフレットをWebへ移行する方法
紙の多言語パンフレットは、内容を更新するたびに印刷し直す手間と費用がかかります。Webサイトへ移行し、Webサイト翻訳ツールで多言語化することで、更新の負担を抑えられる可能性があります。移行の進め方と注意点を解説します。
パンフレット内容のWebページ化
まずはパンフレットの内容を、日本語のWebページとして作り直すことから始めます。日本語ページを1つ用意すれば、Webサイト翻訳ツールで複数の言語に展開できるため、言語ごとに原稿を作る手間を減らせます。
パンフレットの紙面をそのまま画像で掲載すると、文字が翻訳されないため注意が必要です。見出しや本文はテキストで作成し、写真や図には説明文を添えましょう。紙が必要な場面に備えて、Webページを印刷用に整える方法や、QRコードで案内する方法もあわせて検討できます。
PDF掲載からの移行時の注意
これまでパンフレットのPDFをWebサイトに掲載していた場合、PDFの中身は翻訳ツールの対象外となる製品があります。PDFを翻訳できるかどうかを事前に確認しましょう。
PDFを残したままWebページを新設すると、古い情報が載ったPDFが検索結果に表示され続ける可能性があります。移行後は、不要になったPDFを削除するか、新しいページへの案内を掲載しましょう。移行の際は、どの情報をWebページに載せ、どの資料をPDFで残すかを一覧にしておくと作業が進めやすくなります。
多言語化運用は内製と外部委託のどちらを選ぶか
多言語サイトの運用は、社内で行う内製と、制作会社や翻訳会社に任せる外部委託に分かれます。どちらが向いているかは、更新頻度や社内の人員、求める品質によって変わります。判断の目安を3つに分けて紹介します。
内製が向いているケース
更新頻度が高く、すぐに翻訳ページへ反映したい場合は、内製が向いています。外部委託では依頼から公開まで時間がかかる場合がありますが、内製なら社内の判断で即日対応も可能です。
内製で運用する場合は、Webサイト翻訳ツールで自動翻訳と用語集を活用し、社内で確認できる範囲に作業量を抑えることが大切です。対象言語を読める社員がいる、または重要なページが限られている会社であれば、内製でも品質を保ちやすくなります。作業手順を文書化し、複数人で対応できる体制を作りましょう。
外部委託が向いているケース
専門性の高い文章を多く翻訳する場合や、対象言語を読める社員がいない場合は、外部委託が向いています。法務や医療、技術分野などの文章は、専門の翻訳者に任せると誤訳のリスクを抑えやすくなります。
ただし、外部委託では依頼のたびに費用と時間がかかります。依頼から公開までの期間や、修正が必要な場合の対応範囲を契約前に確認しましょう。委託先に任せきりにせず、用語集や翻訳の方針は自社で管理しておくと、委託先を変更する際にも品質を保ちやすくなります。
内製と外部委託を組み合わせる選択肢
内製と外部委託は、どちらか一方に決める必要はありません。例えばニュースやお知らせは機械翻訳を社内で確認し、会社案内や製品の主要ページはプロの翻訳者に依頼するといった組み合わせが考えられます。
このような運用では、外部の翻訳者が管理画面に直接アクセスして作業できるツールを選ぶと、ファイルの受け渡しの手間を減らせます。組み合わせ方は、ページの重要度、更新頻度、予算の3点をもとに決めると整理しやすくなります。
誤訳や更新負担の課題から検討したい翻訳ツール
翻訳品質の確認や更新作業の負担といった課題に照らして比較したい製品を紹介します。製品ごとに対応する範囲が異なるため、自社の課題と見比べながら資料を確認しましょう。
Autolingual
- 最短3分!だれでもカンタンに、どんなサイトでも多言語化
- 独自の最新AIを使用し、ネイティブレベルの自然な翻訳
- シンプルなUIで他言語がわからない担当者でも安心して使用可能
株式会社Enjuが提供する「Autolingual」は、Webサイトを多言語化するSaaSです。翻訳のたびに外部へ依頼している場合や、作業が特定の担当者に偏っている場合に、社内で多言語化を進める手段として検討できます。翻訳先の言語に詳しくない担当者でも使えるよう、シンプルな画面で構成されています。独自AIによる翻訳と画像差し替えの機能も備えています。提供形態はクラウド・SaaSで、対応する企業規模は限定されていません。
WOVN.io (Wovn Technologies株式会社)
- Webサイトの種類を問わずワンストップで多言語化を実現
- エンジニアを介さずに運用できるローコードシステム
- 1万8000サイト以上の導入実績
Myサイト翻訳 (株式会社高電社)
- 20年以上の信頼と実績を積んだWebサイト翻訳!
- AI翻訳と文法翻訳の2種類を提供できます!
- 最大121言語に対応した翻訳機能!
DeepL (DeepLGmbH)
- テキストやPDFを高精度に翻訳。
- 用語集・文体設定で自社や用途に合わせて翻訳可能。
- ブラウザ拡張・アプリ連携でどこでも利用可能。
TradosStudio (SDLジャパン株式会社)
- 用語の一貫性を保ち、再翻訳作業を削減。
- ハイブリッド翻訳ワークフローで大量案件に対応。
- 多様なファイル対応でワークフロー導入障壁を低減。
まとめ
多言語サイトの運用課題は、Webサイト翻訳ツールの用語集や翻訳メモリ、更新検知、管理画面での状況共有を活用することで改善が期待できます。翻訳品質が不安な場合は、人手による修正や公開前の承認機能がある製品を選びましょう。紙のパンフレットのWeb化や内製と外部委託の判断も、自社の更新頻度と体制をもとに検討することが大切です。課題にあう製品を比較したい方は、資料請求を活用してください。

