企業規模でLCMサービスの懸念点が変わる理由
LCMサービスとは、PCやスマートフォンといった端末の調達や初期設定、運用保守、回収、廃棄までの工程を代行するサービスです。同じサービスでも、管理台数や社内システムの構成、入退社の時期によって負担の出方が変わります。まずは規模で差が出る要因を整理しましょう。
管理台数と固定費のバランス
LCMサービスの料金は、端末1台あたりの月額費用に加えて、基本料金や初期費用が設定されている場合があります。固定的にかかる費用は台数が少なくても発生するため、管理台数が少ないほど1台あたりの負担は大きくなる傾向です。
一方で、台数が多い企業は、固定費が分散されて単価を抑えられる可能性があります。ただし、台数による値引きの有無や条件は提供会社によって異なるため、見積もり時に台数ごとの単価を確認しましょう。
既存システムとの連携範囲
企業規模が大きくなるにつれて、人事システムや資産管理ツール、ID管理基盤など、端末管理と関係するシステムが増える傾向があります。LCMサービスがこれらとデータを連携できないと、入退社情報や資産台帳を担当者が手作業で転記する工程が残ります。
連携方法には、API(システム同士をつなぐ仕組み)による自動連携や、CSVファイルの取り込みがあります。どの方式に対応しているかはサービスやプランごとに差があるため、自社の構成と照らし合わせて確認することが重要です。
入退社や更新時期による作業量の波
端末の準備や回収の作業量は、年間を通じて一定ではありません。新卒社員が入社する4月や、OSのサポート終了にあわせた一斉更新の時期には、キッティング(端末の初期設定)や配送の件数が一時的に増えます。退職者の端末回収が同じ時期に重なる場合もあります。
小規模企業では波が小さく影響は限られますが、従業員数が多い企業ほど一度に処理する台数が増えます。そのため、提供会社の作業体制や繁忙期の受付条件が、運用の安定性を左右する要素の一つといえます。
小規模企業のLCMサービスで費用対効果が下がる例
従業員が数十名程度の企業では、端末台数が少ないぶん、契約内容によっては費用に見合う効果を得にくい場合があります。ここでは50名規模を例に、高機能なプランを選んだ場合の失敗ケースと、費用対効果を保つための考え方を紹介します。
50名規模で高機能なプランを契約したケース
例えば50名規模の企業が、資産管理やセキュリティ監視、24時間対応のヘルプデスクまで含むプランを契約したとします。実際には端末の入れ替えが年に数台で、問い合わせも少ない場合、使わない機能の費用まで払い続けることになりかねません。
高機能なプランは、多拠点や大量の端末での利用を想定して設計されている場合があります。自社の端末台数と問い合わせ件数を把握せずに契約すると、1台あたりのコストが割高になる可能性があります。
最低契約台数や基本料金の見落とし
LCMサービスのなかには、最低契約台数や月額の基本料金を設けているものがあります。管理台数が最低台数を下回っても、最低台数分の料金が請求される契約形態も考えられます。従業員数が少ない企業ほど、この差額の影響を受けやすくなります。
見積もりを比較する際は、1台あたりの単価だけでなく、最低利用料金や初期費用、契約期間の縛りを含めた年間の支払額で比べることが大切です。
必要な工程だけを委託する方法
小規模企業で費用対効果を保つには、LCMの全工程をまとめて委託するのではなく、負担の大きい工程に絞って依頼する方法があります。例えば、キッティングと故障時の代替機手配だけを委託し、資産台帳は既存の表計算ソフトで管理するといった分担です。
工程単位で依頼できるかどうかはサービスによって異なります。部分的な委託に対応しているか、単発で依頼できる料金体系があるかを確認しましょう。社内に残す工程についても、担当者と手順を決めておくことが大切です。
中規模企業のLCMサービスで起こる機能不足
100名前後の企業では、端末台数が増える一方で、情報システム部門の人数は限られることがあります。費用を抑えようと安価なサービスを選んだ結果、必要な機能が足りず手作業が残るケースもあります。ここでは機能不足の例と確認方法を解説します。
安価なプランで基幹システムと連携できないケース
100名規模の企業が、料金の安さを優先してLCMサービスを選んだとします。契約後に、人事システムや会計システムとの連携機能がプランに含まれていないとわかると、入社情報の登録や固定資産の計上を手作業で行う必要が出てきます。
安価なプランは、端末の手配やキッティングといった基本的な工程に範囲を絞っている場合があります。料金の差がどの機能の差から生じているのかを把握したうえで選ぶことが重要です。見積もりの内訳で、連携機能が標準かオプションかを確認しましょう。
