受信メールに施せるセキュリティ対策の種類
受信メールによる被害を防ぐセキュリティ対策を3種類紹介します。
1.メール全体の判定を行う「スパム対策」
大量に送りつけられる迷惑メールをスパムメールと言います。ウイルスや詐欺サイトへのリンクを含むことがあるため、企業にとって大きな脅威です。
スパム対策では、受信するすべてのメールを精査し、スパムメールを検知・排除します。メールサーバとメールソフトの二段階で対策することで、ユーザーの目に触れる前にスパムメールを取り除きます。
2.ウイルスの検知・除去を行う「マルウェア対策」
メール本文や添付ファイルに仕込まれているマルウェアを除去する対策です。基本的には、マルウェアの定義に基づいて検知・除去します。
しかし、この対策だけではマルウェアの定義に含まれる既知の脅威にしか対処できません。そこで、未知の脅威にも対処できるサンドボックスも用いられます。これは、不審なプログラムをサンドボックスと呼ばれる閉鎖的な環境で実行し、それが有害かどうかを判断する仕組みです。
また、インテリジェンスという手法も用いられます。これは、不審なメールが見つかった際、セキュリティ企業がユーザーからの報告や調査によって得た知見を基に対処する手法です。未知の脅威であっても、膨大な事例を参照すれば堅実な対応が可能になります。
3.メール内容やプログラムを加工する「メール無害化」
本文や添付ファイル、URLに含まれる危険性を排除したうえでメールをユーザーに届ける仕組みを、メール無害化と言います。具体的には以下の方法で危険を排除します。
- ■添付ファイルに含まれる文章を本文に移しファイル開封の必要性をなくす
- ■HTMLメールを普通のメールに変換しHTMLメールならではの危険を取り除く
- ■メールに記載されている有害なURLを無効化する
- ■メール本文を丸ごと画像データに変換しテキストが持つ危険を排除する
これらの処理はスパムメールに含まれるリスクも取り除けるため、スパム対策としても用いられます。

送信メールに施せるセキュリティ対策の種類
メールにおいてセキュリティ対策が必要なのは、受信メールだけではありません。次は送信メールに必要な対策を紹介します。
1.メール暗号化
一昔前まで、メールは本文がそのままの状態で送受信されていました。しかし、これでは第三者に途中で盗聴されるリスクがあります。
特に、ビジネスでは個人情報やファイル開封に必要なパスワードなどをメール本文に載せて送受信することがあります。これが第三者の手に渡れば甚大な被害が生じかねません。
そこで、メールの暗号化が推奨されています。暗号化すれば、途中で第三者にメールを盗聴されてもその中身を知られません。
メール暗号化の方法には、「TLS/SSL」「S/MIME」の2種類があります。前者は簡単に暗号化を施せますが、なりすましは防げません。一方、後者の利用はややハードルが高いですが、なりすましも防止できるため、機密性の高いやり取りに使われます。
2.誤送信防止
企業の情報漏洩は外部からの攻撃だけでなく、従業員の誤操作によっても生じます。メールにおいては、誤送信によって無関係な第三者に重要な情報が伝わることがあります。ビジネスでは大量のメールを扱うため、注意してもこうした人為的ミスを完全に排除するのは困難です。
そこで、セキュリティシステムによる誤送信防止対策が必要になります。たとえば、重要な情報を含むメールを送る場合にポップアップで注意喚起したり、送信を一時保留したりします。そのほか、添付ファイルの暗号化や、メールアドレス・IPアドレスを基にした制限の設定も可能です。
メールのセキュリティを強化できるツール
これまで紹介してきたセキュリティ対策を行うには、メールセキュリティ製品がおすすめです。さまざまなセキュリティ機能を持ち、メールに関する脅威に幅広く対応できます。
具体的には以下の機能を持ちます。
- 【アンチウイルス】
- ウイルスの検知・除去を行います。
- 【スパム対策】
- スパムメールと思われるメールを検知・排除します。自動学習機能を持つ製品もあり、経験に基づいてスパムメールとそうでないメールを的確に見極めます。
- 【メール無害化】
- 本文の画像化などにより、メールに含まれる悪質なプログラムやURLを排除します。
- 【メール暗号化】
- S/MIMEやTLS/SSL通信を利用し、第三者による不正な盗聴・改ざん・なりすましなどからメールを守ります。
- 【誤送信防止】
- ポップアップによる確認や送信一時保留、上長承認機能などにより誤送信を防ぎます。
メールに施せるセキュリティ対策の種類を知り、適切に実行!
受信メールの危険性を排除するセキュリティ対策には以下のものがあります。
- 1.スパム対策
- 2.マルウェア対策
- 3.メール無害化
一方、送信メールに施せる対策は以下のとおりです。
- 1.メール暗号化
- 2.誤送信防止
これらの対策をまとめて行えるのがメールセキュリティ製品です。製品を導入して隙のないセキュリティ対策を施し、自社の情報を守りましょう。
