ECサイト開設前に決めておく2つの前提
構築方法や費用を調べる前に、扱う商品と販売の形を固めることが先決です。ここが曖昧なままだと、開店後に機能が足りない、あるいは使わない機能に費用を払い続けるという事態を招きます。まず押さえるべき2つの前提を確認します。
何をどの規模で売るのかを先に決める
ECサイト開設の出発点は、扱う商品の点数と1年後に目指す売上規模を数字で置くことです。取扱点数が数十点で月商数十万円を目指す段階と、数千点を扱い受注が1日100件を超える段階では、必要な在庫管理や受注処理の仕組みがまったく違います。前者なら手作業でも回りますが、後者では基幹システムとの連携がなければ現場が破綻します。
あわせて、単品を都度買ってもらうのか、化粧品やサプリメントのように定期購入(サブスクリプション)で継続してもらうのかも決めておきます。定期購入はスキップや周期変更、次回配送日の管理といった専用の機能が要るため、後から追加すると作り直しに近い手戻りが生じます。売り方の型を先に決めることが、無駄な費用を防ぐ最初の分岐点です。
自社ECかモール出店かを見極める
自社でECサイトを開設する道と、楽天市場やAmazonなどのモールに出店する道は、集客の仕組みが根本的に異なります。モールは開店直後から利用者の目に触れる一方、販売手数料がかかり、顧客の情報や購買データは自社に十分蓄積されません。自社ECは集客を自力で行う必要がある反面、顧客データを自社の資産として持て、リピート施策を自由に設計できます。
実務では、認知獲得のためモールに出しつつ、リピーター向けに自社ECを開設して並行運用する企業も少なくありません。判断の目安は、商品にブランドや世界観で選ばれる要素があるかどうかです。価格比較で選ばれる商材ならモールの集客力が効きますが、ファンを育てて継続購入につなげたい商材なら、自社ECの開設を軸に据える価値が高いといえます。
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ECサイト開設の方法は4種類、費用の目安も異なる
自社ECを開設すると決めたら、次は構築方法の選択です。方法は大きくASP型、クラウドEC、パッケージ、フルスクラッチの4種類があり、初期費用は無料から数千万円までと幅があります。規模と要件で適切な選択肢は変わります。
ASP型は初期費用を抑えて最短で開店できる
ASP型は、事業者が用意したサービスをインターネット経由で借りて使う形式です。サーバーの用意やシステム開発が不要で、テンプレートを選んで商品を登録すれば数日で開店できます。初期費用が無料または数万円、月額は0円から数万円程度が目安で、これから開設する小規模事業者や個人事業主に向いています。
ただし、標準で用意された機能の範囲で運用する前提のため、独自の受注フローや自社基幹システムとの細かな連携には限界があります。売上が伸びて要件が複雑になった段階で、上位のサービスへ移行する前提で使うのが現実的です。無料プランは決済手数料が高めに設定されている場合があるため、月商を試算して総額で比較してください。
クラウドEC・パッケージ・フルスクラッチは要件で選ぶ
残る3種類は、いずれも中堅以上の規模を想定した選択肢です。(1)クラウドECは、事業者側で継続的に機能が更新されるサービスをカスタマイズしながら使う形式で、初期費用は数百万円前後、更新対応を任せられる点が利点です。(2)パッケージは製品を購入して自社の要件にあわせて作り込む形式で、初期費用は数百万円から一千万円超、自由度は高いものの改修は自社負担になります。
(3)フルスクラッチは一から開発する方式で、初期費用は数千万円規模、独自の販売モデルを持つ大企業向けです。ここまでを整理すると、ASP型は小規模、クラウドECは中堅、パッケージとフルスクラッチは大規模という住み分けです。開設時点の規模だけでなく、3年後にどこまで伸ばすかを見て選ぶと、移行の手間を避けられます。
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開店前に済ませる手続きと法律面の準備
ECサイト開設で見落とされがちなのが、システム以外の準備です。法律で定められた表示や決済の申し込みは、開店日の直前に着手すると間に合いません。ここでは開店前に必ず済ませておく項目を挙げます。
特定商取引法に基づく表記は開店前に用意する
通信販売を行う事業者には、特定商取引法によって事業者名や所在地、連絡先、販売価格、送料、支払方法、引渡し時期、返品の条件などを表示する義務があります。これらをまとめた「特定商取引法に基づく表記」のページは、開店と同時に公開されている状態が必要です。返品の可否と期限を明記しない場合、購入者は商品到着後8日以内であれば送料負担のうえ返品できる扱いとなります。
