ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■自院での拡張方法別
- テンプレート・帳票の活用:Medicom-CKⅡ、blanc、DS KARTE
- 部門システム・API連携:ウェブカルテⅡ、blanc、i-MEDIC Plus++、MALL、電子カルテシステムER
- 集計・分析用のデータ出力:Medicom-CKⅡ、HOPELifeMark-MX、DS KARTE
- 設定項目・カスタマイズの柔軟さ:i-MEDIC Plus++、MALL、電子カルテシステムER
- ■保守の任せ方別
- クラウド型:Medicom-CKⅡ、blanc、DS KARTE、HOPECloudChartⅡ
- オンプレミス型も選べる:ウェブカルテⅡ、i-MEDIC Plus++、Web型電子カルテシステム、MALL、電子カルテシステムER、HOPELifeMark-MX
中小病院で電子カルテ内製を判断する基準
内製を検討する中小病院は、既存製品への不満や更新費用の負担など、何らかのきっかけを抱えている場合があります。判断を誤らないために、きっかけの整理、保守を続けられるかの見極め、内製する範囲の切り分けという3つの順で考えましょう。
内製を検討するきっかけを整理する
まず、なぜ内製を考えたのかを言葉にしておきましょう。例えば、更新時の見積もりが予算を超えた、現場の要望が製品に反映されない、他院の事例を見て自院でも作れそうだと感じた、といったきっかけが考えられます。
きっかけによって、取るべき対策は変わります。費用が課題であれば、クラウド型への切り替えや機能の絞り込みで解決できる場合があります。現場の要望が課題であれば、テンプレートの自作や周辺ツールの内製で足りることもあります。課題を整理すると、内製以外の選択肢も見えてきます。院長や事務長など、予算を判断する立場の人とも早い段階で共有しておきましょう。
自院で保守を続けられるか見極める
内製の可否は、作れるかどうかより、作った後に保守を続けられるかで判断することが大切です。電子カルテは毎日の診療で使われるため、不具合が起きれば診療に影響します。
中小病院では、情報システムの担当者が1人であったり、医事課や総務の職員が兼務していたりする場合があります。夜間や休日に障害が起きた際に誰が対応するのか、担当者が不在の日はどうするのかを具体的に想定しましょう。対応できる体制を描けない場合は、カルテ本体の内製は避けたほうが無難です。
内製が向く範囲と向かない範囲を分ける
中小病院で内製が向くのは、病棟のベッド調整表や院内の申請、委員会の集計など、診療録以外の業務で使うツールです。止まっても代わりの手段で業務を続けやすく、改修の影響も院内にとどまります。
一方、診療録の記載、オーダー、医事会計との連携など、制度対応や他システムとの接続が多い部分は内製に向きません。電子保存の三原則である真正性・見読性・保存性を満たし続ける必要もあるためです。範囲を線引きして院内で合意しておくと、内製が広がりすぎるのを防げます。
中小病院が電子カルテ内製で抱えやすい負担
内製の負担は、開発時よりも稼働後に表面化する場合があります。人員に余裕が少ない中小病院では、担当者への負担集中、更新時のデータ移行、障害時の復旧という3つの負担を事前に見込んでおくことが重要です。
兼務の担当者に集中する開発と保守
内製したシステムの開発と保守は、特定の担当者に集中しやすい点に注意が必要です。兼務の担当者であれば、本来の業務と並行して改修や問い合わせ対応を行わなければなりません。限られた時間で対応するため、改修の要望が積み残される場合もあります。
担当者が異動や退職をすると、仕組みを理解する人がいなくなり、改修が止まるおそれがあります。設計書や操作手順書を残し、少なくとも2人以上で仕組みを把握する体制を作りましょう。外部の事業者に保守を引き継げるよう、ソースコードや設定の変更履歴を管理しておくことも有効です。
更新時期に表面化するデータ移行
電子カルテは数年ごとに機器やソフトウェアを更新する場合があり、その際に過去の診療データを新しい環境へ移す必要があります。内製システムでは、移行の設計や作業も自院で担う必要があります。移行中も診療は止められないため、旧環境と新環境を並行して動かす期間の計画も欠かせません。
独自の形式でデータを保存していると、将来製品へ切り替える際に移行の手間や費用が大きくなる可能性があります。医療情報の標準化で使われるSS-MIX2のような形式でデータを出力できるかを、内製の段階から意識しておくと安心です。
障害時の復旧と事業継続
病院がランサムウェアなどのサイバー攻撃を受け、診療に影響が出た事例も報告されています。内製システムでは、こうした障害から復旧する手順も自院で用意しなければなりません。
厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(2026年6月公表の第7.0版が最新)では、非常時に備えた事業継続計画やバックアップの考え方も示されています。バックアップの保管場所や復旧にかかる時間、紙運用への切り替え手順を決め、定期的に訓練しておくことが大切です。
