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ノーコード開発ツールはどう広まった?表計算からAIまでの歴史と市場

ノーコード開発ツールはどう広まった?表計算からAIまでの歴史と市場

ノーコード開発ツールの歴史は、プログラマーに頼らず現場が自分で仕組みを作りたいという要望の歴史です。パソコンの表計算や簡易データベースから始まり、クラウドの普及によってブラウザ上で作って共有する形に変わりました。現在は、そこに生成AIが加わりつつあります。この記事では、ノーコード・ローコード開発ツールが広まった流れと、調査会社のデータで見る国内市場の規模、これからの選び方への影響を解説します。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
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目次

    ITトレンドがおすすめする製品・サービス

    ■提供形態別
    ■利用の広がり別

    ノーコード開発ツールの源流は現場の自作文化

    ノーコード開発ツールの考え方は、ある日突然生まれたものではありません。専門の開発者がいなくても業務の仕組みを作りたいという要望は、職場にコンピューターが入ってきた頃からありました。まずはノーコードの源流となる考え方と、その時代の課題を振り返ります。

    プログラマーなしでの開発という発想

    プログラムを書かずにアプリケーションを作るという発想は、古くから語られてきました。1980年代初めには、ITコンサルタントのジェームズ・マーティン氏が書籍を著しました。『Application Development Without Programmers』という書名のとおり、プログラマーに頼らない開発の必要性を論じた一冊です。

    当時の背景には、システム開発の要望に対して開発者の数が追いつかないという問題がありました。開発の担い手不足を、道具の工夫で補おうとする考え方は、現在のノーコード開発ツールにも通じています。

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    表計算と簡易データベースによるEUC

    パソコンが職場に普及すると、表計算ソフトや簡易データベースソフトを使って、現場の担当者が自ら集計表や管理台帳を作る動きが広がりました。利用者自身が情報システムを作って使うこの取り組みは、EUC(エンドユーザーコンピューティング)と呼ばれます。

    EUCは現場の業務改善を大きく進めた一方で、作った本人しか中身がわからないファイルやマクロが増えるという課題も残しました。この「便利さと管理の両立」という課題は、ノーコード開発ツールの時代にも引き継がれています。

    クラウドの普及で変わったノーコードの姿

    ノーコード開発ツールが現在の形に近づいたのは、インターネットとクラウドサービスが普及してからです。パソコンの中で完結していた現場の自作の仕組みが、ブラウザ上で作って共有し、ほかのサービスとつなぐものへと変わりました。主な変化を2つ紹介します。

    ブラウザで作って共有する形へ

    クラウド型のノーコード開発ツールでは、ブラウザ上で入力画面やデータの入れ物を作り、そのまま社内の利用者と共有できます。ファイルを配る必要がなく、全員が同じデータを見て更新できるため、版が分かれるというEUCの課題を解消しやすくなりました。

    サーバーの準備や保守を提供会社に任せられることも、現場が使い始める際の障壁を下げました。情報システム部門に環境構築を依頼しなくても、契約してすぐに作り始められる点が、普及を後押ししたと考えられます。月額料金で小さく始められる料金体系も、部署単位での導入を広げる一因となりました。

    スマートフォンとほかのサービスとの連携

    スマートフォンの普及により、外出先や工場、店舗などの現場から、作ったアプリに直接入力できる環境が整いました。紙で記録して後から打ち直すという手間を減らせることが、ノーコードの活用範囲を事務所の外へ広げています。

    また、チャットツールやメール、表計算などのクラウドサービスとデータをやり取りできる製品も増えました。単体の台帳づくりから、複数のサービスをつないで業務を自動化する使い方へと、役割が広がっています。

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    ノーコード・ローコード開発市場を数字で見る

    国内では、ノーコードとローコードを一つの市場として集計した調査が公表されています。調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)が2026年2月に発表した「ITR Market View:ローコード/ノーコード開発市場2026」をもとに、市場の規模と見通しを紹介します。

    2024年度の市場規模

    ITRの発表によると、国内のローコード/ノーコード開発市場の2024年度の売上金額は994億円で、前年度から15.1%増えました。市場を構成するベンダーの7割超が2ケタの成長を示したとされています。

    この数字はノーコードとローコードをあわせた市場のもので、ノーコード単独の規模を示すものではありません。調査の版によって対象ベンダーや集計の範囲が異なる場合もあるため、別の年の発表と比べる際は条件を確かめましょう。

    今後の見通しと提供形態の傾向

    同じ発表では、2025年度の市場は前年度比14.9%増と予測され、2024~2029年度の年平均成長率は12.9%と見込まれています。上位3ベンダーで市場の5割以上を占め、寡占化が進んでいるとされています。

