クラウドVDIとは?仕組みと従来型VDIとの違い
クラウドVDIとは、クラウド上に構築した仮想デスクトップ環境へ、パソコンやタブレットなどからネットワーク経由でアクセスして利用する仕組みです。自社でサーバーを保有・管理するオンプレミス型VDIと比べて、設備の準備やインフラ運用の負担を抑えやすい特徴があります。まずは基本的な仕組みと、オンプレミス型VDIやDaaSとの違いを整理しましょう。
クラウドVDIの基本的な仕組み
VDIはVirtual Desktop Infrastructureの略で、サーバー上に一人ひとりの仮想デスクトップを作り、手元の端末に画面だけを転送して操作する技術です。クラウドVDIは、このサーバー群を自社ではなくクラウド事業者のデータセンターに置く形態を指します。
利用者はパソコンやタブレットからネットワーク経由で自分専用のデスクトップにアクセスします。実際の処理や保存はクラウド側で完結するため、端末にはデータが残りません。この特性が、後述するセキュリティ面や運用面の利点につながっています。
オンプレミス型VDIとの違い
従来のオンプレミス型VDIは、自社の設備としてサーバーやストレージを購入し、社内に構築して運用します。初期に大きな投資が必要で、構築にも数か月単位の期間を要する点が特徴です。一方クラウドVDIは、事業者が用意した基盤を月額で借りて使います。
そのため初期費用を抑えて短期間で始められ、利用人数の増減にも柔軟に対応できます。ハードウェアの保守や更新も事業者側が担うため、社内のインフラ管理者の負担を軽くできる点が大きな違いです。
DaaS・クラウドPCとの関係
クラウドVDIは、DaaS(Desktop as a Service)やクラウドPCと呼ばれるサービスとほぼ同じ意味で使われます。いずれもクラウド上のデスクトップを月額で利用する考え方で、明確な線引きはありません。呼び方が事業者によって異なる程度と理解しておけば十分です。
細かく分けると、基盤の設計まで自社で行う余地が大きいものをクラウドVDI、完成された環境をそのまま使うものをDaaSと表現する場合もあります。用語の違いにこだわりすぎず、自社の使い方に合うかどうかで判断することをおすすめします。
クラウドVDIが選ばれる理由と主なメリット
クラウドVDIを導入すると、場所や端末に左右されにくい業務環境を整えられるほか、セキュリティ対策やIT管理の効率化にもつながります。ここでは、クラウドVDIを活用する主なメリットを解説します。
テレワークやBCP対策に活用できる
クラウドVDIでは、ネットワーク環境と対応端末があれば、オフィス以外からも仮想デスクトップへアクセスできます。自宅や外出先でも業務環境を利用できるため、テレワークや複数拠点で働く従業員の業務基盤として活用できます。
また、業務環境を特定のオフィスや端末に依存させない構成にできることから、災害や設備トラブルなどで出社が難しい場合にも、別の場所から業務を継続しやすくなります。そのため、BCP(事業継続計画)の一環として導入を検討する企業もあります。
端末からの情報漏えいリスクを抑えやすい
クラウドVDIでは、アプリケーションの実行やデータ処理を仮想デスクトップ側で行い、端末には画面情報を転送して操作するのが基本です。端末側に業務データを保存しない運用にすることで、パソコンの紛失や盗難による情報漏えいリスクを低減できます。
また、アクセス権限や利用状況を管理側で制御・確認できる製品もあります。端末へのデータ保存やコピー、外部デバイスの利用などを制限できる場合もあり、社外から業務システムへアクセスする際のセキュリティ対策を強化しやすくなります。
IT環境の運用・管理を効率化できる
仮想デスクトップを集中管理することで、OSやアプリケーションの設定、セキュリティポリシーなどを管理者側で統一しやすくなります。従業員ごとの端末を個別に設定する作業を減らせるため、利用者が多い企業ほど運用負担の軽減が期待できます。
さらにクラウドVDIでは、物理サーバーを自社で保有しない構成にできるため、ハードウェアの調達や保守にかかる負担も抑えられます。ただし、サービスによって利用者側と提供事業者側の管理範囲は異なるため、導入時には運用・保守の分担を確認しておきましょう。
クラウドVDIの費用相場
クラウドVDIは、利用者一人あたりの月額料金で提供されるケースが一般的です。事務作業を中心とした標準的な構成では、一人あたり月額数千円から1万円台が目安となります。ただし、高性能なCPUや大容量メモリ・ストレージ、GPUなどを利用する場合は、料金が高くなる傾向があります。
