電子カルテの市場規模
電子カルテ市場は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れを受けて、近年顕著な成長を遂げています。株式会社グローバルインフォメーションが公開したレポートによると、以下のように報告されています。
電子カルテ市場は、2021年に271億1,289万米ドルとなり、予測期間中に6.88%のCAGRで成長しています。
参考:電子カルテ市場- 成長、動向、予測(2023年-2028年)|株式会社グローバルインフォメーション
また、注目すべきは市場の成長率です。同調査の予測によると、2021年から2028年にかけて年平均成長率(CAGR)は6.88%に達する見込みです。この成長は、世界中のヘルスケアシステムが直面する複雑な課題、特に新型コロナウイルス感染症の影響を受けていることに起因します。
電子カルテシステムは、患者の治療履歴や医療情報の管理を効率化する重要なツールであり、医療サービスの品質向上に寄与するものです。電子カルテ市場の成長は、技術進歩と医療業界のニーズの両方に根ざしており、今後もこの傾向は続くと考えられます。
日本国内の電子カルテの動向予測
日本国内の電子カルテの普及率は年々高まっており、特にクラウド型電子カルテへの移行が進んでいます。日本国内の電子カルテ普及率は、諸外国に比べまだ低い水準であるため、今後さらなる伸びが期待されるでしょう。
クラウド型電子カルテの普及が進む背景には、いくつかの要因があります。まず、クラウド型はオンプレミス型に比べて初期投資や運用コストが低いため、特に中小規模の医療機関にとって導入のメリットがあることです。
また、クラウド型は遠隔地からのアクセスが容易であり、地域医療連携や地域包括ケアの推進にも貢献していることも要因のひとつといえます。
電子カルテは地域医療システムを支える存在としても、注目を集めています。電子カルテによるIT技術を駆使した地域包括ケアシステムを構築することで、医師や看護師、薬剤師、介護福祉士など多職種が協力して患者情報を共有できるでしょう。
実際に地域包括ケアシステムは、高齢化の進行や在宅医療・介護の需要増に対応し、中核病院や診療所、訪問看護ステーションなどが連携することで市場拡大が進んでいます。運用コストやインフラ整備の課題が導入の障壁となることがあるため、厚生労働省は施策や報酬制度の見直しを進めており、今後は導入が容易になり、普及の加速が期待されます。
効率化や地域医療との連携が求められる時代において、電子カルテへの移行は避けられないといえるでしょう。
ITトレンドにおける電子カルテの動向
ITトレンドで電子カルテを検討され、資料請求をされた方の統計をまとめました。
資料請求された方のうち、従業員規模では10名未満の方が41,3%、10名以上50名未満の方が31.4%を占めており、全体の73%は中小企業の方が導入を検討していることがわかっています。
また、導入を検討されている方のうち、全体の33%が3か月以内に導入したいとのデータがあり、多くの方はまずは資料請求をしてから導入を検討されているようです。
電子カルテにもさまざまな種類があり、病院の規模や必要システムによって導入電子カルテは異なります。「自社で導入した場合の変化が想像できない」という場合でも、資料を参考にすることでイメージがふくらみやすくなる可能性もあります。まずはツールの資料を請求してみましょう。
電子カルテの種類
ここからは、電子カルテの3つの種類について詳しく解説します。電子カルテといっても、導入する目的や病院・診療所の規模によって最適なソリューションは異なります。ぜひ参考にしてください。
- ●病院向け
- ●診療所向け
- ●訪問介護・在宅医療向け
病院向け
病院向け電子カルテの特徴は、多職種連携システムとの組み合わせが可能なことです。医師、看護師、薬剤師などさまざまな医療従事者間の情報共有がスムーズになり、患者ケアの質の向上が期待できます。
また、患者の診療履歴や検査結果、薬剤情報などを一元的に管理するため、診療の効率化や医療ミスの削減にもつながります。
診療所向け
小規模な診療所では、低価格で導入しやすいクラウド型が主流になりつつあります。さらに規模が大きい病院向けと同様に、多職種システムと連携できる電子カルテもあるため、小規模診療所であっても地域の医療サービスとの連携が可能です。
訪問介護・在宅医療向け
電子カルテを導入することで、訪問介護や在宅医療をより効率化します。医療従事者は患者の健康状態や治療履歴に、迅速かつ簡単にアクセスできるようになり、よりよい医療サービスの提供が可能です。
また、電子カルテは医療情報の正確性と一貫性を保ち、医療ミスのリスクを減らすことにもつながります。
電子カルテ「オンプレミス型」と「クラウド型」の違い
電子カルテの製品形態は、大きく分けてオンプレミス型とクラウド型の2つです。ここでは、オンプレミス型とクラウド型それぞれの概要や特徴を解説します。導入および運用のしやすさ、コストを検討する際は参考にしてください。
オンプレミス型
オンプレミス型電子カルテとは、医療機関が自身のパソコンやサーバーに電子カルテシステムをインストールして運用するタイプです。医療機関が自由にサーバーやネットワークを設定できる、カスタマイズ性の高さがオンプレミス型の最大のメリットといえます。
優れたカスタマイズ性により、特定の医療機関のニーズに合わせたシステム構築が可能です。しかし、オンプレミス型にはいくつかのデメリットも存在します。まず、医療機関はシステムを運用するためのハードウェアを自前で用意し、維持する必要があります。
これは、特に小規模な医療機関にとっては大きな初期投資です。また、システムの運用やメンテナンス、セキュリティ対策なども医療機関自身で行う必要があり、専門知識が求められるため注意が必要です。
クラウド型
クラウド型電子カルテとは、医療機関がインターネットを介してメーカーが提供するサービスを利用する形式です。クラウド型の大きなメリットは、医療機関が自前でサーバーやネットワークの設備を用意する必要がないことです。初期投資や保守管理のコストが大幅に削減され、特に中小規模の医療機関にとっては導入しやすい選択肢となります。
クラウド型電子カルテのもう一つのメリットは、インターネット経由でどこからでもカルテの閲覧や更新が可能であることです。医療従事者は外出先や自宅からも患者情報にアクセスでき、柔軟な医療サービスの提供が可能になります。
一方で、クラウド型電子カルテにはいくつかのデメリットもあります。システムの運用に関して自由度が限られることや、サービス提供者側のトラブルによってシステムが突然利用できなくなるリスクがある点です。何よりインターネットが遮断されてしまうと、サービス自体に問題がなくても利用できなくなることがあります。
また、データのセキュリティやプライバシーの管理に関して、サービス提供者に依存する形となるため、その点における懸念も考慮する必要があるでしょう。
電子カルテの市場規模は拡大中!早めの導入を検討しよう
電子カルテの市場規模は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れのなかで年々拡大しています。医療業界において、効率化と患者ケアの質の向上のために電子カルテの導入は避けられないといえるでしょう。
市場の成長と共に、クラウド型やオンプレミス型など、さまざまなタイプの電子カルテが提供されています。それぞれの医療機関のニーズに応じて、最適な電子カルテシステムを選択することが重要です。自院に合ったシステムを見つけるため、まずは資料請求してみてはいかがでしょうか。