契約書管理の重要性
まずは、なぜ契約書管理が重要なのか、その理由を見ていきましょう。
リスク管理のため
契約書を適切に管理しないことによるリスクは大きく分けて2種類あります。
1つめは、紛失して契約の内容を確認できないリスクです。
契約書には契約に関する詳細が載っており、相手が契約違反をしていた場合は、その内容に則って対処します。例えば、損害賠償の請求や、契約の解除といった措置を行うでしょう。しかし、契約書がないと、そもそも相手が契約に違反しているかどうかを判断できません。
もし契約違反を見過ごしてしまい、適切な処理を行わなければ、自社に損失が発生してしまうかもしれません。
2つめは、サイバー攻撃や内部不正による情報漏えいのリスクです。
契約書は企業の中でも非常に重要度が高い書類であり、契約内容が外部に漏れることで不利益が生じるケースも少なくありません。
契約書を適切に管理すれば、このようなリスクを抑えられるため、会社を守れます。
業務効率を向上させるため
契約書を適切に管理することで、契約書を探す時間を大幅に削減できます。例えば、社内の契約書を各部署でバラバラに管理していれば、他の部署と連動している契約書は見つけにくくなるでしょう。
そこで、契約書の情報をデータ化して保管しておけば、確認したい内容を瞬時に検索できます。また、特定のサービスにおける契約期間を一覧で表示できるようにすれば、取引先へ契約更新の旨を漏れなく行えます。
契約書の内容にもとづいて正確な案内ができるため、売上の向上に繋がる可能性もあります。
契約書管理の方法
契約書に関するリスクを低減させるには、適切な管理が求められます。どのように管理すれば良いか見ていきましょう。
Excelで管理台帳を作成する
契約書管理をするもっとも身近な方法が、Excelなどの表計算ソフトを使って管理台帳を作成することです。契約書の管理台帳を作成することで、保管している契約書を効率良く検索できるようになります。
管理台帳を作成する際は、契約書を探す際に検索する内容を盛り込んでおきましょう。契約書の管理台帳に盛り込む項目は以下のとおりです。
- ■契約書の分類
- ■契約名
- ■契約書番号
- ■締結先名
- ■取引先担当者
- ■社内担当者
- ■契約締結日時
- ■契約開始日・終了日
- ■自動更新の有無
- ■契約解除通告期限
- ■原本保管場所
管理台帳のフォーマットを作成したら、現在社内に保管されている契約書を棚卸し登録していきます。
契約書管理システムを利用する
Excelで契約書を管理する場合、ゼロからフォーマットを作成しなければならないため手間がかかります。また、管理する契約書の数が多ければ、管理や運用の負担も大きくなるでしょう。
そこで、契約書管理システムを利用すれば、管理台帳の作成も簡単に行えます。また、契約期間が切れそうな契約書は事前に通知が届くため、適切に更新業務ができるでしょう。
契約書の原本にICタグやバーコードを貼り付けて管理するシステムもあります。このような仕組みであれば、契約書を棚卸する際はコードを読み込むだけの作業で済みます。
システムの導入には初期費用がかかるため、導入に積極的でない企業も多いです。その場合は、クラウド型の契約書管理システムを使えば、初期費用を抑えられます。
契約書管理をスムーズに行うポイント
最後に、契約書を効率良くスムーズに管理するためのポイントを見ていきましょう。
管理部門・担当者の選定
適切に契約書を管理するためには、管理する部署・担当者を決めると効果的です。専門的な部署を立ち上げると、負担は大きくなりますが、より的確にリスクを抑えられます。
また、契約書を業務に使うときに、専属で管理している部署がある方が効率が良くなるでしょう。管理部門や担当者を選定する際は、契約書管理の重要性や、自社が目指す目的・ゴールを明確にすることが大切です。
管理規程の策定
契約書を管理する体制が整った後は、自社のスタイルに合わせて管理規程を作成しましょう。これは、契約書を扱う全ての社員が守るべきルールを作るということです。
契約書は作成してから廃棄するまでの流れが決まっているため、適切な業務を行えるようにルールを広めていきます。
このように全社員が契約書の適切な管理方法を知っていれば、スムーズに運用できます。
契約書管理の重要性を知り、業務改善に向けた見直しを!
契約書は企業の中でも重要度が高い書類であるため、適切な方法で管理しなければなりません。
もし適切に管理していなければ、取引先の契約違反に気づけなくなります。社内不正によって情報漏えいする危険性もあるでしょう。契約書はExcelなどで台帳を作成して管理するのが一般的ですが、負担が大きいため、システムの活用も検討してください。
管理する部署や担当者を選定し、管理規程を作成して適切に管理しましょう。