あわせて、購入者から氏名や住所を預かる以上、個人情報の利用目的を示すプライバシーポリシーも用意します。利用規約とあわせて、開店の2週間ほど前には文面を固めておくと安心です。文面は自社の運用実態と一致させることが大切で、実際には対応していない返品条件を書いてしまうと、後々のトラブルにつながります。
決済手段は審査期間を見込んで早めに申し込む
クレジットカード決済を導入するには、決済代行会社を通じた加盟店審査を通過する必要があります。審査には申し込みから2週間から1か月程度かかることが一般的で、扱う商材や事業の実態によってはさらに時間を要します。開店日が決まっているなら、サイト制作と並行して1か月以上前には申し込みを始めてください。
用意する決済手段は、クレジットカードに加えてコンビニ払い、代金引換、キャリア決済、各種スマホ決済などがあります。手段が少ないと購入直前の離脱を招きますが、増やすほど手数料と管理の手間が積み上がります。まずはクレジットカードと後払い系を軸に据え、購入者層にあわせて追加していく進め方が無理のない形です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でECサイト構築の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
ECサイト開設の実作業を5ステップで進める
ECサイトの開設準備が整ったら、構築から公開までの作業を順番に進めます。担当者と期限を工程ごとに決めておくと、作業の抜け漏れや開店日の遅延を防ぎやすくなります。
1.構築サービスを契約し、初期設定を行う
まず、利用するECサイト構築サービスを契約し、ショップ名やURL、運営会社情報などの基本項目を設定します。独自ドメインを使う場合は、取得や接続の設定もこの段階で進めます。
2.商品情報と写真を準備する
商品名、価格、説明文、サイズ、素材、在庫数など、販売に必要な情報を整理します。商品写真は正面や側面、使用イメージ、質感が伝わる写真など、複数の角度から用意すると購入者が判断しやすくなります。
商品数が多いほど準備に時間がかかるため、登録用のフォーマットを決めておくと効率的です。商品点数が多い場合は、CSVによる一括登録に対応しているかも確認しましょう。
3.デザインと購入導線を整える
トップページや商品一覧、商品詳細ページなどのデザインを設定します。見た目にこだわりすぎるのではなく、目的の商品を見つけやすく、カートから購入完了まで迷わず進める構成を優先しましょう。
4.決済・配送設定を行い、テスト注文する
クレジットカードや銀行振込などの決済方法、送料、配送地域、配送日数を設定します。設定後は実際にテスト注文を行い、注文金額や送料の計算、確認メール、在庫数の更新などが正しく動作するか確認してください。
5.サイトを公開し、改善を続ける
最終確認が終わったらECサイトを公開します。公開後はアクセス数や離脱率、カート投入率、購入率などを確認し、売れにくいページや購入途中で離脱している箇所を改善しましょう。ECサイトは開設して終わりではなく、運用しながら継続的に改善することが重要です。
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ECサイト構築サービスを選ぶ際のポイント
ECサイト構築サービスを比較する際は、料金や機能だけでなく、開設後の運用負担や将来の拡張性まで確認することが重要です。ここでは、特に押さえておきたい2つのポイントを解説します。
開設後にかかる運用工数から逆算する
比較の際は月額料金に目が行きがちですが、実際の負担を左右するのは運用工数です。受注データを手作業で基幹システムに転記している、在庫数をモールと自社ECで二重に更新している、といった状態は、売上が伸びるほど人件費として跳ね返ります。1件あたりの処理時間に想定件数を掛ければ、必要な工数は概算できます。
また、開設直後は運用のノウハウが社内にないため、サポート体制の内容も比較材料です。電話やメールでの問い合わせ対応に加え、開店前の設定支援や運用の勉強会を提供するサービスもあります。月額が数千円安いことより、立ち上げ期に相談できる相手がいることのほうが、結果として効いてくる場面が多くあります。
将来の拡張性と外部システム連携を確認する
もう1つの視点は、3年後の要件に耐えられるかどうかです。定期購入への対応、会員ランクやポイントの設計、モールとの在庫連携、実店舗を持つなら店舗在庫との統合など、伸ばす方向が決まっているなら、その機能が標準で用意されているか、追加開発が要るのかを確認します。後から作り直す費用は、最初から備えたサービスを選ぶより高くつきます。
外部システム連携では、自社で使っている基幹システムや倉庫管理システムとつなげられるかを、具体的な製品名を挙げて確認してください。API(システム同士をつなぐ仕組み)が公開されているかどうかも判断材料です。資料請求の段階で、自社の連携要件を伝えて可否を確認しておくと、導入後の想定外を減らせます。
