ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■AIの活用範囲別
- AIによるアクセス権限の判断:SailPointIdentitySecurityCloud
- AIエージェントのIDと権限の管理:Okta Workforce Identity、Microsoft Agent 365 導入支援、1Password
- ■効率化したいID管理業務別
- 人事データと連動した入社・異動・退職処理:Okta Workforce Identity、IIJ IDガバナンス管理サービス、Keyspider、SmartHR、LOCKED DAS、Soliton ID Manager
- アカウント棚卸しと過剰な権限の確認:IIJ IDガバナンス管理サービス、ジョーシス、SmartHR、LOCKED DAS、Soliton ID Manager
- 退職者アカウントの停止漏れの把握:ジョーシス、SmartHR
- ロールにもとづく権限付与:EvidianIdentityGovernance&Administration、ActiveRoles
ID管理ツールでAIが支援する業務の範囲
ID管理の業務は、社員の入社から退職までのIDのライフサイクルに沿って発生します。AIが何を担い、何を担わないのかを整理しておくと、製品の説明を正しく読み取れます。
入社・異動・退職ごとに発生するID作業
入社時には、メールや業務システムのアカウントを作り、所属や役職に応じた権限を付けます。異動時には新しい部署の権限を追加し、前の部署の権限を外します。退職時に必要なのは、すべてのアカウントの停止または削除です。
システムの数が増えるほど、こうした作業の量と確認の手間が増えていきます。特に異動時の権限の外し忘れや、退職者のアカウントの停止漏れは、気付かれないまま残りやすい点に注意が必要です。
ルールによる自動化とAIによる支援の違い
ID管理ツールには、「営業部の社員には営業支援システムの権限を付ける」のように、決めたルールにもとづいてアカウントを自動で作成・変更する機能を備えた製品があります。これはAIではなく、事前に設定した条件による自動化です。
AIによる支援は、ルールでは決めきれない判断を補うものです。実際の権限の付け方や利用履歴を分析し、「この権限は不要ではないか」「この社員にはこの権限が足りないのではないか」といった提案を行います。
人事データの正確さが前提になる理由
ID管理ツールは、人事システムの所属や役職、雇用形態、在籍状況といったデータにもとづいて、アカウントを管理します。この人事データが古かったり誤っていたりすると、自動化もAIの提案も誤った結果を招きます。
例えば、異動の登録が遅れると、旧部署の権限が残り続けます。AIを活用する前に、人事データの更新タイミングと責任部署を明確にし、ID管理ツールへ反映される流れを確認しておくことが大切です。
入社・異動・退職の処理でAIが役立つ場面
IDのライフサイクルのなかでも、入社・異動・退職のタイミングは権限の過不足が生じやすい場面です。ここでは、ID管理ツールのAI機能がそれぞれの処理でどう役立つかを紹介します。
入社時に付ける権限セットの提案
新入社員の権限を決める際、「同じ部署の先輩と同じにする」という方法では、先輩が過去に追加した不要な権限まで引き継がれる場合があります。
AIを活用したID管理ツールでは、同じ部署や職種の社員が持つ権限を分析し、新入社員に付与する権限の候補を提示する機能があります。例外的な権限や過剰な権限を見直す際にも役立ちますが、提案内容が適切かどうかは、上長や管理者が確認してから適用する必要があります。
異動後に残る旧部署の権限の検出
異動時に新しい権限は申請されても、前の部署の権限を外す申請は忘れられがちです。異動を重ねた社員ほど、現在の業務に関係のない権限が積み重なる可能性があります。
AIは、異動後の部署の社員が持つ権限の傾向と比べて、本人だけが持っている権限を見つけ出します。一定期間使われていない権限であれば、削除の候補として管理者に提示する、といった使い方が考えられます。引き継ぎ期間中の権限には期限を設定しておくと、外し忘れを防げます。
退職者IDの停止漏れの確認
退職時には人事データの更新をきっかけにアカウントを停止できますが、ID管理ツールと連携していないシステムには反映されません。部署が独自に契約したクラウドサービスのアカウントは、停止漏れが起きやすい代表例です。
各システムのアカウント一覧と人事データを照合し、退職者のIDや在籍者と結び付かないIDを検出する機能を備えた製品があります。照合にはルールベースの仕組みが使われる場合もあるため、AIの利用有無と対応範囲を確認しましょう。見つかったIDは、利用者を確認したうえで停止し、対応の記録を残しておくことが大切です。
アカウント棚卸しをAIで効率化するID管理
