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中小病院向け電子カルテの乗り換え|部門連携と標準仕様を解説

中小病院向け電子カルテの乗り換え|部門連携と標準仕様を解説

中小病院向け電子カルテの乗り換えは、電子カルテ本体の選定よりも、部門システムとの連携と病棟業務の切り替えをどう計画するかで難しさが決まります。また、2026年3月には国が中小病院向け電子カルテの標準仕様を公表しており、次の更新でクラウド型を選ぶかどうかも判断材料になりました。この記事では、中小病院が電子カルテを乗り換える際の移行範囲の決め方と、病棟を止めない進め方を解説します。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    ITトレンドがおすすめする製品・サービス

    ■提供形態別
    ■連携させたい部門・業務別

    中小病院の電子カルテ乗り換えが難しくなる理由

    中小病院の電子カルテは、外来に加えて入院・病棟の業務を支え、複数の部門システムともつながっています。そのため、診療所の乗り換えとは移行範囲が大きく異なります。まずは難しさの原因を整理しましょう。

    外来から病棟まで広がる移行範囲

    中小病院の電子カルテには、外来カルテだけでなく、入院時の指示や看護記録、食事オーダー、退院時サマリーなど、病棟の業務が組み込まれています。乗り換えでは、これらの業務すべてが新しい画面と操作に切り替わります。

    病棟は24時間稼働しているため、外来のように診療時間外にまとめて切り替えることが難しい点も特徴です。乗り換えを検討する際は、外来と病棟それぞれの業務の流れを書き出し、新しい電子カルテで同じ業務ができるかを確認しましょう。

    関連記事 中小病院向け電子カルテを徹底比較!選び方やおすすめ製品を紹介

    部門システムとの個別の接続

    検査や放射線、薬剤、給食などの部門システムは、それぞれ別の提供会社が開発していることがあります。現行の電子カルテとは、病院ごとに調整された個別の仕様でつながっている場合があります。

    厚生労働省の中小病院向け電子カルテ標準仕様書でも、連携の規格が独自になっていることでベンダーロックインの傾向にあることが課題として挙げられています。乗り換え先の電子カルテと各部門システムを再接続するには、関係する提供会社どうしの調整と接続テストが必要です。

    少人数の情報システム担当

    中小病院では、情報システムの担当者が少人数であったり、医事課や事務部門の職員が兼務していたりするケースがあります。乗り換えでは、提供会社との調整や院内の意見集約、テストの段取りなど多くの作業が発生します。

    担当者1人に作業が集中すると、判断が滞ったり、引き継ぎが難しくなったりするおそれがあります。医師や看護部、薬剤部、医事課の代表者が参加する移行チームをつくり、決めた内容を記録して共有する体制を整えましょう。

    中小病院向け電子カルテの標準仕様と乗り換えへの影響

    2026年3月31日、厚生労働省とデジタル庁は「中小病院向け電子カルテ及びレセプトコンピュータ標準仕様書(基本要件)」第1.0版を公表しました。次の乗り換えで検討する製品の方向性に関わる内容です。

    クラウド・ネイティブ型とマルチテナント方式

    標準仕様では、電子カルテをマルチテナント方式のクラウド・ネイティブ型とする考え方が示されています。マルチテナント方式とは、1つのシステムを複数の医療機関で共同利用する形のことです。

    病院ごとのカスタマイズに対応しない仕様とすることも遵守項目に含まれています。カスタマイズで現場にあわせてきた病院では、乗り換え時に業務を標準の機能にあわせて見直す必要が出てきます。どこまで運用を変えられるかを院内で話し合っておきましょう。

    価格公開と機能開示による比較のしやすさ

    標準仕様では、ベンダーに電子カルテの価格の公開を求めています。医療機関などから要請があった場合に、電子カルテが持つ機能を所定の一覧様式で開示することも求められています。乗り換え先を比べる際に、価格や機能の違いを把握しやすくすることが目的です。