また、サービスによっては初期設定費用や環境構築費用、既存システムからの移行費用、オプションのサポート費用などが別途必要です。料金を比較する際は、月額料金だけでなく、利用人数や必要なスペック、サポート範囲を含めた総コストで確認しましょう。
クラウドVDI導入時の注意点
クラウドVDIは利便性が高い一方、通信環境や既存システムとの相性によっては、業務に支障が生じる場合があります。また、利用規模や構成によってコストが膨らむ可能性もあるため、メリットだけでなく導入後に起こりうる課題も把握しておくことが重要です。
通信環境によって操作性や業務継続に影響が出る
クラウドVDIはネットワーク経由で仮想デスクトップを利用するため、通信速度や安定性の影響を受けます。回線が混雑したり通信障害が発生したりすると、画面表示や入力への反応が遅くなり、状況によっては仮想デスクトップへ接続できなくなる可能性があります。
特に、多くの従業員が同時に利用する拠点や、画像・動画編集、CADなど通信量の多い業務では注意が必要です。本格導入前に実際の業務環境でテストし、必要な通信帯域を確保できるか確認しておきましょう。回線障害に備えて、予備回線などの対策を検討することも重要です。
既存システムや周辺機器を利用できない場合がある
現在利用している業務アプリケーションや周辺機器が、クラウドVDI環境ですべて同じように動作するとは限りません。特定のOSや端末環境を前提としたソフトウェアでは、一部の機能が制限されたり、正常に動作しなかったりする可能性があります。
プリンターやスキャナー、ICカードリーダーなどの周辺機器についても、接続方式や製品によっては利用できない場合があります。導入後に業務へ支障が出ないよう、使用中のアプリケーションや機器を事前に洗い出し、動作検証を行っておく必要があります。
利用状況によってはコストが想定以上になる
クラウドVDIは自社でサーバーを保有する必要がない一方、利用人数や仮想マシンの性能、ストレージ容量などに応じて継続的な利用料金が発生します。利用者の増加や高性能な環境への変更によって、当初の想定より月額費用が高くなることもあります。
また、初期構築や既存環境からの移行、運用支援、セキュリティ機能などに追加費用が発生するサービスもあります。導入前には月額料金だけで判断せず、数年間の運用を想定した総コストを試算しておくことが大切です。
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失敗しないクラウドVDIの選び方
クラウドVDIはサービスごとに提供形態やサポートが異なります。自社の規模や目的に合わないものを選ぶと、費用や使い勝手で後悔しかねません。ここでは、導入で失敗しないために押さえておきたい三つの視点を紹介します。
利用形態と性能で選ぶ
クラウドVDIには、複数の利用者で基盤を共有する形態と、自社専用の環境を持つ形態があります。共有型は費用を抑えやすく、専用型は性能やカスタマイズの自由度が高い傾向にあります。自社が求めるコストと自由度のバランスから選びましょう。
あわせて、想定する業務に必要な処理性能を見極めることも重要です。一般的な事務作業か、負荷の高い専門作業かによって適した構成は変わります。利用シーンを具体的に描き、過不足のないスペックを選ぶことが満足度につながります。
サポート体制と実績を確認する
クラウドVDIは導入して終わりではなく、運用を続けるなかでトラブルや疑問が生じます。障害時にどのくらい早く対応してもらえるか、問い合わせ窓口が使いやすいかといったサポート体制は、選定の重要な判断材料です。対応時間や連絡手段を確認しましょう。
また、同業種や同規模での導入実績が豊富な事業者は、自社に近い課題への知見を持っている可能性が高いといえます。導入事例を確認し、自社の状況に近い成功例があるかを見ておくと、運用開始後の不安を減らせます。
拡張性と将来の変化に備える
事業の成長や組織変更にともない、利用人数や必要な性能は変わっていきます。あとから席数を増やしたり構成を見直したりしやすいサービスを選んでおくと、長く使い続けられます。契約時に増減の柔軟性を確認しておくことが大切です。
加えて、他のクラウドサービスやセキュリティ製品と連携できるかも将来を左右します。自社が今後導入を検討している仕組みとの相性も視野に入れて選べば、環境を大きく作り替える手間を避けられます。長期的な視点で比較しましょう。
