そもそもテレビ会議とは
テレビ会議とは専用回線を使い、モニター・スピーカーを含む専用ハードウェアを用いて、遠隔地にいる相手と高品質な音声・映像による会議ができるシステムです。それぞれ、普段業務を行っている拠点ごとの会議室から参加できるため、会議の度に全員が1箇所に集合する必要がなく、時間や交通費を節約できるのです。
テレビ会議システムの仕組み
動画や音声でリアルタイムにコミュニケーションができるテレビ会議システムですが、一体どのような仕組みになっているのでしょうか。テレビ会議システムの一連の作業をそれぞれフローに分けて紹介します。
1.カメラ・マイクからの動画・音声をデータとして取り込む
テレビ会議、Web会議ともに動画・音声によるリアルタイムコミュニケーションが可能であることは冒頭で紹介しましたが、テレビ会議においては動画や音声などをデータとして取り込むために、カメラやマイクを内蔵した専用機器(ハードウエア)の設置が必須です。
通常は取り込んだ映像や音声のデータを圧縮・伸張するコーデックという装置とともに、セットで専用機器が提供されています。初期費用や月額使用料などがかかる場合もあるので、導入時の予算に入れておきましょう。
2.取り込んだデータをエンコード(圧縮)する
カメラやマイクから取り込んだ動画や音声は、データとして相手先へ送信されますが、取り込んだままの状態では膨大なデータ量となってしまい、通信帯域を圧迫します。そのため、取り込んだ後にデータを圧縮して送信しています。このデータ圧縮技術のことを「エンコード」と呼びます。
3.圧縮したデータをネットワークを介して送信する
エンコードしたデータはネットワークを使用して送信します。一般的にテレビ会議では専用のP2P(ピアツーピア)で接続するのに対し、Web会議ではインターネットを使用しますが、最近ではインターネット回線を使用したテレビ会議システムも出てきています。
またこのようにデータを送信する際には、ISDNやIPなどの電子規格を標準化したプロトコルを利用する必要があります。テレビ会議システムのIPやISDNなどの通信に関して、もっと詳しく知りたい方は以下の記事を参照してください。
4.受信データをデコードする(元に戻す)
圧縮して送られてきたデータは解凍され、再び動画や音声として戻されます。データ圧縮の「エンコード」に対し、データ解凍は「デコード」と呼びます。このように双方でデータを送受信することで、リアルタイムでのコミュニケーションが可能になっているのです。データ受信の際にも標準化された規格が必要です。
3地点間以上を結ぶときはMCUを利用
MCU(Multipoint Control Unit)とは「多地点通信制御装置」と呼ばれ、テレビ会議において3地点間以上の接続を可能とするサーバです。各地点からMCUを中継地点として介し、以下のような処理をして各地点に接続します。
- 1.各拠点の映像や音声などのデータを受信
- 2.受信したデータを、各地点の端末で見られるよう画像の合成処理などを行う
- 3.処理したデータを各地点の端末へ返送
このような処理を行い多拠点を接続して、複数のメンバーが同時に会議に参加できる環境を作ります。なお、MCUは単体機器の場合もあれば、テレビ会議システムにあらかじめ内蔵されている機器もあります。
テレビ会議システムとWeb会議システムの違い
ここまでテレビ会議システムの仕組みについて説明しましたが、Web会議システムにおいても動画や音声を取り込み、ネットワークを使用し送受信するという基本的なプロセスは同じです。それでは双方にはどのような違いがあるのか、具体的に解説します。
1.エンコードとデコード
テレビ会議システムでは、ハードウェアエンコーダー・デコーダーを使用しており、高音質・高画質である場合がほとんどです。一方Web会議システムでは、ソフトウェアエンコーダー・デコーダーを使用しており、画質や音質はコンピュータの性能に左右される場合があります。
2.データの送受信に用いるネットワーク
テレビ会議システムでは、P2P(ピアツーピア)接続を行っており、接続が安定するうえ、ウイルス感染のリスクも軽減できるというメリットがあります。ただし場所が固定されるため、専用の会議室が必要となったり、画面構成が変更できなかったり、自由度が限られるのが難点でしょう。
一方Web会議システムは、インターネット接続ができる環境であれば出先や移動中であっても場所を選ばす会議に参加可能です。パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンからも利用できるため、研修やセミナーなどでも手軽に活用できます。
3.使用目的や機能
テレビ会議システムは、大人数の参加者が集まる会議や講習向けに使用されることが多く、大型のモニターへの接続が可能なため、大画面で高画質・高音質の会議ができます。ただし、基本的には映像と音声のみの機能となります。
対してWeb会議システムは、インターネットの接続環境やシステムによって音声や画質などはバラつきがあるものの、資料共有や録音録画などさまざまな機能を搭載しており、オンライン商談などにも活用できるでしょう。
4.操作性やメンテナンス
テレビ会議システムは導入時に操作説明を受けるなどして、専門知識が必要となるのに対して、Web会議システムはインターネット環境さえあれば、誰でも扱いやすい操作性となっています。
また、テレビ会議システムは専用機のため、故障やアップデートの際には対応に時間がかかる場合があります。一方Web会議システムは、ベンダー側で自動でアップデートを行うため、手間もかからず常に最新バージョンを利用できます。
おすすめのテレビ会議システムについて以下の記事で紹介しています。実際の製品を見比べて、導入をイメージしてみましょう。
テレビ会議システムの仕組みを理解して製品を選定しよう
テレビ会議のシステムについてWeb会議と比較しながら紹介しました。目的や必要とする機能を明確にし、自社にあったテレビ会議システムを導入するために、資料請求してみることをおすすめします。