    また、データ移行で必要となる事項は医療機関などの要請を受けて開示することが規定されています。部門システムの提供会社から要請があった場合は、接続の仕様も開示の対象です。標準仕様に準拠した電子カルテの認証制度については、詳細が今後公表される予定です。

    共通データ移行レイアウト例の位置づけ

    標準仕様の別紙として、オンプレミス型からクラウド・ネイティブ型に移行する場合に、移行前後のベンダーを問わず使える「共通データ移行レイアウト例」が示されました。現時点では参考の位置づけで、必須の要件は次版以降に設定される予定です。

    このレイアウト例は、日常診療で使われうる一般的な情報の範囲を例示したもので、診療録の原本や保存の考え方を定めるものではないとされています。旧システムの記録をどう保存するかは、別に検討が必要です。

    部門システムを含めた移行範囲の決め方

    中小病院の乗り換えでは、電子カルテ本体と同時にどの部門システムを更新するかで、作業量と費用が大きく変わります。部門ごとの現状を把握したうえで、更新するものと残すものを決めましょう。

    部門ごとの連携内容の棚卸し

    最初に、電子カルテとつながっている部門システムを一覧にします。検査、放射線、薬剤、リハビリ、給食、透析など、部門ごとに提供会社名や契約期間、連携しているデータの種類を書き出しましょう。

    例えば、検査部門ならオーダー情報を受け取り、結果を電子カルテに返す流れがあります。こうした連携の方向と内容を整理しておくと、乗り換え先の提供会社に接続の可否や費用を問い合わせる際の資料として使えます。

    関連記事 無料の中小病院向け電子カルテを比較!費用や選び方も解説

    部門システムを同時更新するか残すかの判断

    部門システムの契約期間が残っている場合は、現行のまま新しい電子カルテに接続し直す選択肢があります。一方、更新時期が近い部門システムは、電子カルテと同時に入れ替えると、接続テストを一度にまとめられる場合があります。

    どちらが適しているかは、各システムの契約状況や、乗り換え先の電子カルテとの接続実績によって変わります。部門ごとに接続し直す場合の費用と、同時更新の費用を比べて判断しましょう。

    医事会計・レセコンとの関係の整理

    中小病院では、電子カルテと医事会計システムを同じ提供会社でそろえている場合と、別々の提供会社を使っている場合があります。電子カルテだけを乗り換えると、医事会計とのデータ連携を作り直す必要があります。

    レセプト請求に影響が出ないよう、オーダー情報から会計への反映が正しく行われるかを確認しましょう。標準仕様では、電子カルテとレセコンそれぞれの標準仕様が示されているため、組み合わせを検討する際の参考にできます。

    入院患者の情報を途切れさせない切り替え計画

    中小病院の切り替えで特に注意したいのは、入院中の患者の情報が途切れないようにすることです。切り替えのタイミングと当日の体制を、病棟の業務にあわせて計画しましょう。

    入院患者の指示と記録の引き継ぎ

    切り替え当日に入院している患者については、注射や処方の指示、看護計画、バイタルの記録などを新しい電子カルテへ引き継ぐ必要があります。データで移行できない情報は、事前に手入力する作業が発生する場合があります。

    入院患者の情報について、いつ時点の内容を、誰が、どの方法で移すかを病棟ごとに決めておきましょう。切り替え前後に予定入院や手術を減らすなど、診療側の調整を検討する病院もあります。

    夜間・休日を含めた切り替え当日の体制

    病棟は夜間も稼働しているため、切り替え作業を行う時間帯と、その間の記録方法を決めておく必要があります。システムが使えない時間帯に備えて、紙の指示書や記録用紙を用意しておくと安心です。

    切り替え直後は、提供会社の担当者に院内で待機してもらえるか、夜間の問い合わせにどう対応するかも事前に確認しましょう。トラブルが起きたときの連絡先と判断する責任者を、全職員に周知しておくことが大切です。

