DMPとはどのような仕組みか
活用場面を見る前に、何を扱う仕組みなのかを押さえておきましょう。二つの種類があり、扱うデータの出所が異なります。
DMPの基本的な役割
DMPとは、さまざまな経路から集めたデータを一か所にまとめ、分類したうえで施策に活用するための仕組みです。データマネジメントプラットフォームの頭文字をとった呼び方です。
扱うデータは、Webサイトの閲覧履歴、購買の記録、会員情報、広告への反応などが挙げられます。これらを結び付けて条件ごとに分類し、広告の配信先やメールの送信対象として使える形に整えます。データを集めることが目的ではなく、施策に使えるようにするところまでが役割です。
プライベートDMPとパブリックDMPの違い
自社が保有するデータを中心に扱うものをプライベートDMP、外部の事業者が収集したデータを利用できるものをパブリックDMPと呼び分けることがあります。
自社データを扱う形は、既存顧客への働きかけや、購買の傾向にもとづく分類に向いています。外部データを利用する形は、まだ接点のない層へ届けたい場合に検討されます。ただし、ブラウザ側の仕様の変化により外部データの扱える範囲は変わってきているため、現在どこまで利用できるかは事業者に確認する必要があります。
活用の目的から見た事例
事例で語られる使われ方は、目的によって分かれます。三つに整理して確認します。
広告配信の対象を絞る活用
すでに購入した商品の広告を同じ人へ配信し続けている、関心のない層へ費用をかけているといった課題への対応です。条件で分類した対象に絞って配信することで、費用の使い方を見直せます。
購入済みの顧客を配信の対象から外す、関心を示したが購入に至っていない層へ改めて届けるといった使い分けが行われます。効果を確かめるには、配信した対象と結果を記録し、比較できる状態にしておく必要があります。分類の条件は運用しながら見直す前提で始めましょう。
既存顧客への提案を分ける活用
すべての顧客へ同じ案内を送るのではなく、購買の履歴や閲覧の傾向に応じて内容を変える使い方です。メールの配信やWebサイトでの表示に反映されます。
関心に近い内容が届けば、受け取る側にとっても有用性が高まります。ただし、細かく分けるほど用意する内容の数も増えます。運用にかけられる工数を踏まえ、分類の数を絞って始める進め方が現実的です。分けた効果を確認できる指標も、あわせて決めておきましょう。
分析による顧客像の把握
施策の実行だけでなく、どのような顧客が自社の商品を購入しているかを把握する使い方です。属性や行動の傾向を分析し、商品の企画や販売の計画に反映します。
複数の経路のデータを結び付けることで、単一の経路では見えなかった傾向が把握できる場合があります。ただし、分析から得られるのは過去のデータにもとづく傾向です。そのまま将来の判断に使うのではなく、現場の知見とあわせて検討する姿勢が求められます。
業種から見た活用場面
扱うデータの性質は業種によって異なります。二つの例で確認します。
小売や通販での活用
購買の履歴が蓄積されやすく、閲覧の記録とも結び付けやすい領域です。購入の頻度や金額、扱う商品の種類によって分類し、案内の内容を変える使い方が採られます。
店舗とオンラインの双方で販売している場合、両方のデータを結び付けられるかが検討点になります。会員の情報を通じてつなげる構成が一般的ですが、会員登録をしていない購買は把握しにくい面があります。どこまでを対象にできるかを整理してから進めましょう。
金融やサービス業での活用
契約の期間が長く、顧客との関係が継続する領域です。契約の内容や利用の状況に応じて、案内する商品やサービスを分ける使い方が採られます。
扱う情報の性質上、取り扱いに関する規制や社内の基準が厳しく設定されている場合があります。どのデータを分析に使えるか、外部の事業者へ渡せるかは、事前の確認が欠かせません。判断に迷う部分は、社内の法務部門や個人情報保護の担当に相談しながら進めましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でDMPの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
事例を読み解く際の着眼点
公開されている事例をそのまま自社に当てはめると、想定と異なる結果になることがあります。読む際に確認したい点を二つ挙げます。
保有データの量と質の前提
分類や分析の結果は、もとになるデータの量と整理の状態に左右されます。顧客の情報が複数のシステムに分かれている、同じ人が別々に登録されているといった状態では、結び付ける工程に手間がかかります。
事例で成果が語られている場合、その前提として一定量のデータが蓄積され、整理されていることが多くあります。自社と比べる際は、保有している顧客の件数、データの種類、整理の状況を照らし合わせましょう。整備の工数も見込んでおく必要があります。
個人情報の取り扱いに関する確認
DMPで扱うデータには、個人に関わる情報が含まれる場合があります。取得の際にどのような目的を伝えているか、外部の事業者へ提供する場合の扱いはどうかを確認する必要があります。
