起動が遅いなど使いにくいデスクトップ仮想化の特徴
デスクトップ仮想化を導入した企業からは、起動や操作にまつわる不満の声が聞かれることがあります。ここでは、利用者目線で使いにくさを感じやすい代表的な場面を取り上げます。
ログイン時に起動が遅くなる場面
デスクトップ仮想化では、始業時間に多くの利用者が一斉にログインすると、サーバへの処理要求が集中し、仮想デスクトップの起動に時間がかかることがあります。これは「ブートストーム」と呼ばれる現象で、特にクラウド型のサービスで台数を絞って契約している場合に起こりやすくなります。
対策としては、始業時間をずらす運用ルールを設けるほか、サーバ側のリソース配分を見直すことが有効です。導入時にベンダーへ想定同時接続数を伝え、余裕を持ったスペックで契約しておくと、こうした遅延は抑えられます。
画面表示の遅延やカクつきが起きる原因
操作中に画面がカクついたり、マウスの動きに映像が追いつかなかったりする現象も、使いにくさの原因としてよく挙げられます。主な要因は、手元の端末とサーバの間を流れる通信量に対して、社内ネットワークの帯域が不足していることです。動画編集や設計ソフトなど、画面更新の多い作業ほど影響を受けやすい傾向があります。
改善には、通信を圧縮するプロトコルの設定見直しや、拠点ごとの回線増強が挙げられます。あわせて、利用する業務内容に見合った通信方式をあらかじめ選定しておくことも重要です。
特定の時間帯にアクセスが集中して重くなるケース
月末月初の締め作業や、全社会議の前後など、特定の時間帯に利用者が集中すると、応答速度が落ちることがあります。常時の利用人数だけでなく、ピーク時の同時アクセス数を見誤ると、こうした状況が繰り返し発生します。
対策として、利用状況をログで定期的に確認し、ピーク時間帯の負荷傾向を把握しておくことが役立ちます。必要に応じてリソースを柔軟に増減できるクラウド型のサービスを選ぶと、繁忙期の負荷にも対応しやすくなります。
デスクトップ仮想化のネットワーク設計と初期設定の難しさ
デスクトップ仮想化の初期設定は、ネットワーク設計とサイジング(規模設計)の両方を検討する必要があり、専門知識がないと迷いやすい工程です。ここでは、設定の難しさの内訳を説明します。
ネットワーク設計で検討すべきポイント
デスクトップ仮想化のネットワーク設計では、拠点間の回線帯域、通信の優先制御、セキュリティ機器との連携など、確認すべき項目が複数あります。特に複数拠点をまたいで利用する場合、拠点ごとの回線品質にばらつきがあると、一部の拠点だけ応答が遅くなるといった不具合が起きます。
設計段階では、想定する同時利用者数と業務内容をもとに、必要な帯域を試算しておくことが求められます。自社での見積もりが難しい場合は、ベンダーの導入支援サービスを活用し、現地調査を含めた設計を依頼する方法もあります。
サイジング(規模設計)が難しい理由
サイジングとは、必要なサーバのCPUやメモリ、ストレージの容量を、利用人数や業務内容にあわせて見積もる作業です。想定より少ない規模で契約すると起動遅延や動作の重さにつながり、逆に過大に見積もると余分なコストが発生します。
適切なサイジングには、部署ごとの利用アプリケーションや繁忙期の利用状況を事前に洗い出す作業が欠かせません。導入実績のあるベンダーであれば、類似規模の企業データをもとにした見積もりを提示してもらえる場合があるため、相談してみる価値があります。
認証基盤との連携設定にかかる手間
社内で利用しているActive Directoryなどの認証基盤とデスクトップ仮想化を連携させる設定も、初期構築でつまずきやすい工程のひとつです。連携設定を誤ると、ログインできない利用者が発生したり、権限設定が意図せず広くなったりする不具合につながります。
この工程は情報システム部門だけで完結させず、導入支援サービスを提供するベンダーと連携しながら進めると、設定漏れを防ぎやすくなります。VDIとDaaSでは管理範囲が異なるため、自社の運用体制に合わせた方式を選ぶことも大切です。
デスクトップ仮想化ベンダーの障害発生時サポート対応
デスクトップ仮想化は業務の基盤となるため、障害発生時にどれだけ早く対応してもらえるかは、製品選定における重要な確認項目です。サポート体制の違いを見ていきます。
サポート窓口の対応スピードを見極める視点
障害発生時の対応スピードは、ベンダーによって差があります。電話やチャットで即時対応する窓口を持つベンダーもあれば、問い合わせフォームからの返信を待つ形式のベンダーもあり、業務停止時の影響度合いが変わってきます。
導入前には、平日日中のみの対応か24時間対応かといった窓口の稼働時間、初回応答までの目安時間を資料や商談で確認しておくことをおすすめします。過去の導入事例やレビューサイトの評価も、対応スピードを判断する材料です。
SLAやサポート体制を事前に確認する重要性
SLA(サービス品質保証)とは、稼働率や障害対応時間についてベンダーが利用者に約束する基準です。SLAが明文化されていないサービスでは、障害時の対応が担当者の裁量に左右されやすくなります。
