IP-VPNの契約数は右肩上がり
総務省「平成30年版 情報通信白書」によると、専用線の回線数が減少していく一方で、IP-VPNの契約数は増加傾向にあるとのことです。
また2016年度末における専用サービスの回線数が35.1万回線であるのに対し、2017年度時点でのIP-VPNサービスは61.9万契約されており、近年は専用線ではなくVPNが広まっていることが分かります。
出典: 「平成30年版 情報通信白書」第2部 第2節|総務省

なぜVPNが広まっているのか
ではVPNはどのように普及したのでしょうか。ここではVPNの広がりについてインターネットの歴史とともに振り返っていきましょう。
専用線が利用された1990年代以前
インターネットが普及する1990年代以前。企業や官公庁・自治体等はシステム間で安全にデータをやり取りするために「専用線」を用いていました。「専用線」はその名の通り、自社専用で利用するために物理的に専用の回線をひいて、拠点間を結ぶ通信回線です。
情報漏えい対策としてVPNが注目された2000年代
その後、VPNが技術的に確立し、サービスとして提供されはじめたのは主に2000年代のことでした。それまで「高額」だった専用線に対して、比較的低コストで導入できるVPNに注目が集まりました。
一方、ITの普及により情報漏洩による被害や規模が深刻化。個人情報保護や内部統制の強化、コンプライアンス遵守などが企業に問われるようになり、セキュリティ意識は大きく高まりました。当然、企業はより安全に通信を行う方法を模索し始めます。
本来ならば、専用線のようにプライベートなネットワークが必要ですが、高額であること、万が一障害があった場合に影響範囲が大きいことも課題でした。このような理由から専用線より安価で障害時に影響範囲が少ないVPNは好都合だったのです。
IP-VPNと同じく、インターネットVPNも拡大
総務省の調査結果では触れられていませんが、IP-VPNのほかにも「インターネットVPN」を利用する企業が多いのも事実です。IP-VPNよりも安価ということもあり、VPNというとこちらをイメージされることが多いかもしれません。
VPNの技術は日進月歩。今後もよりユーザーに受け入れられる新たなサービスが登場していくでしょう。
VPNを検討するなら押さえたい注目の動向
これまで、VPNの導入の際には「いかに安全か」「いかにコストを抑えられるか」「障害時の影響範囲はどうか」といったことが重要なポイントとなってきました。今後ももちろん、これらは重要なポイントですが、下記の2つの動向も踏まえて考える必要があるでしょう。
スマートデバイス活用
スマートフォン、タブレット端末などの普及が進んでいます。外出先でも手軽に扱えることからビジネスでの活用の幅も広いと考えられます。
この普及とともに語られるのが働き方改革。営業担当者が社外で作業をしたりするほか、在宅勤務、サテライトオフィスの活用など場所を問わない多様な働き方を認めることで、より生産性を向上したいと考える企業も増えています。
その際に課題となるのが、社外から安全に社内ネットワークに接続できることです。スマートデバイス、モバイルデバイスからでも容易にVPNを経由して社内にリモートアクセスできる環境作りは急務と言えます。
クラウド化への対応
今や多くの企業の生産性の向上や、業務効率化を考える上でクラウドの利用は欠かせません。
しかしプライベートクラウドはもとより、パブリッククラウドへのアクセスにインターネット回線の利用は、その分セキュリティ上のリスクもあることを意味します。つまり社内・社外を問わず、どこからでもアクセスできるクラウドの利点を活かすためにも、やはりVPNを活用した安全な環境作りが必要なのです。
最新VPNを比較してみよう
いかがでしたでしょうか。働き方改革や生産性向上というワードが飛び交う中、専用線よりもVPNに注目が集まっています。
スマートデバイスの活用が進み、さらにはクラウド対応が急務であるからこそ、今できていないことを洗い出しVPNを比較検討してみることをおすすめします。
