働き方改革とは
近年よく耳にする「働き方改革」とは、非正規雇用・正規雇用者間の処遇改善や、長時間労働の解消などを通じて多様な働き方を可能にし、所得格差の是正、さらには生産性の向上を図る政府主導の労働環境および現行労働制度の改革のことです。
この政策の真の目的は「生産性の向上」であることから、「働き方改革=長時間労働の是正」というイメージは不十分だといえます。
働き方改革が積極的に議論されるようになった背景には、労働力人口の減少が避けられないという日本の将来があります。というのも、国立社会保障・人口問題研究所が出しているデータによると、現状の合計特殊出生率のまま推移した場合、100年後には現在の3分の1にまで人口が落ち込むことが予測されています。
現状より高齢化が進んでいると仮定すると、現行の労働制度では国の経済は到底まかなえません。それゆえに、民間が協力して「生産性の向上」へと舵を切り出したのです。
働き方改革で企業に求められること
ここでは、働き方改革の動きの中で企業が担うべき役割や努力義務を3つご紹介します。
正確な勤怠管理
日本は、残念ながら「サービス残業」という言葉が存在するほど勤怠管理がいい加減な状況が長年続いており、過労死や鬱などの精神病に追い込まれる人を何人も生み出してきました。これを防ぐために、入社時間や退社時間、休憩時間、残業時間、休暇の日数などの勤怠管理は働き方改革の第一歩です。そして、最近増加しているリモートワークを行っている勤務者の正確な勤怠を把握する必要もあります。オフィスから離れている場所で勤務している関係もあり、正確な勤務時間を把握することが難しいです。目が届かないことによって、働きすぎもしくは、働かなさすぎになる懸念があります。
また勤怠管理を正確に行っていると、不要な人件費の発見にもつながります。
業務の改善・効率化
生産性の向上を実現させるためには、業務の改善や効率化も企業が進めるべきことの1つです。業務の改善と生産性向上は切っても切れない関係にあります。
業務の見直しを進めることで業務改善を実践すると、コストカットを実感できます。少ない資源がもつ力を最大限発揮し、以前よりも高い利益を上げることができれば、さらに健全な会社経営が実現します。
見直すべき業務の例としては、定例会議をはじめとする「昔からの伝統や習慣」でだらだらと続けられているものが挙げられるでしょう。
多様な選択肢がある労働環境
時短勤務やテレワーク、副業の解禁など、従業員に多様な働く環境を用意するのも働き方改革には効果的です。
労働環境を柔軟にしておくことは、従業員のモチベーション向上につながるほか、優秀な人材の流出防止や確保にもつながるため、会社・従業員双方に良い効果をもたらしてくれます。
また優秀な人材を多数確保できれば、結果として人件費の削減にもつながることでしょう。
ログ管理が働き方改革推進につながる理由
働き方改革においては、勤怠管理ツールを使うなどして「ログ管理」をしておくことが重要です。ログ(Log)とは、「航海日誌」や「記録」を意味する英語で、IT分野においてはPCやオンライン上に勤務状況やPCの使用状況の足跡を残すことを言います。
ここでは、ログ管理が働き方改革推進につながる理由を大きく5つに分けて解説します。
勤怠状況の実態を把握できる
勤怠状況をタイムカードの打刻状況だけで把握していると、「実際は持ち帰って仕事をしていた」、「実は休日出勤や残業をしていた」という実態は見えてきません。
このような状況をクリアにするためには、社員一人ひとりが使用するPCにログが残る仕様にしておく必要があります。そして、タイムカードに書かれた勤務時間とPCの稼働時間を見比べることによって、ごまかしの利かない正確な勤務状況が把握できるのです。同様にリモートワークを行っている社員のPC勤怠稼働状況も把握」することができます。リモートワーカーのPCログを把握することで実態として、どれくらいの時間稼働しているのかを確認することができます。これにより、リモートの社員にも正しい指示を出すことができます。
「業務の見える化」でムダが見つかる
ログには、従業員がいつどのページを閲覧していたかという情報も残ります。そのため、従業員が何の作業に時間がかかっているのかを分析することが可能です。また、勤務時間に娯楽などをしている従業員を見つけることもできます。
ログの情報をもとに会社全体の動きを俯瞰することによって、どの業務が無駄なのか、どの業務に人員を配置するべきなのかというのが見えてきます。これらのデータを業務改善や効率化に活かすことによって、働き方改革の実現につなげられるのです。
トラブルの原因を正確に突き止められる
使用しているPCに不具合が発生した際、ログが残っていれば不具合が発生する前にどのような操作が行われていたのかという情報を容易かつ正確に知ることができます。そのため、原因の把握から復旧までにかかる時間を大幅に削減することが可能です。
また、不具合が発生する原因を突き止められていることから、再発防止にもつながります。
情報漏洩を防ぐ対策になる
ログを分析することによって、従業員が情報漏洩につながる不穏な行動をしていないか、情報漏洩を引き起こしかねないような怪しいサイトにアクセスしていないかを確かめることができます。
また、万が一情報漏洩が発生した場合にも早期発見でき、被害の最小化や被害範囲の把握も効率的に行うことが可能です。
訴訟リスクへの備えになる
情報漏洩は必ず完璧に防止できるものではありません。ありとあらゆる対策を講じていたとしても、思わぬところから顧客情報などが漏れていたということもあるでしょう。
情報漏洩が発生して、契約先や従業員、顧客から万が一訴訟された場合にも、ログを残しておくことは効果的です。ログによって情報漏洩の有無に関する証拠が残るため、企業の正当性を主張する客観的な証拠として機能します。
ログ管理は企業が成長するヒントの宝庫!
この記事では「働き方改革」に関する企業側の役割をまとめ、業務の効率化につなげられるためのツールとして「ログ管理」をご紹介しました。
勤怠管理などの社内の労働環境の適正化を進めるためや、企業に降りかかるさまざまなリスクの防止・軽減のためには、ログ管理は欠かすことのできないツールと言えます。記事内で取り上げたように、勤怠管理やPCの稼働状況、従業員の行動履歴など、ログとして残せるものは多数あります。その中から自社に必要なものを取り入れ、業務の効率化に役立ててください。