電子帳簿保存法改正による帳票電子化のメリット
情報システムの進展・普及によってオフィスのペーパーレス化はどんどん進んできています。しかし、一方で紙の文書での保存が法律で義務付けられており、その保存期間も7年間、または10年間と長期間にわたります。そのため多くのコストと無駄が生じています。
このような状況に、経済界の要望もあって紙での保存が義務づけられていた帳簿書類が、「電子帳簿保存法」の改正で、どんどん緩和されてきています。「電子帳簿保存法」の改正の内容、帳票電子化のメリット、その結果として、さらにオフィスでのペーパーレス化が進展するのかを見ていきたいと思います。
電子帳簿保存法とは? その概要について

電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿書類を、税務署などの承認を条件に電子データとして保存できることを認める法律です。
情報化の進展や規制緩和などを背景に、国税関係の帳簿書類の保存にかかるコストや手間の負担軽減を図るため、1998年7月から施行されています。
この法律では、紙の書類をスキャナで記録して保存できますが、スキャナで電子保存をするには、スキャナで保存開始する3カ月前までに税務署へ申請が必要です。
また、スキャナは解像度200dpi以上の機種で、電子署名を付けた保存が必要です。カラーディスプレイまたはカラープリンターも必要になります。なお、スキャナはハンドスキャナやデジタルカメラは利用できず読み取り台のある機種が必要です。
電子帳簿保存法の改正 平成27年度税制改正のポイント
これまでの電子帳簿保存法では、以下の電子保存が可能でした。帳簿、決算関係書類、その他証ひょう類で最初から電子データで作成されたもの。なお、紙で作成された帳簿、決算関係書類、記載金額3万円以上のその他証ひょう類は、スキャナ保存は不可でした。
平成27年度税制改正大綱の閣議決定で、平成27年9月30日以後の承認申請から、スキャナ保存に関して大幅な規制緩和が実現されることになりました。緩和される内容は次の通りです。
- 3万円以上の領収書などの証票類はスキャナ保存が不可だったが、一定の要件を条件に緩和
- 業務処理後にスキャナ保存を行う場合に必要とされていた電子保存の承認要件を廃止
- スキャナで読み取る際に必要とされている入力者などの電子署名を一定の要件を条件に廃止
- スキャナで読み取る際の大きさカラー保存要件を見直し緩和
今後、これらの規制緩和により、いっそうの電子化が促進すると考えられます。
出典:国税庁「電子帳簿保存法Q&A」 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/dennshichobo/jirei/07_2.htm
※電子帳簿保存法 2015年9月30日施行
帳票電子化の4つのメリット

-
1.企業で打ち出す帳簿類の紙などのコスト削減メリット
-
帳票の電子化保存で帳票出力にかかるコストを削減できます。帳票を関連部門に配布するために必要となる大量に用紙代が不要になります。また、出力に使用するプリンタ関連のコストも削減できます。世界的な環境保護運動にも貢献します。
-
2.保存のためのコストと労力の削減メリット
-
紙で保存しなければならないときは、保存スペースのためのコストと整理してファイリングする労力が多く必要になります。スキャナ保存して電子化すれば、保存スペースは紙に比べれば、ほぼゼロと言ってよいほどで大幅な縮小とコストダウンができます。
また、ファイリングの手間にかかる人件費も電子化でコストダウンできます。さらに、付加的なメリットとして、紙での保管場所が社内であれば、そのスペースが不要になることで有効活用ができるようになります。
-
3.書類を探す手間と時間の短縮メリット
-
紙で保存しているときも、整理したファイリングをすることである程度、書類を探しやすくできます。しかし、データとして保存できると、その検索スピードは人間が到底およばない速度で検索できるので大幅な時間短縮ができます。また、保存場所まで移動しなくてもよいので、効率のよい楽な検索ができます。
-
4.顧客満足度の向上のメリット
-
帳票が電子化されていると、顧客からの問い合わせに対し必要な書類を探してから回答する場合、回答までの時間短縮など顧客対応があがり顧客満足度を上げられます。
電子帳簿保存法改正でのペーパーレス化の進展
平成27年度の税制改正案は時代の流れや経済界の要望もあるので実現すると考えられます。今まで電子保存が認められていなかった3万円以下の領収書が圧倒的に多いことなどを考えるとその効果は非常に高くなります。従来の電子化保存するために必要であった条件緩和も行われ、企業における帳簿書類関係の電子化がよりいっそう早く進んでいくことでしょう。
是非この機会に帳票電子化ツールを検討されることをおすすめします。