手作業が残りやすい工程の洗い出し
連携不足によって手作業が残りやすい工程として、入退社に伴う端末の割り当てや資産台帳への登録、リース満了日の管理が挙げられます。これらは件数が増えるほど、転記ミスや更新漏れが起こる可能性が高まります。
導入前に、現在の端末管理業務を工程ごとに書き出し、誰がどのシステムに何を入力しているかを整理しておきましょう。そのうえで、LCMサービスに置き換えられる工程と社内に残る工程を区別すると、機能の過不足を判断しやすくなります。
連携方式と追加費用の事前確認
既存システムとの連携は、標準機能で対応できる場合と、個別の開発や設定作業が必要な場合があります。個別対応では追加の費用や期間がかかることもあるため、見積もりの段階で範囲を明確にしておくことが大切です。連携の仕様が固まらないまま契約すると、運用開始が遅れる場合もあります。
確認する際は、連携に使うデータ形式や更新の頻度、連携エラーが起きた際の通知方法を提供会社に問い合わせましょう。自社だけで判断が難しい場合は、基幹システムのベンダーにも同席してもらうと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でLCMサービスの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
大企業のLCMサービスで繁忙期に起こる運用課題
従業員数の多い企業では、一度に扱う端末の台数が多く、作業が特定の時期に集中しやすくなります。LCMサービスの処理能力や社内の承認フローが追いつかないと、端末の受け渡しが遅れる可能性があります。繁忙期に起こりうるトラブルと備え方を確認しましょう。
4月の入社時期に作業が集中するケース
新卒社員の入社が重なる4月は、短期間に数百台規模の端末を準備する企業もあります。入社日までにキッティングと配送を終える必要があるため、提供会社の作業枠が埋まると、一部の端末が入社日に間に合わない可能性があります。
また、配属先や利用するソフトウェアの情報が社内で確定しないと、設定作業そのものを始められません。提供会社側の体制だけでなく、社内の情報確定の遅れも処理が滞る要因の一つです。入社者の情報は、確定した部署から順に提供会社へ渡すと作業を前倒しできます。
一斉リプレースで処理が滞るケース
OSのサポート終了やリース満了にあわせて、全社の端末を一斉に入れ替える場合も作業が集中します。新しい端末の設定に加え、旧端末の回収やデータ消去、資産台帳の更新が同時に発生するためです。対象台数が多いほど、旧端末の保管場所や回収日程の調整も必要です。
入社時期と一斉リプレースが重なると、提供会社の作業能力を超えて納期が延びたり、回収漏れが生じたりするケースがあります。端末そのものの調達状況によっても、納期は変動する場合があります。
繁忙期を見据えた計画と体制の調整
繁忙期のトラブルを抑えるには、作業量の見通しを早めに提供会社と共有することが有効です。例えば、入社予定人数や更新対象の台数を数か月前に伝え、作業枠や端末在庫を確保してもらう方法があります。作業枠の予約方法や締切日は提供会社ごとに異なるため、契約時に確認しておきましょう。
あわせて、リプレースの時期を入社時期とずらす、部署ごとに段階的に入れ替えるといった分散策も検討しましょう。社内の承認担当者を複数名にしておくと、確認待ちによる遅延も抑えやすくなります。
企業規模にあうLCMサービスを見極めるポイント
懸念点を避けるには、自社の規模と課題を整理し、それに見合う契約内容を選ぶことが重要です。以下の表は、規模ごとに確認したい主な項目をまとめたものです。表を手がかりに、見積もり依頼の条件を具体化しましょう。
| 規模の目安 | 主な懸念点 | 確認したい項目 |
|---|---|---|
| 50名前後 | 台数に対して費用が割高になる | 最低契約台数、基本料金、工程ごとの委託可否 |
| 100名前後 | 機能不足で手作業が残る | 既存システムとの連携方式、個別対応の費用 |
| 大企業 | 繁忙期に処理が追いつかない | 作業枠の確保方法、段階導入の可否、納期の目安 |
管理台数と工程を数値で整理する
見積もりを依頼する前に、現在の端末台数と年間の入替台数、問い合わせ件数を把握しておきましょう。数値があると、提供会社から台数にあった料金プランの提案を受けやすくなります。台数は部署や拠点ごとに分けて集計しておくと、配送や作業の範囲も伝えやすくなります。
あわせて、調達や設定、保守、回収、廃棄の各工程について、社内で費やしている作業時間を見積もっておくと効果的です。委託後に削減できる工数と支払う費用を比べることで、費用対効果を客観的に判断できます。
将来の人員増減を契約条件に反映する
