士業事務所でクラウドメールを導入する際の懸念点
弁護士事務所や税理士事務所などの士業では、依頼者の機密情報を扱う機会が多く、情報管理のルールとクラウドメールの運用が合っているかを確認する必要があります。
機密情報の取り扱いルールとの整合性
士業事務所では、守秘義務の観点から、依頼者情報をどこに保存し、誰がアクセスできるかを厳密に管理する必要があります。クラウドメールを導入する際は、データの保存場所やアクセス権限の設定範囲が、既存の情報管理ルールと整合しているかを確認しましょう。
クラウド上にデータを保存する仕組みに抵抗を感じる担当者もいるため、暗号化の方式やデータセンターの所在地について、ベンダーへ具体的に確認しておくことが望ましいといえます。所内の情報管理規程を見直し、クラウドサービス利用時の手続きを明文化しておくことも重要です。所属する弁護士会や税理士会などが示す指針がある場合は、あわせて内容を確認しておくと安心です。
依頼者情報を扱う際に確認したいこと
依頼者とのやり取りには、氏名や住所、財務情報など機微な内容が含まれる場合があります。送信前の宛先確認機能や、送信保留・取り消し機能があるかを確認し、複数の対策を組み合わせて情報漏えいのリスクを抑えることが望ましいといえます。
担当者ごとにアクセスできる案件を制限できる機能があれば、案件外の情報に不要にアクセスできる状態を防ぎやすくなります。あわせて、退所した担当者のアカウントを速やかに停止する運用ルールも整備しておきましょう。案件担当者の変更が生じた際に、権限の引き継ぎ漏れが起きないよう、定期的な棚卸しの機会を設けることも有効です。棚卸しの結果は記録として残し、次回の確認作業にも活用できるようにしておくと運用の質を保ちやすくなります。
医療法人でのクラウドメール運用における注意点
医療機関では患者情報を扱う機会が多く、情報管理の水準が特に求められます。クラウドメールを導入する際に注意したい観点を整理します。
患者情報の誤送信リスクへの対応
患者の氏名や診療内容を含むメールを誤って別の宛先に送信すると、個人情報の漏えいにつながる可能性があります。宛先の入力ミスや、類似したメールアドレスの選択ミスなど複数の要因が誤送信につながるため、送信前の確認機能を活用することが重要です。
部署ごとに送信可能な宛先を制限できる機能や、外部ドメインへの送信時に警告を表示する機能があると、誤送信のリスクを抑えやすくなります。あわせて、患者情報を扱う際の院内ルールを明文化し、定期的に職員へ周知することも欠かせません。新人職員への研修時に誤送信の事例を共有し、注意点を具体的に伝えることも再発防止につながります。診療科ごとに情報の取り扱いに違いがある場合は、部署単位で運用ルールを補足しておくと現場に浸透しやすくなります。
医療分野特有の情報管理ルール
医療分野では、診療情報の保存期間や管理方法について、関連するガイドラインが定められている場合があります。クラウドメールを導入する際は、自院が従うべきガイドラインの内容を確認し、製品の仕様と照らし合わせることが望ましいといえます。
ガイドラインへの対応状況は製品によって異なるため、契約前にベンダーへ具体的な対応範囲を確認しておきましょう。院内の情報システム担当者だけで判断が難しい場合は、専門家や関連団体への相談も選択肢になります。既存の電子カルテシステムとの兼ね合いも踏まえ、情報の取り扱い範囲を整理しておくことが望ましいといえます。
建設業の現場利用で起こりやすい懸念
建設業では、現場からのメール利用が多く、通信環境や利用者のITリテラシーにばらつきがある点が懸念材料になります。現場特有の課題を整理します。
現場からのアクセス環境に関する課題
建設現場では、通信環境が不安定な場所での作業も想定されます。オフライン時でも一定の操作ができるか、通信が回復した際に自動で同期される機能があるかを確認しておくと、現場担当者の負担を抑えられる場合があります。
スマートフォンやタブレットからの利用が中心になる現場では、画面表示のわかりやすさや操作のしやすさも重要な確認項目です。現場担当者の意見を聞きながら製品を選ぶことで、導入後の定着率を高めやすくなります。手袋を着用したままでも操作しやすいかなど、現場ならではの利用環境も考慮に入れておきましょう。
現場担当者の運用負荷への配慮
現場担当者は日々の作業に追われており、複雑な操作を求められると利用が定着しない場合があります。設定変更や問い合わせ対応は、本社の情報システム担当者が一括して行える体制を整えることが望ましいといえます。
研修の機会を設けて、基本的な操作方法を周知しておくことも重要です。特定の担当者だけに操作方法を集中させず、複数人が対応できるように教育しておくと、担当者の異動があっても運用が滞りにくくなります。現場からの問い合わせを本社で一元的に受け付ける窓口を設けておくと、対応のばらつきを防ぎやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でクラウドメールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
金融機関でのクラウドメール運用に関する懸念
金融機関では、内部統制や監査対応の観点から、他業種以上に厳格な運用管理が求められる場合があります。確認しておきたい観点を整理します。
金融分野で求められる内部統制
