テレビ会議の標準規格とプロトコルの仕組み
テレビ会議を利用するには、ISDNやIPなどの規格を標準化する必要があります。そして、その標準化された規格をプロトコルと呼びます。では早速詳しく解説していきましょう。
テレビ会議システムの「標準」とは?
テレビ会議システムに限らず「標準」という言葉をITの世界ではよく目にします。「国際標準規格」とも呼ばれるこれらの標準とはIT製品の技術使用の規格を定めて共通化することです。
標準化しないと、それぞれのベンダーごとにバラバラに製品が開発され、無秩序な状態になってしまいます。同じテレビ会議システムなのにベンダーAとベンダーBの製品が接続できない、という事態が起こりうるのです。
テレビ会議システムの仕組みについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
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テレビ会議システムの「プロトコル」とは?
テレビ会議システムの標準化で重要となるのがプロトコル、情報機器がデータをやり取りする際の手順のことです。分かりやすくたとえると言語です。この言語を定めないと、互いに通信できません。例えば英国人と日本人が会話をする際に、それぞれの母国語を使うと意味が通じないのと同じです。
通信プロトコルは、通信手順や通信規約と呼ばれることもあります。以下でテレビ会議システムで使われる代表的なプロトコル3点を紹介します。
- 1 IPネットワークで使われるプロトコル「H.323」
- 2 ISDNで使われるプロトコル「H.320」
- 3 動画圧縮規格「H.264」
テレビ電話システムに利用される標準化やプロトコルについて解説してきました。続いて、ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
「H.323」IPネットワーク用プロトコル
H.323は、テレビ会議システムで利用されているネットワーク上で音声と動画を1対1で送受信するために音声、映像方式、データ圧縮伸長方式などを定めたプロトコルです。
そもそもIPネットワークは音声や映像をやり取りすることを想定しておらず、当初はコンピュータ用のデータ転送用のネットワークでした。データ転送を効率的に行うためにパケットという小包にしてデータを発送し、受け取った側はそのパケットを開いてデータを確認するという仕組みです。
このパケット方式でリアルタイムに音声やデータを送受信するために開発したプロトコルがH.323というわけです。
「H.320」ISDN用プロトコル
IPネットワークで使われているH.323のベースになったのがH.320です。H.320はISDNに対応するプロトコルで、それまでバラバラに使われていた電話回線をデジタル化し、FAX網などを統合するネットワークとして期待されました。
日本では1988年にISDNが提供されました。NTTが「INSネット64」と「INSネット1500」という商品名でサービスを開始し、この回線に対応したテレビ会議システムが各種発表されました。これらが、1990年からH.320プロトコルを遵守して提供されることになります。
「H.264」動画圧縮規格(画像符号化方式)
H.264は動画圧縮規格(画像符号化方式)の1つで、2003年に定められています。「MPEG-4 AVC」も同じ規格で、「H.264/MPEG-4 AVC」「MPEG-4 AVC/H.264」と併記されることもあります。H.264はH.323やH.320と同レベルのプロトコルではありません。H.323やH.320を構成する規格の1つです。
テレビ会議システムは動画を送受信しますが、この動画は膨大なデータ量になります。これを効率的に送るために、画像圧縮技術が利用されています。MPEG-1、MPEG-2となるに従って、圧縮率が高まり、H.264ではMPEG-2の2倍の圧縮効率を実現しています。このため、従来のパソコンはもちろん、携帯電話やスマートフォンでの動画送受信に対応しているのです。
H.264についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
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H.323などプロトコルを理解してテレビ会議通信を行おう!
プロトコルは、ネットワークを通じてコンピュータ同士が通信を行うときに、情報をやり取りする手順などを定めた約束事です。ネットワークプロトコル、通信プロトコル、通信手順、通信規約などと仕様に表記されることもあります。
その代表的なものが今回紹介したH.323、H.320、H.264です。少し専門的な知識ですが、製品選びに役立つ場面もあるでしょう。