契約書管理規程とは
契約書管理規程とは、契約書の取り扱いや保管・管理方法をルール化したものです。
契約交渉から、契約書の締結・管理・更新・廃棄まで、一連の契約業務フローを整理・決定します。一般的な「文書管理規程」では、契約書の規程として十分でない場合も多いため、契約書に特化した管理規程の策定が求められるのです。
契約書を適切に管理することで、不適切な契約締結や契約書の紛失、内部不正など、起こりうるさまざまな契約リスクの軽減につながります。さらに、契約書管理システムの導入によって、契約書管理台帳の作成時間の短縮や契約書の更新忘れ防止、契約書管理規程のルール遵守など、契約書管理業務の効率化もできるため、実施する効果は大きいでしょう。
契約書管理の重要性について、以下の記事で詳しく解説しています。契約書の管理・運用業務を見直す参考にしてください。
契約書管理規程の作成前にすべきことは
次に、契約書管理規程の作成前に取り組むべき作業を見ていきましょう。
- 1.統括部門、担当者を決定する
- 契約書管理は各部門に分散させないようにしましょう。管理レベルに差が生じたり、部門の統廃合や担当者の異動が原因で業務が煩雑化したりする可能性があるためです。また、契約書管理の統括部門における管理責任者や担当者も決めておきましょう。
- 2.契約書管理台帳を作成する
- 契約書の管理すべき項目を洗い出し、契約書管理台帳を作成します。管理台帳には、例えば次のような項目を盛り込みます。
- ・契約書の分類
- ・契約名
- ・契約書番号
- ・締結先名
- ・取引先担当者
- ・社内担当者
- ・契約締結日時 など
- 3.契約書の棚卸、台帳への入力
- 保管している契約書の内容を1件ずつ確認し、契約書管理台帳へ入力します。このとき網羅的に入力するのが理想ですが、契約書の量が多いと膨大な時間がかかります。そこで、契約書の量に応じ、優先的に入力する項目をあらかじめ決めておくとよいです。
- 4.契約書管理台帳を作成していくツールを決める
- 管理台帳の作成にExcelを使用する企業も多くみられますが、人為的なミスが起こりやすく、Excelスキルや管理工数も必要です。契約書管理業務を効率よく進めたいのであれば、契約書管理システムを利用するのもおすすめです。
1~4まで準備ができると、契約書管理規程の作成はスムーズです。
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契約書管理規程の決め方
契約書管理規程は、「発生→伝達→保管→保存→廃棄」といった契約書のライフサイクルに沿って作成します。それぞれのフェーズの具体的な作業を解説します。
1.契約書の作成など「発生」に関する規定を決める
契約書を作成したり収受したりした際のルールを規定します。紙の契約書を取り扱う場合に、決めておくべきルールは以下のとおりです。
- ■件名、作成者などの記載事項
- ■書式や文体
- ■件名のつけ方
- ■収受した際の保管場所やファイル名の付与方法、開封権限
2.回覧や配布など「伝達」に関する規定を決める
作成した契約書を、回覧したり配布したりする際のルールを決めます。ルールの一例は以下のとおりです。
- ■契約書の承認フロー設定
- ■承認済契約書の処理方法(押印など)
- ■承認済契約書を社外へ発信する際の方法(郵送・メール・FAXなど)
- ■各発信方法における注意事項(パスワード設定・送り状など)
3.場所や取扱いなど「保管」に関する規定を決める
頻繁に閲覧する契約書などはオフィス内に保管し、そのルールを決めます。契約書の閲覧頻度や機密レベルに応じ、適切な方法で保管されなければいけません。一般的なルールは以下のとおりです。
- ■使用するキャビネットや格納場所に関するルール
- ■施錠方法や情報漏えい防止対策に関するルール
- ■コピーの取り扱い
- ■閲覧・アクセス権限
以下の記事では、契約書の保管方法をより詳しく解説しています。保管する際のポイントや効率化する方法も紹介しているので、保管方法を見直したい方は参考にしてください。
4.保有期限など「保存」に関する規定を決める
契約書といった文書は、法令により保存期間が設けられています。例えば、会社法に関わるものは契約終了後10年間、経理や税務に関わるものは最低7年間の保存期間が義務づけられています。法令に基づき、適切に保存しましょう。
