VPNは安全なのか
VPNは通信経路の盗聴や改ざんを防ぐうえで有効ですが、利用すれば必ず安全になるわけではありません。VPNは主に、通信内容を暗号化し、第三者から読み取られにくくする仕組みです。一方で、VPN機器やアカウント、接続するパソコンまで自動的に保護するものではありません。
VPN機器の脆弱性を放置していたり、IDとパスワードだけで認証していたりすると、攻撃者に社内ネットワークへの侵入口として悪用される可能性があります。そのため、VPNの安全性は製品の機能だけでなく、設定や認証方法、端末管理、アップデートなどの運用体制によって左右されます。
VPNのセキュリティの仕組みとは
VPNとはデータの送受信時にトンネリング機能と暗号化機能を併用して、やりとりする情報を暗号化できる技術です。
このVPNは大きく2つの種類に分けられます。「インターネットVPN」と「IP-VPN」です。それぞれ接続方法が異なり、適した利用シーンやセキュリティレベルにも違いがあります。2つの特徴は以下のとおりです。
- ■インターネットVPN
- インターネット回線を使ってデータを送受信。データを暗号化しセキュリティ対策を行う。低コストで導入可能。
- ■IP-VPN
- 通信事業者が保有するネットワークを使ってデータを送受信。一部の限られた人しか使えないためセキュリティ性が高いので暗号化は行わないが、その分通信速度が速い。
詳しい違いやどのような仕組みでVPN通信の安全性を保つことができるのかについて以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
VPNの主なセキュリティリスク
VPNを利用する際に注意したい主なセキュリティリスクは、以下のとおりです。
VPN機器やソフトウェアの脆弱性
VPN機器やVPNソフトウェアにも、ほかのIT製品と同様に脆弱性が見つかることがあります。修正プログラムを適用せずに利用を続けると、攻撃者に脆弱性を悪用され、社内ネットワークへ侵入されるおそれがあります。
特にVPN機器はインターネットとの境界に設置されるため、攻撃の標的になりやすい設備です。メーカーや公的機関が公表する脆弱性情報を確認し、アップデートを速やかに実施する必要があります。
ID・パスワードの流出
VPNの認証情報がフィッシングやマルウェア、パスワードの使い回しなどによって流出すると、第三者が正規の利用者になりすまして接続する可能性があります。
IDとパスワードだけに依存せず、ワンタイムパスワードや認証アプリ、電子証明書などを組み合わせた多要素認証を導入することが重要です。
設定不備やアクセス権限の過剰付与
VPNの接続設定やファイアウォールの設定に不備があると、本来公開すべきでないサーバやシステムへ外部からアクセスされる可能性があります。また、利用者に必要以上のアクセス権限を与えると、アカウントが侵害された際の被害が拡大します。
利用者の業務に応じてアクセス範囲を制限し、不要になったアカウントや権限は速やかに削除しましょう。
接続端末のマルウェア感染
VPNは通信経路を保護する仕組みであり、接続するパソコンやスマートフォンの安全まで保証するものではありません。マルウェアに感染した私物端末などをVPNに接続すると、社内ネットワークへ感染が広がる可能性があります。
OSやソフトウェアの更新、ウイルス対策、EDRの導入、端末の利用ルール整備など、エンドポイント側の対策も必要です。
無料VPNや提供元が不明なサービスの利用
無料VPNのなかには、通信ログや利用者情報を収集したり、第三者へ提供したりするサービスもあります。また、暗号化方式や運営体制が明確でないサービスでは、十分な安全性を確保できない可能性があります。
業務で機密情報を扱う場合は、セキュリティ機能やログ管理、サポート体制、サービス提供者の信頼性を確認したうえで、法人向けVPNを選びましょう。
VPNによる情報漏えいが起きる主な原因
VPNを経由した情報漏えいは、VPNの仕組みそのものよりも、機器やアカウント、運用上の問題によって発生するケースが多くあります。
| 原因 | 想定される問題 |
|---|---|
| セキュリティ更新の未適用 | 既知の脆弱性を悪用され、VPN機器へ侵入される |
| 認証情報の流出 | 第三者が正規ユーザーになりすまして接続する |
| 多要素認証の未導入 | パスワードを取得されるだけで不正接続される |
