IaaSの機能でエラーが起こりやすい理由
個別の機能を見る前に、想定通りに動かなくなる背景と、早期に気づくための基本的な考え方を整理しておきます。
想定通りに動かなくなる要因
IaaSの機能で想定通りに動作しない事象は、設定内容の不備、利用状況の変化、外部システムとの連携状態など、複数の要因が絡み合って発生する場合があります。単一の原因に限定せず、複数の可能性を踏まえて確認することが重要です。特定の機能だけを疑って調査を進めると、実際の原因を見落とす懸念もあります。日頃から各機能の正常な動作状態を把握しておくことが、異常への気づきを早めることにつながります。平常時の挙動を知っておくことで、異常時との違いに気づきやすくなります。
そのため、事象が発生した際は、自社側の設定変更の履歴や、利用量の変化、連携先の状態もあわせて確認し、原因を切り分けていく姿勢が求められます。切り分けの手順をあらかじめ整理しておくと、実際に事象が起きた際の対応がスムーズになります。手順書を作成しておけば、担当者が変わっても同じ流れで調査を進めやすくなります。
エラーに早く気づくための基本の仕組み
エラーに早く気づくには、機能ごとに動作状況を監視し、異常があれば通知を受け取れる仕組みを整えることが基本になります。担当者が常時画面を見ていなくても、異常を把握できる体制が望まれます。通知を受け取るだけでなく、実際に対応する担当者が明確になっているかもあわせて確認しておく必要があります。担当者が不在の際に代わりに対応できる体制も、あわせて整えておくことが望まれます。
あわせて、過去に起きた事象を記録として残しておくと、同様の事象が再発した際の原因特定や対応にかかる時間を短縮しやすくなります。記録は担当者個人ではなく、関係者が共有できる場所に残しておくことが望まれます。日付や状況を具体的に記載しておくと、後から振り返った際にも状況を把握しやすくなります。
オートスケーリングに関するエラー
アクセスの増減にあわせてリソースを調整するオートスケーリングは、設定や環境によって想定通りに作動しない場合があります。
自動スケーリングが作動しない事象
オートスケーリングは、あらかじめ設定した条件にもとづいてリソースを増減させる仕組みですが、条件設定が実際の負荷傾向にあっていないと、想定したタイミングで作動しない場合があります。急激な負荷増加に対して、拡張が間に合わないケースも見られます。
また、設定の反映に時間がかかる場合や、上限値に達している場合も、期待した動作にならないことがあります。単一の設定ミスだけでなく、負荷の変化パターン自体が想定と異なることも要因になり得ます。季節や時間帯によって負荷の傾向が変わる業務では、想定した条件設定が実態にあわなくなる場合もあります。年に一度のイベントなど、普段と異なる負荷パターンが発生する場合は、事前に個別の対応を検討しておくことも有効です。
スケーリングエラーへの備え方
スケーリングが想定通りに作動しない場合に備えるには、負荷試験を実施して実際の挙動を事前に確認しておくことが有効です。想定する負荷パターンにあわせて、条件設定を見直すことも欠かせません。
あわせて、スケーリングの状況を監視し、条件通りに動作していない場合に通知を受け取れる仕組みを整えておくと、早期の対応につながります。負荷の傾向は時期によって変わる場合があるため、条件設定は一度決めたら終わりにせず、定期的に見直すことが望まれます。過去の負荷データを蓄積しておけば、見直しの際の判断材料として活用しやすくなります。
冗長化・フェイルオーバーに関するエラー
障害時に自動で切り替わるフェイルオーバーの仕組みも、条件によっては正しく機能しない場合があります。
フェイルオーバーが機能しない事象
フェイルオーバーは、稼働中のシステムに障害が発生した際、待機系に自動で切り替える仕組みですが、切り替え条件の判定が遅れたり、切り替え後にデータの整合性が崩れたりする事象が起こる場合があります。
切り替えが正しく機能しない背景には、待機系の設定が本番系と完全に一致していない、監視の検知条件が実態にあっていないなど、複数の要因が考えられます。構成変更を本番系にのみ反映し、待機系への反映を忘れてしまうことも一因になり得ます。
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フェイルオーバーの動作を確認する
フェイルオーバーが正しく機能するかを確認するには、定期的に切り替えの模擬試験を行い、実際に切り替わるまでの時間やデータの整合性を確認することが有効です。試験は提供会社が許可する方法や条件のもとで実施する必要があります。
あわせて、待機系の設定が本番系と一致しているかを定期的に確認し、差異があれば早めに修正しておくことが望まれます。構成変更を行う際は、本番系と待機系の両方に反映する運用ルールをあらかじめ定めておくことも有効です。変更作業を行う担当者が複数いる場合は、チェックリストを用意して反映漏れを防ぐことも役立ちます。
バックアップに関するエラー
データを守るバックアップ機能も、反映のタイミングにずれが生じる場合があります。
バックアップ反映が遅れる事象
バックアップの取得や反映は、データ量の増加や、バックアップを取得するタイミングが他の処理と重なることで、想定より遅れる場合があります。反映の遅れに気づかないまま運用を続けると、実際に復元が必要になった際に想定と異なる時点のデータしか復元できない懸念があります。