企業規模は事業の成長や組織変更によって変わります。契約時点の台数だけで判断すると、数年後に台数が増えて単価の見直しが必要になったり、減少して最低台数を下回ったりする可能性があります。採用計画や拠点の開設予定も、検討材料に加えましょう。
台数の増減に応じてプランを変更できるか、契約期間中の上限や下限がどう設定されているかを確認しましょう。小規模な導入から始められるサービスであれば、運用を確かめながら範囲を広げる方法もとれます。
企業規模と委託範囲から選びたいLCMサービス
調達から廃棄までの一括委託に対応するサービスを中心に、対象規模や対応範囲の異なる製品を紹介します。自社の管理台数や繁忙期の作業量を伝えたうえで比較してください。
LCMサービス
- PC・モバイルの調達から回収まで一括管理
- 大規模な初期設定と現地設置を安全に実施
- データ消去や磁気破壊で確実な情報漏洩対策
PCテクノロジー株式会社が提供する「LCMサービス」は、PCやスマートフォンの調達から設定、運用、回収までを一括で支援するアウトソーシングサービスです。運用中の問い合わせ対応やデータ消去も任せられるため、工程ごとに委託先を分けずに検討できます。大規模な初期設定と現地での設置に対応する体制を備えており、入社時期や一斉リプレースで作業が集中する場合の相談先として検討できます。ITトレンドの掲載情報では、対象規模を「全ての規模に対応」としています。
<JCS>LCMセンター
- 延べ10 万台以上の対応実績。ノウハウも豊富で安心
- 技術支援やヘルプデスクチームなど手厚いサポート体制
- モバイルデバイスの導入支援サービス
株式会社ジャパンコンピューターサービスが提供する「<JCS>LCMセンター」は、PCなどの情報機器の導入から廃棄までを一元管理するサービスです。マスター作成やキッティングといった作業はLCMセンターで対応しています。キッティング後は、利用企業の環境でのオンサイト作業も依頼できます。技術支援やヘルプデスクのチームによるサポート体制があり、モバイルデバイスの導入支援サービスも用意されています。ITトレンドの掲載情報では対象規模を「全ての規模に対応」としており、委託したい工程と台数を伝えて相談するとよいでしょう。
ライフサイクルマネジメントサービス
- セイノーグループで培ったシステム構築・保守ノウハウを凝縮
- サーバー、PC、スマホ、ハンディなど様々なデバイスを取り扱い
- 全国規模の物流網を駆使した配送サービスをセットで提案
株式会社セイノー情報サービスが提供する「LCM」は、社内IT資産のライフサイクルマネジメントを、物流サービスとセットで提供するサービスです。購入計画から調達、設定、導入、運用、保守、撤去、廃棄までを対象としています。サーバーやPC、スマートフォン、ハンディ端末などのデバイスを取り扱い、全国規模の物流網を活用した配送サービスとあわせて提案を受けられます。ITトレンドの掲載情報では対象規模を従業員100名以上としており、拠点への配送もあわせて任せたい企業の比較候補です。
Perfect Finder
- IT運用を見える化・最適化
- 調達/購買・資産管理・サポートの三大機能
- ECサイトからの調達⇒申請⇒ワークフローまで自動化が実現
株式会社ピーエスシーが提供する「Perfect Finder」は、調達・購買、資産管理、サポートの三つの機能を一元的に管理するサービスです。ECサイトからの調達、申請、ワークフローまでの流れを自動化できます。キッティングにも対応しています。ITトレンドの掲載情報では対象規模を従業員500名以上としており、購買申請や資産の件数が多い企業で、社内の手続きもあわせて整えたい場合の比較候補です。
LCMサービス (ソフトバンク株式会社)
- 機器の選定・購買から導入まで一括支援。
- 運用中の問合せ対応、保守、交換手配を代行します。
- 回収からデータ消去、廃棄/リユースまで一括管理。
ワークプレイス-LCMサービス (富士通株式会社)
- PC・周辺機器の調達から廃棄までを一元管理。
- セキュリティ対策や環境対応機能を統合。
- 運用負荷の軽減とコスト最適化を実現。
UTORITO (株式会社Too)
- 残価設定リースで初期投資を抑え、購入負担を軽減。
- 情シス業務を一元アウトソース可能。
- 専用ポータルで在庫・発注・申請・権限管理などを一括管理。
まとめ
LCMサービスの懸念点は企業規模によって異なります。小規模企業は台数に見合う費用か、中規模企業は既存システムと連携できるか、大企業は繁忙期にも処理が追いつく体制かを確認することが大切です。
自社の端末台数や工程、将来の人員計画を整理したうえで、複数のサービスの料金体系や対応範囲を比べましょう。資料請求を活用して、自社にあうLCMサービスを比較検討してください。

