契約書の管理で起きやすい問題
契約書は、締結して終わりではありません。保管し、期限を管理し、必要なときに取り出すまでが一連の業務です。まずは、どこに問題が生じるのかを整理しましょう。
どこにあるかがわからない
原本を部署ごとに保管していると、会社全体でどんな契約があるかを把握できません。担当者が異動すると、保管場所がわからなくなることもあります。監査や取引先からの問い合わせで急に必要になったとき、すぐ出せない状態は困ります。
電子で締結したものと紙のものが混在していると、さらに探しにくくなります。どちらにあるかを確かめるところから始めることになります。所在を一覧で把握できる状態が求められます。探すこと自体に時間を取られる状況は避けたいところです。
更新や解約の期限を見落とす
自動で更新される契約では、解約を申し出る期限が定められていることがあります。この時期を過ぎると、必要のない契約が続き、費用が発生し続けます。件数が多いほど、把握しきれなくなります。
更新の前に条件を見直したい場合も、期限を把握していなければ交渉の時間を取れません。誰がいつ確認するのかを決めていないと、気づいたときには更新済みという事態が起こります。
内容を確かめるのに時間がかかる
取引先との間で条件を確認したいとき、契約書の該当する箇所を探す作業が発生します。紙の書類をめくって探すには時間がかかります。同じ相手と複数の契約を結んでいる場合、どれが該当するかの判断も必要です。
過去にどんな条件で契約したかを、他の案件の参考にしたい場面もあります。一覧で比べられないと、その活用も進みません。表計算ソフトで台帳を作る方法もありますが、更新の手間と記入もれの課題が残ります。
契約書管理システムを使うメリット
この仕組みの効果は、整理されることだけではありません。期限の管理や、社内での共有にも関わります。3つの角度から整理します。
必要な契約書をすぐ取り出せる
取引先名、契約の種類、締結日、金額といった条件で検索できます。紙で締結したものも、画像として取り込んで登録すれば同じように扱えます。原本の保管場所を登録しておけば、実物が必要な場合もすぐ見つけられます。
製品によっては、取り込んだ画像から文字を読み取り、本文の中身まで検索できるものもあります。特定の条項が入っている契約を洗い出したいときに役立ちます。対応の範囲は製品によって違うため、事前に確かめておきましょう。
更新や解約の期限を管理できる
契約ごとに期限を登録しておけば、近づいたときに知らせを受け取れます。担当者が記憶に頼る必要がなくなり、見落としを減らせます。知らせの宛先を複数登録できる製品なら、担当者の不在時にも気づけます。
期限が近い契約を一覧で確認できれば、まとめて見直す機会もつくれます。条件の交渉に必要な時間も確保できます。不要な契約を整理する機会にもなります。ただし、登録した情報が誤っていれば知らせも正しく届きません。登録時の確認手順を決めておきましょう。
社内で状況を共有できる
誰がどの契約を担当しているか、いまどの段階にあるかを共有できます。締結の前後で担当が代わる場合も、経緯を引き継げます。閲覧できる範囲を設定できるため、限られた人だけが見られる契約も扱えます。
誰がいつ閲覧したかの記録が残る製品もあります。契約書には取引の条件や価格が含まれるため、扱いには配慮が必要です。記録があれば、管理体制について説明する際の材料にもなります。
導入前に確かめたい注意点
導入すれば自動的に整理されるわけではありません。次の点を押さえたうえで検討しましょう。
既存の契約書を登録する作業が必要になる
使い始めるには、いま保管している契約書を登録することになります。紙のものは読み取る作業も加わります。件数が多いほど、この作業には時間がかかります。
すべてを一度に登録する必要はありません。まだ有効な契約から始める、金額の大きいものを優先するといった進め方があります。読み取りの作業を代行してもらえる場合もあるため、費用とあわせて相談しましょう。作業の担当と期限を決めておくことも重要です。
費用と対象範囲を確かめる
料金は、登録する件数や利用する人数で決まる形があります。保存できる容量に上限がある場合もあります。今後どれだけ増えるかを見込んだうえで、総額を確かめましょう。
費用を比べるときは、今かかっている時間を書き出す方法があります。契約書を探す時間、期限を確認する作業にどれだけ使っているかを見積もりましょう。設定を手伝ってもらう費用が別かどうかも確認します。
登録のルールを決める必要がある
誰がいつ登録するのかを決めておかないと、登録もれが生じます。締結したらすぐ登録する運用にするなど、業務の流れに組み込みましょう。どの項目を必ず入力するかも定めておく必要があります。
入力の内容がばらつくと、検索しても見つかりません。取引先名の書き方や契約の種類の分け方を、あらかじめ決めておきましょう。担当を1人に固定せず、複数人が手順を把握しておくことも重要です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で契約書管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
製品を選ぶときの確認項目
必要な機能は、契約の件数と社内の体制によって変わります。扱える範囲と、情報の守り方、使いやすさという3つの点から確認しましょう。
紙と電子の両方を扱えるかを確かめる