アカウント棚卸しとは、社員の持つIDと権限が今も必要かを定期的に確認する作業です。アクセスレビューとも呼ばれます。対象が多いと確認が形だけになりやすいため、AIで確認の優先順位を付ける方法があります。
ピアグループ比較による過剰な権限の発見
ピアグループ比較とは、同じ部署や職種の社員を1つのグループとみなし、その中で権限の持ち方を比べる分析方法です。グループのほとんどが持っていない権限を1人だけが持っている場合、過剰な権限の候補として目印を付けます。
ただし、特別な業務を担当しているために例外的な権限が必要な社員もいます。AIの結果はあくまで確認の候補であり、削除するかどうかは業務の内容を知る上長が判断する、という役割分担にしておくことが大切です。
長期間使われていないIDの洗い出し
最終ログイン日時や操作履歴をもとに、一定期間使われていないIDや権限を一覧にする方法があります。使われていないIDは、パスワードの漏えいなどで不正に使われても気付かれにくいため、早めの対処が望ましいといえます。
一方で、決算期だけ使うシステムのように、利用の時期が限られるものもあります。未使用と判断する期間をシステムごとに設定できるか、利用履歴をどのシステムから取得できるかを、製品選定の際に確認しておきましょう。
承認者が判断しやすい形での提示
棚卸しでは、上長が部下の権限一覧を見て承認または削除を選びます。対象の件数が多いと、内容を確認しないまますべて承認してしまうおそれがあります。
AIを活用した製品のなかには、リスクの高い権限を上位に並べたり、「同じ部署で持っているのは本人だけ」といった判断の材料を添えたりするものがあります。承認者は注意が必要な項目に絞って確認できるため、棚卸しの実効性を高めることにつながります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でID管理の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
権限設計を支えるAIのロールマイニング
ロールとは、「経理担当」「営業マネージャー」のように、業務に必要な権限をまとめたセットです。ロールを使えば権限付与を整理できますが、設計には手間がかかります。ここではAIを使ったロール設計の進め方を解説します。
実際の権限からロール候補を作る手法
ロールマイニングとは、社員が実際に持っている権限のデータを分析し、共通する権限の組み合わせを見つけてロールの候補にする手法です。担当者がゼロから業務を聞き取ってロールを作るより、現状にもとづいた案を早く用意できます。
ただし、現状の権限に過剰なものが含まれていれば、それもロールに取り込まれてしまいます。先に棚卸しで不要な権限を整理してからロールマイニングを行うと、より適切なロール案が得られます。
例外権限を減らす段階的な進め方
ロールを導入しても、個別に付けた例外の権限が多いままでは管理が複雑なまま残ります。一度にすべての権限をロールへ置き換えようとすると、業務に必要な権限が抜けるおそれもあります。
まずは利用者の多い部署や共通の業務システムからロールを適用し、例外として残った権限を定期的に見直す方法が現実的です。AIが提示したロール案は、各部署の責任者と内容を確認し、業務の実態とずれていないかを確かめてから採用します。
職務分離の観点から権限の矛盾を確認する
職務分離(SoD)とは、不正やミスを防ぐため、相反する業務の権限を1人に集中させない考え方です。例えば、支払いを申請する権限と承認する権限を同じ人が持つと、チェックが働かなくなるおそれがあります。
ロールを組み合わせた結果、こうした矛盾が生まれていないかを確認する必要があります。禁止する権限の組み合わせをルールとして登録し、該当する場合に警告する機能があるかは、製品を比較する際の確認項目です。
権限の見直しをAIに提案させる前に整えたいこと
AI機能はID管理の負担を減らす手段ですが、使い方を誤ると誤った権限の変更につながります。導入前に、提案の根拠や承認の流れ、管理対象の範囲を確認しておきましょう。
AIの提案の根拠を確認できるか
AIが「この権限は不要」と提案しても、理由がわからなければ承認者は判断できません。比較したグループや利用履歴など、提案の根拠が画面で確認できるかを確かめましょう。
根拠を確認できれば、提案が誤っていた場合にも原因を調べやすくなります。監査で権限変更の理由を説明する材料としても役立つでしょう。デモや試用の機会があれば、自社に近いデータで提案の内容を見ておくと判断しやすくなります。
人の承認を残すワークフローを組めるか
AIの提案をそのまま自動で反映すると、業務に必要な権限まで外れてしまうおそれがあります。提案を承認者に回し、承認されたものだけを反映するワークフローを組めるかを確認しましょう。
あわせて、権限を変更した記録が残るか、誤って外した権限を元に戻せるかも重要です。承認者を1人に固定せず、代理承認者を設定できると、担当者の不在時にも処理を続けやすくなります。
AIエージェントなど人以外のIDを管理できるか
