図面管理システムとは何か
図面管理システムは、製造業や建設業などで作成される図面データを一元的に保管し、検索や更新履歴の管理を行うためのシステムです。まずは基本的な定義と、システムがどのような仕組みで図面情報を扱うのかを確認します。
図面管理システムの定義
図面管理システムとは、CADデータや紙図面をスキャンした画像データなどを一つのデータベースに登録し、検索や閲覧、更新を一元的に行えるようにするシステムです。設計部門だけでなく、製造や品質管理、営業など複数の部署が同じ図面情報を参照する場面で活用されます。
単なるファイルサーバーとの違いは、図面番号や製品名、改訂番号といった属性情報をひもづけて管理できる点です。属性情報をもとに検索できるため、フォルダ階層をたどらなくても目的の図面にたどり着きやすくなります。
図面情報を一元管理する仕組み
図面管理システムでは、図面ファイルをアップロードする際に品番や取引先名、作成日といった属性情報を入力し、データベースに登録します。登録された情報はシステム上で検索条件として利用でき、複数の項目を組み合わせた絞り込みも可能です。
また、図面の改訂が発生した場合は、旧版を保持したまま新しいバージョンを追加登録する仕組みが一般的です。これにより、過去の設計変更の経緯を後からたどれる状態を保てます。
図面管理システムが必要とされる背景
紙やローカルフォルダでの図面管理には限界があり、企業規模が大きくなるほど課題が表面化しやすくなります。ここでは、図面管理システムが求められる背景を整理します。
属人化した図面管理の課題
担当者ごとに個人フォルダへ図面を保存していると、担当者が異動や退職をした際に、どこに何の図面があるのか分からなくなる場合があります。図面の所在が特定の人に依存する状態は、業務の継続性という観点で不安要素です。
加えて、同じ図面が複数の場所に重複して保存されると、どれが最新版か判断しにくくなります。図面管理システムを導入すると、保存場所と属性情報を一元化できるため、担当者に依存しない管理体制を整えやすくなります。
検索性と版管理の重要性
紙図面やExcel台帳での管理では、目的の図面を探すのに時間がかかる場合があります。フォルダ名やファイル名のルールが統一されていないと、検索キーワードだけでは見つからないことも起こり得ます。
また、改訂履歴が正しく管理されていないと、旧版の図面を誤って参照してしまう可能性があります。版管理の仕組みが整っていれば、最新版と旧版を明確に区別でき、誤った図面の使用を防ぐことにつながります。
図面管理システムの主な機能
図面管理システムには、検索や版管理、権限設定など複数の機能が備わっています。ここでは代表的な機能を紹介し、それぞれがどのような場面で役立つのかを解説します。
検索・閲覧機能
図面管理システムの中心的な機能が検索・閲覧機能です。品番や図面番号、取引先名、作成日などの属性情報を条件に指定して検索できるほか、キーワード検索に対応した製品もあります。専用ビューアーを使えば、CADソフトを持たない担当者でも図面を閲覧できます。
閲覧機能には、拡大縮小や注記の追加といった補助機能を備えたものもあります。設計部門以外の担当者が図面を確認する場面でも扱いやすく、部署をまたいだ情報共有に役立ちます。
バージョン管理・履歴機能
図面が改訂されるたびに新しいバージョンとして登録し、旧版と新版の履歴を残すのがバージョン管理機能です。誰がいつ、どのような理由で図面を変更したのかを記録できるため、変更履歴の追跡がしやすくなります。
この機能により、複数の担当者が同じ図面を更新した場合でも、どのバージョンが最新かを明確にできます。過去の版に戻して確認したい場合にも対応しやすくなります。
権限設定・セキュリティ機能
図面には取引先の機密情報が含まれる場合があるため、閲覧や編集の権限を部署や役職ごとに設定できる機能が用意されています。誰がどの図面にアクセスできるかを制御することで、意図しない外部への流出リスクを抑えることにつながります。
また、操作ログを記録する機能を備えた製品もあり、誰がいつ図面を閲覧・編集したかを確認できます。セキュリティ面での管理体制を整えたい企業にとって参考になる機能です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で図面管理(EDM)システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
図面管理と紙・Excel管理の違い
従来の紙やExcelによる図面管理と、システムによる管理では、保管方法や検索性に違いがあります。ここでは両者を比較しながら、それぞれの特徴を整理します。
保管方法の違い
紙図面は物理的なキャビネットや倉庫で保管されるため、保管スペースが必要になり、経年劣化によって図面が読みにくくなる場合もあります。Excel台帳での管理は、ファイルのリンク切れや入力ミスが起こりやすい点が課題です。
図面管理システムでは、図面データをサーバーやクラウド上に保管するため、保管スペースの制約を受けにくくなります。データとして保存されるため、劣化による判読不能といった問題も避けやすくなります。
検索性とアクセス性の違い
紙図面は保管場所まで足を運んで探す必要があり、目的の図面を見つけるまでに時間がかかる場合があります。Excel台帳も、行数が増えるほど目的の情報を探しにくくなる傾向があります。
図面管理システムであれば、属性情報を条件に検索できるため、目的の図面へ短時間でたどり着きやすくなります。社外からアクセスできる製品を選べば、出先や取引先とのやり取りの中でも図面を確認できます。
図面管理システム導入時の注意点
図面管理システムを導入する際には、既存図面のデータ化にかかる工数や、社内での運用ルール整備など、事前に検討しておきたい点があります。導入前に確認しておきたいポイントを紹介します。
