クライアントPCの進化
デスクトップ仮想化とは、クライアントパソコンのデスクトップ環境を仮想化してサーバ上に集約する技術です。クライアント側では、ディスプレイやキーボード、マウスなどの入出力装置だけを利用し、すべての処理をサーバ側が担当します。利用者はクライアントパソコンからサーバ上の仮想マシンにアクセスし、デスクトップ画面を呼び出して操作します。
- ■1990年前後:パソコンがクライアントに
- オフィスコンピュータやメインフレーム全盛期のころ、クライアント端末は入出力機能だけで、処理のすべてはホストコンピュータが行っていました。これが、クライアント・サーバ型システムになってから、クライアントにパソコンが採用されるようになり、パソコン側で処理やデータの蓄積が行われるようになります。理由は導入コストの削減でした。ホストコンピュータがあまりに高価で、ダウンサイジングの一環として低コストなサーバとパソコンに代替されていったのです。
- ■1990年代後半:シンクライアントの登場
- ところが、1990年代後半になって、予想もしなかった事態が発生しました。導入コストは安かったものの、運用コストが跳ね上がってしまったのです。導入された大量のパソコンの故障対応やソフトウェアのバージョンアップ費用が途方もなくかかり「TCO削減」が叫ばれるようになりました。
ここで提唱されたのがシンクライアントでした。サーバ側で処理の大半を負担し、パソコンは入出力機能だけを提供する考え方です。ここでの目的は運用コストの削減でした。 - ■2000年代後半:デスクトップ仮想化のブレイク
- 2000年代後半になり、セキュリティ対策からシンクライアントが注目を集めます。すでにサーバ仮想化が大きな潮流となっており、運用負荷軽減、省エネ、省スペース、コスト削減などの効果が認められていました。こうして、シンクライアントの1つのタイプであるデスクトップ仮想化がブレイクすることになります。この時はセキュリティ対策が大きな目的でした。
- ■2014年以降:パソコン端末の延命化
- さらに、2014年にはWindows XPのサポート終了があり、デスクトップ仮想化の導入が進みます。この時の目的はパソコン端末の延命でした。サーバ側で処理を行うため、端末側では最低限の性能で済みます。新しいパソコンに買い替えるよりも、デスクトップ仮想化を導入して既存パソコンの延命を選択したのです。
このほか、どのコンピュータからでも自分用の画面・環境を呼び出して使えるため、異動や出張、在宅勤務などに柔軟に対応できることも、デスクトップ仮想化の魅力となっています。
デスクトップ仮想化の活用場面とメリット
デスクトップ仮想化の活用イメージを具体化するために、想定されるモデルケースとメリットを紹介します。
- ■金融機関 <セキュリティ強化>
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信用金庫のケースを考えてみましょう。この信用金庫では、サーバのリプレースを機に、社屋内に設置していたサーバをデータセンターに移設することにしました。社屋が古く、BCP(事業継続計画)が課題になったためです。
この一環で、全パソコンにデスクトップ仮想化を採用しました。目的はセキュリティ強化にありました。金融機関は機密情報を扱うため、その情報が漏えいしては大変な問題となります。パソコン内にデータを一切保存できないようにして、漏えいの危険性をなくそうとしました。 - ■自治体 <コスト削減>
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自治体の場合を考えてみましょう。総務省からの指導もありITシステムのコスト削減が自治体では迫られています。Windows XPのサポート終了の際、その自治体では2000台近いパソコンのバージョンアップが必要となりました。これを出入りの事業者に見積もりを依頼すると数十億円という金額を提示されました。
そこで、自治体がとった手段がデスクトップ仮想化です。既存のパソコン端末をそのまま使用し、サーバ側に仮想のデスクトップを作成して、パソコンからアクセスするアイディアです。これによって、自治体は2/3程度に出費を抑えることができました。
デスクトップ仮想化は大きな潮流となっています。この機会に検討されることをお勧めします。