関係する法令や指針は改正されることがあり、扱いの範囲も変わります。事例で行われている取り組みが、自社でもそのまま実施できるとは限りません。具体的な運用は、社内の法務部門や個人情報保護の担当、必要に応じて外部の専門家に確認しながら進めましょう。
DMPの選び方
ここまでの内容を踏まえ、製品を選ぶ際の確認事項を整理します。
目的と扱いたいデータの整理
最初に、何のために使うのかを具体化します。広告の配信先を絞りたいのか、既存顧客への案内を分けたいのか、分析による把握が中心なのかによって、必要な機能が変わります。
あわせて、どのデータを扱いたいかを整理しましょう。自社のデータのみで足りるのか、外部のデータも必要かによって選ぶ種類が変わります。保有しているデータの件数と種類も、費用の試算に関わります。
既存システムや配信先との連携
顧客管理システムや販売管理システム、マーケティングオートメーションツールと連携できるかを確認します。データを手作業で移し替える運用では、更新のたびに負担が生じます。
広告の配信先やメール配信の仕組みとつなげられるかも確認点です。分類した対象を実際の施策に反映できなければ、整理した意味が薄れます。連携の方式に加えて、同期が止まった際に気づける仕組みがあるかも確かめておきましょう。
費用とサポート範囲の確認
料金は、扱うデータの件数によるプラン分け、利用人数に応じた月額制、初期費用と月額の組み合わせなど、製品によって考え方が異なります。外部データの利用が別料金となる場合もあるため、総額で比べることが必要です。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、データの整備や分類の設計を支援してもらえるのかは製品ごとに差があります。社内に分析の経験者がいない場合は、この部分の充実度が活用を左右します。
目的別に選べるDMP
データの活用目的や業種にあわせて検討できるDMPを紹介します。
Rtoaster(アールトースター)
- データ収集から活用まで出来るワンストップソリューション
- 2006年からの実績・350社以上の業界トップクラス企業と共に成長
- 対応満足度98.6%を誇る万全のサポート体制
株式会社ブレインパッドが提供する「Rtoaster(アールトースター)」は、Webサイト上での行動データを蓄積し、接客の出し分けに活用できるDMPです。ECサイトをはじめとした業種での導入実績があり、蓄積したデータをもとにした表示内容の最適化に対応しています。
IM-CMP (株式会社インティメート・マージャー)
- 約4.7億件のオーディエンスデータを持つDMPで同意管理を強化。
- 3rd Party Cookie規制に対応し、データ利活用を支える仕組み
- メディア向けに最適化された許諾取得・同意可視化機能。
IM-DMP (株式会社インティメート・マージャー)
- 大規模メディアやアンケートから得られた膨大な情報
- 自由にカスタマイズ可能なセグメント
- Web広告やLP、CRM、MAなど幅広い用途に対応
AIXON (Appier Group株式会社)
- プログラムなしでAIモデルの構築が可能
- あらゆるデータをつなぐことが可能
- 顧客の行動予測による最適なマーケティング戦略
DMPに関するよくある質問
導入を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: どのくらいのデータ量があれば活用できますか?
- 一律の目安はありません。分類したい条件ごとに一定の件数が必要になるため、細かく分けるほど多くのデータが求められます。まず現在保有している件数と種類を整理し、実現したい分類が成り立つかを確認するとよいでしょう。
- Q2: 顧客管理システムとどう使い分けますか?
- 顧客管理システムは個々の顧客との関係の管理、DMPは複数の経路のデータを結び付けて分類し施策に使うことを主な目的とします。役割が異なるため、連携させて使う構成が一般的です。現在のシステムで対応できる範囲を確認しましょう。
- Q3: 外部のデータは今も利用できますか?
- ブラウザ側の仕様の変化により、扱える範囲は変わってきています。現在どこまで利用できるか、今後の見通しはどうかを事業者に確認する必要があります。自社データを中心とした構成を検討する企業も増えています。
- Q4: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 保有データの整備状況や連携の範囲によって幅があります。既に整理されたデータがあれば短期間で始められる一方、複数システムからのデータを結び付ける作業を伴う場合は数か月を要することもあります。段階的な計画を立てましょう。
まとめ
DMPの活用事例では、広告配信の対象を絞る使い方、既存顧客への提案を分ける使い方、分析による顧客像の把握という三つの目的が語られます。小売や通販と金融やサービス業では、扱うデータの性質も配慮すべき点も異なります。事例を読む際は、保有データの量と整理の状態、そして個人情報の取り扱いに関する前提を確認しましょう。目的と扱いたいデータを整理したうえで、連携範囲や費用を比べて選ぶことをおすすめします。