内製ツールが止まった場合に、どの業務を紙に切り替え、復旧後に誰がデータを入力し直すかも決めておきましょう。
中小病院向け電子カルテと内製を組み合わせる手順
カルテ本体は製品を使い、自院独自の業務を内製で補う組み合わせは、中小病院の体制でも取り組みやすい方法です。ここでは、製品選定から自院ツールの管理まで、組み合わせを進める3つの手順を紹介します。
手順1. 製品で担う範囲を決める
最初に、診療録の記載やオーダー、医事会計との連携など、制度対応が必要な業務を製品で担う範囲として決めます。そのうえで、製品の標準機能で対応できない業務を一覧にし、内製で補う候補とします。
この段階で、医師や看護師、医事課、検査部門の職員から要望を集めておくと、候補の漏れを防げます。要望が多い場合は、業務への影響が大きいものから優先順位を付けましょう。標準機能で済む業務まで内製しないよう、製品のデモで確認しておくことも大切です。
手順2. 拡張方法を製品ごとに比較する
次に、候補となる製品がどの方法で拡張できるかを比較します。主な方法は、テンプレートや帳票の自院作成、API(システム同士をつなぐ窓口)による部門システムとの連携、集計や分析のためのデータ出力の3つです。
どの方法がどこまで使えるかは製品により異なります。出力できるデータの範囲や形式、連携にかかる追加費用、自院で作ったツールとの連携時に不具合が起きた場合の対応範囲を確認しましょう。保守を提供会社に任せたい場合は、クラウド型も比較対象に含めます。
手順3. 自院ツールの管理ルールを作る
最後に、内製したツールを管理するルールを作ります。誰が作り、誰が承認し、どこに保存するかを決めておかないと、職員が個別に作ったツールが院内に増え、把握できなくなるおそれがあります。
診療情報を扱うツールでは、アクセス権限の設定や操作ログの記録、バックアップの方法も定めます。ツールの一覧を作り、定期的に利用状況を見直して、使われていないものは廃止しましょう。ルールを文書化して共有しておけば、担当者が変わっても運用を続けられます。
少人数の病院では、管理を情報システム担当1人に任せきりにせず、各部門の責任者と分担して確認する体制が望ましいといえます。
内製以外で自院にあわせる方法
自院にあわせた電子カルテを実現する手段は、内製だけではありません。保守の負担を外部に任せながら、現場の要望を反映する方法もあります。人員や予算の状況にあわせて、内製と組み合わせて検討するとよいでしょう。
提供会社によるカスタマイズと導入支援
製品によっては、提供会社が画面や帳票のカスタマイズ、運用設計の支援を行う場合があります。自院で開発する人材がいなくても、要望を伝えて反映してもらえる点が利点です。
ただし、カスタマイズの範囲が広がると費用が増え、製品のバージョンアップ時に追加の改修が必要になる場合があります。標準機能にあわせて業務を見直す部分と、カスタマイズする部分を分けて考えましょう。見積もりの際は、改修後の保守費用も確認しておくことが大切です。カスタマイズした内容を記録に残しておけば、次の更新時に必要な改修を判断しやすくなります。
外部の専門事業者への開発委託
周辺ツールの開発を、医療機関のシステムに詳しい外部の事業者に委託する方法もあります。自院の担当者は要件の整理と受け入れの確認に集中でき、開発と保守の負担を抑えられます。
委託する場合は、医療情報の取り扱いに関する契約内容や、ガイドラインへの対応状況を確認しましょう。成果物の権利の帰属や、契約終了後に別の事業者へ引き継げるかも事前に取り決めておくと、特定の事業者に依存しすぎる状態を避けられます。
例えば、病棟ごとの集計表や院内の連絡ツールなど、範囲を限定した開発から委託すると、事業者の対応力を見極められます。
連携機能やカスタマイズ性で比べる中小病院向け電子カルテ一覧
この記事で紹介する中小病院向け電子カルテについて、外部システムとの連携や設定の柔軟性、データ活用機能などの特徴を一覧にまとめました。既存の院内システムとの連携や、自院の運用にあわせた導入を検討する際にお役立てください。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| ウェブカルテⅡ | マルチベンダー方式で各部門向けの標準インターフェイスを備え、医事・検体検査・RISなど多くの部門システムと接続できる電子カルテ |
| Medicom-CKⅡ | 一般・療養型の中小規模病院向けWeb型電子カルテ。帳票や文例を標準パッケージ化し、ADL区分をエクセルで自動集計・出力できる |
| blanc | 書式・テンプレートや統合セットを備えたクラウドカルテ。API連携に対応し、日医標準レセプトソフトを組み込んで医事業務も扱える |
| i-MEDIC Plus++ | 医療と介護を統合したケアミックス病院向け電子カルテ。オンプレミスとクラウドに対応し、API連携と導入企業ごとのカスタマイズが可能 |
| Web型電子カルテシステム | 自社開発の総合医療情報システム「PlusUsシリーズ」の中核となる電子カルテ。オンプレミスとクラウドの提供形態がある |
| MALL | 2,664種類の設定項目で病院ごとの運用にあわせられる200床未満の病院向け電子カルテ。150社以上の他社システムや検査機器と連動 |
