デスクトップ仮想化の運用でつまずきやすいポイント
デスクトップ仮想化は便利な仕組みですが、導入して終わりではなく、日々の監視や更新作業が発生します。ここでは運用面でつまずきやすい代表的なポイントを整理します。
情シス担当者が1人で運用を担う体制のリスク
中小企業では情シス担当者が1人しかいないケースが少なくなく、デスクトップ仮想化の導入後もサーバーやネットワークの管理をすべて任される体制になりがちです。担当者が休暇や退職をすると、運用のノウハウが引き継がれず、障害対応が滞る恐れがあります。
実際に、担当者が不在の間にトラブルが発生し、復旧までに数日を要した事例も見られます。デスクトップ仮想化は初期構築だけでなく、監視やパッチ適用など継続的な作業が発生するため、属人化を避ける体制づくりが欠かせません。
導入後に見落とされがちな運用コストと工数
デスクトップ仮想化は導入時のコストに注目が集まりがちですが、実際にはサーバーのライセンス更新やストレージ増設など、運用フェーズで発生する費用が積み重なっていきます。工数の見積もりが甘いと、想定外の追加コストが発生する場合があります。
また、オンプレミス型は自社でハードウェアを保守する必要があるため、故障時の部品交換や電源設備の点検といった作業も加わります。クラウド型への切り替えを含め、長期的な運用コストを試算したうえで導入方式を検討することが重要です。
情シス1人でオンプレ型デスクトップ仮想化を運用する課題
オンプレミス型のデスクトップ仮想化は自由度が高い一方、サーバーの保守や障害対応をすべて自社で担う必要があります。情シスが1人しかいない体制では、以下のような課題が生じやすくなります。
パッチ適用や障害対応が属人化し対応が遅れる
オンプレ型のVDI(仮想デスクトップ基盤)は、OSやミドルウェアのセキュリティパッチを自社で適用する必要があります。情シスが1人の場合、通常業務と並行してパッチ検証や適用作業を行うため、対応が後回しになりやすくなります。
パッチ適用が遅れると脆弱性が放置され、障害発生時も原因の切り分けに時間がかかり、業務停止が長引く場合があります。定期的な棚卸しと、外部の保守サービスを併用する体制の検討が対策として有効です。
サーバー管理業務の増加で本来業務が圧迫される
デスクトップ仮想化のサーバーを自社で運用すると、バックアップ設定やストレージ容量の監視、ハードウェアの温度・稼働状況の確認など、日常的な管理業務が増えます。これらは情報システム部門の本来の企画業務を圧迫する要因です。
結果として、新しいシステムの検討やセキュリティ強化といった重要な業務に手が回らなくなるケースもあります。運用の一部を外部委託し、担当者の負荷を分散させる工夫が求められます。
情シス不在のクラウド型デスクトップ仮想化のトラブル
クラウド型は自社でサーバーを保有しない分、導入のハードルは低く見えますが、情シスが不在のまま運用を始めると別の課題が表面化します。ここでは起こりやすいトラブルを紹介します。
初期設定やアクセス権限の管理が不十分になりやすい
クラウド型のデスクトップ仮想化は契約後すぐに利用を開始できる手軽さがある一方、情シスが不在だと初期設定を業者任せにしてしまい、アクセス権限の設定が甘くなる場合があります。退職者のアカウントが残ったままになる、といった管理漏れも起こりやすくなります。
権限設定の不備は、不要なデータへのアクセスや情報漏えいのリスクにつながります。導入時に権限設計のルールを定め、定期的に棚卸しをする運用フローを社内で明確にしておくことが対策です。
問い合わせ窓口が定まらず障害時の対応が遅れる
情シスが不在の組織でクラウド型を導入すると、障害発生時に誰がベンダーに問い合わせるのか、社内の窓口が定まっていないケースがあります。担当者が分からず対応が後回しになり、社員が長時間業務を進められない状況も起こり得ます。
クラウド型であっても、社内に一次対応の担当者を置き、ベンダーのサポート窓口や対応時間をあらかじめ共有しておくことが必要です。緊急時の連絡フローを事前に決めておくと、混乱を防げます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でデスクトップ仮想化の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
多拠点でデスクトップ仮想化を導入した際の回線トラブル
複数拠点でデスクトップ仮想化を利用する場合、各拠点のネットワーク環境が業務の快適さを左右します。回線設計を軽視すると、思わぬ形で業務が止まってしまうことがあります。
拠点側のインターネット回線が輻輳し業務が止まるケース
本社側のサーバー増強は行っても、拠点側のインターネット回線の帯域を見直さないまま多拠点展開を進めると、同時接続が集中する時間帯に回線が輻輳し、画面の表示が止まったり操作が反応しなくなったりする状況が起こります。
支店やテレワーク拠点では、光回線ではなく従来のブロードバンド回線を使っている場合が多くあり、想定以上のアクセスに耐えられないことがあります。拠点ごとの回線速度と同時利用人数を事前に確認しておくことが欠かせません。
