ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■電子カルテの導入状況別
- 紙カルテから初めて導入する:電子カルテシステムER、ウェブカルテⅡ
- 既存の電子カルテを更新する:ウェブカルテⅡ
- ■重視したい目的別
- 他施設・介護施設との情報連携:Medicom-CKⅡ、電子カルテシステムER、ウェブカルテⅡ
- 多職種での記録の共有:Medicom-CKⅡ、DS KARTE、電子カルテシステムER、ウェブカルテⅡ
- 記録業務の負担軽減:Medicom-CKⅡ、DS KARTE、電子カルテシステムER、ウェブカルテⅡ
- 診療支援・専門機能の充実:DS KARTE、Web型電子カルテシステム
中小病院の電子カルテ普及の現状
電子カルテの必要性を考える前に、中小病院でどの程度導入が進んでいるかを確認しておきましょう。厚生労働省の医療施設調査では、病床の規模によって普及率に差があることが示されています。
病床規模で差がある普及率
厚生労働省の医療施設調査によると、2023年(令和5年)の一般病院の電子カルテ普及率は、400床以上で93.7%、200~399床で79.2%、200床未満で59.0%でした。200床未満の病院は2020年(令和2年)の48.8%から上昇しましたが、規模の大きな病院との差は残っています。
同じ調査で、検査や処方の指示を電子的に伝えるオーダリングシステムの普及率は、200床未満の病院で61.2%です。オーダリングシステムだけを使い、記録は紙で残している病院もあると考えられます。
中小病院で導入が進みにくかった背景
中小病院で導入が進みにくかった背景には、複数の要因が考えられます。初期費用や保守費の負担に加え、検査や放射線などの部門システムとの連携、院内に情報システムの担当者を置きにくいことも、検討が先送りされる要因となることがあります。
厚生労働省の資料では、病院向けにクラウド型の電子カルテを提供している事業者は現状では限られていると示されています。こうした状況を踏まえ、国は中小病院でも導入しやすい電子カルテの普及に向けた検討を進めています。
国の方針から見た中小病院向け電子カルテの必要性
中小病院向け電子カルテの必要性が高まっている大きな理由は、国の医療DXの方針です。電子カルテの普及に関する目標や、医療機関の間で情報を共有する仕組みづくりが進められています。
2030年に向けた普及の目標
2023年6月、医療DX推進本部は「医療DXの推進に関する工程表」を決定しました。この工程表では、遅くとも2030年には概ねすべての医療機関で、患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すとされています。
厚生労働省の資料によると、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律にも関連する規定があります。2030年(令和12年)12月31日までに、電子カルテの普及率を約100%とすることを目指す内容です。中小病院も、この目標の対象に含まれます。
参考:地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律|厚生労働省
電子カルテ情報共有サービスへの対応
電子カルテ情報共有サービスは、患者の同意のもとで、医療機関の間で診療情報を共有する国の仕組みです。共有する情報は、診療情報提供書や退院時サマリー、健康診断結果報告書の3文書と、傷病名やアレルギー、検査、処方などの6情報です。
2025年2月から一部の医療機関でモデル事業が始まり、本格的な運用に向けた準備が進められています。このサービスを使うには、対応した電子カルテが必要です。最新の状況は厚生労働省の公式情報で確認しましょう。
中小病院向けの標準仕様と認証制度
国は、カスタマイズによって高コストになりやすい従来のオンプレミス型から、クラウド型電子カルテへの移行を進める方針です。2026年3月には、中小病院向け電子カルテの標準仕様(基本要件)1.0版を公開しました。医療DXサービスへの対応やクラウド型システムの構成、データの引き継ぎなどに関する要件が示されています。
また、標準仕様への適合状況を評価する認証制度も整備され、2026年11月から申請受付が始まる予定です。導入や更新の際は、製品の標準仕様への対応状況や認証制度の動向も確認しておきましょう。
