IVRの信頼性への不安の整理
IVR(Interactive Voice Response)は、かかってきた電話に自動で音声ガイダンスを流し、番号の入力に応じて担当窓口へつなぐ仕組みです。不安をまとめて解消しようとすると確認の項目が多くなるため、種類ごとに分けて確かめていきましょう。
不安の種類の分類
不安の中身は、大きく4つに分かれます。電話がつながらなくならないかという不安、問題が起きたときにどこへ相談すればよいのかという不安、通話の内容がどう扱われるかという不安、使い続けられるかという不安です。それぞれ確認先も判断基準も異なります。
自社にとってどれが重いかは、電話が業務に占める役割によって変わります。受注や予約を電話で受けている場合は、つながらない時間の影響が特に大きくなります。まず優先して確かめる項目を決めておくと、限られた時間の中でも検討を進められます。優先順位は関係部署と共有しておくと、社内での判断もそろいやすくなります。
確認できる情報の範囲
ベンダーが公開している情報には限りがあります。公式サイトで確認できる項目、契約前の問い合わせで回答を得られる項目、開示されない項目に分けておくと、確認作業を効率よく進められます。
開示されない項目については、そのこと自体を不信の材料とせず、代わりに何を確認できるかを尋ねてみましょう。個別の内容を公開していなくても、対応の考え方や連絡の手順については説明を受けられる場合があります。質問の仕方を変えることで、判断に使える情報を得られることがあります。
電話がつながらない事態への備え
障害を完全になくすことはどの製品でも難しいものです。起きたときにどう扱われるか、自社で何ができるかを確認しておきましょう。
停止したときの着信の扱い
IVRが停止した場合、着信がどうなるかは構成によって異なります。あらかじめ指定した番号へ転送される設定を用意できる製品もあれば、着信自体が受けられなくなる場合もあります。
確認しておきたいのは、停止時の転送先を設定できるか、その切り替えが自動か手動かという点です。手動での切り替えが必要な場合は、誰がどの手順で行うかを決めておく必要があります。切り替えにかかる時間も含めて確認し、業務への影響を見積もっておきましょう。転送先として使える回線を社内に確保できるかも、あわせて整理しておく必要があります。
障害情報の公開状況
稼働の状況を専用のページで公開しているベンダーがあります。過去の障害の発生時期や影響範囲、復旧までの経緯を確認できると、対応の姿勢を知る手がかりになります。
公開されていない場合は、契約前の問い合わせで直近の状況や対応の考え方を質問してみましょう。あわせて、計画的なメンテナンスの時間帯と事前告知の期間も確認しておくと、自社の営業時間と重なる可能性を把握できます。管理者へ通知が届く仕組みがあるかも確かめておきましょう。
つながらない場合の代替手段
製品側の対策を確認するだけでなく、止まった場合に自社で何ができるかも考えておきましょう。代表番号を別の回線へ転送する、Webサイトで案内を出すといった手段を用意しておくと、顧客の混乱を抑えられます。
手順は文書にまとめ、関係者が参照できる場所に置いておきます。担当者1人が把握している状態では、不在時に対応できない可能性があるため、複数人が実行できる形にしておきましょう。年に一度など、実際に手順を試す機会を設けておくと、いざというときに動けます。
責任の所在が分かれる場合の確認
電話がつながらない事象は、IVRの提供元だけでなく、通信の経路や社内の設備が関わる場合もあります。相談先を整理しておくと、対応が滞りにくくなります。
関わる事業者の整理
電話の仕組みには、IVRを提供するベンダー、電話回線を提供する通信事業者、社内のネットワークを管理する部署や委託先が関わります。どこに要因があるかによって、相談すべき先が変わります。
導入の段階で、それぞれの担当範囲を図にまとめておきましょう。どこからどこまでを誰が担うのかが見えると、事象が起きた際に確認の順序を決められます。契約の内容も範囲ごとに整理し、いつでも参照できる状態にしておくことをおすすめします。構成を変更した際は図も更新し、実態との差が生じないようにしましょう。
問い合わせ先の把握
それぞれの相談先について、窓口、受付時間、連絡の手段を一覧にまとめておきましょう。緊急時に調べる時間を省けるだけでなく、担当者が交代しても同じ対応を続けられます。
あわせて、夜間や休日の扱いも確認しておきます。電話は営業時間外にも着信が発生するため、受付時間外に事象が起きた場合の対応方針を決めておく必要があります。まず自社で確認する範囲と、連絡を待つ範囲を分けておくと、判断に迷う時間を減らせます。連絡した内容と回答を記録に残しておくと、次に同じ状況が起きた際の手がかりになります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でIVRの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
通話データの取り扱い
IVRでは、着信の記録や、利用者が入力した内容が保存される場合があります。通話の録音を行う構成では、扱う情報の範囲がさらに広がります。
記録される情報の範囲
まず、どのようなデータが保存されるかを整理しましょう。発信者の番号、着信の日時、選択された項目、入力された番号、通話の音声などが含まれる場合があります。
個人情報にあたる項目が含まれるかは、社内の規程に照らして判断する必要があります。データの保存場所、保存される期間、契約終了後の扱いを契約前に確認し、管理部門や法務の担当と共有しておきましょう。通話を録音する場合は、利用者への案内の方法もあわせて整理しておくことが求められます。
