文書電子化のメリット
文書電子化の具体的なメリットは、以下の4つが挙げられます。
- ■文書活用を効率化できる
- ■文書保管スペースが削減できる
- ■文書の共有がしやすくなる
- ■法律に対応した管理ができる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
文書活用を効率化できる
紙で文書を保管している場合は、目的の文書がすぐに見つからないと文書を探すことに時間がかかりタイムロスが発生します。文書を電子保存すると、紙で保管している場合に比べて文書検索が簡単にできるようになるため、文書活用を効率化できます。
文書保管スペースが削減できる
文書を電子保存すると、これまで紙の文書を保管していたスペースが不要になります。保管棚や倉庫など物理的な保管スペースを確保する必要がなくなり、事務所の有効活用や賃料の削減ができるでしょう。また、電子文書は劣化することがないため、保管環境の整備など管理の手間もかからなくなります。
文書の共有がしやすくなる
文書を電子保存することで社内の文書を一元管理できるようになり、文書の共有も容易になるでしょう。複数人で文書を同時編集したり閲覧したりできるため、情報共有の迅速化や業務効率化にもなります。スマートフォンやタブレットでの利用や、社外からも文書の閲覧、編集が可能であれば、より文書共有が効率化するでしょう。
法律に対応した管理ができる
文書電子化サービスは、文書を電子保存する際に関わる法律に対応しているものが多くあります。電子文書の保管を自力で行った場合、法律に準拠した状態となっていない場合もあるでしょう。また、法律の改正があった際にすぐに対応できる点も、文書電子化サービスのメリットです。
文書を電子化するときの注意点
実際に文書を電子化する際には、以下の2点に注意しましょう。
- ■電子化できる書類の種類を確認する
- ■原本を適切に管理する
それぞれの注意点について詳しく解説します。
電子化できる書類の種類を確認する
e-文書法によって、いくつかの書類の電子化が認められるようになりました。しかし、すべての書類がその対象になったわけではありません。例えば、船舶の安全手引書や免許証、許可証など、即座に確認する必要があり現物性の高い書類は対象外です。
また、仕訳帳や棚卸表、決算関係書類などの書類は、紙文書のスキャナ保存が認められていません。誤って処分してしまうことのないように厳重に保管をしましょう。
以下の記事では、e-文書法と電子帳簿保存法について詳しく解説しています。文書電子化サービスを導入する前に、関連する法律についても知りたい方はあわせてご覧ください。
原本を適切に管理する
文書電子化によってペーパーレスになり、書類を探したり整理したりする手間がなくなることは大きなメリットです。ところが、電子化した後も原本を保存しておいたほうがよいケースもあります。なぜなら、訴訟法上の証拠能力が弱くなることがあるためです。万が一の事態に備え、契約書などの重要書類は電子化した後も倉庫などに保管しておいたほうがよいでしょう。
一方、保管する必要がない書類は適切に処分しなければなりません。シュレッダーを使う方法もありますが、バインダーごと溶解処理するサービスも存在します。情報漏えいを防ぐため、確実な処理方法を選びましょう。
タイムスタンプや電子署名で信頼性を担保する
文書を電子化することによって、文書の編集がしやすくなります。しかし、「いつ」「誰が」文書を作成、編集したかが不明な場合、文書の信頼性が低くなってしまいます。タイムスタンプで文書の編集や保存、電子取引の履歴が証跡として残り、電子署名は文書の作成者を明示することが可能です。これらの機能を活用し、電子文書の信頼性と関連性を高めるとよいでしょう。
文書電子化サービス・システムのタイプ
文書電子化サービス・システムは、主に文書管理まで対応可能なものと、OCRに特化したものに大別できます。以下で詳しく解説します。
文書管理まで対応可能な文書電子化サービス
