VPNとプロキシの違い
VPNとプロキシはどう違うのでしょうか。
VPN:安全なトンネルを介して接続する仕組み
VPN(Virtual Private Network)とは、VPNトンネルを通る通信を暗号化し、安全に情報をやり取りする仕組みです。
ユーザーと訪問先をVPNサーバが仲介することで、ユーザーは自身のIPアドレスを隠し、代わりにVPNサーバのIPアドレスを用いてWeb閲覧できます。さらに、ユーザーとVPNサーバの間の通信も暗号化されたトンネルを介するため、通信内容を第三者に読み取られるリスクを低減できます。
このようにVPNは安全性と匿名性が高い分、利用するには費用がかかるのが一般的です。無料のサービスもありますが、通信速度が遅いなどの弱点を抱えていることが多いです。
プロキシ:インターネットへ代理で接続する仕組み
プロキシは「代理」や「中継」と訳され、VPNと同様、ユーザーと訪問先を仲介することで匿名性を高めます。
誰がいつどんなサイトを見ていたかといったログ情報が集約されるため、不正アクセスなどのトラブル時にすぐに解析が行えるのがメリットです。また、プロキシ上でウイルスチェックができるので社内ネットワークの安全性も高まるでしょう。
しかし、プロキシサーバには機密性の高いデータが中継されるため、悪意を持って設置されたプロキシサーバに接続してしまうとパスワードなどの情報を抜き取られてしまう可能性があります。こういった事例からも、無料のプロキシサーバなどの利用には気をつけたほうがいいでしょう。
【比較表】VPNとプロキシの違い
VPNとプロキシの主な違いを以下の表にまとめました。
| 比較項目 | VPN | プロキシ |
|---|---|---|
| 主な目的 | 安全な通信経路の構築 | 通信の中継・アクセス制御 |
| 暗号化 | VPNトンネルを通る通信を暗号化 | プロキシ自体が必ず暗号化するわけではない |
| 対象範囲 | 端末やネットワーク単位の通信 | 特定のアプリケーションやWeb通信など |
| IPアドレス | 接続先にはVPNサーバ側のIPアドレスが表示される場合がある | 接続先にはプロキシサーバ側のIPアドレスが表示される |
| 主な用途 | リモートアクセス・拠点間接続・通信保護 | Webアクセス制御・ログ管理・フィルタリング |
| 通信速度 | 暗号化や中継により低下する場合がある | プロキシサーバの性能や通信環境によって変化する |
VPNとプロキシの違いを5つの観点で比較
VPNとプロキシは通信を中継する点では似ていますが、セキュリティや対象となる通信範囲、用途などに違いがあります。ここでは、両者の違いを5つの観点から詳しく解説します。
暗号化・セキュリティ
VPNとプロキシの大きな違いの一つが、通信を保護する仕組みです。VPNでは、VPNトンネルを通る通信を暗号化することで、第三者による通信内容の盗聴や改ざんなどのリスクを低減します。
一方、プロキシは端末と接続先との間で通信を中継する仕組みであり、プロキシそのものが通信を暗号化するとは限りません。そのため、機密情報を扱う通信を安全に行うことが目的であれば、VPNが適しています。
通信を保護・中継する範囲
VPNは、端末やネットワークからVPNサーバへ送られる通信をVPNトンネル経由で保護する仕組みです。そのため、端末全体や社内ネットワークなど、比較的広い範囲の通信に利用できます。
プロキシは、Webブラウザなど特定のアプリケーションや通信を対象として設定するのが一般的です。例えば、Webアクセスだけをプロキシ経由にして、アクセス制御やログ取得を行うといった使い方があります。
利用目的
VPNは、テレワーク時のリモートアクセスや拠点間通信など、離れた場所から安全にネットワークへ接続する用途で活用されます。社外から社内システムへアクセスする場合などにも有効です。
一方のプロキシは、従業員のインターネット利用状況の把握やアクセス制御、Webフィルタリングなどに適しています。VPNは「通信経路を安全にする」、プロキシは「通信を中継・管理する」と考えると違いを理解しやすいでしょう。
通信速度
VPNでは、データの暗号化・復号やVPNサーバを経由する処理が必要なため、直接インターネットへ接続する場合と比べて通信速度が低下することがあります。特にVPNサーバの負荷が高い場合や、遠隔地のサーバを利用する場合は影響が大きくなる可能性があります。
プロキシも中継サーバを経由するため、サーバの性能や負荷、ネットワーク環境によって通信速度が変化します。そのため、どちらを利用する場合でも実際の通信環境で速度を確認することが大切です。
ログ・アクセス管理
プロキシは、従業員がどのWebサイトへアクセスしたかなどの通信ログを集約しやすい点が特徴です。アクセス先の制限やWebフィルタリングと組み合わせることで、インターネット利用の管理やセキュリティ対策に活用できます。
法人向けVPNにも、接続ユーザーや接続日時などを確認できるログ管理機能を備えた製品があります。ただし、管理できる内容や機能は製品によって異なるため、自社の利用目的にあわせて確認しましょう。
VPNとプロキシはどちらを使うべき?