参考:電子カルテ及びレセプトコンピュータ標準仕様(基本要件)|厚生労働省
院内の業務から見た電子カルテの必要性
電子カルテの必要性は、国の方針だけで決まるものではありません。中小病院の日々の業務においても、少ない人員で質の高い診療を続けるために、電子カルテが果たせる役割があります。
多職種で同じ記録を同時に見られる
中小病院では、医師や看護師、薬剤師、リハビリテーションのスタッフなど、多職種が1人の患者に関わります。紙カルテでは1冊を複数の職員が同時に見ることができず、カルテを探したり回したりする手間が生じます。
電子カルテであれば、病棟や外来、各部門の端末から同じ記録を同時に確認できます。指示や経過の情報がすぐに共有されるため、職種間の連絡の行き違いを減らすことにもつながります。
医師の働き方改革に備えられる
2024年4月から、医師にも時間外労働の上限規制が適用されています。中小病院では医師の人数が限られるため、診療以外の業務にかかる時間をどう減らすかが課題となっています。
電子カルテでは、定型文の入力や、過去の記録の引用、紹介状などの文書作成を補助する機能を活用できる場合があります。記録業務の負担を減らす仕組みがどこまで備わっているかは製品によって異なるため、導入の際に確認しましょう。
読み間違いや転記の手間を減らせる
手書きの記録は、書いた人によっては判読に時間がかかり、読み間違いが起きる可能性もあります。処方や検査の指示を別の伝票に書き写す作業では、転記の誤りが生じるおそれもあります。
電子カルテを使えば、記録が文字として残るため判読の手間がなくなります。オーダリングの機能と組み合わせれば、指示を書き写す作業を減らせるため、確認にかけていた時間を患者への対応に回せる可能性があります。
紙カルテのまま運用を続ける場合の課題
紙カルテでの運用にも、停電時に記録を確認できるといった利点はあります。一方で、これから先も紙のまま続ける場合には、次のような課題が残ることを把握しておきましょう。
保管場所と過去の記録の検索
紙カルテは、診療を重ねるほど広い保管場所を必要とします。病院の診療録は法令で一定期間の保存が定められているため、カルテ庫の確保や、外部の保管倉庫の費用が負担となる場合があります。
また、過去の記録を探す際に、カルテ庫から取り出す手間がかかります。再来院した患者の以前の経過を確認したい場面や、医療安全の点検で記録をさかのぼりたい場面では、検索に時間がかかる点が課題です。
災害で診療情報が失われるおそれ
紙カルテは、火災や水害で失われると元に戻すことができません。院内にしか記録がない場合、災害後に患者の既往歴や処方の内容を確認できなくなるおそれがあります。
電子カルテでも、院外へのバックアップがなければ同じ課題が残ります。電子カルテを検討する際は、データの保管場所やバックアップの方法も確認しておくことが、災害への備えとして重要です。
地域の医療機関とのやり取り
中小病院は、地域の診療所や大病院、介護施設との間で患者の紹介や受け入れを担うことがあります。紙の紹介状や検査結果のやり取りでは、郵送や手渡しの時間がかかり、受け取った情報を自院の記録に転記する作業も発生します。
電子カルテ情報共有サービスや地域の医療連携ネットワークを活用するには、電子的に情報を扱える環境が前提です。紙のままでは、地域で情報共有の仕組みが広がっても参加しにくくなる可能性があります。
自院の電子カルテの必要性を判断する進め方
電子カルテの必要性は、病院の規模や機能、すでに使っているシステムによって異なります。自院の状況を整理し、導入や更新の優先度を判断するための進め方を紹介します。
記録や指示が伝わる流れの棚卸し
まず、外来と病棟、各部門で、記録や指示がどのように伝わっているかを書き出します。紙で運用している部分、オーダリングシステムで運用している部分、部門システムで運用している部分を分けて整理しましょう。
転記が多い業務や、情報を探すのに時間がかかっている業務が、電子カルテで改善できる候補です。現場の職員から困っている点を聞き取ると、導入の目的と優先順位をはっきりさせやすくなります。
導入済みの病院は更新時期を確認
すでに電子カルテを導入している病院も、必要性の確認は欠かせません。国の方針では、すでに導入している医療機関は、次回のシステム更新時に電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋への対応を進めることが示されています。
