データバックアップの必要性
まずはデータバックアップがなぜ必要なのか、その背景について解説していきます。具体的には以下の4つの背景があります。
- ●1.急速なデータの増加
- ●2.データの種類の増加
- ●3.ヒューマンエラーの存在
- ●4.企業の信頼性における影響
それでは具体的にみていきましょう。
1.急速なデータの増加
現在、ビジネスの現場ではPCだけでなく、スマートデバイスやクラウドなど、さまざまなデジタル機器やICT技術により、業務の効率化が図られています。
これは企業運営において、データ管理の負荷が日々増大していることを意味します。またペーパーレス化の普及もあり、多くの企業が一昔前とは、比べ物にならない量のデジタルデータを保有することになりました。
このように、増加するデータはもちろんビジネスを加速させていますが、データを失うと危機的なダメージを負うという潜在的なリスクが同時に潜んでいます。
2.データの種類の増加
2つ目の背景としてはデータの種類の増加が挙げられます。
これまでデータ消失の備えとしては、作成した文書をCD-ROMや外付けハードディスクといった外部記録メディアにコピーすることでした。しかし、現代の企業活動で生じるデジタルデータは、従来の書類をデータ化したものだけではないため、外部記録メディアだけでは対応できなくなっています。特にデータ種類は以下のように多岐にわたります。
- ●商品や顧客情報を管理するデータベース
- ●メールや社内SNSを使ったやり取り
- ●グループウェアで管理されているスケジュールや個人情報
- ●社内の各種データへのアクセスログなど
こうした種類の異なるデータの管理を、従業員による個別のバックアップ作業で賄うのは現実的とは言えません。つまり、企業として適切なデータバックアップの環境構築に乗り出さない限り、守り切れない情報が出てくるのは避けられないと言えます。
3.ヒューマンエラーの存在
重要なデータだからこそ、細心の注意を払うことで消失を防止したいと考えるのは当たり前ですが、データ消失につながるトラブルの主な原因である、人的ミスの発生率をゼロにはできません。
またヒューマンエラーだけでなく、機器の故障やウイルス感染、災害など、データ消失の原因は多岐に渡ります。つまりどんなに注意を払ったとしても、すべての要素を完全に予防するのは不可能なのです。
つまり、長期的に企業のデータ保全を検討する際には、「データ消失のリスクをゼロにすることはできない」という現状を見据え、被害を最小限に抑えるデータバックアップ対策の必要性がより明確になってきます。
4.企業の信頼性における影響
ビジネスにおいて、取引先や顧客からの信頼は企業の価値を左右する重要な要素です。
そのため、システムの損傷やデータの消失というトラブルは、その規模いかんでは業務の継続が困難に陥る危険性を秘めていると言えます。また、安定した企業活動を支えるデータバックアップ体制の善し悪しは、企業の信頼性にも影響を及ぼす存在となっています。
そして、東日本大震災を機にBCP(事業継続計画)への意識の高まったことも、データバックアップへの重要性が見直される一因となりました。つまり、多くの企業で対策が取られている現状を踏まえ、信頼性の維持につながる適切な判断が必要となっているのです。
バックアップにはクラウドサーバーやデータセンターの利用を
企業の資産を守るデータバックアップには、大きな負担が生じるイメージがありますが、ツールを利用すればスムーズに導入することができます。またバックアップの必要性の高まりと共に、充実が図られているデータバックアップツールを利用すると、手間やコストを抑えたいという企業のニーズにも応えることができるでしょう。
そして通信技術が著しく進化した近年では、クラウドサーバーやデータセンターを利用し、設備や管理の手間を大きく低減できるシステムも珍しくはありません。こうした技術の進歩も、企業におけるデータバックアップの普及に貢献しているのです。