VPNとプロキシのどちらが適しているかは、利用目的によって異なります。安全なリモートアクセスや通信の保護が目的ならVPN、Webアクセスの制御やログ管理が目的ならプロキシが適しています。それぞれの利用シーンを見ていきましょう。
VPNが向いているケース
VPNは、社外から社内ネットワークへ安全に接続したい場合や、複数拠点間でデータをやり取りしたい場合に適しています。具体的には、以下のようなケースで活用できます。
- ■テレワークで社内ネットワークへ安全に接続したい
- ■本社と支店・営業所などの拠点間を安全に接続したい
- ■社外から業務システムへアクセスする際の通信を保護したい
- ■公共Wi-Fiなど外部ネットワーク利用時の通信リスクを低減したい
プロキシが向いているケース
プロキシは、社内からインターネットへアクセスする際の通信をまとめて管理したい場合に適しています。従業員のWeb利用を適切に管理したい企業では、以下のような用途で利用できます。
- ■従業員のWebアクセスを管理したい
- ■業務上不要なWebサイトへのアクセスを制限したい
- ■Webアクセスのログを取得・分析したい
- ■インターネットへの接続経路を集約したい
VPNとプロキシは併用できる?
VPNとプロキシは役割が異なるため、併用することも可能です。例えば、テレワーク中の従業員がVPNを利用して社内ネットワークへ接続し、その後のWebアクセスを社内のプロキシサーバ経由にするといった構成が考えられます。
この場合、VPNで社外から社内までの通信経路を保護しつつ、プロキシでWebアクセスの制御やログ管理を行えます。ただし、ネットワーク構成が複雑になるため、導入時には設定や運用方法を十分に検討する必要があります。
法人向けVPNを選ぶ際のポイント
テレワークや拠点間接続などを目的にVPNを導入する場合は、セキュリティだけでなく、通信品質や管理のしやすさも重要です。ここでは、法人向けVPNを比較する際に確認したいポイントを紹介します。
セキュリティ機能は十分か
VPNを選ぶ際は、利用しているVPNプロトコルや暗号化方式などのセキュリティ仕様を確認しましょう。また、多要素認証や端末認証、アクセス制御などを利用できれば、不正アクセス対策をさらに強化できます。
特に社外から重要な業務システムへ接続する場合は、VPNによる通信の暗号化だけでなく、ユーザー認証やアクセス制御も含めてセキュリティ対策を検討することが重要です。
通信速度・安定性は十分か
VPNを利用すると通信の暗号化や中継処理が発生するため、ネットワーク環境によっては通信速度が低下します。Web会議や大容量ファイルの送受信などを行う場合は、通信速度や安定性を確認しておきましょう。
無料トライアルや検証環境が利用できる場合は、本格導入前に実際の業務環境で通信品質を確認するのがおすすめです。
管理機能が充実しているか
法人利用では、管理者がユーザーや端末、アクセス権限などを管理できることも重要です。従業員数が多いほどアカウント管理の負担が大きくなるため、一括設定やユーザー管理がしやすい製品を選ぶと運用を効率化できます。
また、接続履歴などのログを確認できる製品であれば、インシデント発生時の原因調査や不正アクセスの把握にも役立ちます。
サポート体制が充実しているか
VPNに障害が発生すると、社外から社内システムへアクセスできなくなるなど、業務に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、問い合わせ対応時間や障害発生時のサポート体制を確認しましょう。
- ■問い合わせ可能な時間帯
- ■電話・メール・チャットなどの問い合わせ方法
- ■導入・設定支援の有無
