テレビ会議の歴史1 テレビ放送サービスの開始
NHKと日本テレビ放送網(NTV)がテレビ放送サービスを開始したのは、1953年のことになります。すでに、このころからテレビ会議のシステム化が模索されています。片方向であるテレビの放送を、双方向にすればいいだけの話ですから、技術的には可能と思われました。
以降、60年代、70年代と実験は重ねられていくのですが、一般化するまでには至りません。利用できるのが電話回線であるため、帯域で狭く品質が低すぎたのです。それでいて極めて高価でした。
テレビ放送サービスの開始について解説してきましたが、そもそもテレビ会議システムについて詳しく知りたい方は以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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テレビ会議の歴史2 ISDNを利用したテレビ会議の登場
NTTが実験を繰り返し、テレビ電話のサービスを開始したのは1984年のことです。電話機が普及し、その次のビジネスの目玉として考えたのがテレビ会議システムだったのです。
当時は大規模なシステムで、一部の先進的な大企業に採用されていました。重役会議などに利用したり、工場と本社を接続し、社長の迅速な意思決定などを支援するようなシステムで、重役用の会議室に設置され、利用できる人間も限られていました。
1988年になって、ISDNのサービスが開始され、デジタル回線の利用が可能になります。提供されたのは「INSネット64」とその15倍の容量を持つ「INSネット1500」の2つでした。ISDN(H.320)に対応したテレビ会議システムが多くの事業者から提供され、導入企業が増えていきました。
テレビ会議システムとデジタル回線は相性がよく、品質が向上しました。デジタルは1と0しかないため、アナログのように雑音が入りません。アナログは圧縮がネックとなっていましたが、デジタルでは圧縮しやすく限られた帯域を有効に活用できます。端末もデジタル化することで低価格に抑えることができます。
テレビ会議の歴史3 IP網の活用
ISDNが主流であったテレビ会議システムの大きな転換期となったのが、90年代後半のインターネットの普及です。
IP網上での活用を想定した標準化(通信プロトコルH.323)が進められ、テレビ会議の製造事業者はIP網への対応を急ぎました。さらに2000年以降はブロードバンドが一般的となり、テレビ会議システムの追い風となりました。
しかし、これには技術上のハードルも多くありました。IP網はパケット通信であり、双方向のリアルタイム通信に適していません。ある程度の大きさにデータをまとめて(パケット=小包にして)転送するので、どうしても遅延が発生してしまいます。
ファイアウォールなどの仕組みも、双方向通信と相性が良くありません。また、テレビ会議システムは限られた帯域を圧迫してしまいます。しかし、インターネットは時代の潮流であり、製造事業者は技術開発を重ね、改良していきました。
テレビ会議の歴史4 Web会議システムの登場
インターネットの潮流に伴ってWeb会議システムが登場します。これをテレビ会議の小型版あるいは進化の1つと考えている方もいるかもしれませんが、まったく別物です。
Web会議とはいいますが、会議のみならず、対話や情報の共有にも活用できます。専用のハードウェアや会議室を使わず、机上のパソコンで行います。Web会議がサーバを介して相手先端末と映像・音声データの送受信を行いますが、テレビ会議はサーバを介せず直接相手と接続するP to P(Point to Point)の接続形態となっています。
テレビ会議システムの歴史について解説してきましたが、現在のテレビ会議システムのシェアについて詳しく知りたい方は以下の記事をぜひ参考にしてください。
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時代の変化とともに進化し続けてきたテレビ会議システムは、私たちが仕事をしていく上で多くのメリットを与えてくれるでしょう。ぜひ実際のテレビ会議システム製品もチェックしてみてください。