    提供形態では、クラウドサービスが市場の主軸として成長を続けると予測されています。一方、パッケージ製品は、基幹システム周辺の開発を中心に一定の需要があるものの、大幅な拡大は見込みにくいとの見方です。これから製品を選ぶ企業にとっても、クラウドサービスが主な検討対象といえるでしょう。

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    市民開発の広がりで変わった管理のあり方

    ノーコード開発ツールが普及するにつれて、業務部門の社員がアプリを作る「市民開発」という言葉も広く使われ始めました。現場の自作を個人の工夫にとどめず、会社として支える考え方です。市民開発の広がりが、ツールの役割と情報システム部門の関わり方をどう変えたかを見ていきます。

    個人の工夫から組織の取り組みへ

    市民開発とは、専門の開発者ではない業務部門の社員が、ノーコードやローコードのツールを使って業務アプリを作ることです。EUCの時代は個人の工夫に任されがちでしたが、市民開発では会社が推進役となり、研修や作り方のルールを整えて取り組む例が見られます。

    ITRの2026年2月の発表でも、多くの国内ユーザー企業が内製化に取り組み、市民開発も積極的に進められているとされています。ツールの導入目的が、個人の業務改善から全社のデジタル化へと広がっていることがうかがえます。社内で作り方の勉強会を開いたり、よく使うアプリのひな形を共有したりする取り組みも、市民開発を支える手段です。

    情報システム部門の関わり方

    現場が作るアプリが増えると、誰がどのアプリを作り、どのデータを扱っているかを把握する仕組みが欠かせません。そのため、情報システム部門の役割は、自ら作ることから、現場が安全に作れる環境を整えることへと変わりつつあります。

    ノーコード開発ツールの側でも、利用者や作成したアプリを一覧で管理する機能、公開範囲を制限する機能を備える製品が見られます。EUCの時代に残った管理の課題に、ツールの機能と社内ルールの両面で対応しようとする流れです。

    関連記事 ノーコード・ローコード開発のセキュリティ対策と運用管理の考え方

    生成AIで迎えるノーコード開発ツールの新しい段階

    ノーコード開発ツールの歴史は、生成AIの登場で新しい段階に入りつつあります。画面上の部品を並べる操作から、作りたいものを言葉で伝える操作へと、作り方そのものが変わる可能性があります。これまでの流れを踏まえて、今後の見方を整理します。

    言葉で指示してアプリを作る流れ

    生成AIを取り入れたノーコード開発ツールでは、「備品の貸し出しを管理したい」のように文章で伝えると、データの項目や画面の案を作成する機能を持つ製品があります。ゼロから設計する手間が減り、アプリを作った経験のない人でも始めやすくなると期待されています。

    一方で、AIが作った案が自社の業務ルールにあっているかを確かめるのは人の役割です。ITRの同じ発表では、AI系の開発ツールやサービスが次々と登場しており、これらとの差別化や融合を図らなければ、既存のローコード/ノーコード・ベンダーにとって厳しい競争環境となる可能性が高いとの見方も示されています。AIへの取り組み方は、今後製品ごとに差が出る部分と考えられます。

    歴史から見たツール選びの着眼点

    EUCからクラウド、市民開発へと続く歴史を振り返ると、作りやすさが増すたびに、管理の課題も形を変えて現れてきました。新しい機能に目が向きがちですが、作ったアプリとデータを組織として管理し続けられるかが、長く使ううえでのポイントです。

    作成者以外もアプリの中身を確認できるか、データを書き出せるか、利用者を一元管理できるかを、生成AIの機能とあわせて確かめておきましょう。歴史が示す教訓を、製品の比較にも生かせます。特に、全社に広げる予定がある場合は、試用の段階から管理者の画面も確認しておくと安心です。

    提供形態と広がり方で見る製品一覧

    ノーコード開発ツールは、クラウド型とパッケージ型、部署利用と全社利用で選び方が変わります。紹介する製品の特徴を一覧で整理しました。

    製品名特徴
    キントーンクラウドで業務アプリを作成。サンプルアプリとAIの提案機能を備える
    JUST.DBマウス操作と「ことば」で作れる、生成AI対応のクラウド型データベース
    Platio月額2万円台から使える、現場のモバイルアプリ作成クラウドサービス
    軽技WebDBExcelを取り込みPostgreSQLに登録。自社環境で動かすWebデータベース
    AppSuiteオンプレミスとクラウドの双方に対応。アプリライブラリから作成を開始
    SmartDB全社のデジタル化基盤として、複雑なワークフローや権限制御に対応
    @pocketテンプレートとExcel取り込みで始められる、ユーザー単価の業務アプリ作成サービス

    歴史の流れを受け継ぐノーコード製品

    表計算ソフトの自作から、クラウド、生成AIへと広がってきたノーコード開発の流れに沿って、提供形態と使い始めやすさの異なる製品を選びました。

    キントーン

    サイボウズ株式会社
    《キントーン》のPOINT
    1. AIとノーコードで業務アプリをシュシュッとつくれる
    2. 部署・業種別ですぐに使えるサンプルアプリ
    3. プラグイン・連携サービスを組み合わせて業務がより効率的に