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ECサイト開設に使える構築サービス
ここでは、これからECサイトを開設する企業が検討しやすい構築サービスを紹介します。自社の規模と扱う商材にあわせて、資料を取り寄せて比較してください。
futureshop
- エンジニアでなくてもドラッグ&ドロップで簡単に導線設計が可能
- 5店舗に1店舗は年商1億円超、実績に裏付けられたECカート
- EC運営の不安や疑問を解消するサポートとラーニングプログラム
株式会社フューチャーショップが提供する「futureshop」は、自社ECサイトの構築から運用までを支援するSaaS型ECサイト構築プラットフォームです。高いデザイン自由度に加え、販売促進やCRM、決済、データ分析などEC運営に必要な機能を豊富に搭載。外部システムとの連携にも対応しており、ブランドの世界観を活かした自社ECを構築・成長させたい企業におすすめです。
ecbeing
- 豊富な実績と、最新のAI技術を融合させたノウハウ
- 準機能の充実とビジネスモデルに合わせたカスタマイズ性と拡張性
- サイト構築からマーケティング、セキュリティまで一気通貫の支援
株式会社ecbeingが提供する「ecbeing」は、中堅・大手企業向けのECサイト構築プラットフォームです。BtoC・BtoBをはじめ幅広いECサイトの構築に対応し、基幹システムとの連携や独自機能のカスタマイズも柔軟に行えます。商品・受注・顧客管理のほか、CRMやレコメンドなどのマーケティング機能も備えており、本格的なEC事業を展開したい企業に適しています。
アラジンEC
- 5000社以上のBtoBノウハウでさまざまな業種・業態に対応
- 豊富な標準機能、貴社の業務に合わせた柔軟なカスタマイズ機能
- 基幹システムのユーザーの声から生まれた、使いやすい操作画面
株式会社アイルが提供する「アラジンEC」は、企業間取引に特化したBtoB EC・Web受発注システムです。取引先ごとの商品や価格設定、掛売、注文ロット、見積書作成など、BtoB特有の商習慣に対応したECサイトを構築できます。基幹システムとの連携にも対応しており、電話やFAXによる受注業務をWeb化して効率化したい企業に適しています。
W2 Commerce
- AIを組み込んだ1,000以上の機能が標準搭載
- 自由に追加できる拡張プラグイン群
- 大規模なカスタマイズにも対応
W2株式会社が提供する「W2 Commerce」は、多彩な機能と高い拡張性を備えたECサイト構築プラットフォームです。売上向上や顧客管理、業務効率化に役立つ1,000以上の機能を備え、大規模なカスタマイズにも対応。事業フェーズに応じて柔軟に機能を拡張できるため、BtoCやD2Cなど本格的なECサイトを構築し、長期的に成長させたい企業におすすめです。
eltexDC
- EC・通販(B2C/B2B取引)の事業拡大を支える統合システム
- EC機能とコンタクトセンターの受注機能をデュアルで標準装備
- 受注・在庫・顧客データを一元管理!素早く必要な情報にアクセス
株式会社エルテックスが提供する「eltexDC」は、通販業務とECサイトを一体化できる通販・EC統合パッケージです。カートやマイページなどのECフロントから、受注・在庫・顧客管理まで幅広い機能を標準搭載。定期購入にも対応し、販売形態や事業ニーズにあわせたカスタマイズも可能です。ECと通販業務をまとめて構築・刷新したい企業に適しています。
メルカート
- データ統合とAIがもたらす圧倒的な売上成長
- AIによる自動化とシステム連携で運用を省力化
- 事故ゼロ件の堅牢なセキュリティ基盤が、安全なAI活用を支える
株式会社メルカートが提供する「メルカート」は、中堅・成長企業向けの国産クラウド型ECプラットフォームです。ノーコードCMSを搭載し、総合通販や定期通販、単品通販などさまざまな販売スタイルのECサイトを構築できます。データ統合やAIレコメンド、外部システムとのAPI連携にも対応しており、ECサイトの開設から売上拡大まで継続的に取り組みたい企業におすすめです。
STORES (STORES株式会社)
- 2025年秋に新機能公開予定。
- 月額0円で利用できるフリープランあり
- 複数サービスをまとめて利用できるお得なセットプラン
まとめ
ECサイト開設は、扱う商品と目指す規模を決めるところから始まります。構築方法はASP型、クラウドEC、パッケージ、フルスクラッチの4種類があり、小規模ならASP型、中堅以上ならクラウドEC以上が目安です。特定商取引法に基づく表記の用意と決済の加盟店審査は時間がかかるため、開店の1か月以上前から着手してください。実作業は契約と初期設定、商品情報の準備、デザイン設定、テスト注文、公開の5ステップで進みます。開設後の運用工数と将来の拡張性まで含めて、複数のサービスを比較検討することをおすすめします。