クラウドVDIの導入・運用を支援する主なサービス
ここまで解説した選び方をふまえ、実際の業務で本格的に活用するには、具体的なサービスを比較して自社に合うものを見極める段階に進みます。以下では、クラウドVDIの導入や運用を支える代表的なサービスを紹介します。機能や支援内容を確認する際の参考にしてください。
Amazon WorkSpaces導入支援サービス
- オンプレミスと同等の強固なセキュリティを実現
- 正確なコストシミュレーション
- APNパートナーの豊富なノウハウ
株式会社TOKAIコミュニケーションズが提供する「Amazon WorkSpaces導入支援サービス」は、クラウド型仮想デスクトップ「Amazon WorkSpaces」の導入から構築後の運用までをワンストップで支援するサービスです。Active Directoryや既存ファイルサーバーとの連携、各種ソフトウェア・アプリケーションの動作確認、セキュリティ対策など、導入に必要な環境整備を幅広くサポートします。また、導入後は24時間365日対応のサポートデスクによる運用・管理やトラブル対応も利用可能です。テレワーク環境の整備や、仮想デスクトップの運用負担を軽減したい企業に適しています。
クラウドVDIソリューション (TD SYNNEX株式会社)
- 場所を選ばず使えるクラウドVDI
- データを持たない構成で情報漏えいリスクを低減。
- ユーザー数・性能を柔軟に増減できるDaaS。
Azure Virtual Desktop (日本マイクロソフト株式会社)
- Windowsのマルチセッション仮想化を多人数に低コストで提供。
- デスクトップ環境と単一アプリの配信に対応する柔軟な利用形態
- Azure管理でGW不要。運用・スケールが容易に。
クラウドデスクトップコントロール (ソフトバンク株式会社)
- 多様な端末から同一環境にアクセス。
- 閉域網でデータセンターと直結
- 認証データセンターで24時間365日監視・保守。
クラウドVDIに関するよくある質問
ここでは、クラウドVDIの導入を検討する担当者からよく寄せられる疑問をまとめました。導入期間や小規模での利用可否など、判断の前に気になりやすい点を取り上げます。あわせて確認しておきましょう。
導入までにどのくらいの期間がかかる?
クラウドVDIは、事業者が用意した基盤を利用するため、オンプレミス型に比べて短期間で始められます。小規模で標準的な構成であれば、契約から数日から数週間程度で利用を開始できる場合もあります。自社で設備を構築する必要がないためです。
ただし、既存システムとの連携や独自のセキュリティ要件がある場合は、設計や検証に時間を要します。要件が複雑なほど準備期間は長くなるため、余裕を持ったスケジュールを立て、事業者と早めに打ち合わせを進めることをおすすめします。
小規模な企業でも導入できる?
クラウドVDIは一人分の席数からでも契約できるサービスが多く、小規模な企業や部署単位での導入にも向いています。自社でサーバーを持つ必要がないため、初期投資を抑えて始められる点が中小企業にとって魅力です。まず一部の部門で試すこともできます。
少人数で始めて、効果を確認しながら段階的に対象を広げる進め方も可能です。利用人数に応じて費用が変わる料金体系のため、規模に合わせて無理なく運用できます。将来の増員を見据えて拡張しやすいサービスを選んでおくとよいでしょう。
私物端末(BYOD)でも利用できる?
クラウドVDIは端末側にデータを残さない仕組みのため、私物端末を業務に使うBYODとの相性が良いとされています。社員の私物パソコンやタブレットからでも、安全に社内と同じデスクトップへアクセスできる環境を整えやすくなります。端末調達の費用も抑えられます。
ただし、私物端末を認める際は、アクセスできる範囲や利用ルールを社内で明確に定めておく必要があります。多要素認証などの本人確認を組み合わせれば、利便性を保ちながら不正アクセスの危険を抑えた運用が可能です。
まとめ
クラウドVDIは、デスクトップ環境をクラウド上に置き、場所を選ばず安全に業務を行える仕組みです。従来型VDIより初期費用を抑えて短期間で始められ、テレワーク対応や情報漏えい対策、運用負荷の軽減といった利点があります。一方で、費用の総額やネットワーク環境、既存システムとの相性には注意が必要です。利用形態やサポート体制、拡張性を比較し、自社の規模と目的に合うサービスを選ぶことが導入成功の近道です。まずは複数の製品資料を取り寄せ、じっくり比較検討を進めましょう。