現在の電子カルテの保守期限やサーバーの更新時期を確認し、その時期にあわせて対応方針を検討しましょう。更新の時期は、オンプレミス型を続けるか、クラウド型へ移るかを見直す機会でもあります。
セキュリティ体制もあわせた検討
2023年4月施行の改正医療法施行規則により、病院の管理者にはサイバーセキュリティを確保するための措置が求められています。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、2026年6月に第7.0版が公表されました。
電子カルテを導入する際は、システムそのものに加えて、院内の運用体制や保守事業者との役割分担も検討する必要があります。院内で判断が難しい点は、事業者や外部の専門家に相談しながら進めましょう。
参考:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版|厚生労働省
中小病院が比べたい電子カルテの特徴一覧
紙カルテからの切り替えや多職種での記録共有といった必要性に応える、中小規模の病院を対象とした電子カルテの特徴を一覧にまとめました。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| Medicom-CKⅡ | 一般・療養型の中小規模病院向けWeb型電子カルテ。治療経過の一覧表示やバイタルの一括入力、看護必要度・ADL管理に対応 |
| ウェブカルテⅡ | 複数スタッフによるカルテの同時参照や看護支援、部門システムとの連携に対応。バックアップサーバーを標準構成に含む |
| DS KARTE | 200床以下の中小規模病院向け。文書管理やPメール、統合チャートを備え、リハビリ・透析機能も一体化 |
| 電子カルテシステムER | 中小規模病院や介護医療院向け。紙カルテに近い画面構成を採用し、介護・福祉施設との情報連携にも対応 |
| Web型電子カルテシステム | 自社開発の総合医療情報システム「PlusUsシリーズ」の中核。医師の業務フローを支援する診療支援機能と専門機能を搭載 |
必要性を踏まえて選ぶ中小病院向け電子カルテ
病院内の記録や指示の流れを整えたい中小病院に向けて、運用のしやすさや他施設との連携といった強みの異なる電子カルテを紹介します。
Medicom-CKⅡ
- シンプルで使いやすい操作性。中小規模病院に特化した機能性
- チーム医療に必要な機能を搭載!環境に合わせた使い方を実現
- Web型電子カルテなので、離れた場所でも情報共有が可能
ウィーメックス株式会社が提供する「Medicom-CKⅡ」は、一般・療養型の中小規模病院に向けたWeb型電子カルテシステムです。患者の病名や治療経過を年表形式で表示するライフビューを備え、過去の診療情報を一画面で確認できます。バイタルや食事などの情報を一括入力でき、看護必要度・医療区分・ADLの管理にも対応。帳票やカルテ記載の文例が標準でパッケージ化されているため、導入時の準備負担を抑えられます。また、PCやタブレット、スマートフォンから利用でき、院外での情報確認にも対応します。院外利用には、厚生労働省のガイドラインに準拠したセキュアな環境が必要です。
DS KARTE (大新技研株式会社)
- 文書の作成から管理まで全て解決できるシステム!
- 職員間の情報共有に最適なPメール機能を搭載!
- 一画面でまとめて確認できる統合チャート機能!
電子カルテシステムER (株式会社ワイズマン)
- 複数の医師やスタッフが適時、情報チェックできる!
- 受付や診療がスムーズに進行し待ち時間の短縮に繋がる!
- オーダーや他部門の記録を引用できて転記作業が軽減!
Web型電子カルテシステム (ソフトマックス株式会社)
- 自社開発の総合医療情報システムの中核
- 医師の業務フローを支援する診療支援機能
- 多様な医療現場に適応する専門機能群を搭載
まとめ
中小病院向け電子カルテの必要性は、遅くとも2030年に概ねすべての医療機関での導入を目指す国の方針にあります。院内でも、電子カルテ情報共有サービスへの対応や多職種の記録共有、医師の働き方改革への対応に役立ちます。
200床未満の病院の普及率は59.0%で、大規模病院との差は残っています。自院の記録の流れや更新時期を整理し、中小病院向けの電子カルテを比較検討する際の参考にしてください。