AIエージェントの業務利用が広がるなかで、システム間連携用のサービスアカウントを含む、人以外が使うIDの管理も課題になっています。これらは入社や退職といった人事上の出来事と結び付かないため、管理者が決まらないまま残る場合があります。
人以外のIDにも管理責任者と利用期限を設定し、棚卸しの対象に含められるかを確認しましょう。人以外のIDの扱いは製品によって異なるため、自社で使う予定のAIエージェントの管理方法をベンダーに具体的に相談すると確実です。
権限管理の負担を減らすID管理ツール一覧
AIエージェントのID管理やAIによる権限の判断、人事データと連動した入退社処理、棚卸しの効率化といった観点で、この記事で紹介するID管理ツールをまとめました。自社で負担の大きい業務にあう製品を探す際に活用してください。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| Okta Workforce Identity | 従業員からAIエージェントまでのIDを統合管理。人事システム連携で入退社や異動時のアカウント管理を自動化できる |
| IIJ IDガバナンス管理サービス | 入退社・異動や兼務、出向などの人事イベントに標準対応。ID棚卸し機能で過剰な権限付与を検知できる |
| Keyspider | 組織情報にひも付けて各システムの権限を自動付与できる。人事の発令日に向けた予約設定や引き継ぎ期間の設定にも対応 |
| ジョーシス | SaaSの権限や利用状況を可視化。退職者アカウントの削除漏れを検知し、入退社時の発行・削除も自動化できる |
| Microsoft Agent 365 導入支援 | 社内のAIエージェントを可視化し、エージェントごとにIDを付与して権限を管理。未承認エージェントの隔離にも対応 |
| SmartHR | 人事情報の変更にあわせて、作成・削除が必要な外部サービスのアカウントを自動でリストアップできる |
| LOCKED DAS | 人事系SaaSのアカウント情報の変化に応じてSaaSアカウントを自動設定。棚卸台帳でSaaSを管理できる |
| Soliton ID Manager | 人事情報にもとづき入退社に伴う権限を自動で更新。誰にどの権限をどの期間、どの理由で付与したかまで可視化できる |
| EvidianIdentityGovernance&Administration | 拡張RBACで組織や役割に応じたアクセス権限を自動付与できる。セルフ申請と承認フローも備える |
| ActiveRoles | Active DirectoryやMicrosoft 365のID・権限を管理。RBACによるきめ細かな委任に対応 |
| SailPointIdentitySecurityCloud | AIと自動化により、アイデンティティやアクセス権限の管理を統合。AIでアクセス権限を判断する機能を提供 |
| 1Password | パスワードやアクセス権限を統合管理できるツール。人間とAIの権限分離や最小権限、ログ監視による制御に対応 |
AIエージェント管理や権限見直しを支えるID管理
AIエージェントのID・権限管理に対応する製品と、人事データと連携した自動化や棚卸しによって権限の過不足を減らせる製品を選びました。AIを活用した機能の範囲は製品によって異なるため、提案の根拠や承認の流れもあわせて確認してください。
Okta Workforce Identity
- フィッシングに強い認証フローでログインをより簡単・安全にする
- ADやLDAP等と統合。全てのIDを単一コントロールプレーンから管理
- ユーザーのアクセスを1か所で管理しアクティビティを適切に把握
Okta Japan株式会社が提供する「Okta Workforce Identity」は、従業員とAIエージェントのIDを統合して管理できるクラウド型のサービスです。アイデンティティガバナンスや特権アクセス管理まで、1つのプラットフォームで提供しています。Lifecycle Managementのプロビジョニング機能により、人事システムと連携して入退社や異動に伴うアカウントの作成・更新・停止を自動化できます。特権アクセスには多段承認や申請理由、承認期限を設定でき、人の承認を残した権限管理を組み込みやすい点も特徴です。
IIJ IDガバナンス管理サービス
- 散在するIDやアカウント情報を一元管理
- 簡単設定のプロビジョニングで業務負荷を解消
- 不正なID・権限設定が一目で分かる
株式会社インターネットイニシアティブが提供する「IIJ IDガバナンス管理サービス」は、散在しているIDを一元管理できるID管理サービスです。入退社・異動のほか、本務・兼務や出向、転籍といった人事イベントに標準で対応しています。ID棚卸し機能では、ポリシーにもとづいて連携先システムごとに過剰な権限付与などを検知でき、違反箇所に対してWeb画面から権限の付与・剥奪を行えます。棚卸しの負担を抑えながらIDを是正したい企業に向く製品です。
Keyspider
