デスクトップ仮想化とは
まず仮想化とは、ソフトウェアを用いてハードウェアを物理的な構成にとらわれずに統合や分割し、仮想環境上で動作させることです。「ハードウェア」は、サーバやCPU、メモリ、HDDなどを指しますが、これがデスクトップになるとデスクトップ仮想化という概念になります。
つまり、デスクトップ仮想化(Virtual Desktop Infrastructure:VDI)とは、サーバ上にあるデスクトップ環境を遠隔地にあるクライアント端末に転送して利用することです。クライアント端末で最小限の処理を行い、ほとんどの処理をサーバ側で行うシステム構成をシンクライアントといいますが、それを実現するのがVDIとなります。ちなみに、シンクライアントの実行方法はネットワークブート型と画像転送型があり、VDIは画像転送型の一種です。
例えば、社員一人ひとりにパソコンが与えられているとします。通常は各々のパソコンにOSやアプリケーション、データなどが搭載されています。社内の共有データにアクセスするときのみ、ネットワークを通じてサーバにアクセスすることになっています。
このサーバに、各々持っていたはずのOS、アプリケーション、データと社内の共有データを統合した仮想化基盤を作成することが、デスクトップ仮想化です。サーバに仮想的なデスクトップが搭載されているようなイメージです。この仮想的なデスクトップに、社員一人ひとりがアクセスしているような状況です。
デスクトップ仮想化のメリット
デスクトップを仮想化することによって、主に3つのメリットが挙げられます。
1.セキュリティ対策
各々の端末から社内のデータやクラウドにアクセスすると、どうしても端末内にデータが残ってしまいます。端末の紛失や盗難、ウイルス感染があった際に、情報漏えいしてしまう可能性があります。しかし、デスクトップを仮想化するとサーバにアプリケーションやデータが集約され、端末にデータを残さずに済むので、情報漏えいを防ぐことができます。
さらに、サーバ上でアプリケーションを管理するため、不正なアプリケーションのダウンロードを防いだり、パッチ適用やOSのアップデートなどを一括で行ったり、一貫性のあるセキュリティ対策が可能になるでしょう。
2.コスト削減
各々のパソコンでダウンロードしていたセキュリティ対策ソフトやOSは、サーバで一括管理することになり、アップデートやメンテナンスも一括で行えるので管理側とユーザー両者の負担が大きく減少します。加えて、端末は必要最小限の機能を持っていれば良いため、高機能なパソコンは必要ありません。既存のパソコンをそのまま利用することも可能です。これにより、保守管理に関わるコストやハードウェアの導入コストの削減が可能です。
3.リモートワークの可能性
BYODの危険性が低下するので、スマートフォンやタブレットを使って社外で仕事をすることが可能になります。これによって、個々人のワークスタイルが自由になり、コワーキングスペースの利用やフレックス制・テレワークの普及などが進むでしょう。また、災害発生時にも業務を継続でき、事業の基盤強化に貢献します。
デスクトップ仮想化のデメリット
サーバにOSやアプリケーション、データを集約して処理するのがデスクトップ仮想化の特徴ですが、サーバの性能が重要になります。負荷に耐えられるサーバでなければ、接続ユーザー数によってはネットワーク帯域を圧迫してしまいます。そのため高性能なサーバを最初に用意する必要があり、初期コストがかかります。さらに、管理者は業務が停止しないよう常にサーバを監視し、管理しなければならず大きな負担となるでしょう。
しかし、最近はクラウド型の仮想デスクトップ方式も登場しているので、サーバ構築や保守管理が不要な場合もあり、初期費用を抑えることが可能です。
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デスクトップ仮想化の方法
デスクトップ仮想化には、一般的に挙げられるVDIだけでなく、他にも方法があります。
- VDI(Visual Desktop Infrastructure)
- サーバ側の仮想化基盤に複数のデスクトップを実装しているもの。仮想デスクトップのOSがクライアント上にある。
- ブレードPC型
- 特に、仮想デスクトップのOSがサーバ上にあるものを指す。基本的にはVDIの機能と変わらないが、クライアントごとに専用のブレードPCを用意する。
- サーバーベース型(SBC:Server Based Computing)
- サーバ上にある仮想のデスクトップを複数人が使用するもの。アクセスするユーザー全員が同じアプリケーションを利用する。
VDIはサーバに人数分のデスクトップが用意されており、AさんはAさんの仮想デスクトップ、BさんはBさんの仮想デスクトップというように、それぞれ異なる仮想デスクトップにアクセスしています。ブレードPC型はブレードPCという物理的なマシンを1台ずつ用意しなければなりませんが、VDIは仮想マシンがあれば良いのでコストを抑えられる点で有利でしょう。
一方サーバーベース型は、サーバの仮想化基板上にはデスクトップは一つだけです。このデスクトップを社員でシェアしつつ使用するというようなイメージです。VDIは一人につき専用の仮想デスクトップが存在するので、仮想化アプリケーションのライセンスコストはかかります。しかし、通常のパソコンと同じくらい自由度が高い環境に置くことができます。サーバーベース型はVDIほどコストがかかりませんが、その代わりに自由度は低く、何よりも複数人でシェアするので少なからずセキュリティリスクがあります。
このようにそれぞれの特徴があるので、自社に合った方法を選択することが重要です。
デスクトップ仮想化を正しく理解して役立てよう
デスクトップ仮想化は、情報漏えいを防ぎつつ作業コストを削減できるというメリットがあります。さまざまなワークスタイルが認められつつある中で、デスクトップ仮想化を検討してみてはいかがでしょうか。
以下の記事ではデスクトップ仮想化の製品をランキングで紹介しています。実際の製品を見てみたいという方はぜひご覧ください。
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