| アクセス権限の設定不備 | 侵入後に幅広いシステムやデータへアクセスされる |
| 端末のセキュリティ不足 | 感染端末を通じて社内ネットワークへ攻撃が広がる |
| ログ監視の不足 | 不審な接続や情報の持ち出しを早期発見できない |
VPNを安全に利用するための対策
VPNのセキュリティリスクを抑えるためには、次の対策を組み合わせることが重要です。
VPN機器やソフトウェアを最新の状態に保つ
メーカーが公開するセキュリティ情報を定期的に確認し、ファームウェアやVPNソフトウェアのアップデートを速やかに適用しましょう。サポートが終了した機器やソフトウェアは、安全な製品への入れ替えも検討してください。
多要素認証を導入する
ID・パスワードに加えて、認証アプリやワンタイムパスワード、電子証明書などを使用します。認証情報が流出した場合でも、第三者による不正接続を防ぎやすくなります。
利用者や端末ごとにアクセスを制御する
すべての利用者に社内ネットワーク全体へのアクセスを許可するのではなく、部署や業務、端末の状態に応じて接続先を制限します。最小権限の原則に基づいて設定し、定期的に権限を見直しましょう。
接続端末のセキュリティを強化する
OSやソフトウェアの更新、ウイルス対策ソフトやEDRの導入、ディスク暗号化などを実施します。私物端末からの接続を認める場合は、利用条件や管理方法を明確にする必要があります。
アクセスログを監視する
通常とは異なる時間帯や地域からの接続、短時間に繰り返されるログイン失敗などを確認します。異常を早期に検知できるよう、ログの保存期間や監視方法、問題発生時の対応手順を定めておきましょう。
従業員へのセキュリティ教育を行う
フィッシングメールへの対処方法やパスワード管理、公共Wi-Fi利用時の注意点などを周知します。VPNを接続していれば安全だと思い込まず、利用者一人ひとりがリスクを理解することが重要です。
VPN導入で失敗しやすいポイント
VPNは、製品選定や導入後の運用方法を誤ると、十分な効果を得られない場合があります。ここでは、VPN導入時に特に注意したい失敗しやすいポイントを紹介します。
価格だけで製品を選ぶ
料金の安さだけでVPNを選ぶと、必要な通信速度や同時接続数、セキュリティ機能、サポート体制が不足する可能性があります。初期費用や月額費用だけでなく、機器の更新、保守、障害対応などを含めた総コストで比較しましょう。
通信速度や利用人数を考慮していない
利用者が増えたり、大容量ファイルやWeb会議を利用したりすると、VPN装置や回線に通信が集中して速度が低下することがあります。同時接続数や通信量を把握し、余裕のある性能を選ぶことが重要です。
運用・保守体制を決めていない
VPNは導入後も、アカウント管理やログ監視、アップデート、障害対応が必要です。自社で対応する範囲と、ベンダーへ任せる範囲を明確にし、担当者や連絡体制を決めておきましょう。
安全性の高い法人向けVPNの選び方
法人向けVPNを比較する際は、次のポイントを確認しましょう。
- ●信頼性の高い暗号化方式やVPNプロトコルに対応しているか
- ●多要素認証や電子証明書を利用できるか
- ●利用者・端末単位でアクセス権限を設定できるか
- ●アクセスログの保存や監視が可能か
- ●必要な通信速度と同時接続数を満たしているか
- ●障害やインシデント発生時のサポート体制が整っているか
- ●既存の認証基盤やセキュリティ製品と連携できるか
自社だけで要件を整理するのが難しい場合は、複数のVPN製品を比較し、ベンダーへセキュリティ要件や運用方法を相談するのがおすすめです。
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適切な対策を行いVPNを安全に活用しよう
VPNは通信の盗聴や改ざんを防ぐために有効な仕組みですが、導入するだけで安全になるわけではありません。VPN機器の脆弱性、認証情報の流出、設定不備、端末のマルウェア感染など、複数のリスクを想定する必要があります。
アップデートや多要素認証、アクセス制御、端末対策、ログ監視を組み合わせ、安全な運用体制を整えましょう。法人向けVPNは、製品によってセキュリティ機能や通信性能、サポート内容が異なります。自社の利用人数や用途、管理体制に適した製品を比較・検討してください。