帯域設計を誤ると接続遅延が全社に波及する
デスクトップ仮想化は映像や操作情報をネットワーク経由でやり取りするため、帯域設計を誤ると一つの拠点の混雑が他拠点の接続品質にも影響を与える場合があります。VPN経由で本社に集約する構成では、この傾向が強くなる点に注意が必要です。
対策としては、拠点ごとの通信を分散させるネットワーク構成の見直しや、画質を調整して通信量を抑える設定が有効です。導入前にトラフィック量を試算し、余裕を持った回線容量を確保しておく必要があります。
開発パートナーへのデスクトップ仮想化環境払い出しの権限管理
外部の開発パートナーにデスクトップ仮想化環境を貸与するケースでは、社内メンバーとは異なる権限管理が求められます。管理が曖昧なまま運用すると、情報漏えいのリスクが高まります。
外部パートナーへの権限付与範囲が曖昧になるリスク
開発パートナーに仮想デスクトップ環境を払い出す際、社内メンバーと同じ権限をそのまま付与してしまうと、契約範囲外のシステムやデータにまでアクセスできてしまう場合があります。プロジェクトごとに権限を分けずに運用すると、管理が煩雑になります。
権限の範囲は、業務に必要な最小限に絞ることが基本です。プロジェクト終了後にアカウントを速やかに無効化する運用ルールも、あわせて整備しておく必要があります。
アクセスログや利用範囲の管理不足が招く情報漏えいリスク
外部パートナーの利用状況を記録するアクセスログの確認を怠ると、不正なファイルの持ち出しや想定外の操作が行われても気づけない状態になります。仮想デスクトップ環境はデータをローカルに残さない利点がありますが、画面キャプチャなど別の経路での持ち出しには注意が必要です。
ログの定期確認に加えて、画面キャプチャの制限やファイル転送機能の無効化といった設定を組み合わせることで、情報漏えいのリスクを抑えられます。契約時にセキュリティ要件をパートナー企業と明確にすり合わせておくことも重要です。
運用体制の不安を解消するデスクトップ仮想化サービスの選び方
ここまで見てきたように、デスクトップ仮想化の運用トラブルの多くは、自社の人員だけで管理・保守を抱え込むことに起因します。運用負荷を軽減できるサービスの活用も、対策の選択肢として検討する価値があります。
リモートPCサービス
- データセンターに用意された物理PCをサービスとして利用する形態
- 1台・1ヶ月からのスモールスタートもできるため導入がしやすい
- 1ユーザが1台を専有でき、安定したパフォーマンスを実現
株式会社リンクが提供する「リモートPCサービス」は、オフィスの物理PCをクラウド経由でリモート利用できるサービスです。マスターイメージ管理や集中管理コンソールに対応しており、情シス担当者が1人の体制でも端末を一元管理しやすくなります。1台からのスモールスタートも可能なため、中小企業が段階的に導入を進める際の選択肢です。
Amazon WorkSpaces導入支援サービス
- オンプレミスと同等の強固なセキュリティを実現
- 正確なコストシミュレーション
- APNパートナーの豊富なノウハウ
株式会社TOKAIコミュニケーションズが提供する「Amazon WorkSpaces導入支援サービス」は、Amazon WorkSpacesの導入から運用までを支援するサービスです。Active Directory連携や多要素認証の設定に対応するほか、24時間365日のサポートデスクを利用できるため、情シスが不在の時間帯でも障害時の問い合わせ窓口を確保できます。
Azure Virtual Desktop (日本マイクロソフト株式会社)
- Windowsのマルチセッション仮想化を多人数に低コストで提供。
- デスクトップ環境と単一アプリの配信に対応する柔軟な利用形態
- Azure管理でGW不要。運用・スケールが容易に。
仮想デスクトップサービス (富士通株式会社)
- 用途に応じて選べる柔軟なサービス形態
- 最小1IDから導入可能、短期間・低コスト運用が可能。
- データレスで情報漏えいリスクを低減し、安全な業務を実現。
CitrixVirtualAppsandDesktops (シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社)
- あらゆるデバイスにアプリとデスクトップを配信
- ハイブリッドワーク環境の最適化と生産性向上
- 高度なセキュリティでデータ保護
Amazon WorkSpaces (アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社)
- 99.9%ものアップタイムSLAを誇る安定性
- 端末上にデータを残さない高セキュリティ体制
- 高性能インフラによりリモートワークを支援
まとめ
デスクトップ仮想化の運用は、情シスの人員体制、拠点ごとの回線環境、外部パートナーへの権限管理といった複数の要素が組み合わさって成り立っています。どれか一つでも設計が不十分だと、業務停止や情報漏えいにつながる恐れがあります。導入時には自社の体制を見直し、運用サポートを提供するサービスの活用もあわせて検討してください。