    中小病院の電子カルテ更新費用と国の補助

    中小病院向け電子カルテの乗り換え費用は、電子カルテ本体だけでなく、部門システムとの接続費用やデータ移行費用を含めて考える必要があります。国の支援制度も確認しておきましょう。

    導入費用と更新周期を含めた総額の比較

    オンプレミス型は、サーバなどの機器を院内に設置するため、数年ごとに機器とソフトウェアをまとめて更新する費用がかかる傾向があります。クラウド型は月額などの利用料が中心で、費用の発生の仕方が異なります。

    そのため、初期費用だけでなく、保守費用や部門システムとの接続費用を含め、次の更新までの総額で比べることが大切です。提供会社には、同じ条件で見積もりを依頼すると比較しやすくなります。

    国の補助制度の確認

    厚生労働省の資料では、電子カルテを導入済みの病院が行う改修への補助として、医療情報化支援基金が示されています。対象として想定されているのは、次回のシステム更新時に電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋へ対応する改修です。

    補助の対象や要件、申請時期は年度によって変わる可能性があります。乗り換えの計画を立てる段階で、厚生労働省や都道府県の公式情報で最新の内容を確認しましょう。

    部門連携で比べる中小病院向け電子カルテ一覧

    中小病院向けの電子カルテを、部門システムとの接続や病棟業務の支援機能を比べられるよう一覧にしました。移行範囲を検討する際の資料として活用してください。

    製品名特徴
    ウェブカルテⅡ中小規模病院向けの電子カルテ。検体検査やRIS、PACSなど部門ごとの標準インターフェイスを備える
    Medicom-CKⅡ一般・療養型の中小規模病院向けWeb型電子カルテ。看護必要度や医療区分・ADLの管理に対応
    blanc日医標準レセプトソフトを組み込んだクラウドカルテ。検体・画像のオーダやPACSリンクを搭載
    i-MEDIC Plus++ケアミックス病院向けの医療介護統合電子カルテ。法人内の病床や施設の稼働率を可視化できる
    HOPELifeMark-MX300床までの中堅病院向け電子カルテ。医事会計や各種部門システムのデータを統合管理できる
    HOPECloudChartⅡ100床までの病院向けクラウド型電子カルテ。看護支援や放射線などの部門ツールを選んで追加できる
    DS KARTE200床以下の病院向け一体型電子カルテ。各部門で記録から医事会計への請求処理まで行える
    MALL200床未満の病院向け電子カルテ。150社以上の他社部門システムと連動し、病棟マップ機能を搭載
    Web型電子カルテシステム「PlusUsシリーズ」の中核を担う電子カルテ。医師の業務フローに沿った診療支援機能を備える

    病棟と部門をつなぐ中小病院向け電子カルテ

    病棟業務の支援や検査・画像システムとの連携、医療・介護情報の共有などに特徴がある電子カルテを紹介します。既存システムとの連携やデータ移行の範囲も確認しながら、自院に適した製品を比較してください。

    Medicom-CKⅡ

    ウィーメックス株式会社
    《Medicom-CKⅡ》のPOINT
    1. シンプルで使いやすい操作性。中小規模病院に特化した機能性
    2. チーム医療に必要な機能を搭載!環境に合わせた使い方を実現
    3. Web型電子カルテなので、離れた場所でも情報共有が可能

    ウィーメックス株式会社が提供する「Medicom-CKⅡ」は、一般・療養型の中小規模病院向けWeb型電子カルテです。病名や治療経過を年表形式で一画面に表示するライフビューや、バイタル・食事などの一括入力機能を備え、看護必要度や医療区分・ADLの管理にも対応しています。帳票やカルテ記載の文例が標準でパッケージ化されているため、運用フローの見直しにかかる負担を抑えやすい点も特徴です。PCやタブレット、スマートフォンで利用できます。

    blanc

    JBCC株式会社
    《blanc》のPOINT
    1. クラウドなのでハードウェアやシステム管理等の運用コスト軽減
    2. 携帯電話等の回線を利用!安全にどこからでも利用できます。
    3. 災害に強い!東日本・西日本それぞれでデータを保管