| 電子カルテシステムER | 中小規模病院や介護医療院に適合する電子カルテ。柔軟なカスタマイズ性を備え、画像管理や栄養管理などの他社システムと連携できる |
| HOPELifeMark-MX | 300床までの中堅病院向け電子カルテ。データ抽出基盤から蓄積データを活用でき、他社製の部門システムとも統合できる |
| DS KARTE | 200床以下の中小規模病院向け一体型電子カルテ。診療データを抽出する機能や、テンプレートによる文書作成・管理機能を搭載 |
| HOPECloudChartⅡ | 病床数100床までの病院に適したクラウド型電子カルテ。50を超えるオプションツールから病院の形態にあわせて機能を選べる |
自院の運用にあわせて導入できる中小病院向け電子カルテ
ここでは、部門システムとの連携やデータの抽出、テンプレートの設定、機能の追加などに対応する電子カルテを紹介します。連携できるシステムやカスタマイズの範囲、運用サポートの内容を比較して、自院に適した製品を選びましょう。
Medicom-CKⅡ
- シンプルで使いやすい操作性。中小規模病院に特化した機能性
- チーム医療に必要な機能を搭載!環境に合わせた使い方を実現
- Web型電子カルテなので、離れた場所でも情報共有が可能
ウィーメックス株式会社が提供する「Medicom-CKⅡ」は、一般・療養型の中小規模病院向けのWeb型電子カルテシステムです。中小規模病院に必要な機能を厳選して標準パッケージ化しており、帳票やカルテ記載の文例を新たに作らずに使い始められます。看護必要度を管理でき、ADL区分はエクセルで自動集計・出力できるため、院内での集計作業にもつなげやすい製品です。クライアントにソフトをインストールせずブラウザから利用できます。
blanc
- クラウドなのでハードウェアやシステム管理等の運用コスト軽減
- 携帯電話等の回線を利用!安全にどこからでも利用できます。
- 災害に強い!東日本・西日本それぞれでデータを保管
JBCC株式会社が提供する「blanc」は、日医標準レセプトソフトを組み込んだクラウドカルテです。カルテ入力や書式・テンプレート、シェーマ、文書棚、統合セットなどの機能を備え、処方・注射・検体などのオーダリングにも対応します。API連携に対応し、日医標準レセプトソフトとの連携によって医事業務も効率化できます。個別カスタマイズには対応していませんが、標準機能の活用やクラウド運用によって、システムの管理負担を軽減したい病院に適しています。
i-MEDIC Plus++
- 医療と介護を、ひとつのシステムで一元管理
- 「治療」「ケア」から「看取り」まで生涯にわたって管理
- 法人内サービスの稼働管理で病床・施設を効率的にマネジメント
株式会社コアが提供する「i-MEDIC Plus++」は、ケアミックス病院向けの医療介護統合電子カルテシステムです。医療と介護の双方から同じ情報を閲覧・編集でき、二重入力を減らせます。オンプレミスとクラウドの両方に対応し、データ移行もスムーズに行えると案内されています。API連携と導入企業ごとのカスタマイズも可能で、本体に加えて隣接する関連システムまでサポート対象としている点も特徴です。
Web型電子カルテシステム (ソフトマックス株式会社)
- 自社開発の総合医療情報システムの中核
- 医師の業務フローを支援する診療支援機能
- 多様な医療現場に適応する専門機能群を搭載
MALL (株式会社パシフィックメディカル)
- 2,664種類もの設定項目で病院ごとの運用にフィット!
- 約150社の他社システムと他社検査機器と連動可能!
- 20年以上・約200件の導入実績!継続率は99%!
電子カルテシステムER (株式会社ワイズマン)
- 複数の医師やスタッフが適時、情報チェックできる!
- 受付や診療がスムーズに進行し待ち時間の短縮に繋がる!
- オーダーや他部門の記録を引用できて転記作業が軽減!
HOPELifeMark-MX (富士通株式会社)
- 現場の情報活用を推進する使いやすいユーザーインターフェース
- 地域ぐるみのケアを可能にするシステム連携機能
- トータルコストを軽減し、安定稼働する仮想化サーバ―を採用
DS KARTE (大新技研株式会社)
- 文書の作成から管理まで全て解決できるシステム!
- 職員間の情報共有に最適なPメール機能を搭載!
- 一画面でまとめて確認できる統合チャート機能!
HOPECloudChartⅡ (富士通株式会社)
- すぐに使えるように専門の学習プログラムやサポートが揃っている
- ユニバーサルデザインの優しい画面で直感的に操作できる
- 病院形態に合わせて柔軟に選べる豊富なオプション機能
まとめ
中小病院向け電子カルテの内製は、保守を続けられる体制があるかで判断することが大切です。カルテ本体は製品に任せ、ベッド調整表や院内申請など診療録以外のツールを内製する形なら、少人数の体制でも取り組みやすくなります。拡張方法やデータ出力の範囲、保守の任せ方は製品により異なります。提供会社のカスタマイズや外部委託もあわせて検討し、自院にあう電子カルテを比べるため、まずは資料請求してみてください。