既存図面のデータ化にかかる工数
紙図面を電子化する場合、スキャンや属性情報の入力といった作業が必要になり、図面の数が多いほど作業工数がかかります。導入を検討する段階で、どの範囲まで電子化するかを事前に決めておくことが大切です。
すべての図面を一度に電子化するのではなく、使用頻度の高い図面から順に対応する方法を取る企業もあります。段階的に進めることで、日々の業務への影響を抑えながら移行を進めやすくなります。
社内の運用ルール整備
システムを導入しても、図面の登録方法や命名規則が担当者ごとにばらばらだと、検索性が十分に発揮されない場合があります。属性情報の入力項目や命名ルールをあらかじめ統一しておくことが重要です。
また、権限設定の運用ルールも事前に決めておく必要があります。誰がどの範囲まで編集できるかを明確にしておくことで、意図しない上書きや削除といったトラブルを防ぐことにつながります。
図面管理システムの検討時に押さえたい製品を紹介
検索性や版管理、権限設定といった図面管理システムの主な機能を、実際にどのように備えているかを把握する参考として、特徴が異なる製品を紹介します。
AI類似図面検索
- たった、3ステップでAIが過去実績から類似した図面を検索
- お客策様から頂いた図面は社内で管理!アプリは常に最新版に更新
- 検索結果を評価して追加学習でき、貴社にマッチしたAIに成長
株式会社テクノアが提供する「AI類似図面検索」は、過去に作成された図面の中から形状の近い図面をAIが検索できる図面管理システムです。品番や図面番号などの属性情報による検索に加えて、形状の類似性をもとにした検索に対応しており、過去図面の流用検討や設計工数の削減を目的とした場面で利用されています。CADデータの登録や版管理機能もあわせて備えています。
Hi-PerBT Advanced 図面管理
- 設計業務の図面管理に必要な機能がすべて揃っている
- プリンタやスキャナ等、どのメーカーの周辺機器でも利用可能
- 直観的なUIデザイン&操作性!画面操作がカンタンで使いやすい
株式会社日立ソリューションズ西日本が提供する「Hi-PerBT Advanced 図面管理」は、図面や関連ドキュメントを一元的に登録・検索できる図面管理システムです。属性情報を用いた検索機能や、改訂履歴を保持したままバージョンを管理する機能を備えており、部署や役職に応じたアクセス権限の設定にも対応しています。設計部門以外の担当者による閲覧・共有にも活用できます。
NAZCA5 EDM(ナスカ・ファイブ・イーディエム)
- 7つの基本機能+アドオンで業務に合わせて柔軟に拡張可能
- ユーザ数無制限のサーバーライセンスで人数が増えてもコスト一定
- 製造業を熟知する専任チームが導入から運用定着までを伴走支援
新明和ソフトテクノロジ株式会社が提供する「NAZCA5 EDM(ナスカ・ファイブ・イーディエム)」は、図面や技術文書を一元管理できるエンジニアリングドキュメント管理システムです。属性情報による検索機能や版管理機能に加えて、承認プロセスの管理機能も備えており、設計変更の履歴を追跡しながら業務を進めたい企業で利用されています。CADシステムとの連携にも対応しています。
DrawFinder
- データ移行を含めたリプレースを全面支援
- 誤った図面への変更を無くす
- 探していた図面に、すぐたどり着ける検索性
株式会社ハイエレコンが提供する「DrawFinder」は、紙図面やCADデータを一元管理できる図面管理システムです。図面番号や図面名称などの属性情報による検索機能に加えて、改訂履歴を色分けして管理できるバージョン管理機能を備えています。部署ごとのアクセス権限設定にも対応しており、仕様書などの関連資料とあわせて図面を一元管理したい企業でも利用されています。
PDMics (株式会社アイ・シー・エス)
- 図面や技術文書を一元管理し、検索性を向上。
- CADアドイン連携で設計業務の効率化を支援
- Webシステムにより社外からの利用にも対応。
D-QUICK Cloud (株式会社アイサイト)
- ダウンロード不要で、そのままファイル閲覧が可能
- 遠隔地間でも安全に情報を共有できる。
- 更新時に自動で版管理を行い、管理の手間を軽減。
図面管理(EDM)に関するFAQ
図面管理システムの導入を検討する際によく寄せられる質問をまとめました。基礎知識の確認に役立ててください。
- Q1:図面管理システムとPDM・PLMの違いは何ですか。
- 図面管理システムは図面データの保管や検索、版管理に機能を絞った製品が中心です。PDMは部品表や設計情報も含めて管理する製品、PLMは製品の企画から廃棄までのライフサイクル全体を扱う製品であり、対象範囲が異なります。
- Q2:紙図面を電子化しなくても導入できますか。
- スキャン画像として紙図面を取り込んで管理する製品もあるため、必ずしもCADデータのみが対象とは限りません。ただし、検索性を高めるには属性情報の入力が必要になる場合があります。
- Q3:中小企業でも導入する意味はありますか。
- 企業規模にかかわらず、図面の検索や版管理に課題を感じている場合は導入を検討する価値があります。図面数が少ない段階から仕組みを整えておくと、将来的な図面の増加にも対応しやすくなります。
- Q4:導入後にすぐ効果を実感できますか。
- 効果の現れ方は企業の運用体制や図面数によって異なります。検索性の向上はすぐに感じやすい一方、版管理の効果は改訂を重ねるほど実感しやすくなる傾向があります。
まとめ
図面管理システムとは、図面データを一元管理し、検索や版管理、権限設定を効率化する仕組みです。紙やExcelでの管理と比べて、検索性や情報共有の面で違いがあります。導入にあたっては、既存図面のデータ化にかかる工数や運用ルールの整備を事前に検討することが重要です。自社の課題を整理したうえで、製品選定を進めてみてください。