- クラウドID管理と効率化を実施し、変化に対応できるシステム運用
- “引継ぎ期間”を想定した対応が可能
- 組織情報に紐づけ、各システムの権限付与が自動的に行える。
株式会社アクシオが提供する「Keyspider」は、管理の効率化とセキュリティに注力してID管理を自動化するシステムです。組織情報にひも付けて、ポリシーにもとづき各システムの権限を自動で付与できます。人事の発令日に向けた予約設定や、異動後の引き継ぎ期間の設定が可能で、シミュレーション機能を使えば適用後の状態を事前に確認できます。異動時の権限の切り替えを確実に進めたい企業の候補となるでしょう。
ジョーシス
- バラバラだったSaaS・デバイスを一元化管理し、管理工数を削減
- 入退社時のアカウント発行・削除を自動化し、業務の効率化を実現
- シャドーITや削除漏れアカウントを検知し、ITセキュリティを向上
ジョーシス株式会社が提供する「ジョーシス」は、社内で利用するSaaSやデバイスを統合管理するSaaS管理クラウドです。SaaSの権限や最新の利用状況を社員やアプリごとに可視化し、情シスが把握しきれていないアプリ(シャドーIT)や、削除漏れが起きやすい退職者アカウントを自動で検知します。入退社時のアカウント発行・削除は予約機能で自動化できるため、部署ごとに契約したSaaSまで棚卸しの対象に含めたい場合に役立ちます。
Microsoft Agent 365 導入支援
- AIエージェントを可視化し、利用実態を把握
- AIエージェントごとにIDを付与し、権限を管理
- Entra・Purview・Defender連携で統制を強化
株式会社ピーエスシーが提供する「Microsoft Agent 365 導入支援」は、社内で利用されるAIエージェントを可視化し、IDや権限を一元管理できるサービスです。どのエージェントが誰によってどの用途で使われているかを一覧で把握でき、各エージェントにIDを付与してユーザーと同様に権限を管理できます。未承認エージェントの可視化・隔離や、エージェントの登録台帳によるライフサイクル管理にも対応しており、人以外のIDの管理責任を明確にしたい企業に適しています。
SmartHR
- ID管理とSSOで、アカウントの作成・削除とアクセスを一元管理
- プロダクトとBPOで、情シス業務全体の負荷を軽減
- 最新の人事データと連動、アカウントとアクセスの対応漏れを防止
株式会社SmartHRが提供する「SmartHR」は、外部サービスのアカウント管理やシングルサインオンを実現する機能を備えたサービスです。人事・労務担当者が入社・異動・退職などの情報を更新すると、最新の従業員情報と照らし合わせて、作成・削除が必要なアカウントを自動でリストアップします。連携可能なサービスではSmartHRからアカウントの作成・削除も行えるため、人事データを起点に停止漏れを防ぎたい場合に検討しやすいでしょう。
LOCKED DAS (株式会社onetap)
- 入社・退職・異動に伴う、SaaSアカウントを自動設定
- 棚卸台帳で設定状況を記録
- 利用実態ログで解析
Soliton ID Manager (株式会社ソリトンシステムズ)
- よりスムーズなログイン・管理が可能!
- 自社ルールに適合した柔軟な設定を実現!
- 申請ワークフローを活用し効率的なデジタル証明書の配布が可能!
EvidianIdentityGovernance&Administration (EVIDIAN-BULL JAPAN 株式会社)
- 拡張RBACで組織や役割に応じたアクセス権限を自動付与。
- セルフ申請と承認フローで管理負荷を軽減、権限割当を効率化。
- ガバナンス強化とコンプライアンス証明を支援。
ActiveRoles (One Identity Japan合同会社)
- ハイブリッド環境の多様なディレクトリを一元管理し、可視化。
- 最小権限モデルとRBACできめ細かな委任。
- ポリシー/ルール/自動化でアカウント管理業務を効率化。
SailPointIdentitySecurityCloud (SailPointテクノロジーズジャパン合同会社)
- AIでアクセス権限を自動判断・実現。
- IDとアクセスを可視化しリスクをリアルタイムで軽減。
- オンプレ・クラウド問わず、ほぼ全アプリと双方向連携。
1Password (AgileBits Inc.)
- パスワードやアクセス権限を統合管理する機能
- SaaS利用状況の可視化で無駄な支出を削減し最適化します。
- 人間とAIの権限分離、最小権限、ログ監視で制御
まとめ
ID管理ツールは、人事データと連動したアカウント管理や権限の自動付与、棚卸しの効率化に役立ちます。さらに、AIを活用して過剰な権限の検出や権限付与の提案、ロール設計を支援する製品もあります。ただし、AIの対応範囲は製品ごとに異なり、人による最終確認も重要です。AIエージェントなど人以外のID管理も含め、自社の課題にあう製品を資料請求で比較しましょう。