また、バックアップの取得自体は完了していても、確認画面への反映表示が遅れているだけのケースもあり、実際の状態を見誤らないよう注意が必要です。管理画面の表示だけを信じず、必要に応じて実際のデータを確認する運用も、確実性を高める一助になります。重要なデータについては、複数の方法で状態を確認する習慣を持つことが望まれます。
反映遅延に気づくための運用
反映遅延に気づくには、バックアップの完了通知を受け取れる設定にし、取得時刻を定期的に確認する運用を取り入れることが有効です。想定した時間内に完了していない場合は、早めに提供会社へ確認することが望まれます。
あわせて、定期的に復元テストを行い、実際にデータを復元できるかを確認しておくことも、いざという時の安心につながります。復元テストの結果は記録に残し、定期的に手順を見直すことも有効です。
監視アラートに関するエラー
異常を知らせる監視アラートも、設定や通信環境によって届かない場合があります。
アラートが届かない事象
監視アラートは、あらかじめ設定した条件に該当する事象が発生した際に通知される仕組みですが、通知先のメールアドレスの設定ミスや、通知条件の設定不備によって、実際には届かない場合があります。
また、通知を送る側とアラートを受け取る側の双方のシステムの一時的な不調が重なり、通知が届かないケースも見られます。単一の原因だけでなく、通知経路全体を確認する必要があります。担当者の異動にともなって通知先の更新が漏れることも、アラートが届かなくなる一因になり得ます。迷惑メールフィルタの設定によって、通知メールが振り分けられてしまうケースも見られます。
アラート機能の信頼性を高めるポイント
アラート機能の信頼性を高めるには、定期的にテスト通知を送り、実際に届くかを確認する運用を取り入れることが有効です。通知先を複数設定し、一つの経路に障害があっても気づける体制を整えておくことも重要です。
あわせて、アラートが一定期間届いていない場合に、その状態自体を検知できる仕組みがあれば、通知の停止に気づきやすくなります。定期的な設定内容の見直しを運用ルールに組み込んでおくことも、信頼性を保つうえで欠かせません。担当者の異動や退職があった際は、通知先の見直しを行う運用ルールにしておくことが望まれます。
安定した運用状況を把握しやすいIaaS製品の選択肢
ここでは、リソースの状況を一元的に把握しながら運用しやすいIaaS製品を紹介します。オートスケーリングやバックアップの動作を定期的に確認したい企業の比較検討にお役立てください。
Nutanix基盤のIaaS miteneCloud
- バックボーン回線に直接接続し、冗長を備えた高速で安定した通信
- 転送量に応じた課金は発生しないので、コストを気にせず利用可能
- 最適な地域でバックアップ用途として、DR/BCP対策にも活用可能
ミテネインターネット株式会社が提供する「Nutanix基盤のIaaS miteneCloud」は、Nutanixのハイパーコンバージド基盤を採用したIaaSです。仮想サーバやストレージを一つの管理画面で組み合わせて利用できるため、リソースの利用状況を把握しながら運用したい企業の選択肢になります。国内データセンターでの運用に対応しています。
ベアメタルクラウド
- 用途に合わせてパブリック/プライベート、仮想/物理を選択可能
- データ転送料無料・10GbpsバックボーンNWで通信量が多くても安心
- 専門的なエンジニアによる「24時間365日」のサポート体制
株式会社リンクが提供する「ベアメタルクラウド」は、物理サーバをクラウドの操作感で利用できるIaaSです。仮想化のオーバーヘッドを抑えた構成のため、安定した処理性能を継続的に確認したい基幹システムの構築先として選択肢になります。管理画面からリソースを調整できます。
地域エッジクラウド タイプV
- 定額・シンプルなVMware採用クラウド
- 国内法に準拠した高信頼のクラウド基盤
- 豊富なネットワーク接続メニュー
NTT東日本株式会社が提供する「地域エッジクラウド タイプV」は、地域データセンターを拠点としたIaaSです。複数の拠点で基盤を構築できるため、障害発生時の切り替え構成を検討する企業の選択肢になります。必要なリソースを組み合わせて構成できる点も特徴です。
IDCFクラウドコンテナ (株式会社IDCフロンティア)
- Rancher Prime基盤のどこでも構築可能なKubernetesサービス
- 追加料金なしで日本語サポート提供
- IDCFクラウドで複数インフラを一元管理。
FUJITSUHybridITServiceFJcloud (富士通株式会社)
- 国内DC運用でデータ国外流出リスクを低減。
- 4モデルから最適なクラウド環境を選択可能。
- オンプレミスからクラウドへそのまま移行、高信頼な運用。
まとめ
IaaSの機能は、オートスケーリング、フェイルオーバー、バックアップ、監視アラートのいずれも、設定や外部環境の影響で想定通りに動作しない場合があります。定期的な試験と確認を通じて、事象に早く気づける体制を整えることが安定運用につながります。機能を過信せず、継続的に動作確認を行う姿勢が、安定した運用を支えます。資料請求を活用しながら比較検討を進め、契約後も定期的な試験を続けていくことが望まれます。想定外の事象が起きても落ち着いて対応できるよう、日頃からの備えを大切にしてください。


