IaaS導入条件の「実態」に不安を感じる背景
個別の不安を見る前に、公表条件と実態にギャップが生じる背景と、不安を解消するための基本的な確認方法を整理しておきます。
公表条件と実態にギャップが生じる要因
IaaSのカタログや公式サイトに記載された条件は、標準的な利用条件を前提にしていることが多く、自社の利用環境や要件によっては、想定していた対応が受けられない場合があります。表記が誤っているわけではなく、条件の前提が異なることが要因になるケースが見られます。標準プランと上位プランで対応範囲が分かれている場合、どちらの条件を見ているのか混同してしまう懸念もあります。
そのため、公表されている条件をそのまま鵜呑みにせず、自社の利用条件にあてはめた場合にどうなるかを、契約前に個別に確認することが不安の解消につながります。営業担当の説明だけでなく、技術担当者に直接確認できる機会を設けてもらうことも有効です。あわせて、他社の導入事例を参考にする際も、自社と条件が異なる可能性を踏まえておくことが望まれます。
不安を解消するための基本的な確認方法
不安を解消する基本的な方法は、公式情報だけに頼らず、提供会社への問い合わせや、無料トライアルでの実際の動作確認を組み合わせることです。カタログの記載だけでは分からない部分も、実際に確認することで見えてきます。
あわせて、契約書や仕様書に記載されている内容を確認し、口頭での説明と食い違いがないかも確認しておくと、後からの認識のずれを防ぎやすくなります。重要な確認事項はメールなど記録が残る形でやり取りしておくことも、後のトラブルを防ぐ一助になります。条件の解釈に迷う場合は、遠慮せず具体的な利用シーンを挙げて確認することが望まれます。
海外リージョン連携における不安
国産のIaaSであっても、海外リージョンとの連携対応には差が出る場合があり、不安の声が挙がります。
国産IaaSでも連携対応に差が出る背景
国産のIaaSは国内での運用に強みを持つ一方、海外リージョンとの連携やデータ転送の対応範囲は製品によって異なります。国産だからといって海外連携が一律に弱いと決めつけることはできませんが、対応状況は個別に確認する必要があります。提供会社の開発体制や海外拠点の有無によっても、対応できる範囲が変わる場合があります。過去に海外連携の実績があるかどうかも、対応の安定性を見極める一つの参考情報になります。
また、海外拠点とのデータ連携では、通信経路や転送速度が拠点間の距離や回線状況によって変わるため、事前の想定と実際の体感速度に差が出る場合があります。複数の拠点を経由する構成では、経由地点の数だけ遅延の要因が増える可能性もあります。想定していた速度が出ない場合の代替経路についても、あわせて確認しておくと安心です。
連携対応を事前に確認する視点
海外リージョンとの連携が必要な場合は、対応しているリージョンの一覧や、データ転送にかかる時間の目安を提供会社に確認しておくことが有効です。実際の拠点間で試験的な接続確認ができるかもあわせて確認したい点です。
あわせて、将来的に海外拠点が増える可能性がある場合は、対応リージョンの拡張予定についても確認しておくと、長期的な不安を減らしやすくなります。既存の拠点で試験的に接続確認を行い、実際の応答速度を数値で把握しておくことも有効な手段です。数値として記録しておけば、契約後に速度が変化した際の比較材料としても活用できます。
ISMS対応表記の実態に関する不安
「ISMS対応」と記載されているIaaSでも、実際の運用がどこまで対応しているか分かりにくいという不安があります。
ISMS対応表記だけでは分からない範囲
ISMS認証は提供会社の情報セキュリティマネジメント体制に対する認証であり、個別の製品機能すべてが自動的に基準を満たすことを意味するわけではありません。表記だけを見て、必要な機能がすべて備わっていると判断するのは早計です。
また、認証の対象範囲がサービス全体か、一部の機能に限定されているかは製品によって異なります。認証範囲を確認せずに契約すると、想定していた保護が受けられない懸念があります。特に自社が求めるセキュリティ要件が個別機能に依存する場合、認証範囲と実際の機能範囲を混同しないよう注意が必要です。営業資料に記載されている内容と、契約書の記載内容が一致しているかも確認しておくと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でIaaSの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
実態を確認するための観点
実態を確認するには、認証の対象範囲を公式情報で確認し、自社が求めるセキュリティ要件がその範囲に含まれているかを個別に照らし合わせることが有効です。不明な点は問い合わせて確認する姿勢が欠かせません。
あわせて、認証の更新状況や、有効期限が切れていないかも確認しておくと安心です。認証は一度取得すれば終わりではなく、継続的な審査が必要な仕組みです。認証を取得している会社の中でも、実際の運用レベルには差があるため、具体的な運用状況まで確認することが望まれます。
API連携時の制限に関する不安
他システムとのAPI連携が必須の環境では、IaaS側の制限が想定より多いという不安が挙がります。
API連携必須環境で制限が出る背景
API連携には、呼び出し回数の上限や、取得できるデータの範囲に制限が設けられている場合があります。連携するシステムの利用頻度が高い環境では、想定より早く上限に達してしまう懸念があります。