金融機関では、メールの送受信履歴や設定変更の操作ログを一定期間保存し、必要に応じて確認できる体制が求められる場合があります。クラウドメールを選定する際は、ログの保存期間や出力形式が自社の統制ルールに合うかを確認しましょう。
権限管理についても、部署ごとの職務分掌にあわせて細かく設定できるかが重要な確認項目になります。権限設定の変更履歴を確認できる機能があれば、内部監査での説明にも活用しやすくなります。監督官庁からの照会に備え、必要な情報を速やかに抽出できる検索機能があるかも確認しておくと安心です。検索対象の期間や条件を柔軟に指定できる機能があると、照会対応にかかる時間を短縮しやすくなります。
運用ルールの整備と監査対応
金融機関では定期的な監査が実施されることが多く、クラウドメールの運用状況について説明を求められる場合があります。運用ルールを文書化し、いつでも監査担当者へ提示できる状態にしておくことが望ましいといえます。
製品によって監査対応に必要な機能の網羅度は異なるため、契約前に監査担当部門と情報システム部門が連携して要件を整理し、ベンダーへ確認しておくことが重要です。監査で指摘を受けた場合の改善対応の流れも、あらかじめ社内で決めておくと落ち着いて対応しやすくなります。
業種を問わず共通して確認したい導入前のポイント
業種ごとの懸念点を踏まえたうえで、共通して確認しておきたい導入前のポイントを整理します。
業界固有の規制やガイドラインの確認
業種によっては、情報管理に関する規制やガイドラインが存在する場合があります。自社が従うべき規制の内容を整理し、クラウドメールの仕様と照らし合わせることが導入判断の出発点になります。
規制の解釈に迷う場合は、自己判断だけで進めず、専門家や業界団体、情報システム部門へ相談しながら進めることが望ましいといえます。ベンダー側にも、同業種での導入実績や対応状況を確認しておくと安心です。同業種の企業がどのような観点で製品を選んだかを参考にすることも、検討の助けになります。複数の製品を比較する際は、機能面だけでなく導入後のサポート体制もあわせて確認しておくと安心です。
導入前に実施したい検証の進め方
本格導入の前に、一部の部署や担当者で試験的に利用し、運用面での課題を洗い出すことが有効です。検証環境で確認できる範囲や、本番環境への影響を考慮しながら進める必要があります。
検証期間中に出た意見は記録しておき、全社展開時のマニュアルや運用ルールに反映させましょう。検証を通じて業種特有の懸念点が解消できるかを見極めることが、導入後のトラブルを減らすことにつながります。検証結果を経営層へ共有し、投資判断の材料として活用することも重要です。
業種特有の懸念に対応できるクラウドメールサービス
ここまで解説した士業・医療・建設・金融といった業種ごとの懸念点を踏まえ、機密情報の管理や内部統制、現場利用への対応が期待できるクラウドメールサービスを紹介します。自社の業種特性にあわせて比較検討する際の参考にしてください。
IIJセキュアMXサービス
- 送受信時に求められる複数セキュリティをワンストップで提供
- メールボックス機能でメールのフルアウトソースを実現
- 独自セキュリティ機能を実装したWebメール
株式会社インターネットイニシアティブが提供する「IIJセキュアMXサービス」は、法人向けのメールセキュリティサービスです。迷惑メールやウイルスメールのフィルタリングに加え、送受信履歴を確認できるログ機能を備えており、内部統制や監査対応が求められる金融機関などでの利用に適しています。
xgate4
- 「快適」かつ「安全」な利用 メール環境を導入したい企業
- マルチブラウザ、キャリア対応
- 使いなれたわかりやすいユーザーインター フェース
株式会社オレンジソフトが提供する「xgate4」は、迷惑メール対策や誤送信防止など複数のセキュリティ機能を備えたクラウドメールサービスです。管理者がフィルタ条件を調整できる機能や送信前の確認を促す仕組みを備えており、機密情報や患者情報を扱う士業事務所・医療法人の検討先になります。
KAGOYA MAIL
- ユーザー数無制限の月額定額制!圧倒的なコストパフォーマンス
- 安全運用が可能!メール運用に伴うセキュリティ対策をカバー
- 専門知識は不要!シンプル設計で誰でも使える
カゴヤ・ジャパン株式会社が提供する「KAGOYA MAIL」は、国内データセンターで運用されるクラウドメールサービスです。管理画面からのシンプルな操作でアカウント管理ができるため、専任の情報システム担当者を置きにくい小規模な士業事務所や現場中心の建設業でも運用しやすい設計になっています。
@Securemail Plus Webmail (株式会社ケイティケイソリューションズ)
- 受信ファイルに潜む危険を排除するセキュリティ機能
- 宛先確認やメールアドレス数チェックで誤送信防止
- フィーチャーフォンにも対応
CyberMail (サイバーソリューションズ株式会社)
- 日本企業独自のニーズに応える豊富な機能
- 月額250円~の低コスト高セキュリティ。
- 国内DC稼働、稼働率99.991%
まとめ
クラウドメールは業種によって注意したい懸念点が異なります。士業事務所では機密情報の管理、医療法人では患者情報の保護、建設業では現場での使いやすさ、金融機関では内部統制への対応が検討の中心になります。自社の業種特性を踏まえ、複数の製品を比較しながら検討を進めましょう。業種特有の懸念点を早い段階で洗い出しておくことが、導入後の安定運用につながります。