また、契約書の形態により規定されるルールは異なります。形態別のルールは以下のとおりです。
- 【紙文書】
- ■保存場所
- ■使用する保管箱の種類
- ■保存箱へのラベルの貼り方
- 【電子文書】
- ■ファイルの種類
- ■スキャナの仕様や要件に関するルール
- ■保存するメディアの種類
- ■メディアの保管場所
紙・電子文書ともに施錠や帳簿への登録、持ち出しや閲覧に関するルールを規定しましょう。
参考:会社法 | e-Gov法令検索
参考:法人税法 | e-Gov法令検索
5.処分方法など「廃棄」に関する規定を決める
契約期間が過ぎ、必要なくなった契約書は適切に廃棄しなければいけません。しかし、紙・電子文書で処理方法が異なるため、廃棄に関するルールを規定します。一般的なルールは以下のとおりです。
- 【紙文書】
- ■文書レベルに応じた廃棄に関するルール(シュレッダー・溶解処理)
- 【電子文書】
- ■メディアの廃棄に関するルール
- ■サーバ上のデータ廃棄に関するルール
紙・電子文書ともに、廃棄作業の証跡や保存期間を過ぎても残しておくべき、重要な文書に関するルールなどを明記します。
企業によっては、書類に関する社内規程がすでに策定されている場合もあるでしょう。例えば文書管理規程は、契約書をはじめ文書全般の管理方法を定めたものです。ただし、契約書には法令による義務づけがあるなど、一般文書より詳細な規程が必要です。そのため契約書は、契約書管理規程による丁寧な管理・運用を実施しましょう。
契約書管理規程を運用する際のポイント
契約書管理規程は作成するだけでなく、契約業務のなかで正しく運用されなければいけません。運用が規程どおりでなかったり、社員への浸透が不十分だったりすると、情報漏えいなどのリスクが高まります。
社員全員への浸透を目指すには、実務に即しており、理解されやすい規程の作成を心がけましょう。そして管理者は、運用過程で社員の声を拾い上げ、定期的に規程をアップデートしていきましょう。以下は具体的な取り組みの一例です。
- ■社内通達の活用
- ■社内SNSの利用
- ■研修の実施
- ■個別での説明
また、法律の改正や企業の事業内容の変化によっても、契約業務の見直しが必要です。社員の声を反映させながら、自社により適した契約書管理規程の管理・運用を行いましょう。
契約書管理には専用システムが便利
契約書の管理において、契約書管理台帳をExcelで作成する企業は多いでしょう。しかし、運用ルールを厳密に定めても、エクセル管理では人為的なミスが発生する可能性はゼロではありません。管理する契約書の数が多ければ、管理や運用の負担も大きくなるでしょう。
そこで有効なのが、契約書管理システムです。契約書管理システムとは、契約書を電子保存し、整理・検索できるようにするシステムのことです。「契約管理システム」とも呼ばれます。製品によって機能は異なりますが、主に以下のような機能を有しています。
- ■契約書管理台帳の入力支援
- AIによる管理項目の自動入力が可能
- ■契約書の検索
- 全文検索エンジンなどにより、曖昧な検索でも目的の契約書を探し出せる
- ■契約書の有効期限通知
- 更新期限が近づいた際に、アラート通知を受け取れる
- ■契約書のバージョン管理
- データの上書きや更新忘れを防止。更新履歴も確認できる
- ■電子契約の締結
- データ化した契約書に電子署名や電子サインを付与することで、電子契約の締結が可能
- ■契約業務の電子化
- 契約締結から契約書の管理・運用まで、一連の契約業務を電子化・デジタル化できる
以下の記事では、おすすめの契約書管理システムを比較して紹介しています。自社にベストな製品の選び方も解説しているため、システム導入に興味のある方は一読ください。
契約書のライフサイクルに着目して管理規程を作ろう!
契約書管理規程とは、契約書の取り扱いや保管・管理方法をルール化したものです。契約書のライフサイクルである「発生→伝達→保管→保存→廃棄」に沿って作成します。
作成する際はわかりやすく理解されやすい内容にし、現場への浸透に努めることが大切です。実務に沿った契約書管理規程を作成し、契約書を適切に管理しましょう。
契約書管理システムをお探しの際は、以下のボタンより資料請求が可能です。製品の特徴を比べやすい比較表も作成できます。契約書管理業務の効率化を図りたい方や、電子契約書への切り替えを検討している方も、ぜひご活用ください。