紙で締結した契約書を取り込み、電子で締結したものと同じように管理できるかを確認します。読み取った画像から文字を認識できるか、その精度がどの程度かも確かめたい点です。試しに自社の契約書で試せると確実です。
使っている電子契約のサービスとつなげられるかも確認しましょう。締結した契約が自動で登録される形なら、登録もれを防げます。つなぐ仕組みが止まったときに管理者へ知らせが届くかも聞いておきましょう。
閲覧の範囲と保管の要件を確かめる
契約書には、外部に出せない条件が含まれます。誰がどの契約を見られるかを、部署や役職ごとに設定できるかを確認しましょう。閲覧や持ち出しの記録が残るかも、管理のうえで重要です。
電子で受け取った取引の書類には、法令にもとづく保存の要件があります。対応の範囲は製品によって違うため、自社の運用が要件を満たすかを顧問の税理士や法務の担当者に確認しましょう。データを取り出せる形かも、長く使ううえで確かめておきたい点です。
使う人にとって扱いやすいかを確かめる
登録するのは法務の担当者だけとは限りません。営業や購買の担当者が入力する場合、項目が多すぎると登録もれにつながります。入力の画面を実際に見て、負担にならないかを確かめましょう。
検索の使い勝手も重要です。取引先名の一部だけで探せるか、期間を絞って一覧を出せるかを試してみましょう。試用の機会があれば、実際に探す立場の社員に触ってもらう方法が確実です。
契約書の一元管理を支えるシステム
探す手間や更新期限の見落としを防ぎたい場合に候補となる、契約書管理システムを紹介します。
Contract One
- 契約書を正確にデータ化し、AIで扱いやすいデータベースを構築
- Contract One内で生成AIを活用し、さまざまな部門の課題を解決
- 法改正への対応をサポート
Sansan株式会社が提供する「Contract One」は、契約書をデータ化して一元管理するシステムです。紙の契約書をスキャンして取り込む機能を備えており、既存の契約書もあわせて検索できる状態にできます。契約の更新時期が近づいた際に知らせる機能もあり、見落としを防ぐ運用を組めます。
TOKIUM契約管理
- 製本済みの契約書を非破壊でスキャン代行
- あらゆる電子契約サービスから自動取り込み
- AIが契約書の管理台帳を自動作成
株式会社TOKIUMが提供する「TOKIUM契約管理」は、契約書のデータ化と管理を扱うシステムです。原本の管理と電子データでの検索を組み合わせた運用に対応しており、紙の契約書が多く残る企業でも導入しやすい構成です。契約内容の項目を登録し、条件で検索できる仕組みを備えています。
マネーフォワード クラウド契約
- 法務相談-作成-申請-承認-締結-保存-管理までまるっとサポート
- 送信料・保管料がずっと0円。定額制のシンプルな料金体系
- 紙の契約書も電子契約もまとめて一元管理
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド契約」は、契約書の作成から締結、保管までを扱うシステムです。締結した契約書を検索できる状態で管理でき、更新の時期が近づいた契約を一覧で確認できます。同社の会計サービスと連携させる構成にも対応しています。
ConPass (株式会社日本パープル)
- AIが契約管理項目を自動抽出し、入力の手間を削減。
- ワークフローで進捗を可視化。
- 検索、関連リンク、権限設定で安全かつ容易に探せる。
Legaledge (株式会社コスモルート)
- 契約書を条文単位で自動解析・即時検索
- 契約雛形コンポーネント化とナレッジ活用促進
- Wordで契約書レビューを効率化する機能。
契約書管理に関するよくある質問
導入を考えるときによく寄せられる疑問をまとめました。社内で話し合う際の参考にしてください。
- Q1: 電子契約システムがあれば不要ですか?
- 電子契約は締結までを担う仕組みで、締結後の管理までは扱わない場合があります。紙で結んだ契約も含めて一元管理したい場合は、別に検討する価値があります。両方の機能を持つ製品もあるため、対応範囲を確かめましょう。
- Q2: 契約件数が少なくても導入する価値はありますか?
- 件数が少なければ表計算ソフトでも対応できる場合があります。ただし、自動更新の契約が多い、拠点が分かれているといった条件があると手間が増えます。今かかっている時間を基準に判断しましょう。
- Q3: 原本の紙は捨ててよいのですか?
- 書類の種類によって扱いが異なります。取り込んだ後に処分してよいかは、保存の要件を満たしているかによります。判断に迷う場合は、顧問の税理士や法務の担当者に確認することが重要です。
- Q4: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 登録する件数と、分類の設計にかかる時間で変わります。まず有効な契約だけを対象に始める方法もあります。登録のルールを決める時間も、計画に含めておきましょう。
まとめ
契約書管理システムには、必要な契約書をすぐ取り出せること、更新や解約の期限を管理できること、社内で状況を共有できることというメリットがあります。一方で、既存の契約書を登録する作業や費用、登録ルールの整備という点も押さえておく必要があります。まずは有効な契約の件数を把握しましょう。資料請求を活用して比べてみてください。