    JBCC株式会社が提供する「blanc」は、日医標準レセプトソフトを組み込んだ医事一体型のクラウドカルテです。院内にサーバーを置かずに利用でき、導入や更新のたびにサーバーやソフトウェアを購入する必要がありません。処方・注射・検体・画像・生理などのオーダや、PACSリンク、結果参照の機能を備え、現在利用中のレセプトソフトを接続して使うこともできます。導入はおよそ半年の工程で進められ、導入経験のあるスタッフが支援します。

    i-MEDIC Plus++

    株式会社コア
    《i-MEDIC Plus++》のPOINT
    1. 医療と介護を、ひとつのシステムで一元管理
    2. 「治療」「ケア」から「看取り」まで生涯にわたって管理
    3. 法人内サービスの稼働管理で病床・施設を効率的にマネジメント

    株式会社コアが提供する「i-MEDIC Plus++」は、回復期・地域包括ケア・療養型などを担うケアミックス病院向けの医療介護統合電子カルテです。医療保険と介護保険の区分を超えて、法人内の外来受診や入院・入所、在宅介護サービスの履歴を一元管理します。病床や施設の稼働率を可視化して病床マネジメントに活用できるほか、オンプレミスとクラウドの両方に対応しています。データ移行もスムーズに行えるため、既存システムからの乗り換えを検討する病院にも適しています。

    HOPELifeMark-MX (富士通株式会社)

    《HOPELifeMark-MX》のPOINT
    1. 現場の情報活用を推進する使いやすいユーザーインターフェース
    2. 地域ぐるみのケアを可能にするシステム連携機能
    3. トータルコストを軽減し、安定稼働する仮想化サーバ―を採用

    HOPECloudChartⅡ (富士通株式会社)

    《HOPECloudChartⅡ》のPOINT
    1. すぐに使えるように専門の学習プログラムやサポートが揃っている
    2. ユニバーサルデザインの優しい画面で直感的に操作できる
    3. 病院形態に合わせて柔軟に選べる豊富なオプション機能

    DS KARTE (大新技研株式会社)

    《DS KARTE》のPOINT
    1. 文書の作成から管理まで全て解決できるシステム!
    2. 職員間の情報共有に最適なPメール機能を搭載!
    3. 一画面でまとめて確認できる統合チャート機能!

    MALL (株式会社パシフィックメディカル)

    《MALL》のPOINT
    1. 2,664種類もの設定項目で病院ごとの運用にフィット!
    2. 約150社の他社システムと他社検査機器と連動可能!
    3. 20年以上・約200件の導入実績!継続率は99%!

    Web型電子カルテシステム (ソフトマックス株式会社)

    製品・サービスのPOINT
    1. 自社開発の総合医療情報システムの中核
    2. 医師の業務フローを支援する診療支援機能
    3. 多様な医療現場に適応する専門機能群を搭載

    まとめ

    中小病院向け電子カルテの乗り換えでは、外来だけでなく病棟業務と部門システムとの連携まで含めて移行範囲を決めることが重要です。2026年3月に公表された中小病院向け標準仕様では、クラウド・ネイティブ型や価格公開、共通データ移行レイアウト例が示されました。入院患者の情報を途切れさせない切り替え計画も欠かせません。複数の電子カルテの資料請求をして、部門連携の対応状況や費用を比較してみてください。

    IT製品・サービスの比較・資料請求が無料でできる、ITトレンド。「中小病院向け電子カルテの乗り換え|部門連携と標準仕様を解説」というテーマについて解説しています。中小病院向け電子カルテの製品 導入を検討をしている企業様は、ぜひ参考にしてください。
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    11月02日(月)更新
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