契約前には、稼働率の保証水準や、障害時の代替手段の有無を確認しておくと安心です。加えて、専任の担当者がつくか、問い合わせのたびに窓口が変わるかといった体制面も、実際の使いやすさに影響します。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でデスクトップ仮想化の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
スマホやタブレットからデスクトップ仮想化を利用する際の制限
デスクトップ仮想化はパソコンだけでなく、スマホやタブレットからも利用できる場合がありますが、端末によっては操作性やセキュリティ面で制約が生じます。主な制限内容を確認します。
画面サイズや操作方法による制約
パソコン向けに作られた業務アプリケーションを小さな画面のスマホで操作すると、文字が読みにくくなったり、細かいボタンを押しづらくなったりすることがあります。特に表計算ソフトや設計ツールなど、画面情報量の多いアプリケーションは、タブレットであっても操作性が落ちる傾向があります。
対策として、モバイル利用を前提とした業務であれば、あらかじめ専用アプリの操作性を試用版で確認しておくと安心です。用途によっては、参照専用の軽い操作に限定して使うといった運用ルールを設けるのも一つの方法です。
モバイル利用時のセキュリティ制限
スマホやタブレットからのアクセスでは、情報の外部流出を防ぐために、ファイルのダウンロードやクリップボードのコピーが制限される設定が用いられることがあります。これは端末の紛失や盗難時のリスクを抑えるための仕組みですが、利用者にとっては操作の自由度が下がる要因にもなります。
導入時には、どこまでの操作を許可するかをあらかじめ社内で決めておくことが重要です。制限が強すぎると利用者の不満につながるため、業務内容に応じて許可範囲を調整できる製品を選ぶと、運用がしやすくなります。
初期設定やサポート体制の不安を解消するデスクトップ仮想化サービス
ここまで見てきた起動遅延やサイジングの難しさ、障害時のサポート対応は、導入支援や運用サポートが充実したサービスを選ぶことである程度解消できます。ネットワーク設計や規模設計の相談に乗ってもらえるか、障害発生時にどこまで対応してくれるかを軸に、候補を比較してみましょう。
リモートPCサービス
- データセンターに用意された物理PCをサービスとして利用する形態
- 1台・1ヶ月からのスモールスタートもできるため導入がしやすい
- 1ユーザが1台を専有でき、安定したパフォーマンスを実現
株式会社リンクが提供する「リモートPCサービス」は、オフィスの物理PCをクラウド経由で利用できるサービスで、マスターイメージ管理や集中管理コンソールによって端末をまとめて管理できます。1台からスモールスタートできるため、まずは一部の部署から試したい中小企業にも取り入れやすい特徴があります。
Amazon WorkSpaces導入支援サービス
- オンプレミスと同等の強固なセキュリティを実現
- 正確なコストシミュレーション
- APNパートナーの豊富なノウハウ
株式会社TOKAIコミュニケーションズが提供する「Amazon WorkSpaces導入支援サービス」は、Amazon WorkSpacesの導入から運用までをサポートするサービスです。Active Directoryとの連携や多要素認証に対応しているほか、24時間365日のサポートデスクを利用できるため、初期設定や障害発生時の対応に不安がある場合の相談先として活用できます。
Azure Virtual Desktop (日本マイクロソフト株式会社)
- Windowsのマルチセッション仮想化を多人数に低コストで提供。
- デスクトップ環境と単一アプリの配信に対応する柔軟な利用形態
- Azure管理でGW不要。運用・スケールが容易に。
CitrixVirtualAppsandDesktops (シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社)
- あらゆるデバイスにアプリとデスクトップを配信
- ハイブリッドワーク環境の最適化と生産性向上
- 高度なセキュリティでデータ保護
クラウドデスクトップコントロール (ソフトバンク株式会社)
- 多様な端末から同一環境にアクセス。
- 閉域網でデータセンターと直結
- 認証データセンターで24時間365日監視・保守。
仮想デスクトップサービス (富士通株式会社)
- 用途に応じて選べる柔軟なサービス形態
- 最小1IDから導入可能、短期間・低コスト運用が可能。
- データレスで情報漏えいリスクを低減し、安全な業務を実現。
まとめ
デスクトップ仮想化の使いにくさは、起動時の遅延やネットワーク設計の甘さ、サポート体制の不足、モバイル利用時の制限など、原因を分解すると事前に対策できるものが多くあります。導入前にネットワーク環境やサイジングを丁寧に検討し、障害時の対応体制が整ったベンダーを選ぶことで、こうした課題は解消しやすくなります。自社の業務内容にあったサービスを比較しながら検討を進めてください。