    サイボウズ株式会社が提供する「キントーン」は、クラウドで業務アプリを作れる業務改善プラットフォームです。部署や業種別のサンプルアプリが豊富に用意されていて、表計算ソフトで管理してきた台帳や日報を、ひな型から置き換えられます。プラグインや連携サービスの組み合わせで機能を広げられ、作りたいアプリの用途をAIに伝えると、フィールド構成の提案を受けられます。

    JUST.DB

    株式会社ジャストシステム
    《JUST.DB》のPOINT
    1. 【完全ノーコード×生成AI】マウス操作と"ことば"でシステム開発
    2. 【多彩な標準機能】高い拡張性により、全社DXをJUST.DB1つで実現
    3. 【同時ログインライセンス】全社展開してもコストを抑制

    株式会社ジャストシステムが提供する「JUST.DB」は、ノーコードで業務システムを作るクラウド型のデータベースです。生成AIにチャット形式でやりたいことを伝えると、データテーブルや複数のパネルを自動で生成し、設計内容を確認しながら修正できます。同時ログインの上限でライセンスが決まる形態のため、部署での利用から全社展開まで段階的に広げやすい製品です。

    Platio

    アステリア株式会社
    《Platio》のPOINT
    1. ノーコードで誰でも簡単に業務アプリ作成
    2. 初期費用ゼロ!月々2万円台からの始めやすい価格感
    3. 現場に合った業務アプリをスピード導入

    アステリア株式会社が提供する「Platio」は、現場の報告業務を小さく始めやすいモバイルアプリ作成のクラウドサービスです。ノーコードで作れ、初期費用は0円で、月額2万円台から利用でき、アプリを作ったその日から運用を始められます。アプリ作成を支えるAIアシスト機能もベータ版で提供されており、まず一つの部署で現場の報告業務から試す使い方に合います。

    軽技WebDB

    富士電機ITソリューション株式会社
    《軽技WebDB》のPOINT
    1. ノーコードでExcel/CSVを取込みWebアプリを即生成
    2. 複数アプリを結合しPostgreSQL上で一元管理
    3. BIツール軽技Web連携でレポートやダッシュボード作成

    富士電機ITソリューション株式会社が提供する「軽技WebDB」は、自社のサーバーに導入して使うオンプレミス型のノーコードツールです。ExcelやCSVを取り込むと、PostgreSQLへ自動で登録され、ブラウザから検索や編集ができます。商談管理、日報管理、予実管理といった業務を想定しており、クラウドではなく自社環境でデータを持ちたい場合の選択肢です。

    AppSuite

    株式会社ネオジャパン
    《AppSuite》のPOINT
    1. 多種多様なアプリライブラリから業務に合わせたアプリを選択可能
    2. 直感操作でデータ編集や検索、並べ替えなどが簡単に行えます
    3. 集計データをポータルで共有してスムーズに社内で情報共有可能

    株式会社ネオジャパンが提供する「AppSuite」は、オンプレミスとクラウドの双方で利用できるノーコードの業務アプリ作成ツールです。アプリライブラリから目的にあったアプリを選んで始められます。desknet's NEOのポータルでグラフを共有でき、グループウェアとあわせて社内に定着させたい場合に検討しやすい製品です。

    SmartDB

    株式会社ドリーム・アーツ
    《SmartDB》のPOINT
    1. ノーコードで業務部門でも開発できます
    2. 豊富な標準機能で幅広い業務をデジタル化できます
    3. 大企業ならではの複雑なワークフロー/権限制御に対応できます

    株式会社ドリーム・アーツが提供する「SmartDB」は、部門ごとのデジタル化を全社のプラットフォームへ広げていける、大企業向けのクラウド型ノーコード開発プラットフォームです。合議や条件分岐、代行承認などの複雑なワークフローと、組織や役職による権限制御に対応しています。活用コンテンツを使う自律推進と、提供会社と進める協働推進の2通りの導入支援があり、業務部門が主体となる市民開発を全社へ広げたい場合に検討できます。

    @pocket (株式会社アイアットOEC)

    《@pocket》のPOINT
    1. ノーコードで業務アプリが作成可能
    2. あらゆる管理をアプリに置き換えることで費用の削減が可能
    3. 他のデータとの連携性

    まとめ

    ノーコード開発ツールの歴史は、現場が自分で仕組みを作りたいという要望から始まり、EUC、クラウド、市民開発、生成AIへと続いてきました。ITRの調査では、ノーコード・ローコード開発市場の2024年度の規模は994億円とされ、クラウドサービスを中心に成長が見込まれています。歴史が示す管理の課題も踏まえ、資料請求で複数の製品を比べながら、自社にあうツールを選んでください。

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