工程管理がうまくいかない理由
工程管理はなぜうまくいかないのでしょうか。その理由を3つ見ていきましょう。
複数部署の情報を一括管理・共有できていない
工程作業に複数の部署が関わる場合、作業を円滑に進めるため、部署間で工程を共有しなければなりません。ところが、プロジェクトの規模が大きくなるほど工程管理は複雑化し、情報共有が困難になります。
部署間のコミュニケーションが不足すると、スケジュールに重複や空白が発生し、適切なタイミングで人材を手配できず、余計なコストや労力を要するでしょう。
また、チームリーダーなど一部の関係者だけが情報を管理することも、工程管理が失敗する原因です。メンバーは工程を把握していないため、リーダーに工程を確認する回数が増え、全体として効率が落ちます。
プロジェクトに関わるメンバー全員が、プロジェクト全体の工程を把握できるよう、情報の見える化が必要でます。
進捗状況をリアルタイムで把握できていない
進捗状況の把握はリアルタイムに行わなければなりません。そうでなければ、工程に遅れが生じる恐れがあります。スケジュールに余裕があると思っていても、実際には想定通りにならないケースは多いでしょう。
たとえば、メンバーの病欠や出張などにより工程作業がストップしてしまったり、作業のペース配分をミスしてしまう可能性があります。このように予測していた進捗と実際の進捗には差異が生じる可能性があります。
工程に遅れが生じることがないよう、時間や場所を問わず現場の進捗状況を確認できる体制が求められます。
進捗状況を外部と共有しきれていない
把握しなければならない進捗状況は、自社のものだけではありません。部品の調達先や外注先、顧客など、外部の関係者がいる場合は、それらの状況も把握する必要があります。しかし、外部との情報共有は内部でのそれ以上に大変です。
たとえば、進捗報告書のフォーマットは企業ごとに違うため、外部のものを合わせて集計するのは手間がかかります。さらに、メールや電話、FAXで連絡を取っている場合、1つの事項を確認するだけでも時間がかかります。
この間に、進捗報告と実際の進捗状況の間にさらなるずれが発生し、収拾ががつかなくなることもあるでしょう。タイムラグややりとりの齟齬がない、情報共有システムが求められます。
工程管理の現状
失敗する要因は工程管理のやり方にもあるはずです。プロジェクトの工程管理は、現状どのように行われているのでしょうか。
表計算ソフトを使って情報管理している
エクセルなどの表計算ソフトを使って工程管理している企業が少なくありません。しかし、この方法では、情報共有に問題があります。たとえば、複数のプロジェクトの進捗状況を記入する場合、プロジェクトごとにシートを分けて管理することが多いでしょう。
しかし、この方法では確認ミスが多発しやすくなります。確認すべきシートと違うものを見ていても、そのことに気づきにくいためです。シートの数次第では、自身が関わるシートを探すだけでも大変になります。
また、メンバーごとの権限設定やアクセスログ管理ができず、データの信ぴょう性を確保しづらいのも難点です。表計算ソフトは、関数による自動化メリットは大きいものの、複数人での情報共有には不向きなツールと言えます。
イナズマ線を使って進捗確認している
イナズマ線とは、ガントチャートにおいて各工程での作業の進捗状況を一目で把握するための線です。進行中の各工程における、作業の進捗状況を示す棒グラフの先端(現在の進捗率を示す点)を結ぶことで、ギザギザの線が引けます。
この方法では、どの工程でどのくらい作業が進んでいるのか一目瞭然です。全体像を把握するのに優れた方法と言えます。しかし、イナズマ線が示すのは、ある時点における進捗状況です。進捗状況は絶えず変化しているため、リアルタイムな把握には向いていません。
また、表計算ソフトにはイナズマ線を引く機能はないため、図形機能を使って手動で引かなければならないのが手間です。そのうえ、スケジュール変更などがあれば、その都度線を引き直す必要が生じます。
外部用の報告書を作成し進捗報告している
ガントチャートとは別に、進捗を共有するために報告書を作成しなければなりません。それも、内部メンバー向けと外部メンバー向けで伝えたい情報が異なるため、違うフォーマットで報告書を作成する必要があります。
調達先や外注先など、複数の外部企業が関わる場合は、その数だけ異なる報告書を作らなければならないかもしれません。さらにそれを印刷し、メンバーに配布する手間もかかるでしょう。
このように進捗報告の都度、複数の報告書を作る必要があり、効率が悪い方法といえます。
工程管理をうまく行うには
工程管理をうまく行うには、上述したような現状を改善する必要があります。そのために有効なのが、工程管理システムの導入です。工程管理システムの機能や効能は製品によって少し異なりますが、ここでは一般的な例として5つの特長を紹介します。
- 情報収集が円滑
- Webベースで利用できるため、システムにアクセスすればすぐに情報収集できます。工程に変更がある際も、リアルタイムに反映可能です。
- プロジェクト間の結び付けが可能
- 複数のプロジェクトが関与し、それぞれ依存している場合、それらの関係性を俯瞰的に管理できます。
- イナズマ線の自動作成が可能
- 手動で線を引く手間が必要がなく、スムーズに全体像を把握できます。
- 他システムとの連携が可能
- 外部のシステムと連携することで、情報共有が円滑化します。
- 関連機能が使える
- 収支管理やタスク管理など、工程管理以外の機能も利用できます。
うまくいかない工程管理を改善し、生産性向上へ!
工程管理がうまくいかない理由は以下のとおりです。
- ■部署間の情報共有ができない
- ■進捗状況をリアルタイムに把握できない
- ■外部と情報共有しきれていない
また、これらの課題を招く工程管理の現状は、以下のとおりです。
- ■表計算ソフトを使っている
- ■イナズマ線を手動で引いている
- ■外部用の報告書を作成している
現状を改善するには、工程管理システムの導入がおすすめです。ぜひ導入を検討し、工程管理の改善を目指してください。