このタイプのサービス・システムは、文書を電子化するだけでなく、取り込んだデータを振り分け一元管理するのが特徴です。またデータは、キーワード検索や項目の抽出、編集、ファイル共有などがしやすい形式で保管されます。さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応した形での保存や管理が可能な製品もあります。
OCRに特化した文書電子化サービス
AI(人工知能)による最新技術を活用したOCRサービスです。AIは使うほどに学習するため精度が向上し、印字や手書き、定型/非定型などさまざまな文書を正確にデータ化できるのが特徴です。システムによっては、業務に応じて最適化された複数のOCRを搭載している場合や、OCRにプラスしてスタッフによるチェックを実施している代行サービスなどもあります。
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文書電子化サービス・システムの選び方
文書電子化サービス・システムを選ぶ際には、以下の3つのポイントに注目して検討しましょう。
- ■スキャンの品質は問題ないか
- ■セキュリティは問題ないか
- ■サービスと価格のバランスはよいか
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
スキャンの品質は問題ないか
スキャニングは、文書を電子化するうえで最も基本的な部分です。e-文書法では文書を電子保存する際に、情報の見読性の保持が義務付けられており、文字がはっきりと読めるようにしなければなりません。
スキャニングの品質は、機械の性能に依存する部分です。サービス選定時にはブックスキャナや図面スキャナなど、豊富な設備が揃っているか確認しましょう。また、読み込みのミスに対応できる体制が整っているかも重要です。品質管理や工程管理がされているか、文書情報管理士の資格保持者がいるかなどをチェックし、電子化作業が効率的に行えるサービスを選定するとよいでしょう。そのほか、スキャン実績や口コミなどの情報も比較材料になります。
セキュリティは問題ないか
文書は企業にとって重要な情報です。文書を電子保存しているため、不正アクセスなどの被害を受けた際に情報が流出しないよう、文書電子化サービスやシステムを提供するベンダーのセキュリティ体制が整っているか確認しましょう。e-文書法に準拠するうえでも、情報の機密性保持は欠かせません。具体的には、以下のような項目をチェックしましょう。
- ■プライバシーマーク
- ■ISO27001
- ■入退室管理(監視カメラの有無や認証方法など)
- ■輸送体制(独自の輸送方法が望ましい)
- ■社内教育体制(文書の扱いを徹底しているか)
サービスと価格のバランスはよいか
一口に文書電子化といっても、そのサービス内容は提供会社によって異なります。例として、以下のようなサービスがあります。
- ■企業の文書管理全体の課題に対するコンサルティング
- ■e-文書法へ準拠したサービス
- ■出張スキャニングサービス
- ■文書管理システムと一体化したシステム
このように、単に文書を電子化するだけではなく、より高度なソリューションとしてサービスを提供するベンダーも存在します。ただし、サービスが充実しているほどコストもかかるため、自社に何が必要かよく検討しましょう。
また、料金設定が適切かという基本的な部分も重要な観点です。いくつかのサービスを比較し、ほかのサービスと比べて著しく高額なものはサービス内容を確認しましょう。
文書管理まで対応可能な文書電子化サービス
さまざまな文書を電子化するだけでなく、データの一元管理まで対応し、業務をさらに効率化できるサービスを紹介します。気になる製品は緑色の「+資料請求リストに追加」ボタンでカート追加をしておき、あとでまとめて資料請求が便利です。
《invoiceAgent》のPOINT
- 用途に合わせて選べる5つのOCRエンジン
- 複数OCRで処理し認識率を高めることで確認・修正作業を自動化
- 取引書類をデータ化すると同時に保管!電子帳簿保存法にも対応!