また、APIの仕様が更新された際に、既存の連携設定に影響が出る場合もあります。連携先が複数ある環境ほど、仕様変更の影響を受けやすくなります。複数のシステムが同じAPIを共有している場合、一つの変更が広範囲に影響する懸念もあります。
制限を事前に見極める確認ポイント
制限を見極めるには、契約前にAPIの呼び出し回数の上限や、上限緩和の可否を確認することが有効です。自社の想定する利用頻度を具体的に伝え、対応可能かどうかを個別に確認しておく必要があります。
あわせて、API仕様が変更される際に事前告知を受けられるかも確認しておくと、想定外の連携停止を防ぎやすくなります。連携が停止した際に自動で気づける監視の仕組みを整えておくことも、影響を最小限に抑えることにつながります。連携先が複数ある場合は、それぞれの制限値を一覧化しておくと、状況の把握がしやすくなります。
カスタマイズ構成の不安定化に関する不安
自社独自にカスタマイズした構成が、アップデートのたびに不安定になるという不安も見られます。
アップデートで不安定になる背景
独自のカスタマイズを加えた構成は、標準的な構成と比べて、提供会社側のアップデートによる影響を受けやすい場合があります。標準機能の変更が、カスタマイズ部分との組み合わせで想定外の動作を引き起こす懸念があります。
また、カスタマイズの内容が複雑になるほど、事前の検証だけでは影響範囲を把握しきれない場合もあります。単一の原因ではなく、複数のカスタマイズが絡み合って不具合につながるケースも見られます。カスタマイズを担当した技術者が異動や退職をしていると、原因の特定にさらに時間がかかる懸念もあります。カスタマイズの背景や意図を記録に残しておくことが、後任者の理解を助けることにつながります。
安定運用のための確認視点
安定運用のためには、アップデート前に検証環境で動作確認を行えるかを確認しておくことが有効です。カスタマイズ内容を記録として残しておけば、不具合発生時の原因特定にも役立ちます。
あわせて、アップデートのスケジュールを事前に把握し、影響が出そうな場合は提供会社へ相談する体制を整えておくことが、不安の軽減につながります。カスタマイズの範囲を必要最小限にとどめることも、アップデート時の影響を抑えるための実務的な選択肢です。標準機能で対応できる部分は極力標準のまま利用し、独自対応が必要な箇所を明確に切り分けておくことも有効です。
実態を確認しながら比較したいIaaS製品の選択肢
ここでは、構成の自由度や連携条件を個別に確認しながら比較しやすいIaaS製品を紹介します。公表情報だけで判断せず、実際の条件を問い合わせながら検討する際の参考にしてください。
ベアメタルクラウド
- 用途に合わせてパブリック/プライベート、仮想/物理を選択可能
- データ転送料無料・10GbpsバックボーンNWで通信量が多くても安心
- 専門的なエンジニアによる「24時間365日」のサポート体制
株式会社リンクが提供する「ベアメタルクラウド」は、物理サーバをクラウドの操作感で利用できるIaaSです。仮想化のオーバーヘッドを抑えた構成のため、独自のカスタマイズを加えたい企業の選択肢になります。管理画面から必要なリソースを選んで構成できる点も特徴です。
地域エッジクラウド タイプV
- 定額・シンプルなVMware採用クラウド
- 国内法に準拠した高信頼のクラウド基盤
- 豊富なネットワーク接続メニュー
NTT東日本株式会社が提供する「地域エッジクラウド タイプV」は、地域データセンターを拠点としたIaaSです。利用地域に近い拠点で基盤を構築できるため、国内のデータ保管場所を明確にしたい企業や、拠点間の連携条件を確認したい企業の選択肢になります。
株式会社USEN ICT Solutionsのクラウドプラットフォーム
- ライセンスの発行から環境構築及び運用監視まで提案可能
- SaaS型のファイルサーバやバックアップとのサービス比較ができる
- 貴社に最適なクラウドサービスをご提案いたします
株式会社 USEN ICT Solutionsが提供する「株式会社USEN ICT Solutionsのクラウドプラットフォーム」は、企業のシステム基盤をクラウド上に構築できるIaaSです。既存の基幹システムや外部サービスとの連携を見据えた構成にも対応しており、導入条件にあわせてリソースを調整できます。
SmartDataPlatform (NTTドコモビジネス株式会社)
- 無制限・無料転送の低コスト蓄積
- セキュリティとネットワーク統合でゼロトラストを実現
- 煩雑な人的業務をインテリジェントに効率化
IDCFクラウドコンテナ (株式会社IDCフロンティア)
- Rancher Prime基盤のどこでも構築可能なKubernetesサービス
- 追加料金なしで日本語サポート提供
- IDCFクラウドで複数インフラを一元管理。
まとめ
IaaSの導入条件には、海外連携、ISMS表記、API連携の制限、カスタマイズの安定性など、公表情報だけでは判断しきれない不安が伴います。実際の運用条件を個別に確認し、疑問点は問い合わせる姿勢が不安の解消につながります。資料請求を活用しながら比較検討を進め、契約後も継続的に実態を確認していくことが望まれます。表記だけで安心せず、実際の運用を確かめる姿勢が、長期的な不安の軽減につながります。