- ■マニュアルやFAQなどのサポートコンテンツ
「自社に合う法人向けVPNを診断してみたい」「どんな観点で選べばよいかわからない」という方には、無料診断もおすすめです。簡単な質問に回答するだけで、自社に適した製品を確認できます。
VPNを使うときの注意点
VPNを利用する際、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
無料VPNの使用を避ける
無料のVPNサービスを利用するのは控えましょう。以下のような危険性が考えられます。
- ■マルウェアが含まれている
- ■暗号化されていない
- ■情報を流出させられる
悪意をもってマルウェアに感染させられたり、情報が正しく暗号化されていない恐れがあります。また、VPNサーバの運営元が取得した個人情報を流出させる可能性もあります。
無料のVPNは危険で有料のものなら確実に安全というわけではありませんが、一つの目安にはなるでしょう。
暗号化方式やセキュリティ機能を確認する
本当にVPNであるかどうか確認することも大切です。VPNサービスによって採用するプロトコルや暗号化方式、保護対象となる通信は異なります。利用前にセキュリティ仕様を確認しましょう。
通信速度が遅くなることがある
VPNを利用する際には、通信速度の低下にも気を付けましょう。
無料のものは明らかに速度が落ちることが多いですが、有料のものでも速度低下が気になる場合があります。特に、遠隔地のVPNサーバを介する場合は速度低下が著しくなります。
VPNを選ぶ際には体験版を利用し、実際にどのくらいの速度になるか試しましょう。
VPNとプロキシに関するよくある質問
ここでは、VPNとプロキシの違いについてよくある疑問を紹介します。それぞれの特徴を正しく理解し、自社の目的に適した仕組みを選ぶ参考にしてください。
- ■VPNとプロキシはどちらが安全ですか?
- 通信経路の保護という観点では、VPNが適しています。VPNはVPNトンネルを通る通信を暗号化します。一方、プロキシは主に通信の中継やアクセス制御を目的とした仕組みで、プロキシ自体が必ず通信を暗号化するわけではありません。
- ■VPNを使えばプロキシは必要ありませんか?
- VPNとプロキシは目的が異なるため、VPNを導入すればプロキシが不要になるとは限りません。安全なリモートアクセスにはVPN、従業員のWebアクセス制御やログ管理にはプロキシなど、目的に応じて使い分けます。
- ■VPNとプロキシは同時に使えますか?
- VPNとプロキシは併用できます。例えば、VPNで社外から社内ネットワークへ安全に接続し、社内からのWebアクセスをプロキシ経由にすることで、通信経路の保護とアクセス管理を両立できます。
- ■VPNを使うとIPアドレスは隠せますか?
- 一般的なVPNでは、接続先のWebサイトからはVPNサーバ側のIPアドレスが見えるため、利用端末のグローバルIPアドレスを直接知られにくくなります。ただし、VPNの主な役割は匿名化ではなく、安全な通信経路を構築することです。
VPNとプロキシの違いを理解して適切に使い分けよう
VPNとプロキシはどちらも通信を中継する仕組みですが、目的や役割が異なります。VPNは暗号化された通信経路を構築して安全なリモートアクセスなどを実現する仕組み、プロキシはWeb通信などを代理で中継し、アクセス制御やログ管理を行う仕組みです。
テレワークや拠点間接続などで通信を保護したい場合は、法人向けVPNの導入を検討しましょう。VPN製品によってセキュリティ機能や通信速度、管理機能、サポート体制は異なるため、複数製品を比較して自社の利用環境に適したサービスを選ぶことが重要です。