「invoiceAgent」はウイングアーク1st株式会社が提供する文書活用ソリューションです。4種類のOCRエンジンを搭載し、書類の特徴や用途にあわせて最適なOCRを選択利用できます。また、一つの読み取り項目に対して複数OCRで処理する機能により、認識率の向上や修正作業の効率化が期待できるでしょう。タイムスタンプ付与や検索機能など電子帳簿保存法にも対応しています。
提供形態 |
オンプレミス / クラウド / パッケージソフト |
参考価格 |
クラウド:初期費用無料、月額30,000円~/OCR年間96,000画像 オンプレミス月額250,000円~/OCR500画像/時
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トライアル利用の可否 |
無料トライアル(30日間)、デモサイトあり |
《Quickスキャン V6》のPOINT
- 保存先の指定やファイルの命名が複合機のパネル操作で可能
- ファクス受信時にファイル形式・名前を自動変換
- Microsoft 365やinvox、HotProfile Liteと連携
株式会社大塚商会が提供する「Quickスキャン V6」は、複合機のスキャナー機能を活用して文書を電子化できるアプリケーションです。複合機のパネル上で、フォルダ保存や印刷の操作ができるので初心者でも簡単に文書を電子化できます。
提供形態 |
クラウド / パッケージソフト |
参考価格 |
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トライアル利用の可否 |
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※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
OCRに特化した文書電子化サービス
OCR技術に強みをもつ文書電子化サービスを紹介します。AIが手書き文字の識別や帳票などを高い精度で読み取りデータ化してくれるものや、OCR+人による代行サービスなどがあります。
《COMITX AIデータエントリー》のPOINT
- 紙に記載されている文字をスピーディ、リーズナブルにデータ化
- 大量に紙が存在し、データ入力業務が発生している企業にオススメ
- 例えば生保・損保をはじめとする金融業界、不動産、地方自治体等
株式会社InfoDeliverが提供する「COMITX AIデータエントリー」は、AI-OCRを活用したデジタルBPOサービスです。導入に必要な事前設定や導入後のメンテナンスまで、ビジネスアナリストのサポートを受けられる点が魅力でしょう。また、専門オペレーターによるチェック・修正工程もあるため、精度や品質を重視したい企業にも最適です。
提供形態 |
SaaS |
参考価格 |
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トライアル利用の可否 |
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※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《AIよみと~る》のPOINT
- トライアルの結果、導き出された読取制精度96.71%!
- 使いやすい利用者画面!簡単なマウス操作だけで、読取設定が可能
- RPAと組み合わせることで、稼働時間削減も!
東日本電信電話株式会社が提供する「AIよみとーる」はAI技術を活用したOCRサービスです。簡単なマウスの操作だけで読み取りの設定ができるため、専門知識がなくても直感的に使いこなせる点が強みです。RPAツールとの連携で担当者の入力時間を平均61.69%も削減したという調査結果もあり、従業員の負担軽減を推し進めたい企業にも役立てられるでしょう。
提供形態 |
SaaS / サービス |
参考価格 |
初期費用無料 月額33,000円~ |
トライアル利用の可否 |
有償トライアル(30日間)、デモあり |
法人向けスキャニングサービス
株式会社大塚商会の法人向けスキャニングサービスは、A4サイズ1枚5円からという低価格が魅力です。オプションで文書管理システムへの登録や、検索属性付与も実施しています。プライバシーマークを取得しているうえ、大量の原稿であっても納品がスピーディーです。
スキャニング・文書電子化
株式会社アクセアのスキャニング・文書電子化サービスは、書類をスキャンし、CD-RあるいはDVD-Rに保存して納品するサービスです。作業室にはICカードをもつ従業員しか入れず、作業は24時間録画されるなど、セキュリティ体制が整っています。
システムやサービスを活用して文書の電子化を実施しよう
紙の文書をスキャンして電子化する文書電子化サービス・システムですが、文書管理システムの機能の一部として提供されるものや、出張スキャニングサービスを行っているものなど多種多様です。サービス・システムを比較する際は、スキャンの品質やベンダーのセキュリティ体制を確認し、正確かつ安全に文書を電子化できるサービスを導入しましょう。
まずは気になる製品の資料請求をしてみて、製品について詳しく知ることがおすすめです。