国内IVR市場の現状
国内におけるIVR市場は、クラウド型サービスの普及や中小企業による採用拡大を背景に変化しています。あわせて、AIとの連携や自然言語処理を活用したIVRの導入も進んでいます。日本独自の商習慣やコールセンター運用のノウハウも相まって、企業規模や業種に応じた柔軟なサービスが選びやすい環境になりつつあります。
クラウド型の普及と中小企業の導入拡大
これまでオンプレミス型(自社設置型)が中心だったIVRですが、近年ではクラウド型サービスが拡大しています。クラウド型は初期投資を抑えやすく、短期間で導入できるため、従業員数が少ない中小企業でも「顧客対応の効率化」を目的に採用が増えています。特に働き方改革やテレワークの拡大により、場所に縛られないコールセンター運営を志向する企業が多くなりました。
また、国内市場の規模やセグメント別構成については、民間の市場調査会社による有料レポートで詳細なデータが提供されています。導入検討時には、自社と近い規模・業種の導入動向が整理されたレポートを併せて確認すると、より現実的な投資判断につなげやすくなります。
AI連携IVRの増加傾向
IVR技術も「キーパッド入力による選択」から「音声によるナビゲーション+自動応答」へと進化しています。例えば、自然言語処理(NLP)や生成AIを使った応答設計により、以前よりも人間らしいやり取りが可能になりつつあります。顧客はガイダンスに従って番号を押すのではなく、用件を話すだけで適切なメニューや担当者につながる体験を求めるようになりました。
国内のサービスでも、AI搭載をうたう製品が見られます。ITトレンドの上半期ランキング2026(IVR)では、「LINE WORKS AiCall VOICEIVR」が4位に入りました。世界での広がりは、後半の「Genesys/Ciscoの世界シェア」で紹介します。
「シェア」の数字が調査ごとに違う理由
「市場シェア」という言葉でも、数字の出どころによって意味が変わります。IVR市場については、ベンダー別のシェアを示す公的な統計はありません。そのため、数字は次の3種類の出どころに分けて読むことが大切です。
| 種類 | 主な出どころ | 示していること | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| 各社の公表値 | 各社の公式サイト・プレスリリース | 導入社数や席数など、各社が公表する実績 | 集計の範囲や時点が各社で異なり、横並びでは比べられない |
| 調査会社の市場データ | 民間の調査会社のレポート | IVRを含む市場の規模や、ベンダー別の傾向 | 詳細は有料レポートが中心。IVR単体の市場規模やシェアは、無償では公開されていない |
| ITトレンドのランキング | ITトレンド | 資料請求数に基づく人気の傾向 | 導入社数や売上とは別の指標で、市場シェアではない |
特に注意したいのは、各社が「シェアNo.1」と表示する場合の対象です。対象の市場、調査の主体、調査の年が、会社ごとに異なります。数字を見るときは、「何の市場で」「誰が」「いつ」調べたのかを確認しましょう。
主要IVRベンダーの導入状況
国内ベンダーの数字は各社の公式サイトの実績、世界のベンダーの数字は海外の調査会社のレポートによるものです。いずれも集計の範囲や時点がそろっていないため、数字を並べて優劣を判断することはできません。
BIZTEL/InfiniTalkの導入状況
国内ベンダーとして、例えば「BIZTEL」や「InfiniTalk」の製品がクラウド型IVRを含むコールセンターソリューションとして提供されています。「BIZTEL」はクラウド型PBX・コールセンターシステムとして多数の企業に導入されています。IVR(音声ナビ)やAPI連携IVR、音声認識連携(AmiVoice API)などの機能を備えています。「InfiniTalk」もIVRやACD、通話録音などを統合した音声通信プラットフォームとして展開され、クラウド版とオンプレミス版の双方に対応しています。
各社の公式サイトでは、BIZTELは導入社数2,000社以上、稼働席数40,000席以上と公表されています。InfiniTalkは、販売実績26年、2024年に契約した企業の継続率100%と公表されています。いずれも製品全体の実績とみられ、IVR機能だけを対象にした数字ではない点に注意しましょう。
一方で、国内市場における「BIZTEL」や「InfiniTalk」のシェア割合を示す公的データや無償公開の詳細統計は確認できていません。国内のクラウド型コールセンター領域では導入企業が増えており、IVR機能を含むソリューションとして活用が広がっている点が特徴として挙げられます。さらに具体的なシェア数字まで把握したい場合は、市場調査会社の有料レポートや、各ベンダーが公開している導入実績を確認する方法が有効です。
