VPNの通信速度が遅い原因とは
VPNの通信速度が低下する4つの原因をそれぞれ解説していきます。
同じ回線を利用している人が多い
VPNは通信のセキュリティが高い反面、同じ回線を利用するユーザが多いためどうしても通信速度が遅くなってしまいます。
セキュアな通信環境を提供するためにVPNはデータの暗号化を行います。そのため、パケットが肥大化してしまうのです。さらに、同一回線を利用しているユーザが多いため通信速度は低下します。
表示するWebページのサイズが大きい
Webサイトのページサイズが大きいこともVPNの通信速度が遅い原因です。ファイルサイズの大きい画像が多いページや、デジタルカメラ・スマートフォンの画像をそのまま貼り付けているページは読み込みが遅いです。
また、アニメーションが挿入されているWebページやレイアウトが複雑なページも通信速度が低下する一因として考えられるでしょう。そしてページを開く際、サーバとブラウザで通信が行われるため、ページを開くたびに通信量が発生します。
同じページを見ている人数が多い
同じサイトやページを見ているユーザが多ければVPNの通信速度は低下します。
サーバはユーザからリクエストを受けたページのデータ転送を行います。したがって、リクエストを受けたページやサイトへのアクセスが集中してしまうとサーバのデータ転送量が多くなり、通信速度の低下を招いてしまうのです。
さらに、アクセスが集中することでサーバに負荷をかけるため、ユーザのリクエストに応える速度も落ち、通信速度低下の原因の1つになります。
MTUの調整ができていない
VPNの通信速度が遅い場合、原因としてMTUが調整できていないことが考えられます。MTUとは通信機器などで一度に送信できるデータ量の上限のことです。
回線ごとにMTUの値は決められています。そして、送信したいデータ量がこの設定値を超えた場合は、MTUごとにデータを分割して送信します。MTUの設定値の調節ができていない場合、データの分割が生じます。そのため、通信速度が遅くなってしまうのです。
VPNの仕組みを確認
VPNの仕組みを2つの側面から改めて解説していきます。
VPNとは「Virtual Private Network」の略
VPNは「仮想専用線」と訳されます。
インターネットを利用して仮想の専用回線を構築し、データを暗号化して情報のやり取りを行う仕組みです。そのため、盗聴・データ改ざんなどの情報攻撃の脅威からデータを守ることができます。データの暗号化によって、通信速度が遅くなるという特徴があります。
社外から社内に接続できる
VPN機能を搭載したパソコンやスマートフォンなどのデバイスから社内LANに接続することで、どこからでもシステムや共有ファイルへアクセスできます。
まるで社内のネットワークに直接アクセスしているかのように、社外でも通常どおり業務が行えます。アプリケーションなども問題なく使用できるでしょう。
そのため、営業の移動の途中や出張先でも時間を有効的に使え、業務の効率化が可能です。また、在宅勤務やフレックスタイム制を採用する企業でもVPNの導入が進んでいます。
セキュリティ対策を行える
VPNはセキュリティ対策に効果的です。仮にデータを盗まれても、データは暗号化されているのでデータの中身を見ることはできません。また、VPNを活用することでIPアドレスの匿名化などのセキュリティ対策も可能です。
多くの機密情報のやり取りを行う企業や無料Wi-Fiを利用する機会の多いユーザにとって、VPNは必要なセキュリティ対策といえるでしょう。
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VPNの通信速度が遅いときの改善策
VPNの通信速度が遅い場合におすすめの改善策を4つご紹介していきます。
端末を再起動する
システム内でのリソースの複数起動やメモリ不足が、システム遅延の原因となることがあります。特にメモリや記録ディスクなどの「データ領域」は、システムの安定稼動には大切な領域です。データ領域に十分な余裕があるか確認しましょう。
デバイスを再起動すると通信速度が速くなることもあるため、一度試してみてください。
モデムとルーターを再起動する
モデムやルーターの電源を長時間つけたままの状態では、それらの処理能力が低下してしまいます。
通信速度の低下を感じた場合はモデムやルーターの電源を切り、しばらく時間をおいて再び電源を入れてみましょう。電源を一度オフにすることでモデムなどを休ませられます。そして、モデムの処理能力が復活して通信速度が速くなるケースがあるようです。
再起動する場合はマニュアルに従い、適切な手順を踏みましょう。
ISPに問い合わせる
デバイスやモデムを再起動しても通信速度が改善しない場合、ISP(※)側に問題があることも考えられるため、問い合わせてみましょう。
自宅以外でVPNの接続を行い、通信速度を確認してみましょう。ISP側の業者がメンテナンスをしていることがあります。また、ISP側の問題ではなく、インターネット回線がDos攻撃(※)を受けているケースもあります。
※ISP:公衆回線を経由してインターネットへの接続を提供する事業者。
※Dos攻撃:回線に故意に負荷を与える攻撃。
MTUの調整を行う
VPNの接続を行って通信速度が遅いと感じる場合、MTUの調整を試してみましょう。
MTUは送信側が接続ごとに値を設定することが可能です。デバイスから送信されるMTUとVPN側のMTUのサイズが合っていないと、通信速度が低下する原因になってしまいます。そのため、VPNのMTUの設定値を小さくすることで、通信環境が改善し最適なデータ通信が行えるようになります。
デバイスのMTUの設定値は変更できないため注意してください。
VPNが遅い原因を改善して環境を整えよう!
VPNの通信速度の低下にはいくつもの原因が考えられるでしょう。通信環境を整える方法は以下のとおりです。
- ■デバイスやモデムの再起動
- ■ISPへの問合せ
- ■MTUの調整
この方法を試すことで、通信速度の改善が見られるかもしれません。通信環境が低下している原因を見つけて改善し、VPNの利点を最大限に活かしましょう。