テレビ会議システムの心臓部「コーデック」とは
テレビ会議システムには、映像と音声をネットワークで転送する「コーデック」という部品があります。「コーデック(Codec)」とは、音声や画像、動画などのデータを圧縮・伸張するための装置のことです。
コーデックはテレビ会議システムの心臓と言われています。カメラが撮った映像やマイクが拾った音声をアナログデータからデジタルデータに変換し、さらに圧縮処理を行ってデータサイズを少なくした上で相手側に送信するという役割を果たします。
また、同時に送られてきたデジタルデータを復元して映像をモニタに送り、音声をスピーカに送る役目もしています。
テレビ会議システムの仕組みの詳細は以下の記事を参考にしてください。
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エンコーディングとデコーディングとは
パソコンの世界ではデータの圧縮がよく使われます。たとえば大きなファイルをzipファイルに圧縮してメールに添付したり、画像ファイルで使われるJPEGも圧縮されたりします。
上記で紹介したコーデックもこれと同じ考え方であり、映像や音声は膨大な量のデータになりますので、コーデックが圧縮と伸張の役割を担っているのです。
このように、アナログデータをデジタル化し圧縮することをエンコーディング(符号化)と呼び、エンコーディングされたデータを伸張(復元)することをデコーディング(復号)と呼びます。
コーデックで利用されるH.264とは
解説してきたように、コーデックはテレビ会議システムの心臓部であり、データのエンコーディングとデコーディングに使われています。そのエンコーディングとデコーディングの方式が製品ごとに異なっていてはテレビ会議ができません。
そこで、標準化のために定められたのが、H.261、H.263、H.264などの画像符号化方式です。H.261が最も古く、次がH.263、現在ではH.264が主に利用されています。H.264は、H.264/MPEG-4 AVCあるいはH.264/AVCと表記されることもあり、内容は同じです。
H.264の符号化の基本的な方式は、H.263などの従来方式を踏襲しており、動き補償、フレーム間予測、DCT(離散コサイン変換)、エントロピー符号化などを組み合わせたアルゴリズムを利用します。
しかし、H.264はH.263の約半分のビットレートで同程度の画質を実現することができます。テレビ会議システムも低コストで利用できるばかりか、携帯電話やスマートフォンでのワンセグ利用も可能になるのです。
なお、テレビ会議システムではH.323が主流のプロトコルとなっており、このH.323を構成する画像符号化方式がH.264なのです。
「H.323」については以下の記事で詳しく紹介していますので、是非、参考にしてください。
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テレビ会議システムの標準化に必要な「H.264」を理解しよう
テレビ会議システムは日進月歩の進歩を続けています。その進歩にH.265の登場があります。H.265はH.264に続く画像符号化方式の新たな標準です。H.265はH.264の2倍以上の圧縮率を実現。再生時の画質も向上しています。
このように一つ一つの専門用語を理解することで、自社に合った製品を検討する際に役に立つ場面もあるでしょう。最新技術を利用した製品かどうかにも注意しながら、自社に合った製品選定をすることが大切です。