対策状況と認証の確認
通信の暗号化、アクセス権限の設定、操作記録の保存といった機能が用意されているかを確認します。機能の有無だけでなく、自社で設定を管理できるかもあわせて見ておきましょう。
第三者機関の認証を取得しているかも判断材料の一つです。ただし認証の対象範囲は組織全体の場合とサービス単位の場合があり、内容は一律ではありません。取得している認証の名称、対象範囲、更新の状況まで確認すると実態に近い理解ができます。不明な点は情報システム部門とあわせて確かめましょう。
提供の継続性と評価情報の読み取り方
導入した製品が将来も提供され続けるかを見通すことは難しいものです。確認できる範囲を押さえたうえで、公開されている評価をどう受け止めるかも整理しておきましょう。
提供終了に備えた確認事項
提供の継続性を判断する材料としては、機能の更新が続いているか、サポート情報が新しい状態に保たれているか、公開されている導入事例が最近のものかといった点が挙げられます。一つだけでは判断できないため、複数を組み合わせて確かめましょう。
あわせて、契約書に記載された提供終了時の取り決めも確認します。特に電話番号を引き継げるかどうかは、移行の負担を大きく左右します。設定した内容や通話の記録を出力できる形式と、契約終了後に取り出せる期間も把握しておくと、対応を計画しやすくなります。
実績数値の前提の確認
導入実績として示される数値は、集計の対象範囲や期間の取り方がベンダーによって異なります。累計で数えているのか現在の契約数なのかによって意味は変わります。
数値の大小だけで判断せず、どのような条件で集計されたものかを確認しましょう。自社と近い規模や業種での利用があるかを個別に問い合わせるほうが、判断には役立ちます。事例の紹介を依頼し、着信の規模や運用の体制を聞ければ、より具体的な比較ができます。
口コミ情報の扱い方
利用者の評価には、良い内容と厳しい内容の両方が含まれます。厳しい評価を見ると不安になりますが、内容を読むと自社には当てはまらない条件のものも含まれています。
確認したいのは、その評価がどの機能や場面に関するものか、投稿された時期はいつかという点です。時間が経った評価は、その後の改善で状況が変わっている可能性があります。自社の利用条件に近い意見を選んで参考にし、気になる内容はベンダーへ直接確認するとよいでしょう。
つながらない事態への備えがあるIVR
入電が集中した場面や時間外の対応をどう扱えるかは、信頼性を判断する材料になります。備えの機能を確認しやすい製品を紹介します。
PKSHA VoiceAgent
- ボイスボットで電話窓口を「24時間365日化」し、顧客体験を向上
- SaaS型で素早くスモールスタート、高速PDCAで改善
- PBXやCRM、販売管理等の外部システムと連携が可能
株式会社PKSHA Technologyが提供する「PKSHA VoiceAgent」は、定型的な電話の問い合わせを自動音声の対話で完結させるボイスボット型のサービスです。入電が集中して受けきれないあふれ呼への対応を備え、災害時や緊急時に体制を維持する用途も想定されています。通話録音や分析の機能に加え、個人情報にもとづく本人認証や役割別の権限管理に対応します。整形されたCSVでの出力にも対応するため、対応の記録を社内で共有しやすくなります。
LINE WORKS AiCall VOICEIVR
- AIによるお問い合わせ内容の事前確認で有人対応を大幅に削減
- お客様の自由発話をAIが認識して自動対応、PUSH操作は不要
- 独自開発AIだからできる企業ごとの個別学習で高い精度を実現
LINE WORKS株式会社が提供する「LINE WORKS AiCall VOICEIVR」は、電話の一次対応に特化したAI搭載型のIVRパッケージです。あふれ呼への対応を備えており、時間や時期による入電の繁閑差が生じる場面での利用が想定されています。録音機能と分析機能に加え、企業ごとの個別学習と、担当者が自分で調整できるセルフメンテナンスの機能により、運用しながら精度を高めていく構成です。誤った部門への転送を減らす一次対応の振り分けにも対応します。
生成AIを活用した IVRソリューション
- プッシュボタン不要、音声のみで操作できる新しいIVR
- 生成AIを活用し、電話業務の効率化・高度化を支援
- 業務にあわせてカスタマイズし、構築・運用まで伴走支援
NTT東日本株式会社が提供する「生成AIを活用した IVRソリューション」は、顧客の音声だけで操作を進められるIVRです。電話に出られないことによる取次ぎの漏れや対応の抜けを抑える用途が想定されています。通話録音に加え、通話内容の自動での文字起こしと要約、記録に対応するため、後から状況を確認する手段を持てます。営業時間の判定や対応可否の判断といった機能も備え、要望に応じてクラウドエンジニアがカスタマイズして提供する形をとっています。
MediaVoice (メディアリンク株式会社)
- 月間600万コールに耐える安定稼働実績。
- 大手・中小企業で導入、継続利用率97%。
- 独自IVRをオーダーメイドで構築可能
まとめ
IVRの信頼性は、停止時の着信の扱い、相談先の整理、通話データの取り扱い、提供の継続性という順で確認していくと整理できます。すべてを事前に見通すことはできませんが、確認できる項目を並べ、つながらない場合の手順を決めておくことで不安は和らげられます。気になる製品があれば、資料請求で条件を確かめたうえで比較検討を進めてみてください。


