IaaSの機能を比較する際の基本的な視点
個別の機能を見る前に、機能を比較する際に共通して確認したい観点と、標準機能とオプション機能の違いを整理しておきます。
機能を比較する際に確認したい観点の整理
IaaSの機能を比較する際は、機能の有無だけでなく、自社の業務にとって必要な水準を満たしているかを確認することが重要です。同じ名称の機能でも、対応範囲や設定の柔軟さは製品によって異なります。
そのため、公式サイトに記載された機能名だけで判断せず、実際の設定画面や仕様書で対応範囲を確認することが望まれます。不明な点は問い合わせて確認し、公式情報にない機能を推測で補わないことも大切です。カタログ上は同じ機能名でも、実際に設定できる範囲や上限値が異なる場合があるため、細部まで確認する姿勢が選定の精度を高めます。
標準機能とオプション機能の違いの整理
IaaSの機能には、標準プランに含まれるものと、追加費用が発生するオプションに分かれるものがあります。必要な機能がオプション扱いになっている場合、想定より費用がかさむこともあるため注意が必要です。
あわせて、オプション機能を後から追加する際の手続きや、追加にかかる期間も確認しておくと、運用開始後に機能を拡張する際の見通しを立てやすくなります。契約時に不要と判断した機能でも、将来利用する可能性がある場合は、追加のしやすさをあらかじめ確認しておくと安心です。
負荷変動・可用性に関するIaaSの機能
アクセスの増減や障害への備えは、企業がIaaSに求める代表的な機能です。ここでは自動スケーリングと冗長化構成を取り上げます。
自動スケーリング機能を確認する
自動スケーリング機能は、アクセスの増減にあわせてサーバのリソースを自動で調整する仕組みです。セールやキャンペーンなどでアクセスが急増する場合、手動での対応が間に合わないケースもあるため、自動化されているかは重要な確認項目です。
ただし、自動スケーリングの範囲や反応速度は製品によって異なります。どの程度の負荷増加までを想定した設計になっているか、上限に達した場合にどのような挙動になるかも、契約前に確認しておく必要があります。また、スケーリングが行われた際に追加費用がどの程度発生するかも、想定外のコスト増加を防ぐために確認しておきたい項目です。
冗長化構成による高可用性を確認する
冗長化構成とは、複数のサーバやデータセンターに処理を分散し、一部で障害が発生しても全体が停止しないようにする仕組みです。事業への影響を抑えたい場合、この構成に対応しているかを確認する必要があります。
あわせて、障害発生時の切り替えにかかる時間や、切り替え後にデータの整合性が保たれるかも確認しておきたい点です。冗長化構成は製品や契約プランによって対応範囲が異なるため、個別に確認することが望まれます。標準プランでは冗長化の範囲が限定的な場合もあるため、必要な水準を満たすにはオプション契約が必要かどうかも確認しておきたい点です。
データ保護・監視に関するIaaSの機能
データを守る機能と、異常にいち早く気づくための機能は、日常の運用を安定させるうえで欠かせません。
バックアップ機能の確認
バックアップ機能を確認する際は、自動でバックアップを取得できるか、取得の頻度を選べるか、保管期間はどの程度かを確認することが基本になります。誤ってデータを削除した場合に、どの時点まで復元できるかも重要な確認項目です。
また、バックアップデータの保管場所が本番環境と離れているかどうかも、災害時のリスク分散の観点から確認しておきたい点です。復元作業にかかる時間や、復元を自社で行えるかどうかもあわせて確認しておくと安心です。誤操作によるデータ削除だけでなく、意図しないシステム変更が加わった場合に、変更前の状態へ戻せるかも確認しておくと安心です。バックアップからの復元テストを事前に実施できるかどうかも、実際の障害時に慌てないための確認材料になります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でIaaSの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
監視・アラート機能を確認するポイント
監視・アラート機能は、サーバの稼働状況や負荷の変化を継続的に把握し、異常があれば通知する仕組みです。担当者が常時画面を確認できない場合でも、異常に早く気づける体制を整えられるかが確認したい視点です。
あわせて、通知の受け取り方法がメールのみか、チャットツールとの連携ができるかも確認しておくと、担当者の運用スタイルにあわせやすくなります。監視対象の範囲や、通知の頻度を調整できるかも比較材料になります。加えて、夜間や休日に異常が発生した場合の連絡ルートも、運用体制にあわせて確認しておくと安心です。過去の監視データをどの程度の期間さかのぼって確認できるかも、原因分析を行ううえで比較しておきたい点です。
ネットワーク・ストレージに関するIaaSの機能
システムの構成変更や事業拡大にあわせて、ネットワークやストレージを柔軟に調整できるかも確認しておきたい機能です。
柔軟なネットワーク構築機能を確認
ネットワーク機能では、仮想的なネットワークを自由に構築できるか、複数の拠点やクラウド間を接続できるかが確認したいポイントになります。セキュリティ要件にあわせて、アクセス経路を細かく制御できるかも重要です。