以下の記事ではIVRの価格や機能、サポート体制などを、具体的に比較して紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
参考:
BIZTEL|株式会社リンク
参考:
InfiniTalk|ジェイエムエス・ユナイテッド株式会社
Genesys/Ciscoの世界シェア
グローバル市場では、Genesys、Cisco、Avayaなどのベンダーが、コールセンター向けプラットフォームやIVRソリューションを世界各国に展開しています。海外の調査会社Global Growth Insightsの公開ページ(2026年5月27日更新)によると、世界のIVR市場は2025年に約54億米ドルでした。2035年までに約84億米ドルへ、年平均4.57%で成長する見通しです。
同ページでは、地域別のシェアを、アジア太平洋が約37%、北米が約35%、欧州が約21%、中東・アフリカが約7%としています。また、ベンダー別では、Genesysが約22%、Ciscoが約18%の世界シェアを持つとしています。これらのことから、IVR市場は複数の大手ベンダーと地域ベンダーが競合する構図であり、「一社が独占」という状況ではないといえます。
同ページは、AI対応IVRの採用を31%としています。また、AI対応IVRへの投資を示す割合として、33%を挙げています。ただし、これらの割合が何を分母にしているかは、同ページには示されていません。傾向をつかむ参考として読み、導入の判断では自社の条件で製品を比較しましょう。
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ITトレンドのランキングから分かる人気の傾向
一方、ITトレンドで資料請求が多かったサービスを見ると、また違った傾向が見えてきます。「ITトレンド上半期ランキング2026」のIVR部門は、2026年1月1日〜5月31日の資料請求数をもとに集計したものです。1位は「DXでんわ」、2位は「オーロラIVR by TeleForce」、3位は「ソクコム」でした。7位までの順位は、次のとおりです。
| 順位 | 製品名 | 提供会社 |
|---|---|---|
| 1位 | DXでんわ | メディアリンク株式会社 |
| 2位 | オーロラIVR by TeleForce | 株式会社メディア4u |
| 3位 | ソクコム | Foonz株式会社 |
| 4位 | LINE WORKS AiCall VOICEIVR | LINE WORKS株式会社 |
| 5位 | ミライAI | 株式会社ソフツー |
| 6位 | PKSHA VoiceAgent | 株式会社PKSHA Technology |
| 7位 | Daisybell AIエージェント | Daisybell Japan株式会社 |
ランキングは、新たにIVRを探している企業の関心を示すもので、市場シェアとは異なります。資料請求数は導入社数や売上とは別の指標のため、順位だけで市場での導入規模を判断することはできません。ランキングに入っていない製品が、導入実績で劣るとは限らない点にも注意しましょう。最新の順位は、IVR(自動音声応答システム)人気ランキングで確認できます。
参考:IVR(自動音声応答システム)の上半期ランキング2026|ITトレンド
今後のIVR市場の成長トレンド
IVRは、音声認識と生成AIによる自動化、CRMやチャットボットなどとのAPI連携によるプラットフォーム化が進んでいます。Global Growth Insightsのレポートでも、AIや自然言語処理の進歩と、クラウド型の拡大が、成長を支える要因として挙げられています。
技術の動向と、導入時の注意点は、以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事 【2026年版】IVRのトレンドを紹介!AI連携と音声認識の進化に注目
よくある質問
国内のIVR市場でシェア1位はどこですか?
IVR市場のベンダー別シェアを示す公的な統計はありません。調査会社のデータでも、IVR単体の順位は無償では公開されていません。各社が「No.1」と表示する場合も、対象の市場や調査の主体、年が異なります。数字は出どころを分けて読み、自社の条件に合う製品を選ぶことが大切です。
比較するときは、機能や料金、サポートを並べて確認しましょう。
まとめ
IVR市場のシェアは、各社の公表値、調査会社のデータ、ITトレンドの資料請求ランキングで、見える景色が異なります。国内ではBIZTELやInfiniTalkなどが導入実績を公表し、世界ではGenesysやCiscoが大きなシェアを持つとされています。数字を見るときは、対象と時点を確認することが欠かせません。
IVR導入を検討される場合は、複数の製品・サービスを比較しながら、自社の規模や課題に合ったソリューションを選ぶことが重要です。具体的な検討を進めたい方は、ぜひこの機会に資料請求を行い、複数製品の機能や価格、サポート内容を比較してみてください。