また、ネットワーク構成を変更する際に、既存システムへの影響がどの程度出るかも確認しておく必要があります。設定変更を自社で行えるか、提供会社への依頼が必要かによって、対応にかかる時間も変わります。あわせて、誤った設定変更によって通信が遮断された場合に、速やかに元の状態へ戻せる仕組みがあるかも確認しておきたい点です。
ストレージの拡張性を確認
ストレージ機能では、データ量の増加にあわせて容量を柔軟に拡張できるかが確認したい観点です。拡張時にシステムを停止する必要があるかどうかも、業務への影響を考えるうえで重要な確認項目です。あわせて、拡張できる容量に上限があるかどうかも、事業の成長を見据えて確認しておきたい点です。
あわせて、データの種類にあわせて複数のストレージタイプを使い分けられるかも比較材料になります。利用頻度の低いデータを低コストのストレージへ移す仕組みがあれば、コストの最適化にもつながります。あわせて、拡張したストレージを縮小する際の手続きや制限も、将来的なコスト調整の観点から確認しておくと安心です。
IaaSの機能を比較する際の確認プロセス
機能を比較する際は、自社にとって必要な機能を整理したうえで、実際に確認できる方法を活用することが選定の精度を高めます。
必要な機能の優先順位付け
すべての機能を1つの製品で満たそうとすると、比較の軸が定まらなくなる場合があります。自社の業務にとって欠かせない機能と、あれば望ましい機能を分けて整理することが有効です。
あわせて、関係する部署が複数ある場合は、部署ごとに求める機能の優先順位が異なることもあるため、事前にすり合わせておくと選定がスムーズに進みます。優先順位をつけずに検討を進めると、比較対象が絞り込めず、選定作業が長期化しやすくなる点にも注意が必要です。
導入前に試せる検証環境の活用
無料トライアルや検証環境を提供している製品であれば、実際の操作性や機能の動作を確認できます。カタログ上の機能だけでなく、実際に触れてみることで、自社の運用にあうかどうかを判断しやすくなります。
ただし、検証環境では本番相当の負荷をかけられない場合もあるため、負荷試験を行いたい場合は、提供会社が許可する方法や条件をあらかじめ確認しておくことが望まれます。検証環境で見つかった懸念点は、本契約前に提供会社へ確認し、解消できるかどうかを見極めることが大切です。検証にあたる担当者を決めておき、確認結果を関係者で共有できるようにしておくと、比較の判断がしやすくなります。
スケーラビリティと構成の柔軟性に着目したIaaS製品の選択肢
ここでは、リソースの拡張や構成変更のしやすさに着目したIaaS製品を紹介します。自社が重視する機能と照らし合わせながら比較検討する際の参考にしてください。
Nutanix基盤のIaaS miteneCloud
- バックボーン回線に直接接続し、冗長を備えた高速で安定した通信
- 転送量に応じた課金は発生しないので、コストを気にせず利用可能
- 最適な地域でバックアップ用途として、DR/BCP対策にも活用可能
ミテネインターネット株式会社が提供する「Nutanix基盤のIaaS miteneCloud」は、Nutanixのハイパーコンバージド基盤を採用したIaaSです。仮想サーバやストレージを一つの管理画面で組み合わせて利用できるため、利用状況にあわせてリソースを柔軟に調整したい企業の選択肢になります。国内データセンターでの運用に対応しています。
ベアメタルクラウド
- 用途に合わせてパブリック/プライベート、仮想/物理を選択可能
- データ転送料無料・10GbpsバックボーンNWで通信量が多くても安心
- 専門的なエンジニアによる「24時間365日」のサポート体制
株式会社リンクが提供する「ベアメタルクラウド」は、物理サーバをクラウドの操作感で利用できるIaaSです。仮想化のオーバーヘッドを抑えた構成のため、安定した処理性能を必要とするシステムに対応しやすく、管理画面からサーバ台数やリソースを調整できます。
地域エッジクラウド タイプV
- 定額・シンプルなVMware採用クラウド
- 国内法に準拠した高信頼のクラウド基盤
- 豊富なネットワーク接続メニュー
NTT東日本株式会社が提供する「地域エッジクラウド タイプV」は、地域データセンターを拠点としたIaaSです。利用地域に近い拠点で基盤を構築できるため、拠点ごとにネットワーク構成を柔軟に組みたい企業の選択肢になります。必要なリソースを組み合わせて構成できる点も特徴です。
IDCFクラウドコンテナ (株式会社IDCフロンティア)
- Rancher Prime基盤のどこでも構築可能なKubernetesサービス
- 追加料金なしで日本語サポート提供
- IDCFクラウドで複数インフラを一元管理。
さくらの専用サーバPHY (さくらインターネット株式会社)
- 複数ネットワーク接続、オンプレミス構築が可能
- サーバー購入から設定までワンストップ処理
- 全モデルで電源・ネットワークスイッチ冗長化、障害に強い構成
まとめ
IaaSの機能は自動スケーリングや冗長化構成、バックアップ、監視、ネットワーク、ストレージなど多岐にわたります。自社にとって必要な機能の優先順位を整理したうえで、公式情報や検証環境を活用して比較することが大切です。資料請求を活用しながら、比較検討を進めてみてください。機能の呼び方が同じでも対応範囲は製品によって異なるため、細部まで確認する姿勢が導入後のミスマッチを防ぐことにつながります。導入後も定期的に機能の利用状況を見直し、必要に応じて構成を調整していくことが、長期的な運用の安定につながります。運用開始後も定期的に見直すとよいでしょう。


